ハイスクールD×D ~それは現か幻か~ 作:DDX
そして本章も終りとなります
どうなるかは見てのお楽しみ
それでは本編どうぞ
「え?朧様はハーレムを志しているのですか?」
館内のフードコートで昼食を取りながら、俺はレイヴェルに俺がハーレムを夢見ていることを話した。ちなみに昼食に関しては今回は弁当を作ってきていない。以前、初デートで弁当を作った結果、相手の女の子のプライドをへし折ってしまい、気まずくなってそのまま破局してしまった経験があるからだ。
「ああ。俺はうなじフェチで、レイヴェルが俺好みのうなじを持ちぬしだったからあの時レイヴェルを口説いたんだが・・・・・俺のフェチはうなじだけじゃない。ほかに黒髪フェチ、くびれフェチ、鎖骨フェチでもあるんだ」
最近は太ももや眼や指のフェチにも目覚めつつあるがな。
「そ、それはその・・・・・中々変わった趣味といいますかなんといいますか・・・・・」
俺のフェチを聞き、レイヴェルは困惑していた。まあレイヴェルからしてみれば少なからず好意を持ってる相手の特異な性癖を聞かされったのだから無理もないだろう。だが、そういうことは早めに話しておくことに限るので、話をはめるわけにはいかない。
『レイナーレちゃんには説明するのが随分遅れていた気がするけれどそれについてはどうなのかしら?』
・・・・・・あれは完全にうっかりしてました。まあ、レイナーレは特に気にしてなかったみたいだからいいけど。
『・・・・・はあ』
あからさまに大きいため息を吐いて、呆れていると主張しだしたラム。一体どうしたってんだ・・・・・まあいいや。今はレイヴェルの方が重要だ。
「つまり俺は、自分のフェチに適った女の子を集めてハーレムを作りたいんだよ。そしてレイヴェルはその中のうなじ枠ってわけだ」
「なるほど・・・・・わかりました」
「・・・・俺のこと、軽蔑するかい?」
一般的に男女の仲というのは一人対一人というのが普通だ。だから、ハーレム願望を持つことは女の子の反感を買うことにもなるが果たしてレイヴェルはどうだろうか・・・・・
「軽蔑なんていたしませんわ。その程度のことで軽蔑していては、仮とは言えお兄様の眷属は務められませんから」
ああ・・・・そういえばライザーは眷属を自分の女で固めていたな。そんなライザーの眷属を仮にとは言え勤めていたから、嫌悪の感情は抱かないのか。
「それは良かった。レイヴェルに軽蔑されたら、俺思わず号泣しちゃっただろうから」
「嫌ですわ朧様ったら。そんな大げさな・・・・」
「大げさじゃないよ。俺にとってハーレムは大事なことなんだ。人間風情がハーレムだなんて倫理的に普通じゃないっていうのは理解してるけど・・・・・ハーレムを作らなきゃ夢が叶わないからな」
「夢・・・・ですか?」
そう。俺には夢がある。幸せになるということ以外の・・・・いや、幸せの一部ともいえる大切な夢が。
「俺はねレイヴェル・・・・俺好みのフェチを持った女の子に看取られて死にたいんだ。それが俺の夢なんだ」
「・・・・・え?」
俺の言ってることがあまりにも予想外だったのか、レイヴェルの表情に驚きの色が見えた。
「まあ、聞きようによっては後ろ向きに思えるだろうな。だけど、愛する人・・・・それも複数人に看取られて死ねるっていうのは幸せなことなんだ。俺が笑って皆も笑顔で死ねたら・・・・・それは何にも変えられない幸せなんだよ」
そう・・・・・それは間違いなく俺にとっての幸せだ。恐怖に、絶望に、苦痛に染められたあんな死よりも・・・・よほど幸せで、夢のある死だ。
「・・・・・申し訳ありません朧様」
「ん?なんで謝るんだレイヴェル?」
「私は・・・・・朧様の言っている事を理解することができません。そのような死が幸せであるだなんて思えません。愛する人との死別だなんてただただ悲しいこととしか私には思えません。だから・・・・・申し訳ありません」
あ~・・・・なるほど。レイヴェルは好意を寄せる
「謝ることはないよ。レイヴェルが俺の気持ちを理解できないのは当然のこと。だってレイヴェルは無限に近い時を生きる悪魔で、死というものを理解していないから」
「私が悪魔で・・・・・死を理解していない?」
「死とは生命の終焉。人生という名の旅路の終わり。それは確かに嘆かわしいことだろう。だけど・・・・だからこそ俺は、そこに幸せを求めるんだ。俺はそれを幸せで締めくくりたいんだ」
これから死ぬからこそ、最期の最期で幸せを謳歌したい。死を知っているからこそ・・・・死が近いからこそ、俺はそう思わずにはいられないんだ。
「今はレイヴェルに無理に理解を押し付けようとは思わないよ。だけどいつか・・・・俺が死ぬときにでも、それを理解してくれたら嬉しいかな?」
