ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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今回は朧とオカ研メンバーの間でちょっとした変化があります

それでは本編どうぞ


第40話

・・・・・なあラム。

 

『なにかしら?』

 

今の状況の説明プリーズ。

 

『放課後、オカ研の部室に来ると同時に有無を言わさぬ迫力のリアス・グレモリーの一言によって正座させられているわね』

 

うん、説明ありがとうラム。

 

さて・・・・・・どうして、こんなことになってるのだろうか。

 

「あの~・・・・伺ってもよろしいでしょうか?」

 

「なにかしら?」

 

恐る恐るとリアスに声をかけてみると、ニコリと微笑みを浮かべながら返事を返してくる。ただ、その笑みは心地の良いくらい黒々としていた。

 

いつもなら適当に流すのだが、今回ばかりはそうもいかないかなと思って助けを求めようと他のオカ研メンバーに目配せするが・・・・・

 

「「「・・・・・・」」」

 

皆無言で目を逸らしやがった。アーシアだけが申し訳なさそうに苦笑いを浮かべているのが唯一の救いだ。つうか、皆どんだけ薄情なんだよ。

 

『普段の行い』

 

前にも言ったきがするけど雑務こなしてるんだからそこまで悪くはない・・・・はずだ。

 

だが、皆からの助けが期待できないとすると・・・・・自分で何とかするしかないか。まずはなんで正座させられてるのかだが・・・・・考えられるのはやっぱり昨日無断で休んだことか?メールとか電話とかきたけど全部無視してレイナーレに甘えまくってたし。

 

『見ていて愉悦だったわ』

 

それはなによりだよ。だから少し黙っててください。

 

「え~と・・・・・部長、昨日無断欠席したことがそんなに気に障ったでしょうか?」

 

「そのことについては別にいいわ。あなたに関しては今更その程度のことで目くじらを立てるつもりはないもの」

 

うわー・・・・無断欠席のことで怒ってなくてよかったと思うけど、なんかすっごい釈然としない。

 

「ただまあ、あなたが来なかったせいでお茶請けがないって小猫が文句を言っていたから、小猫からは何かあるかもしれないわね」

 

小猫の方を見てみると、なんかシャドーボクシングよろしく拳を突き出していた。え?俺殴られるの?さすがにルークの小猫に殴られるのは嫌だよ?当たる気ないけど。

 

それはともかくとして、無断欠席の件で怒ってるわけではないとしたら一体なんでリアスは・・・・?

 

「では、なぜ俺は正座させられているのでしょうか?心当たりがないのですが・・・・」

 

俺は思い切ってリアスに聞いてみることにした。

 

「・・・・・先日、フェニックス家の者から連絡があったの」

 

「フェニックス家から?」

 

あ、なんかちょっとわかったような気がする・・・・・

 

「なんでも、あなたとのデートから帰ってきてからレイヴェルの様子がおかしいらしいわ。うっとりとした表情であなたの名前を呟く姿が以前以上に頻繁に目撃されているそうよ」

 

以前以上にか・・・・そういえば、レーティングゲームのときライザーの眷属が俺の名前を呟いていたレイヴェルを見たって言ってたな。デートから戻ってその頻度は増えているようだ。

 

「それくらいならいいじゃないですか。それだけレイヴェルはあのデートを通じて俺を想うようになってくれたということ。俺としても男冥利に尽きるというものです」

 

「そうね。フェニックス家の人間の中には頭を抱えてる者もいるそうだけれど、そのことに関しては私から文句を言うつもりはないわ。個人の恋愛ごとに必要以上に口を出すほど野暮ではないもの」

 

「だったら別に問題はないじゃないですか。正座崩してもいいですか?」

 

「ダメよ」

 

特に問題はなさそうだったので正座を解いてもいいかと聞いてみるが、お許しは出なかった。そろそろ足が痺れてきたから勘弁して欲しいんだが・・・・・やっぱりそうもいかないか。多分話はそこで終わりじゃないだろうし。

 

「問題は他にあるのよ。あなたのデートから帰ってきてから、レイヴェルはしばらく髪を下ろしていたそうよ」

 

あ、やっぱりか・・・・

 

「イメージチェンジですかね?髪をおろしたレイヴェルもまた可憐でしょうけど、個人的にはうなじが隠れてしまうのが残念でなりません」

 

「うなじが隠れて、ね・・・・朧、あなたもしかしなくてもレイヴェルが髪を下ろしていた理由に心当たりがあるのではないかしら?」

 

「・・・・・・ナンノコトヤラワカリマセン」

 

一応、場の空気的に合わせてわざとらしくシラを切ってみる。

 

「ライザーの眷属の一人が、レイヴェルの項に赤い痣のようなものできているのを見たそうよ。髪を下ろしたのはそれを隠すためでしょうね。けれど・・・・朧、その痣に心当たりは?」

