ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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今回は朧が珍しく木場のことを気にします

あ、決して変な意味ではないので

それでは本編どうぞ


第41話

「行くわよ朧!」

 

「はいさー」

 

カキン、と金属特有を響かせて、部長の金属バットによって鋭い打球が放たれる。俺はその打球を軌道を読み、ダイビングキャッチすることなくボールをグローブでキャッチした。

 

現在、俺達オカ研メンバーは旧校舎の裏手で野球の練習をしていた。来週、駒王学園では球技大会があり、その部活動対抗戦のための特訓を行っているのだ。

 

どうにもリアスはこの手のイベントが好きなようでタイプで、かなり張り切っている。もっとも、オカ研は俺以外は皆悪魔なのでスポーツでそうそう負けることなんてないと思うが。

 

「今のを容易くキャッチするなんて、やるわね」

 

「前から言ってますが身体能力は並の人間より少しいい程度ですが、視力はいいですからね。あれぐらい容易いですよ」

 

見えてさえいれば、そこから軌道予測することなんて余裕だ。ただまあ、悲しいかな・・・・この軌道予測は戦闘やらなんやらで培って来たものだから素直に嬉しくはない。

 

『だとしてもいいじゃない。こういうふうに平和なイベントでそれが活用されるのなら悪くはないでしょう?』

 

まあ、それもそうだけどな。

 

『まあそれはそれとして・・・・・彼、やっぱり様子がおかしいわね』

 

ラムに言われて俺はあいつの・・・・木場の方に視線を向けた。

 

「いくわよ祐斗!」

 

俺の時と同じように、リアスは木場の方へと打球を飛ばす。いつものあいつなら平然とキャッチするのだが・・・・・ボールは木場ぼけっとしていた木場の頭に当たり、そのまま地面に落としてしまった。

 

らしくない木場に、イッセーやリアス達が声を掛ける様子が俺の目に映る。

 

『朧はあれ、どう思うかしら?』

 

んー・・・・男のドジっ子は需要がないなと思うな。

 

『同感ね』

 

・・・・・ラムさん、ぼけたんだから突っ込んで。

 

『え?突っ込むところあった?』

 

・・・・うん、俺が悪かったよ。ごめんね。本題に戻ろ?

 

『わかったわ。では改めて聞くけれど・・・・・どう思う?』

 

何かあったのは間違いない。そしてその『何か』は俺が休んでるあいだに起きたんだろう。

 

『でしょうね。あなたが休む前はいつも通りだったもの。問題は何があったのかだけれど・・・・』

 

そのへんのことはイッセーあたりにそれとなく聞いてみるさ。

 

『まあ、それが無難ね。それにしても・・・・・意外ね』

 

意外?

 

『男に大して興味もないあなたが、木場くんのことを気にかけていることがよ』

 

男に興味がないって・・・・・まあ間違ってはないけどさ。正直普段なら大して気にもしないが・・・・木場の目がな。

 

『・・・・ああ、なるほど。気がついたのね。そう、そうよ。彼の目はあなたと同じ。憎しみを抱いたものの目。復讐者の目よ』

 

やっぱり、か・・・・・嫌な親近感を感じたからもしかしてと思ったんだが憎しみと復讐か。

 

面倒だな・・・・・・・おかげで放っておくことができなくなってしまったじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません、ちょっとイッセーと話がしたいので借りてもいいですか?」

 

「え?」

 

野球の練習が終わり、部室に戻ろうとする一同を引き止めて俺が言う。イッセーは突然のことにキョトンとした顔をしてる。

 

「イッセーと話?私達が居る前では話せないことなのかしら?」

 

「まあちょっとね・・・・・親友同士で話したいこともあるんですよ。イッセーがオカ研に入ってからは中々二人で話す機会もないですので」

 

実際問題、イッセーのそばにはいつもアーシアかリアスがいるからな。二人で話す機会はめっきり減ってしまった。まあ、俺は俺でレイナーレやレイヴェルのことに気を回しすぎていたが。

