ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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今回はとうとうレイヴェルとの絡みです

はてさてどうなるか・・・・

それでは本編どうぞ


第32話

「会いたかったよレイヴェル。元気だったかい?」

 

「・・・・・はい」

 

俺が問いかけると、レイヴェルは短く返事だけした。

 

そして、今度はレイヴェルが問いかける。

 

「朧様、いくつかお聞きしたいことがあります」

 

神妙な面持ちで尋ねてくるレイヴェル。これは・・・・下手な誤魔化しをしようものなら嫌われてしまうな。

 

「ああ。どうぞ」

 

「ではまず一つ・・・・人間であるあなたが何しに・・・いえ、なぜこの冥界へ来たのですか?」

 

まあ、それは気になるよな・・・・なら、正直に答えよう。

 

「君に会いに来た」

 

「・・・・え?」

 

「俺は・・・・君に会いたくてここに来たんだよレイヴェル」

 

「ええっ!?」

 

お?すっごい顔が赤くなってるな。これは可愛らしい反応だ。レイナーレはこういうリアクションあんまりしないから新鮮だ。

 

「わ、私に会いにって・・・・そんな冗談・・・」

 

「冗談なんかじゃないよ。俺は君に会いたくてここに来たんだよ。そりゃまあ、部長の件も理由に含んではいるけど俺にとってはほんのおまけ。本命は君だよ。麗しのうなじの淑女さん」

 

「あう・・・・」

 

俯きながら指をせわしなく弄るレイヴェル。ああ、本当に可愛いなぁ・・・・ふふふっ。

 

「お、朧様が私に会うために来てくださったことはわかりましたわ。それはその・・・・素直に喜ばしいと言っておきましょう」

 

「それは光栄・・・」

 

「ですが!それでも・・・・たとえ朧様であっても見過ごせないことがありますわ」

 

未だに顔は赤らんでいるが、レイヴェルは鋭い視線を俺にぶつけてくる。

 

「先程、衛兵達が無礼を働いていましたが・・・・あれは朧様の仕業ですわね?」

 

「どうしてそう思うんだい?」

 

「朧様は幻術を使えるのではありませんか?その力を使って衛兵達に近くにいる悪魔が彼女に見えるようにし、あの混乱は起きた・・・・・違いますか?」

 

・・・・・これは驚いたな。幻術のことは何も話してないのに推察されるとは。

 

「イグザクトリー。正解だ。確かに衛兵達には幻術をかけたよ。レイヴェルの言うとおり、近くにいる悪魔がイッセーに見えるようにな。よく俺が幻術使いだってことがわかったね」

 

「初めて会ったとき、あなたはお兄様に焼かれても無傷で、突然姿を消したり現れたりして・・・・どんな能力なのだろうと考えていました。そしてその末に、朧様は幻術が使えるのではないかと推察しました」

 

「幻術だとしたら説明がつくから・・・・かな?」

 

「そうですわ」

 

「そうか・・・・・レイヴェルは賢いんだな。よく考え、そして結果にたどり着く・・・・・そういう賢い子は好きだよ」

 

「好っ!?し、真剣な話をしているのですからからかわないでください!」

 

からかってなんていないんだけどなぁ・・・・というか一々リアクションとってくれちゃってまあ。

 

「こほんっ。話を戻します。朧様は先程幻術を使って会場を混乱に陥れた。そして・・・・彼女がお兄様からリアス様を奪い返す道筋を作ってしまいました」

 

そう言いながらレイヴェルはイッセー達の方を見やる。そこでは赤髪の青年を中心に何か話している。

 

『おそらくあの赤い髪の男が今のルシファーでしょうね』

 

魔王ルシファー・・・・ザーゼクスか。パッと見はただの優男だが・・・・まあ、今はどうでもいいか。

 

「ふむ・・・・魔王ルシファーの言となると誰しもが聞かざるをえないか。状況としてはまずまずか。まあ正直個人的にはそっちはついでなんだが・・・・」

 