 

「虫刺されとか?」

 

「お~ぼ~ろ~?」

 

「はい、もう誤魔化しません。正真正銘俺がつけたキスマークです」

 

さすがにこれ以上誤魔化すとリアスの怒りがリミットブレイクしそうだったので、潔く白状した。

 

「あなたという子は・・・・・信じて尾行をやめた私が愚かだったわ」

 

「尾行はやめたんじゃなくて俺に撒かれたんでしょう?ねえ俺に撒かれてどんな気持ちでした?ねえどんな気持ちでした?NDK?NDK?」

 

「だ・ま・り・な・さ・い!あなたの頭の中に反省という言葉はないの!?」

 

「さーせん」

 

失礼なことを言うなぁ・・・・・反省という言葉ぐらい俺の頭の中にあるに決まってるだろ。ただ、今回の事案は反省に値しないだけだ。

 

ちなみに尾行をやめようがやめなかろうがキスマークの件についてはどうにもできなかったぞリアス。帰る直前にこの部室でやったんだから。まあ、口に出したら更に怒られるから言わないけど。

 

「まったく・・・・・初デートでキスマークを付けるってあなた一体何考えてるのよ」

 

「ホテ・・・・まあ、それは個人の裁量なのでいいんじゃないでしょうか?レイヴェル嫌がってはいませんでしたし」

 

「あなた今『ホテルに連れ込むよりはマシ』だって言おうとしたわね?」

 

「いえ。ホテホテなじゃがバター食べたいなって言おうと思ってました」

 

「これまで聞いたどの嘘よりも酷いわ・・・・・」

 

なにも頭を押さえなくてもいいだろうリアス。他の皆も頷くな。自覚はあるけども。

 

「というより、さっき個人の恋愛ごとに必要以上に口を出さないって言ってたじゃないですか。それなのにこの仕打ちはあんまりでは?」

 

「今回の事案は必要以内に含まれると判断したわ」

 

解せぬ。というかうなじにキスマークぐらいでそんなにネチネチ言わなくたっていいでしょう。あなたの裸で添い寝よりはだいぶマシだと思うし。

 

というよりそろそろ足の痺れがマズイな・・・・これ以上は今日の今後の行動に支障をきたす。なんとか話を終わらせなければ。

 

「まあとにかく落ち着いてください。この件に関しては俺とレイヴェルの間で解決・・・・というよりそもそも問題にすらなっていないんです。そりゃフェニックス家にとってはそれなりに気にするべき事案かもしれませんが、それでもここで議論しても仕方がないでしょう?だから話はここまでにしましょうよリアス部長」

 

「悪いけれどそういうわけには・・・・・・」

 

リアスは何かを言いかけるが、途中で言葉は途切れてしまった。その上目を見開き、驚いた表情で俺のことを見てる。一体どうしたっていうんだ?

 

「・・・・・まあいいわ。確かに朧の言うことにも一理あるしここまでにしておくわ。もう正座を崩してもいいわよ」

 

「あ、はい。ありがとうございます」

 

なんかやけにあっさり許してくれたな・・・・確かに早く正座崩したいとは思ってたけど、完全に説得し切るにはまだまだ掛かると思ったのに少し拍子抜けだ。それになんか機嫌が良さそうに見えるような・・・・・

 

「・・・・朧先輩」

 

疑問を抱きつつも正座を崩す俺に、小猫が声をかけてきた。明らかに不機嫌そうなジト目・・・・・そんなに昨日無断で休んだの恨んでるの?お菓子持ってこれなかったの怒ってるの?

 

「あ~・・・・・小猫ちゃん、昨日は勝手に休んじゃってゴメンな?そのお詫びってわけじゃないんだけどほら。今日は小猫ちゃんが好きだって言ってくれたチョコマフィン作ってきたんだ」

 

「・・・・・・わかりました。今日のところはこれに免じて許してあげます」

 

そう言って、小猫は俺が差し出したマフィンを機嫌よさげに受け取った。そんなに俺の作ったチョコマフィン好きなのか・・・・でも、なんかリアスみたいに驚いた表情もしてたけどそれは一体・・・・?

 

「朧くん、お茶をどうぞ」

 

「あ、ありがとうございます朱乃先輩」

 

「・・・・・ふふっ、どういたしまして」

 

朱乃、なんでお茶受け取っただけで機嫌良さそうに笑ってるんだ?しかも朱乃まで驚いた表情してたし・・・・・・どういう事なんだ本当に?