 

「親友同士でね・・・・怪しいわね」

 

「怪しいですわ」

 

「・・・・怪しいです」

 

リアス、朱乃、小猫から連続で怪しまれてしまった。

 

「あの、お三方・・・・・流石に悲しくなるんで勘弁してくれないでしょうか?」

 

「だったらもう少し普段の行いに気を遣いなさい」

 

「あなた達は俺の普段の行いを思い返してください」

 

しつこいけどそこまで悪くはないでしょうマジで・・・・・

 

「はあ・・・・まあいいわ。夜には悪魔の活動もあるんだから手短にお願いするわよ?」

 

「はい。わかりました。んじゃ行こうぜイッセー」

 

「え?あ、ああ・・・・わかった」

 

リアスからの許可も取れたので、俺はイッセーを連れて旧校舎の空き教室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こうして朧と二人で話をするのも久しぶりだなー」

 

「そうだな。どっかの誰かは紅髪のお姉様と金髪のシスター、そのほか綺麗どころの女の子に夢中だもんな」

 

「うぐっ、否定できない・・・・・けどそれは朧もだろ?最近はレイヴェルのことばっかだったし」

 

「はははっ、違いない。だが、揃いも揃って女のことで手一杯とは嬉しいことじゃないか」

 

「確かにな」

 

久しぶりのイッセーとの他愛ない会話。本題ではないが、こういった会話もした二人でしたいと思っていたので、それなりには楽しめる。

 

「それで?本題はなんだ?」

 

リアスから手短にと言われていたので、早めに本題に入ろうと思っていた矢先にイッセーの方から聞いてきた。

 

「驚いたな・・・・本題が別にあるってなんでわかった?」

 

「親友としての勘」

 

か、勘ときましたか・・・・・まあ親友としては嬉しいっちゃ嬉しいな。

 

「それよりも話してくれ。部長も待ってるし」

 

「ああ・・・・お前、木場の様子がおかしいことの心当たり無いか?」

 

「え?木場の?」

 

俺が話すと、イッセーは心底意外といった表情をした。

 

「なんでそんなに驚くんだ?」

 

「いや、朧が男の心配するなんて珍しいなと思って。木場みたいな爽やかイケメンあんまり好きじゃないだろ?」

 

「まあ正直好きではないな。ただまあ、木場に関して言えばそこまで嫌いでもないけど」

 

あいつとも他生の縁って奴が芽生えてるからな。男だがそこまで嫌いってわけでもない。まあ、だからといって普段なら様子がおかしい程度じゃ気に止めないけど・・・・・ラムにも言ったように変に親近感を抱いちまってるからな。

 

「ふ~ん・・・・まあいいけど。木場の様子がおかしいことに関して、心当たりはあるっていえばある。朧が休んだとき、うちでオカ研の会議したんだけど・・・・その時流れで私のアルバム見ることになって」

 

「ああ、あのアルバムな」

 

「ちょっと待って、あのって何?なんで朧が知ってるようふうなの?私朧にアルバム見せた覚えないんだけど?」

 

「おばさんに見せてもらったから」

 

「母さん・・・・・」

 

勘弁してくれといった風に頭を抱えるイッセー。まあそんなに落ち込むな。普通に可愛かったぞ。

 

『そういうこと口に出してあげなさいよ』

 

いや、イッセーの場合火に油になりかねないから。

 

「まあそのことに関しては今は置いておくとして、そのアルバムの写真の一枚を見てからなんだよ。木場の様子がおかしくなったの」

 

「その写真には何が写ってたんだ?」

 

「幼稚園時代の私と同い年の園児の男の子とその親御さん」

 

「特に変わった写真ではないが・・・・・」

 

「まあ私もそう思ってたんだけど・・・・その親御さんがさ、古ぼけた西洋剣を持ってたんだよ。てっきり模造品だと思ってたんだけど・・・・・木場が言うには、それは聖剣らしい」

 

「聖剣?」

 

