ハイスクールD×D ~それは現か幻か~ 作:DDX
イッセーちゃん視点があり、レイヴェルが登場します
どうなるかはお楽しみに
それでは本編どうぞ
「あ~・・・・これはダメだな」
モニターに映される、木場のいつ運動場を目指して走るイッセーを俺は見ていた。
「ダメとは、リアスお嬢様の
ルキフグスは俺が塔城が脱落したことを言っていると思ってるようだがそうじゃない。それについては予想通りの展開だから特に思うとことは・・・・・なくもないが今は関係ない。
問題は・・・・イッセーのことだ。
「ああ、いや。そうじゃないですよルキフグスさん。俺が言ったのはイッセーのことです」
「彼女がどうかしたのですか?」
「気負いすぎてるなって思ってね。塔城のこと・・・・・守ることができなかったのが相当堪えてるようだ。だから今はやる気に満ち溢れてるって感じです」
「なるほど・・・・確かにそう見えますね」
モニターに映るイッセーの表情は強ばっていて、拳を強く握っている。どう見ても気負いが過ぎてるように見えた。
「つまりあなたは彼女が気負いすぎているのが心配ということですか?気負いが原因で何かを仕損じてしまうかもしれないからと。彼女はあなたの親友だと伺っていますし」
「違います」
「え?」
「別に気負うことで何かを仕損じることはないと思いますよ。確かにイッセーはあれで責任感強すぎていろいろ背負い込んでしまうところはありますが、むしろそれで強くなるタイプです。そう言う意味では今回のレーティングゲームではプラスに働くでしょう」
しかもイッセーは
「ならば何を心配しているのですか?」
「・・・・たとえイッセーがゲーム中に強くなろうとも、このゲームにおいて部長達がほぼ確実に負けることに変わりない。そして負けてしまえば・・・・気負っていた分イッセーの精神的ダメージは大きくなる。頑張ってもダメだったと、自分の無力さに嘆くことになる。それが心配で堪らないんですよ」
さっきも言ったがイッセーは責任感が強すぎる。アーシアの件でもそうだが、それことトラウマになりかねないレベルで抱え込んでしまいかねない。特に今回は自分の主君であるグレモリーの婚約がかかっているわけだからな。
「・・・・・ままならないなぁ。責任感が強いところはイッセーの美点だけど、それが原因で自分を追い込んじまうってのは・・・・親友として嘆かざるを得ない」
そしてそれをわかっていて、ただ見ているだけの自分が・・・・・恨めしくて仕方ないよ。
『それについては自業自得よ。そうすると決めたのはあなたなのだから』
ああ・・・・わかっているよラム。だから俺は見守るんだ。俺はそれしかできないからな。
『・・・・そうね。あら?イッセーちゃん、ついたみたいよ』
みたいだな・・・・・イッセー、せめて・・・・あまり苦しまないでくれよ。
運動場にて、木場と合流して早々に私は敵と相対した。
先ほどアナウンスがあって、木場がライザーの
木場と組んでも2対3・・・・不利な戦いが強いられるのは明白・・・・だと思っていたのだが。
「・・・・・木場、これはさすがに恨む」
状況はもっと悪かった。何やら、木場と向こうの騎士が一騎打ちの戦いを始めてしまっていた。まあ、騎士としての矜持ってやつなんだろうが・・・・・これじゃあ木場と組んで戦うこともできない。というか私一人で洗車と僧侶の二人を相手しなくちゃならない。
・・・・何この絶望感。いや、でもやらないと・・・・私がやらないといけないんだ!部長の為にも・・・・小猫ちゃんにも託されたんだから!
「まったく。頭の中まで剣剣と塗りつぶされた者達は泥臭くてたまりませんわね」
意気込んでいる私の耳に、高飛車そうな女の声が聞こえてくる。声の持ち主は僧侶・・・・前に朧が口説いてたライザーの妹だっていう娘だ。確か名前はレイヴェルって言ったっけ?近くには戦車の人もいる。
とりあえず私は赤龍帝の籠手を起動し、間合いをとって戦闘態勢に入った。
「構えなくても宜しくてよ。私はあなたの相手をするつもりはありませんから。あなたの相手はこちらのイザベラがいたしますわ」
「もとからそのつもり。お互い手持ち無沙汰なら戦おう」
「・・・・そっちの娘は戦わないんだ。ライザーの妹だからか高みの見物を決め込もうってことか?」
「ええ。そうですわ」
私の言うことを肯定するレイヴェル。なんというか・・・・偉そうだな。朧が口説こうとしてるからあまり悪く言いたくないけど印象は良くない。
「さて、それじゃあ始めようか!リアス・グレモリーの兵士よ!」
「お待ちなさいイザベラ」
戦車のイザベラが、構えをとって私に攻撃しようとしてくるが、それをレイヴェルが止めた。
「レイヴェル様?」
「その前に・・・・彼女には聞きたいことがあるわ」
「私に聞きたいこと?」
一体何を聞こうって言うんだ?皆目見当もつかない。
「そ、その・・・・あのですね・・・・・き・・・すか?」
「は?」
先程までの高飛車な態度はどこへやら、なんか頬を赤らめてもじもじとした仕草で私に声をかけてくるが声が小さすぎて聞こえない。
「えっと・・・・聞こえないんだけど?」
「だ、だからですね・・・その・・・・あの殿方は・・・お元気ですか?」
あの殿方?それって・・・・
「・・・・・朧の事を言ってるのか?」
「は、はい。その・・・・・朧様のことです」
さらに頬が赤らむレイヴェル。というか朧を『様』付けって・・・・わざわざ元気かどうか尋ねるってことはまさか・・・・
「えっと・・・・朧はまあ元気だけど。というか君・・・・何?朧に惚れたの?」
「な、ななな何を言ってますの!?こ、この私が人間にほほ、惚れるなど・・・・馬鹿も休み休みおっしゃいなさい!不敬ですわよ!」
なんというわかりやすい反応であろうか。そんなキョドってしまっては全く否定になっていない。
「あ~・・・・・まあ確かに朧イケメンだもんね。(あの時は)紳士的ではあったし」
「だ、だから違うと言っているではありませんか!」
「・・・・あの日以来、彼の名を呟きながら頬を赤らめてぼんやりとしているレイヴェル様が屋敷で何度も目撃されている」
「イザベラ!?」
まさかの身内からのカミングアウト。これは恥ずかしい。というかこれベタ惚れじゃないか。朧が何もするまでもなく落ちてるじゃん。これうまくいくんじゃないか?
