ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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今回は朧がある決意をします

決意というと聞こえはいいかもしれませんが・・・・中々クズいのでご注意を

それでは本編どうぞ


第4話

「なあ、朧・・・・・・お前夕麻ちゃんのこと知ってるよな?」

 

「・・・・・は?」

 

イッセーが彼女とデートして日の翌日の登校中に、イッセーは不安げな表情で俺に尋ねてきた。

 

ちなみに夕麻ちゃんというのはイッセーの彼女の名前だ。報告されたときは聞くのを忘れていたが後で聞いた。

 

「知ってるもなにもお前の彼女の名前だろ?お前から教えてもらったんだから知ってるに決まってる」

 

・・・・・そりゃ知ってるに決まってる。忘れるはずがない。あんなに魅力的な子を・・・・・忘れるものか。

 

「だよ・・・・な。うん・・・・・そうだよな」

 

知っていると答えると、イッセーは表情を曇らせた・・・・・マジどうしたんだ?いくらなんでもおかしすぎる。

 

「・・・・・何かあったのか?」

 

「・・・・・私さ、昨日夕麻ちゃんに殺されたんだ」

 

「・・・・は?」

 

イッセー?一体何を言っている?

 

「ごめん・・・・・いきなりそんなこと言われたって混乱するに決まってるよな。でも・・・・・目を閉じると今もその時の光景が鮮明に蘇るんだ。私に向かって死んでくれないかって言いながら・・・・夕麻ちゃんは黒い翼を背中からはやして・・・・それで私は夕麻ちゃんが出した不気味なほど光り輝く槍に貫かれて・・・・それで・・・・・殺された」

 

おい、それって・・・・・夕麻ちゃんが?

 

「・・・・まあこんな話信じてくれるわけないよな。私だって信じてないさ。あれはきっとデートがすごく楽しかったから・・・・その反動で見た夢なんだって思ってる」

 

そうだ。まだそれが真実だと断定するのは早い。イッセーの言うとおり・・・・たまたま偶然一致した夢である可能性だってある。そうだ、それこそイッセーはアレを持ってるからそれが影響して変な夢を見た可能性だってなくはない・・・・・と思う。

 

「まあ、お前が夢だって思うならそいつは夢だよ。というかそれ以外ありえないだろ」

 

「うん、そうだよな・・・・そのはず・・・・だよな。でも・・・・・」

 

「・・・・・でも、なんだ?」

 

「・・・・・今朝昨日のデートのこと両親に話したんだけど・・・・・おかしいんだよ。二人とも夕麻ちゃんなんて子知らないって言うんだ。あんなに自慢したのに・・・・・そんな子知らないって。私に彼女がいるんだったら会ってみたいって」

 

・・・・・乾いた笑みを浮かべながら語るイッセー。それを聞いて俺は・・・・自分の中で芽生えた考えが的中してるのではないという疑いが強くなるのを感じる。

 

「証拠を見せようと思って携帯の中の写メを見せようと思ったんだけど・・・・・なぜか消えてて。写メだけじゃなくて夕麻ちゃんの電話番号もメールアドレスも消えてて・・・・・覚えてる電話番号に電話してみても繋がらなくて・・・・」

 

・・・・ダメだ。ここまで来ると疑いではすまなくなってくる。

 

これは・・・・・俺の考えが正しいものなのだと・・・・・イッセーが本当に夕麻ちゃんに殺されたということになってしまう。

 

「私・・・・・・どういうことなのかわからなくて・・・・なんか・・・・ちょっと怖くなってきて・・・・自分がおかしいんじゃないかって思えてしょうがなくて・・・・」

 

「イッセー・・・・・」

 

「なあ朧・・・・私おかしくないよな?夕麻ちゃんは確かにいたよな?夕麻ちゃんは・・・・・私の彼女だったよな?」

 

まるで縋るかのような目で俺を見つめてくるイッセー。今のイッセーは、俺がこれまで見てきてきた中でもっとも弱りきっていた。

 

好みの女の子に告白されて玉砕された時よりも

 

ラブレターをもらったけれどそれがイッセーをからかうためのイタズラだって判明した時よりも

 

自分の胸の大きさに絶望していた時よりも

 

それ以上に・・・・・泣き出しそうなほどに弱々しく見えてしまった。

 