「朧様・・・・わかりました。理解できるように努力します」
理解できるように努力する、か。そこまでして俺に合わせてくれようとするなんて・・・
かははっ。ダメだなこりゃ。もううなじ枠はレイヴェル以外ありえない。確定してしまった。この女はこの瞬間に逃げ道を失ってしまった。
「・・・・可愛いなレイヴェルは」
「なっ!?か、可愛いって・・・・突然何を言い出すのですか朧様!」
「ごめんごめん。レイヴェルがあまりにも可愛すぎてつい口に出しちゃったよ」
「うぅ・・・・」
恥ずかしそうに頬を染めるレイヴェル。そんなレイヴェルが本当に可愛い。
俺なんかに狙われて、俺なんかに好意を寄せて・・・・・本当に可愛くて可愛そうな子だ。
「さて、レイヴェルの可愛いところも見れたことだし、そろそろ行こうか。早くしないとイルカショーのいい席、確保できないし」
「は、はい」
俺が手を差し出すと、依然として頬を紅に染めるレイヴェルは俺の手をとって立ち上がる
その手からはほんのりと心地よい熱を感じた。
楽しい時間というのは得てして早く過ぎるもの。俺は今日、改めてそう認識させられた。
昼食を終えたあと、見たイルカショー・・・・張り切って一番前の席で見たいと言っていたレイヴェルは案の定、水しぶきを浴びてびしょ濡れになっていた。水に濡れたレイヴェルのうなじは、俺を十分すぎるほどに魅了してくれた。
その後はびしょ濡れになったレイヴェルをもしもの時のためと持ってきておいたタオルで拭いてあげて(その時色々と堪能させてもらった)、また館内を巡って・・・・・・あっという間に館内すべての水槽を見終わったしまった。
そして今は・・・・・冥界に帰るレイヴェルを見送るために、オカ研の部室に戻ってきていた。楽しい楽しいデートの時間も、もう間もなく終りを迎える。
「デート・・・・・もう終わってしまいましたね」
レイヴェルは、水族館を出るときに俺がプレゼントしたイルカのぬいぐるみをギュッと抱きしめながら残念そうに言う。
「もう・・・・か。そう思ってくれてるって事は、レイヴェルを楽しませてあげられたってことだな」
「え?」
「知的生命体っていうのはな、時を操ることができるんだ。つまらなかったり退屈だったりしたら時間を長くすることができるし、楽しかったり没頭したりしていたら時間を短くすることができる。レイヴェルがあっという間だと感じてくれたということは、それはレイヴェルが楽しんでくれていた証明。そして俺も・・・・つい時間を短くしてしまったよ」
「・・・・ふふっ。朧様は意外とロマンチストなのですね」
俺がニコリとイケメンスマイルを浮かべながら言うと、レイヴェルも微笑みを浮かべてくれた。
「ですが、不親切な時間操作もあったものですわね。逆でしたら大歓迎ですのに・・・・」
「同感だな。逆だったらもっとレイヴェルと一緒に居られて・・・・もっとレイヴェルの可愛い姿をこの目に写すことができたのに」
「ッ!?い、いやですわ朧様ったら。そのような冗談・・・・」
「冗談じゃないよ」
俺はレイヴェルの肩に手を置きながら、レイヴェルを正面から見つめた。
「冗談なんかじゃない。もっとレイヴェルと一緒に居たかった。もっとレイヴェルの姿をこの目に写したかった。もっと・・・・・レイヴェルに俺を刻み込むことができた」
レイヴェルとは文字通り住む世界が違う。気軽に会えるわけではない以上、その願いは当然のものだろう。
「本当に残念だ。今日のデートがこれで終わるだなんて本当に・・・・・」
「朧様・・・・・私もです。私も残念でなりません」
レイヴェルも思いは俺と同じか。なら・・・・・せっかくだ。最後に少し愉しませてもらおう。
「そう思ってくれてるなら、一つお願いがあるんだがいいか?」
「なんですか?」
「ちょっと後ろ向いてくれ」
「?わかりました・・・・」
俺のお願いの意味がわからないのだろう。戸惑いながらレイヴェルは後ろを向いた。俺の目に・・・・レイヴェルの白磁器のように美しいうなじが晒される。
「・・・・・いただきます」
「ひうっ!?」
レイヴェルの口から可愛らしい悲鳴が漏れ出す。無理もない。なにせ、俺にうなじを舐められたんだからな。
「いい声で鳴いてくれるな・・・・・もっと聞かせてくれ」
「んっ・・・・やっ・・・!」
レイヴェルのうなじに口付けをを落とし、少々強めに吸い上げる。レイヴェルの口から悲鳴が漏れるたびに、俺の苛虐心がゾクゾクと刺激されてゆく。そして同時に、レイヴェルをめちゃくちゃにしてしまいたいという欲望が鎌首をもたげ始める。
・・・・・そろそろやめてやらないと、歯止めが効かなくなってしまいそうだな。
「・・・・・ごちそうさま」