 

『あら?もしかしてわからないのかしら?』

 

え?ラムにはわかるのか?わかるんだったら教えて欲しいんだけど・・・・

 

『教えな~い♪』

 

うわぁ・・・・腹立つなこれ。

 

「朧、お疲れ様」

 

「お疲れ様です朧さん」

 

ラムに対してイラっとしていると、イッセーとアーシアが声をかけてくる。もしかしたら二人ならリアス達が機嫌よさげにしてた理由がわかるかもな・・・・・・聞いてみるか。

 

「なんとか俺の足は犠牲にならずに済んだよ。けど、なんかあの三人機嫌よさそうに見えるんだけどどうしてだかわかるか?」

 

「え?気がついてないのか?」

 

「意識してなかったんですね」

 

尋ねてみると、なんか二人共意外そうな表情になった。これは何か知ってる?

 

「正直心当たりは全くないんだよな・・・・いや、小猫ちゃんはマフィンのことで機嫌が良くなってるかもしれないけど」

 

「それです」

 

「え?やっぱマフィン?」

 

「いや、違うから。朧、小猫ちゃんのこと名前で呼んでるだろ?部長達のことも」

 

・・・・え?名前?

 

『自覚がないとは呆れたわね。あなた、さっきからモノローグでも名前で呼んでたわよ?』

 

ラムに言われて、そういえばそうだったと思い出す。

 

「私とアーシアの事ははじめから名前で呼んでたけど、部長達のことは前まで苗字で呼んでただろ?多分部長達、それで朧に対して距離を感じてたんじゃないか?」

 

「じゃあ機嫌が良さそうなのって・・・・」

 

「きっと部長さん達は朧さんに名前を呼ばれて距離が縮まったと感じたのだと思います」

 

それが嬉しかったってこと?確かに距離保つために苗字で呼んでたけど・・・・・その程度のことで?

 

『彼女達にとってはその程度の範囲内ではなかったようね。どうやらあなた、完全に身内だと思われてしまってるようよ』

 

なんだよそれ。甘い悪魔共だな。

 

『同感ね。けれど、それはあなたにも当てはまるわよ?これまで苗字で呼んでいたのに今は意識せずとも名前で呼んでいる。それは、あなたが無意識にここに居る悪魔達の事を一定以上の身内だと思ってしまっている何よりの証拠よ』

 

・・・・・・否定はできない、か。俺も甘いな。

 

『全くね。けれどいいじゃない。あなたのその甘さ・・・・・人間らしくて私好きよ?』

 

そうか・・・・まあ、お前に好かれるのなら甘いのも悪くはないだろう。だが・・・・

 

『ええ、そうね。これで尚更やりにくくなったわね。レイナーレちゃんのことがバレたら敵対する可能性はまだ十分にある。敵対するとなれば、あなたは引き金を引かなければならない・・・・たとえそれがどんなに辛くても』

 

わかってるよ。俺にとってもっとも大事なのは、優先すべきはレイナーレだ。レイナーレの件で敵対するというのなら、俺はリアスやその眷属・・・・そして、イッセーにでさえ、俺は牙を剥く。俺の感情に関わらず・・・・・・いざとなれば、俺はその手段を選ばなければならない。

 

『手段を選ばないのではなく、残酷でも辛苦にもだえようとも手段を選ぶ・・・・・それでこそよ。それでこそ人間。それでこそ私の大好きな現世朧よ。その覚悟を持ち続けられるように・・・・せいぜい期待してるわ』

 

そいつはどうも、我が相棒。

 

「朧?どうした?」

 

「え?どうしたって何がだ?」

 

「いや、なんか急にぼんやりしてたから」

 

「大丈夫ですか朧さん。体調が悪いんですか?」

 

心配そうな表情で俺を見てくるイッセーとアーシア。まったく、俺なんかを心配するなんて、本当に・・・・・

 

「何でもないよ。それよりも、二人はマフィン食べなくてもいいのか?早くしないと小猫ちゃんが全部食べちゃう勢いなんだが・・・・・」

 

「アーシア!早く行こう!」

 

「はいです!」

 

小猫に全て食べられてたまるかと、イッセーとアーシアもマフィンを取りに行った。

 

「はあ・・・・やれやれ」

 

目に映るのはイッセーやアーシア、リアス、朱乃、小猫が俺の作ったマフィンを美味しそうに食べている光景。以前ならその光景に思うことなどほとんど何もなかったというのに今は・・・・・だがまあ、それも悪くはない。将来的に敵対する可能性はあるとしても、今はこの光景を大切に思うことに甘んじよう。

 

それぐらいの我が儘・・・・・今は・・・・今だけは許されたっていいはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば、木場の様子がおかしいけど、どうかしたのだろうか?

 

『あ、彼のことは苗字呼びなのね』

 

いや、だって野郎だし。そこはまあいいかなって。

 

 




朧の中でのオカ研メンバーへの好感度はだいぶ高まっています

このままいけば普通に信頼しあえる大切な仲間レベルになる日もそう遠くありません

このままいけば・・・・ね

それでは次回もまたお楽しみに

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