そんなイッセーを、俺は見ていられなかった・・・・どうにか立ち直らせたかった。

 

そう・・・・それがどんなに残酷な選択肢だったとしてもだ。

 

「・・・・何を当たり前な事を言ってるんだよお前は。お前はなにもおかしくない。夕麻ちゃんは確かにいた。だって俺は覚えてるんだぜ。すっごい素敵な黒髪を持った俺好みのお前の彼女の事を。なにせ密かに寝取ってやろうかなぁと思ってたぐらいだからな」

 

「ちょっと待て。お前今なんて言った?」

 

イッセーは嫌に神妙な面持ちで聞き返してくる。しかも睨んでいるように思える。

 

「お前はおかしくない」

 

「そこじゃない!最後だ最後!」

 

「思ってたぐらいだからな?」

 

「その前だ!お前俺から夕麻ちゃん寝取ろうとしてたのか!?」

 

「そんなこと言った覚えはありません・・・・・メイビー」

 

「メイビーってなんだよ!?お前それで誤魔化されると思ってるのか!?」

 

思ってません。完璧百パー煽ってることを自覚しております。

 

「いやぁ、ごめんごめん。ついつい本音が漏れちゃって」

 

「本音なのか!?やっぱり本音なのか!?お前はなに親友の彼女寝取る計画立ててくれてるんだよ!」

 

「いやいや、いいじゃん。計画してるだけで実行に移すつもりないんだから。というかさ・・・・・・俺に告ってきた子に下心満載で言い寄ってたお前が言うことかァァァァ!」

 

「逆ギレすんな!というかあれはお前が振った直後だからいいだろ!セーフだろセーフ!断固として無罪を主張する!」

 

「振ってねぇよ!ちょっと考えさせてくれって言っただけだろうが!お前がその後言い寄っておっぱいおっぱい連呼するからあの子離れて行ったんだぞ!ある意味寝取るよりタチわりぃぞ!」

 

「連呼してない!ただサブリミナル効果を狙って会話の最中に小声で何度か呟いただけだ!それなのにあの子すっごい蔑むような目で俺を見ながら最低って言って・・・・」

 

「妥当な言動だよ!こえぇよ!そんなことすれば大抵の女の子離れていくに決まってるだろ!」

 

「お前に告るような子だから大丈夫だと思ったんだよ!だいたいお前はな・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあはあ・・・・・な、なあ朧。私達朝っぱらから・・・・住宅地のド真ん中で何を言い争ってたんだ?」

 

「はあはあ・・・・し、知らねえよ。つか・・・・息が・・・・苦し・・・・」

 

言い争いをはじめてから1時間後、俺とイッセーは近くの公園のベンチに座って息を整えていた。

 

なぜわざわざ公園でそんなことをしてるかって?ご近所さんに注意された挙句通報されそうになったからだけどなにか?全力疾走で逃げてきたんだけど問題ある?

 

いや、まあ途中からお互いのフェチについて熱く語り合っていたから仕方ないといえば仕方ない・・・・・だが解せないという気持ちもある。

 

「朧・・・・・ありがとな」

 

「あ?何が?」

 

「あれ・・・・私を元気づけるためにわざと言ったんだろ?」

 

「・・・・バーカ。俺がそんなに器量のいいこと出来ると思うか?」

 

「思う。朧は頭いいしなんだかんだ優しいし」

 

微笑み浮かべながらそんなこと言ってくんなよ。嬉しいじゃねえか。

 

「・・・・・・そう思いたければ思っておけ」

 

と言いながら罪悪感が半端ない。寝取る云々の話半分本当だし。計画してはないけど寝取りたいなぁとは思っちゃってたし。

 

・・・・うわ。俺マジ最低だ。とりあえず話題変えて少しでもダメージを軽減せねば。

 

「というかイッセーよ。もうとっくに授業始めてしまってるんだが・・・・どうする?遅刻以外何者でもないけど学校行くか?」

 

「いや、もう学校は午後から出ればいいだろ」

 

ん?こいつがこんなこと言うなんて珍しいな。

 

「勉強嫌いなくせに授業は一応真面目に出てるお前がそんなこと言うなんて・・・・・やっぱり引きずってるのか?」

 

「いや、そういうわけじじゃないんだけど・・・・・どうにも体の調子が悪くてさ。テンションがなかなか上がらないというか・・・・・太陽の日差しが刺すように痛く感じるし」

 

・・・・なんだと?元気の良さが取り柄の一つのイッセーが・・・・・体調不良?