うなじから口を離し、耳元でそっと囁いてやると、レイヴェルの体がビクリと震えた。
「お、朧様・・・・私・・・・」
振り返るレイヴェルの顔は紅く染まり、目は焦点が定まらず潤んでいる。何度も女を抱いてきた経験上わかる・・・・このレイヴェルの反応は羞恥と快楽が入り交じたものだ。
「くくっ、レイヴェルの劣情に火をつけちゃったかな?うなじだけでこんなになってしまうなんて、レイヴェルは俺が思ってる以上にいやらしい子だな」
「あう・・・・」
口付けでついた痕を指でなぞりながら言うと、レイヴェルはもじもじと恥ずかしそうに俯いた。否定の言葉を口にしないということは・・・・・レイヴェル自身がそれを受け入れてしまっているということだろう。
「気落ちよかったかいレイヴェル?快楽を感じているというなら、それは君の心が俺の虜になってしまったということだ。そして、その快楽は俺が・・・・俺だけが君に与えることができるもの。哀れだねレイヴェル。君はもう、俺からは逃れることはできなくなってしまった」
「朧様・・・・私は・・・・私が朧様から逃げるなんてありえませんわ。だって、朧様の言うとおり私はもう・・・もう・・・・」
堕ちたな。これでレイヴェルは俺の、俺だけのものだ。
「くくくっ・・・・・今日はここまでにしておこうレイヴェル。これ以上の快楽は次の機会にだ。それまでその昂ぶりは・・・・・自分で慰めて収めるといい。決して俺以外の男の手にかかってはダメだよ?」
「もちろんですわ。朧様以外の殿方なんて私・・・・」
レイヴェルに呪いをかけるように言葉を投げかける。すると、レイヴェルはいとも容易くその呪いに縛られてくれた。
「いい子だ。それじゃあ俺の愛しのレイヴェル・・・・・またな」
「はい。また」
トロン、と魅了されきった表情を俺に晒したまま、レイヴェルは冥界へと帰っていった。
『あんな風に女を誑かして堕とすなんてとんだ悪者ね♪』
レイヴェルが帰ったあと、ラムが愉快そうに声をかけてきた。
「別にいいだろ。レイヴェルは幸せそうだったぞ?」
『クズの言い分ね~。あ~、やだやだ♪』
「愉快そうにしているお前もとんだクズだと思うがな」
ほんっと、俺とラムは清々しいほどに相性最高だよ。
『それよりも、早く彼女を迎えに行きなさい。今頃へそを曲げているかもしれないわよ?』
「わかってるさ」
今日一日、突き合わせちまったからな・・・・その労をいたわってあげないと。
「お待たせレイナーレ」
学校の門を出ると、すぐ近くにレイナーレが居た。
「まったくね。見送っただけにしては随分と遅かったじゃない」
「ちょっとマーキングしててね。それで遅くなっちゃったんだよ」
「マーキングって・・・・あなたまさか・・・・」
「いやいや、さすがにあんなところで致しちゃったりなんかしないよ。味見しただけさ」
「この変態」
「何を今更」
変態上等。恋愛なんてものは誰に何と思われようと自分をさらけ出した奴の価値なんだよ。
『その理屈で言ったらあなた負けじゃない。秘密を抱えまくってるんだから』
やべ、論破された。
「まあいいわ。そんなことより早く帰りましょう。こっちは一日したくもない尾行をしたせいで疲れちゃったんだから。ほんっと・・・・・あんなに時間が長く感じられたことは今までなかったわ」
「時間が長くね・・・・・ははっ、それはなによりだ」
「何笑ってるのよ・・・・ムカつくわね」
「ごめんごめん。お詫びに今日の夕食はレイナーレのリクエストに応えるからさ」
「なら高級料亭並みの懐石料理でも作ってもらおうかしらね」
これはまた難易度の高いリクエストを・・・・・まあ、言ったからには作らせてもらうけどな。
「懐石料理ね、了解したよ。それじゃあとっとと準備しないとな。帰ろうレイナーレ」
「ええ」
俺とレイナーレは、共に暮らす家へと並んで歩き始める。
「そういえば・・・・あなた死ぬときに女に笑って看取られるのが夢だって言ってたわね」
「ああ、言ったな」
あの時レイナーレ割とすぐ近くにいたんだったな。聞こえてたのか。
「だったら喜びなさい。あなたが死ぬときは、私がこれ以上ないほどに嘲笑ってやるわ。せいぜい楽しみにしておきなさい」
「マジかよ。そりゃ死ぬ時が待ち遠しいな」
ニヤリと笑みを浮かべるレイナーレに対して、俺も同じような笑みを浮かべて言う。
それが本気かどうかはわからないけれど・・・・・なぜだか、レイナーレがそう言ってくれるのはたまらなく嬉しかった。
というわけで、レイヴェルは陥落。朧のハーレムの一人となりました
それに伴い、本章も終わりです。前章に比べてだいぶ長くなってしまった・・・・・
次回で本章までのキャラ設定を載せます。そこそこ面白くなるように色々と仕込んでおります
それでは次回もまたお楽しみに!