ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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今回は婚約パーティをぶち壊した翌日の話です

ある意味では今回からこの章の本番となります

それでは本編どうぞ


第34話

こんにちは。兵藤一誠です。ライザーをぶっ飛ばして部長を取り返した次の日。オカ研のメンバーは部室に集まっていた。

 

そして今、私は・・・・・

 

「あ~・・・・朧。本当にごめんな?」

 

「・・・・つーん」

 

拗ねてしまった朧に謝罪しています。

 

「べっつにー。謝ってもらうことなんてないしー。置いていかれたことなんて気にしてないしー」

 

うわぁ・・・・・完全に不機嫌になってるよこれ。

 

朧が不機嫌になってるのは、昨日のことが原因だ。昨日、私と部長が婚約パーティーの会場から離脱するとき・・・・私と同じ方法で来た朧のことをうっかり置いて行ってしまったのだ。そのせいで会場から逃げる手段がなくなった朧は、悪魔達に囲まれてしまったらしい。

 

「ついでに言うとー。悪魔達に囲まれて危ない状況だったのに他人のフリされたことだって気にしてないしー」

 

「いや、その・・・・・流石に悪かったと思ってるよ?」

 

木場が申し訳なさそうに苦笑いを浮かべて朧に謝る。小猫ちゃんと朱乃先輩も同じような表情だ。

 

どうにも、朧が悪魔達に囲まれたとき、木場達は助けようとはしなかったらしい。結局、ザーゼクス様が助けてくれたみたいだからなんとかなったようだけど。

 

・・・・うん、朧のためにどうこうするってのに抵抗あるのはわかるっちゃわかるけど、いくらなんでも流石にそれはあんまりだとは思う。そりゃ機嫌だって悪くなる・・・・・原因の半分は私だけども。

 

「いいもんいいもん。俺があの場にいたのはレイヴェルに会うためだったんだもん。部長を助けようっていうのはついでみたいなものだったもん。だから誰からも見向きされなくたってしょうがないんだもん」

 

・・・・・あかん。いい加減いたたまれなさすぎて罪悪感が半端ない。こんなに拗ねてる朧見るの初めてだよ。

 

一体どうやって慰めたものか・・・・・

 

「朧さん。皆さんのことを許してあげてください。その場にいなかった私が言うことではないと思いますが・・・・・それでもきっと皆さん心の底から反省していると思います。だから・・・・」

 

「おっけ。アーシアに言われちゃしょうがないな。皆のこと許しちゃう」

 

「おいこらこの野郎」

 

朧の奴・・・・人が散々悩んでたってのにアーシアに言われてあっさり許すってどういう・・・・いや、私でもアーシアに言われれば許しちゃうな。

 

さすがアーシア、マジ天使だわ。いや、悪魔だけども。

 

「というわけでそのことに関してはもう許すから安心していいよー。むしろ変に拗ねちゃってごめんねー」

 

朧はヘラッした笑顔を浮かべながら、間延びした声でそう言った。

 

あ~・・・・この朧見てわかったわ。さっきの拗ねてるあれは・・・・

 

「朧・・・・さっきの演技だった?」

 

「あ?バレた?」

 

「やっぱりかこんちくしょう!返せ!私の申し訳なさとか色々と返せ!」

 

「お断る」

 

「なんだとぉ!だいたい朧は・・・・」

 

「おっと、ストップだイッセー。ここで言い合いになると長くなる。そうなると・・・・我等が部長さんが声をかけづらいだろう」

 

「え?」

 

朧の視線が部長に向く。釣られて私も部長の方を見ると・・・・確かに、何かを言いたそうにしているように見えた。

 

「それで部長?さっきから俺のこと見てましたが、何か言いたいことでも?」

 

「朧・・・・ありがとう」

 

「へ?」

 

「正直、あなたが助けてくれるとは思わなかったわ。だから、来てくれたことに対しては・・・・素直に嬉しく思ったわ」

 

まあ朧って結構ドライだし、部長の眷属ってわけでもないから・・・・部長からすれば、助けてくれるだなんて思ってもみなかったから嬉しかったんだろうなぁ。

 

「・・・・さっきも言ったとおり、部長を助けようってのはついでですよ。本来の目的は別にあった。だから礼なんていらないですよ。そういうのは全部イッセーにしてくださいよ」

 

「もちろんイッセーには感謝してもし足りないくらい恩を感じているわ。けれど、ついでとはいえ、あなたも助けてくれたことは事実よ。ならお礼を言っておかないと私の気がすまないわ」

 

「ですか・・・・・まあ、そこまで言うなら礼は受け取っておきますよ。どういたしまして。ただ一つ言っておきますけど・・・・・イッセーは貴女を助けるために代償を支払ったんだ。眷属だから当然とか思わないでその代償に見合うだけのものをちゃんと与えてくださいよ」

 

朧は渋々といった風に部長からの礼を受け取った後にそう言った。

 

前からちょくちょく思ってたけど、朧って部長にどこか厳しいというか・・・・辛辣な気がするんだよな。嫌ってはいないと思うけど・・・・部長のことどう思ってるんだ?