これは予想外だな・・・・・まさかここで聖剣が出てくるとはな。

 

だが・・・・ふむ。まさか・・・・・

 

「その時の木場の様子はどうだった?」

 

「なんていうか・・・・すごく冷たい目をしてたな。まるで何かを恨んでるような」

 

何かを恨んでるような、か。そういえば木場は、まえのレーティングゲームの時にも相手方の騎士(ナイト)と戦ってたとき、聖剣がどうとかで様子が変わっていたな。

 

聖剣を恨む、か・・・・・まさか木場の奴、聖剣計画の?それで悪魔に?だとしたら、リアスの眷属は本当に事情が複雑なのが多いと言わざるを得ないな。

 

「なあ朧、木場と聖剣って何か関係があるのか?」

 

「なんでそれを俺に聞く?」

 

「その・・・・朧なら何か知ってるかなって。私よりも悪魔のこと詳しいし・・・・朱乃先輩や小猫ちゃんのことも何か知ってる風だったし」

 

そう口にするイッセーは、どこか悔しそうに見えた。おそらく同じ眷属である自分よりも、俺の方が事情に詳しいってことに思うところがあるのだろう。悪魔になってまだ日が浅いのだから仕方ないのだがな。

 

「・・・・・思い当たることはあるといえばある」

 

「それってなんだ?」

 

「・・・・悪いが今は話せない」

 

「どうして!」

 

なぜ教えてくれないのかと、イッセーは声を荒げる。

 

「すまない。思い当たることはあっても絶対そうとは言い切れなくてな。確証のない情報ってのは、あんまりいいものじゃなくてな・・・・特に今回の場合は俺の心当たりと違ったら少々どことじゃなく不謹慎だ。俺としても慎重にいきたいんだよ」

 

「・・・・・それ本当か?」

 

・・・・どうやら疑われてしまっているらしい。まあ、日頃嘘をつきまくってる代償だな。

 

「信じてもらえるかわからんが本当のことだよ。確信できるようになったらちゃんと話すから」

 

「・・・・わかった」

 

とりあえずは納得してくれたようだ。

 

「すまないなイッセー。今は我慢してくれ」

 

「それはまあ、いいさ。朧の言ってることは理解できなくもないし」

 

「そっか・・・・さて、そろそろ戻ろうか。あんまり遅くなるとリアス部長に怒られるし」

 

「部長怒ったら怖いもんな。早くもど・・・・あ、そうだ」

 

部室に戻ろうとするが、イッセーが何かを思い出したように足を止めた。

 

「どうした?」

 

「うちでオカ研の会議してたとき、母さんと父さんがお前が最近うちに来ないってぼやいてたぞ」

 

「おばさんとおじさんが?」

 

まあ、確かにイッセーが悪魔になってからはあまりイッセーの家に行ってないしな。前に言ったとき・・・・冥界に乗り込んだときもおばさんにもおじさんにも会ってないし。

 

「わかったよ。近いうちに顔出す」

 

とはいったものの、正直もう気軽にイッセーの家にいけないんだよな・・・・リアスやアーシアがいるし。

 

「その時は、久しぶりにAV鑑賞しような」

 

「・・・・そうだな」

 

イッセー、それは相当難しいと思うぞ。いや、お前に対する被害は少ないかもしれないが・・・・俺がね。うん。それに俺もう持ってるAV全部捨てたし。レイナーレやレイヴェルがいればそんなもの必要ないしな。

 

でもまあ・・・・・やっぱ暇見つけて行くかな。なんだかんだイッセーと一緒にいる時間は、レイナーレやレイヴェルと一緒にいるときとは違った楽しさがあるしな。

 

『・・・・そうね。せいぜい楽しみなさい。いつまで続くかわからないのだから』

 

・・・・・そうだな。




朧はグレモリー眷属達の事情にある程度詳しいですが、木場のことはあまり知りません

男だからとかそういうのではなく、単純に朧だって何でもかんでも知ってるわけではないからです

それでは次回もまたお楽しみに!

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