「朧様もこの状況を作った一端だというのに・・・・ついでですか?」

 

「ああ。ついでだ。俺の本命はあくまでもレイヴェル・・・・君だからな」

 

「そうですか・・・・でしたら、私が言えばあなたは彼女を止めてくれるのですか?」

 

・・・・・ほう。そうきたか。いいね・・・・・こっちから仕掛ける手間が省ける。これぐらい賢い方がやりやすいから好みなんだよな。

 

「君のために親友を裏切れってことか?中々わがままじゃないか・・・・・そういうの嫌いじゃないよ」

 

「では、やってくれますか?」

 

「そうだね・・・・・他ならぬ君の頼みだ。叶えてあげたいとは思うよ。だけど・・・・それは少々都合が良すぎないかい?」

 

「・・・・・というと?」

 

「ついでとはいえ、俺はイッセーや部長に肩入れしてる。その手前、君の頼みを一方的に聞くってのは筋が通らないし、何より・・・・俺が納得できない。だから賭けをしないか?」

 

「賭け?」

 

「俺と君で戦って・・・・・負けた方は勝った方の言うことをなんでも一つ聞く。なんでも・・・・ね」

 

そう、これこそが俺が持ってきたかった展開だ。一方的にこちらの要求を通すのは、いくらレイヴェルが俺に惚れてくれているとは言え難しい。なにせ俺は彼女の兄の婚約を壊すのに一役かってしまっているんだからな。

 

だからこそ、賭けに持ち込みたかったんだ。そうすれば公平性があると思わせられるから、要求を通しやすくなるし、向こうも要求を受け入れやすくなるしな。

 

「・・・いいでしょう。その賭け乗りましたわ」

 

よし、乗ってくれたか。いや、まあレイヴェルなら乗ってくれると確信していたが。

 

「決まりだ。レイヴェルが勝ったら、俺は君の要求通りイッセーを止めてやろう。そして俺が勝ったら・・・・レイヴェルには俺とデートしてもらう」

 

「デ、デート!?」

 

「ああ。デートだ」

 

これが今回の目的た。レイヴェルと会ってデートの約束を取り付ける・・・・・その為に色々と考えてたんだからな。

 

「な、なぜデートなど・・・・・」

 

「だってほら?俺は君のうなじに魅了されたわけだけれど・・・・君がどういう子なのかまだまだ知らないところは多いし、知りたいとも思う。君だって俺のことほとんど何も知らないだろ?だから、相互理解の為にデートしたいなと思って」

 

「そ、そうですか・・・・朧様とデート・・・・うふふっ」

 

お?なんか嬉しそうにしてるな・・・・満更でもないって思ってくれてるのかな?

 

「流石に冥界でってわけには行きそうにないから人間界でデートしようと思うけど・・・・・レイヴェル、どこがいいかとか希望はあるかい?」

 

「そうですわね、私としては・・・・って、まだ行くと決まったわけではありませんわ!あくまでも・・・・あくまでも朧様が勝ったらの話なのですから!」

 

という割にはノリノリだったけど・・・・まあ、レイヴェルの名誉のために敢えて言うまい。

 

「で、では話はここまでにして・・・・・戦いを始めましょう」

 

そう言いながら手に炎を纏わせ、臨戦態勢に入るレイヴェル。レーティングゲームのときはまともに戦ってなかったから、レイヴェルがどんな戦い方をするのかはわからない。

 

だがまあ・・・・別に知る必要はないけどな。だって・・・・もう勝負はついてるから。

 

「戦いを始める・・・・か。残念だがレイヴェル。そいつは間違ってるよ。始めるんじゃない・・・・・終わらせるんだ」

 

「え?」

 

レイヴェルが疑問の声を上げるのとほぼ同時に・・・・・レイヴェルの目の前にいた俺は姿を消した。そして、レイヴェルの後ろに回り込んでいた俺の姿が顕となり・・・・・レイヴェルの両手に幻術で作った手錠を嵌めた。

