ハイスクールD×D ~それは現か幻か~ 作:DDX
そしてしばらくレイナーレは出てきませんのでご了承を
それでは本編どうぞ
決戦当日・・・・・ゲーム開始まで後30分。イッセー達にいくつかのアドバイス、対抗策を話した後俺は・・・・・
「いやぁ・・・・・こんなVIP待遇で試合を観戦できるだなんて嬉しいなぁ。ありがとうございますルキフグスさん」
「・・・・いえ、お気になさらず」
俺は・・・・グレイフィア・ルキフグスと共に居た。観戦するのなら共に、と誘われたのだ。
『美女と一緒だなんて役得ね』
ラムの言うとおりだ。こんな目が覚めるような美女と一緒だなんてそれなりに嬉しい。
嬉しいけど・・・・・・
「正直女の人・・・・それも美女からのお誘いなので興奮しております。でもこれって・・・やっぱり監視ですよね?」
「はい。あなたを野放しにしてしまえばゲーム中何をしでかすのかわかったものではありませんので。これはルシファー様の指示でもあります」
ああ・・・・うん、まあそうだとは思ってたよ。
『妥当な判断ね♪』
そうだね。だけどそんなに楽しそうに言わないでくださいラムさん。
「かはははっ!俺ってば信用なーい!いや、ある意味では絶大に信用されてるってとれる?まあどっちでもいいけど~・・・・・見ず知らずの悪魔に信用されたところで嬉しくもなんともないからな」
「・・・・・」
俺のその一言に、ルキフグスは黙り込み、俺をじっと見つめてきた。
美女に見つめられるのは悪い気はしないが・・・・・これが悪魔じゃなければもっと嬉しかったんだろうなぁ。ま、いいけどさ。
「そんなに見つめないでよ~。そんなに見つめられたら人妻だってわかってても何かしちゃうかもよ俺?あ、でもそうなったらルシファーに目付けられちゃう?最強の魔王様を敵に回すのは恐いなぁ。あはははは」
「・・・・はあ、あなたをそばに置いているリアスお嬢様の苦労が忍ばれます」
「そんな言い方ないでしょうに。むしろ俺の方が苦労してるんですよ?部長ってば俺のこと雑用係だと思ってるんですから。まあ、好き好んでお茶淹れたり書類整理したり掃除したりお菓子作ってきたりしてるの俺だがら否定はできないけどさ~。あ、ちなみに俺が淹れたお茶、あなたのよりも美味しいかもって部長が呟いていたようないないような・・・・」
「・・・・・」
またしても俺のことを見つめてくるルキフグス。だが、今度はどこかむっとした表情を浮かべている。メイドとして自分よりも美味しいお茶を淹れてると聞いて悔しかったのかな?
まあ、そんなのは嘘なんだけどさ。
さて、おふざけははここで終わり。ここからは・・・・茶番の時間だ。
「まあ、そんなことはさて置くとして、俺ルキフグスさんにこのゲームに関して聞きたいことがあるんだ」
「奇遇ですね。私もあなたに聞きたいことがあります」
「あ、そうなの?でしたらレディファーストだ。そちらからどうぞ」
「では・・・・ここに来る前に、リアスお嬢様たちに色々とアドヴァイスを送っていたようですがそれはどのようなものでしょうか?」
あ~・・・・まあ、予想通りだな。このひとが俺に聞くことなんてそんなもんだろ。
「別に大したものじゃないですよ。ほぼ確実にフェニックスの涙を持ち込んできてるから注意しろってのと相手がしてきそうな策、あとライザーの倒し方をちょっと教えただけですから」
「3つとも重要なことに思えますが?」
「ええ。大したものじゃないとは言いましたが重要なことではないと言った覚えはありませんので」
「・・・・そうですか。フェニックスの涙のことについてはどこでお知りになりました?」
「どこって・・・・フェニックスの涙には癒しの力があるだなんてこと、悪魔と由来のない人間だって興味持って調べればすぐにわかることでしょう。別段気にすることじゃないのでは?」
そんなこと、神話の本やらなんやら読めばすぐに分かることだ。実際俺だってそういうたぐいから知識を得てるんだからな。
まあ、悪魔であるフェニックスの涙に癒しの力があることはシトリーから確認とったんだけどな。
「では、ライザー様の策とはどのようなものだとお考えで?」
「単純にサクリファイスでしょうね。質はともかくとしてライザー側の方が数が多い。道連れ覚悟、あるいは味方巻き添え覚悟で戦えば部長側の戦力は一気に落ちる。例外としてクイーンだけはおそらく一騎打ちの戦いになるでと思いますが。姫島先輩は現状部長の眷属の中では抜きん出て強いですから、それを封じるためにライザーも自身のクイーンを当ててくる・・・・・フェニックスの涙持ちのクイーンをね」
クイーン同士の戦いでは姫島はまず間違いなく負けるだろう。ライザーのクイーンの話はシトリーから聞いていたが、どうやら実力的にはほぼ互角らしい。
互角であるのなら、回復手段を持っている方が勝つに決まっている。例外としてアーシアの補助が受けられる状況であるか、雷光の力を開放すれば勝機はあるが・・・・・
仮にアーシアが近くにいれば、ライザーのクイーンは多少のダメージを覚悟してでも撃破しにかかるだろう。そうなれば戦う手段のほとんどないアーシアはほぼ確実に撃破される。姫島が庇ったとしたらそろこそ本末転倒だしな。
そして姫島が雷光の力を開放するのは・・・・・可能性としてはほぼゼロだな。本人がそう言っていたんだし。