 

まさか・・・・

 

「イッセーまさかお前・・・・・今日は女の子の・・・・」

 

パシンッと、イッセーの手が俺の頭を叩いた。

 

「なあ朧・・・・私自分でも普段から恥じらいはないし下品だし女としての意識は薄いって自覚してるけど・・・・それはいっちゃダメだと思うんだぁ」

 

「ごめんイッセー。謝るから許して」

 

イッセー・・・・今まで見た中で一番怖い顔してる。顔笑ってたのに目が笑ってないっていう表情生まれて初めて見た。

 

でも女の子の日じゃないとなると・・・・やっぱりそうだよな

 

思わず目を背けてしまったけど・・・・・イッセーは殺気夕麻ちゃんに殺されたと言っていた。

 

そしてそれは十中八九実際にあったこと・・・・では今俺の目の前にいるイッセーはなんなのか?

 

俺は・・・・・それに心当たりがあった。

 

殺されたのに生きていて・・・・太陽の光を嫌がるとなると・・・・一つしかない。

 

「でもまあ、太陽の光が刺すように痛いだなんて・・・・・まるで悪魔みたいだな」

 

「朧・・・・・いくらなんでも親友を悪魔呼ばわりはひどくないか?」

 

「悪い悪い。あくまでもまるでだよ。悪魔だけに」

 

「・・・・そのギャグは寒いぞ?」

 

「大丈夫。自覚してるから」

 

「いや、自覚してればいいというものでもないと思うが・・・・というか前の先輩の件といい悪魔を引き合いに出すの好きだよなぁ」

 

「いやいや、そんなことはないぞ・・・・・悪魔自体はどっちかというと嫌いだ」

 

これは本当のことだ。

 

悪魔は・・・・・俺の人生を狂わせた原因の一旦だからな。

 

「・・・・じゃあその嫌いだっていう悪魔に例えられた私は・・・・」

 

「ごめん。本当にごめん。深い意味はないんだ。マジでごめん」

 

俺は思わず土下座して謝った。

 

・・・・・この程度のことに気が回らないなんてな。どうやらよほど余裕がないようだ。

 

「いや、まあいいけどさ・・・・それより日陰行っていいか?やっぱ辛い」

 

「ああいいよ。肩貸そうか?」

 

「頼む」

 

俺はイッセーに肩を貸して、近くの木陰に移動し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おそらく間違いないだろうな。今ここにいるイッセーは・・・・・転生悪魔だ。昨日の夜夕麻ちゃんに・・・・堕天使に殺されてイッセーは悪魔になってしまったのだろう

 

誰が転生させたのだろうか?このあたりで有力な悪魔・・・・やはりグレモリーかシトリーだろうか?いや、それはいっそどちらでもいい。

 

問題は・・・・・イッセーが悪魔になってしまったということ。俺の親友が・・・・悪魔に・・・・

 

正直・・・・悲しいし辛い。イッセーが悪魔の世界に足を踏み入れてしまったことが・・・・・残念でならない。

 

だけど・・・・・だけどそれ以上に・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・俺の心は喜びに震えてしまっていた

 

イッセーを殺した堕天使・・・・偽名だろうが夕麻ちゃんは初めからイッセーを殺すために近づいたんだろう

 

つまり夕麻ちゃんはイッセーに好意を抱いているわけじゃない

 

つまり・・・・・夕麻ちゃんを手に入れるチャンスがあるということだ

 

イッセーを殺したことは許せない。その点に関しては嫌いだし、必ず復讐してやろうとも思う

 

だけどその後は・・・・その後は・・・・・

 

彼女を俺のものにして・・・・・彼女を愛でてしまおう

 

たとえこれがどんなに愚かで、非道な想いだろうと構わない

 

俺は彼女に・・・・・・心を奪われてしまったのだから

 

彼女が欲しいから

 

だから必ず・・・・・手にしてみせる

 

美しい黒髪の堕天使を・・・・・この手に




夕麻・・・・正しくはレイナーレが人間ではなく、イッセーとの関係も終わったものだと知った瞬間これである

やはり朧は中々にひねくれてるといいますか・・・・歪んでおります

それでは次回もまたお楽しみに!

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