 

「言われるまでもないわ。眷属の献身には相応のもので返すのが(キング)の役割だもの」

 

「だそうだ。よかったなイッセー」

 

にっと微笑みを浮かべながら私にいう朧。親友として気を遣ってもらえるのは嬉しいけど・・・・なんか部長と比べてだいぶ差があるような感じで少し気が引ける。

 

「そういえば・・・・・朧先輩。聞きたいことがあるんですが」

 

小猫ちゃんがおずおずと朧に声をかけてきた。

 

「ん?何かな塔城ちゃん?」

 

「朧先輩の保護者のことなんですけど・・・・・本当にあのひとが朧先輩の保護者なんですか?」

 

「・・・・・残念ながらその通りだよ」

 

小猫ちゃんに聞かれ、朧はどこか遠くを見つめてるかのような目で答えた。

 

「その・・・・・苦労してたんですね」

 

「心中察するよ」

 

「・・・・・流石に同情しますわ」

 

小猫ちゃん、木場、朱乃先輩が朧の肩に手を置き、やたらと同情していた。

 

「どうしてここで朧の保護者の話に?というかどうして木場達はそのひとのことを知ってるんだ?」

 

「ザーゼクス様が朧くんを助けるときにそのひとの名前を出してね。その時に知ったんだよ」

 

「正直・・・・朧先輩が不憫でなりません」

 

「部長が私達に頑なに話したがらなかった理由がよくわかりましたわ」

 

「そう・・・・3人とも知ってしまったのね。朧の保護者のことを」

 

「だから言ったじゃないですか・・・・・知らない方がいいって」

 

「「「「・・・・・はあ」」」」

 

私とアーシアを除く5人が、やたらと思いため息を吐いた。え?そんなにあかんひとなの?

 

「なあ、朧。いっそ私にも教えて欲しいんだけど?」

 

「私も・・・・知りたいです」

 

「「「「それは本当にやめたほうがいい」」」」

 

私とアーシアが頼んでみるが、結局教えてくれなかった。私達のためなんだろうけど・・・・正直気になりすぎてモヤモヤするんだよなぁ。

 

「・・・・この話はここまでにしよう。あのひとのこと思い出して頭が痛くなってきた・・・・・とりあえずお茶にしよう」

 

「今日のお茶請けはなんですか?」

 

話を切り上げて、お茶の準備を始める朧に、小猫ちゃんが尋ねた。

 

「あ~・・・・・ごめん塔城ちゃん。昨日大変だったから今日は用意できなかったんだ」

 

「・・・・そうですか」

 

目に見えて落ち込んでしまった小猫ちゃん。小猫ちゃんは朧の用意するお菓子が本当に好きだから仕方ない。

 

「明日はちゃんと準備・・・・ん?」

 

朧は言葉を遮って、視線を移した。朧の視線の先には、光り輝く魔方陣がある。魔方陣のグレモリーの紋様は形を変える・・・・・その形に、私は見覚えがあった。

 

「これって・・・・・フェニックスの?」

 

そうだ。これはフェニックス家の紋様だ。以前、ライザーが部室に来たときに見たので間違いない。

 

まさか、ライザーが昨日のことで部室に乗り込んできたのかと私は思ったが・・・・・それは間違っているとすぐに気がつく。

 

なぜなら、魔法陣から出てきたのはライザーではなく・・・・その妹のレイヴェルであったからだ。

 

「失礼いたしますリアス様。突然の訪問申し訳ありません」

 

「・・・何しに来たのかしら?」

 

まずは部長に対してお辞儀をしたレイヴェル。それに対して部長はむっとした表情でレイヴェルに目的を尋ねた。おそらく、昨日の件で何か言いに来たのだろうと思ったんだろう。私もそう思ったし。

 

「その・・・・・朧様にお話があって参りました。ここに来れば会えると思いましたので」

 

だが、私の予想は外れた。どうやらレイヴェルは朧に用があってきたようだ。

 

「俺に用?」

 

「はい。そのデ、デートのことについてお話を・・・・詳しいことは何も決めていませんでしたので」

 

そうか。レイヴェルはデートのことについて朧と話すために来たのか。

 

・・・・は?

 

「デ、デートォォォォォォォ!?」

 

私はあまりにも予想外なことに叫び声を上げてしまった。

 

 

 

 

 

 




朧がリアスに厳しいのは別に嫌いだからではないです

リアスの能力がイッセーやアーシアの幸せに直結してるようなものなので、厳しくして成長を促しているんです

そこまで考える朧はやはりお人好し

それでは次回もまたお楽しみに!

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