つまり・・・残念ながら姫島に勝目はないということだ。そして姫島に勝目がなければ・・・・相手側のサクリファイス作戦を阻むのは一気に厳しくなるだろうな。
「ライザー側が確実にその作戦を取るとは限らないから部長達にはそういう作戦で来るかもしれない程度にしか言っていませんが・・・・ルキフグスさん、あなたはどうお考えで?」
「・・・・・ライザー様の策はあなたの考えるようにサクリファイスでしょう。ライザー様は既に何度も公式戦を経験していますのでその策は思い当たるでしょうし、その作戦を実行しない理由はありません」
まあ、そりゃそうだ。この程度の作戦、レーティングゲームを実際にやったことのない俺でもちょっと考えれば思いつく。ライザーが思いつかないはずがない。
まあ、実行する確率は100%というわけではないだろうが・・・・・な。
そしてそうなると・・・・・
「そうなると・・・・俺の考えてるライザーの倒し方はほとんど無意味になってしまうな」
「その倒し方というのは?」
「単純明快ですよ。ライザーの眷属全員を誰一人撃破されることなく倒し、ライザーを全員でボコる。それだけですよ」
「なるほど・・・・・確かに単純明快でありますが、有効ではあります」
どうやら俺の考えたライザーの倒し方は、ルキフグスからお墨付きをもらえたようだ。
圧倒的回復、再生能力を持つフェニックス・・・・・一見すると倒すのは不可能な最強の存在に思えるだろう。だが、実際は違う。どんなに再生能力に優れていようとも、それは肉体の話だ。
肉体的に潰せないなら・・・・・精神的に追い詰めればいい。
多人数によるリンチ。回復した瞬間に再び攻撃され、ダメージを負って回復・・・・・それをひたすらに続ける。これはかなり堪えるだろう。精神が折れるまで何分も、何十分も、何時間だろうともただひたすらに攻撃され続けるというのは・・・・・温室育ちのお坊ちゃんには相当辛いはずだ。
それが俺の考える作戦。ルキフグスのお墨付きをもらったからにはそれは勝目だ。そう・・・・実行されさえすればな。
「有効ではあってもそれが実行されなければ絵に書いた餅、机上の空論。相手がサクリファイスを仕掛けてくるのならば・・・・・ほぼ負け確定でしょう」
だからテンション上がんなかったんだよなぁ・・・・負けるイメージが明確なんだから。
他にも一つだけ勝ち目はあるけど・・・・・それこそありえないからな。俺が悪魔のゲームに参加するだなんて。
「負け確定・・・・ですか」
「癪に障りましたか?」
「いえ、そういうわけでは。そもそも、このゲームはお嬢様とライザー様の婚約を確定させるためのものですので」
「あぁ・・・・やっぱりそういう思惑あったんだ。あなたから聞けたのだからそれは確かなのでしょうね・・・・本当いけ好かない」
やっぱ純愛主義の俺にはそういうのは合わんわ。頭で理屈を理解できても・・・・ああ、イライラするなぁ。
でも、そうなると・・・余計気になるな。
「・・・・ルキフグスさん、今度は俺が聞いてもいいですか?」
「ええ。どうぞ」
「単刀直入に聞きますがあなたはどっちに勝ってほしいと思ってますか?」
「・・・・・本当に単刀直入ですね」
ルキフグスは呆れたように溜息を吐きながら言う。
「私は今回のゲームの審判です。なのでどちらかを応援するわけにはいきません」
「硬いなぁ・・・・別にいいじゃないですか。俺を警戒するあまり俺の思考、知識を知るために色々と聞いてきたことを水に流してあげるんですからそれぐらい許してくださいよー」
「・・・・・気がついていたのですね」
「そりゃもう。それぐらい分かんなきゃここまで生きてこれなかったんでね。そんなことより・・・・・答えろよ。グレイフィア・ルキフグス」
俺はルキフグスの目を正面から見据えながら言う。
お遊びなしの真剣の眼差しだ・・・・・これで答えてくれなかったらその程度だということだが果たして・・・・
「・・・・私は、お嬢様に勝っていただきたいと思っています。私はグレモリー家に使える以前に女・・・・・お嬢様の気持ちも理解できてしまいます」
「ふ~ん、なるほど・・・・・女であるがゆえに、か。そうかそうか・・・・・ありがとう。それが聞けて嬉しいよ」
「嬉しい・・・・ですか?」
「ええ。部長は俺のこと警戒しているでしょうが、それでも俺は一定以上の情を部長に抱いていますので。だから、部長を応援してくるひとがいるっていうのは心情的に嬉しいものなんですよ」
これは嘘ではない。前にレイナーレにも言ったが、袖振り合うも他生の縁というやつだ。付き合いが短くても、それでも共にいた時間が少しでもあれば情のひとつも抱く。たとえ、将来敵対し、この手で殺すことになるとしてもだ。
それ故に・・・・
「だから俺は・・・・・打算とか面倒な事情やら私情やら一切抜きにして、部長達に勝って欲しいと願っているんですよ」
それ故に俺はこうして平然と嘘を付ける自分が・・・・・少しどころじゃなく嫌いなんだ。
グレイフィアは朧をものすっごい警戒しています
というのも、実はグレイフィアは朧の保護者、あるいはルシファー経由で朧の神器の事をイッセー達よりも知っているからです
まあ警戒するのはある意味当然でしょう
それでは次回もまたお楽しみに!