・・・・何だろう、そう思うとなんだかムカムカしてくる。朧の奴・・・・・クソ羨ましい。これがイケメンの力か!
「んんっ!と、とにかく元気ならばそれでよろしいですわ。人間とは言え紳士的な振る舞いをしてくれたので多少、
咳払いをして、明らかに誤魔化すように『多少』のところをやたら強調して言うレイヴェル。ライザー家の娘だからそれなりに高い地位にいるんだろうけど、もはや威厳もへったくれもない気がする。
というか・・・・
「・・・・なあ、レイヴェル」
「気安く名前を呼ばないで欲しいのですが・・・・まあいいでしょう。なんですか?」
「これ朧も見てるぞ?」
「・・・・・え?」
私の言葉を聞き、レイヴェルは何を言ってるのかわからないといったふうにキョトンとした表情を浮かべた。
「いや、だから・・・・・このゲーム朧も観戦してるぞ?審判のグレイフィアさんと一緒に。つまりさっきの話も全部朧聴いてるんだけど?」
「・・・・・」
まるで時が止まったかのように硬直するレイヴェル。そしてしばらくして・・・
「ッ~!?」
レイヴェルは頬どころか顔を真っ赤にさせ、両手を顔に当てて羞恥に悶え始めた。
「お、朧様が・・・・見ている?朧様が・・・・先ほどのお話を全部・・・・聞いていた?」
「レ、レイヴェル様?大丈夫ですか?」
「大丈夫なわけないでしょう!朧様が見ているとは知らずに私はなんとはしたない・・・・・いえ、それ以前に朧様が見ていらっしゃるのならもっと上等な服を着てくるべきでしたわ!イザベラ!私は着替えに屋敷に戻りますわ!」
「無茶をおっしゃらないでくださいレイヴェル様!ゲーム中にフィールドから出られるはずがないでしょう!」
「だったらどうすればいいというのですか!」
「諦めてください!」
朧が見ているとわかった瞬間すっごい慌てふためきはじめるレイヴェル。なんか、イザベラを巻き込んでコントみたいなことが始まってるし。
「そうですわ!着替えるのが無理ならせめて身だしなみを整えなければ!鏡のある所に行きましょう!」
「そんなことをしている場合ではないでしょう!」
「・・・・・これ、いつまで続くんだ?」
私、イザベラと戦わないといけないんだよな?それなのに一向に戦いが始まる気配がしないんだけど・・・
「・・・・君のところも中々愉快なようだねカーラマイン」
「・・・・すまない。何も言わないでくれ」
向こうで斬り合っていた木場とカーラマインの会話が耳に入ってくる。どっちも呆れてるっぽいけど・・・・まあ仕方ないだろう。
というか・・・この隙に攻撃するなり
「・・・・・ルキフグスさん。口説き落とそうと思ってた相手がまさかのほぼ攻略完了状態なんだけどどうすればいいと思いますか?」
「知りません」
俺の割とマジで真剣な問いかけを、ルキフグスはバッサリと切り捨てた。
「いやいやいや・・・・そこは女性としての意見を聞かせて欲しいのですけど?」
「無理です。というよりも、今まで何度かレーティングゲームの審判を務めてきたことがありますがこんな状況になったのは初めてなのです。私の心情を察して何も聞かないでくれると助かります」
「ア、ハイ。ワカリマシタ」
淡々と言ってるけど実際本当に参ってるんだろうなぁ・・・・頭が痛そうに、額に手を当ててるし。
『それなら私が女として意見を言いましょうか?』
ごめんお前の意見は正直いらない。
『酷いわね』
お前はこういう時ふざけてろくなこと言わんだろうに。そもそも恋愛経験ないんだろ?あてにならん。
『ええ、その通りね♪』
・・・・・・本当にあてにならないな。まあいいけど。
こうなると本当にあとひと押しで口説き落とせるかもな。ちょっと気が滅入っていたからこれは結構嬉しい。嬉しいけど・・・・・
レイヴェル・フェニックス・・・・馬鹿な女だ。俺なんかに惚れてしまうなんて
行き着く先は・・・・・バッドエンド以外のなにものでもないというのに
本当に・・・・・馬鹿な女だ
そして・・・・・それをわかっていて、求めた俺もまた
レイヴェルは完全に朧に惚れてしまっています
まああの時は紳士的だったから・・・・・知らないって恐ろしいですね
それでは次回もまたお楽しみに!