 

「なっ!?いつの間に!?」

 

「いつの間にと聞かれたなら、賭けの話をする前からだと言っておこう。その時から既に戦いは始まっていた。だから始めるんじゃなくて終わらせるんだよ」

 

「賭けの話を切り出した時から、朧様のペースだったということですか・・・・ですが、実体のない手錠で動きを封じるいことなんて・・・・」

 

レイヴェルは手錠を振りほどこうとするが・・・・手錠はビクともせず、両手の自由は奪われたままだ。

 

「どうして?本物じゃないのに・・・・」

 

「確かにこの手錠は本物ではない。だけど、俺の幻術は対象者の脳に作用して、感覚を支配するのに特化しているものだ。君の脳がこの手錠を本物だと錯覚してしまっているがゆえに、感覚はそれに従って本当に手錠を付けられているかのように両手の自由を奪っているんだよ」

 

「でしたらこの手錠を燃やしてしまえば!」

 

今度は手錠に炎を灯すレイヴェル。だが、手錠が焼かれることはない。

 

「無駄だよ。さっき自分で実体がないって言ってたじゃないか。実体のないものを燃やすなんて易々とできるはずがない」

 

「くっ・・・・」

 

打つ手がないと判断したのか、レイヴェルは炎を収めた。

 

「さて、聞こうレイヴェル。両手の自由を奪われた状態だが・・・・君はまだ戦いを続けるかい?」

 

俺はレイヴェルの耳に口を近づけ、そっと囁きかけるように小声で言う。

 

「続けるというのなら構わないけど・・・・・そしたら今度は君の両足を封じよう。それでも足りないなら体中に鎖を巻きつけて全身の動きを封じよう。俺の目の前で・・・・その麗しいうなじを強調するように無防備に縛りつけられる姿を晒してみるか?」

 

「ッ!!」

 

拘束され尽くした自分の姿を想像したのか、レイヴェルはビクリと体を震わせる。キュッと目を閉じ、頬は紅潮している。

 

「ん?もしかしてそれも悪くないと思っているかい?だったら・・・・望み通りそうしてあげようか?」

 

「そ、そんな・・・・だめ・・・・です」

 

「なんでだい?君はそれを望んでいるんじゃないのかい?俺に酷く滑稽で、痛々しいほどに美しい姿を晒すことを望んでいるんじゃないのかい?」

 

「でも・・・・そうなったら私・・・・・」

 

まるで子供がイヤイヤするように首を横に振るレイヴェル。だが、その様子は心の底から嫌がっているようには見えなかった。

 

「ああ、そうだね・・・・そうなったら戻れなくなっちゃうかもしれないね。フェニックス家の娘としては、それは酷く屈辱的だろうなぁ。でもねレイヴェル・・・・仕方がないんだよ。君に負けを認めさせるには・・・・君とデートするためには仕方がない」

 

「う・・・・うぅ・・・・」

 

「もしもここで負けを認めるというのならやめてあげるよ。だけど負けを認めないというなら拘束させてもらう。さあ・・・・どうするレイヴェル?」

 

「私は・・・・私は・・・・」

 

葛藤するレイヴェル。おそらくレイヴェルの頭の中には戦いに勝つという思考は削がれてしまっているだろう。今のレイヴェルの頭にあるのは、堕ちてしまうことを是とするか否か。そういう風に誘導している。

 

しばし考え込むレイヴェル・・・・・そして、とうとう口を開く。

 

「認め・・・・ます。私の・・・・負けです。朧様と・・・・デートします」

 

レイヴェルは敗北を受け入れる言葉を口にする。

 

その言葉を聞き、俺は自分でもわかるほどに邪悪な笑みを浮かべながら手錠を消してやった。




実はレイヴェルは朧の幻術で自分の脳内に直接拘束された自分の姿を見させられています

故に効果抜群だったのです

それでは次回もまたお楽しみに!

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