ハイスクールD×D ~それは現か幻か~ 作:DDX
結構苦戦してしまいましたが・・・・
それでは本編どうぞ
「どうぞ会長。ほら、匙も」
俺は紅茶の入ったカップをシトリーと匙に渡す。
「ありがとうございます」
「お、おう。サンキュ」
「これは・・・・リアスから現世くんの入れたお茶は美味しいとは聞いていたけれどまさかここまでなんて」
「これでも得意分野ですので。まあ、姫島先輩には睨まれてしまっていますが」
グレモリーが姫島が淹れたお茶よりも美味しいって言ってくれたおかげでな。おかげで元々お茶淹れ担当だった姫島に睨まれることになったんだ。
・・・・しかもイッセーが姫島にお茶の試飲をさせられてるって聞いたし。そんなに俺よりも上手くなりたいか?
「こちらのスコーンもとても美味しいです」
シトリーは俺の持ってきたスコーンを一口食べていう。
「それは何より。あ、こっちのジャムをつけるともっと美味しいですよ?紅茶にも合います」
「そうですか?では・・・・」
「いやいやいやいや・・・・・ちょっと待った」
俺がシトリーにジャムを渡そうとすると、匙が声をかけてきた。
「ん?なんだ匙?」
「なんだじゃなくて・・・・お前は何をしてるんだ?」
「なにって・・・・見ての通り俺の特性スコーンと手ずから淹れた紅茶を振舞っているんだが?」
「それは見て分かる・・・・でも、なんでそれを現世がやってるんだよ?お前客だろ?」
まあ普通は客はそんなことしないわな。
「まあ確かに俺は客だが・・・・聞くが匙よ。お前お茶入れとか得意なのか?」
「うっ、それは・・・・」
「流石に会長にやらせるわけにもいかないだろう。だから俺がやってるんだよ。得意だから」
「・・・・お前はそれでいいのか?」
「構わないよ。こういうの好きだし」
なんか・・・・昔からやってたせいか楽しいんだよね。
『将来は執事にでもなってみる?』
それもいいな・・・・・俺に将来俺があればの話だが。
『笑えない冗談ね』
話振ったのはお前だろうに。
「・・・まあ、いいならそれでいいが」
「そうそう。俺がいいならモーマンタイだ。でもまあ・・・・ここにお茶とスコーンを振る舞いに来たってわけではないし、そろそろ本題に入ろうか」
俺はシトリーの方に向き直り・・・・当初の目的を果たすことにした。
「それでは会長・・・・レーティングゲームのことについて詳しくお教え願いますか?ついでにライザーのことについても可能な限り」
「わかりました。お話しましょう」
さて・・・・・ようやくレーティングゲームについて詳しいことが聞けるのか。
でもまあ・・・・ぶっちゃけ聞いたところで結果は変わらんだろうけど。
「あ、そうだ。ライザーの妹のレイヴェルについても知ってたら教えてくれます?できればレーティングゲームやライザーのこと以上に詳しく」
「お前な・・・・・」
「・・・・私からお話できることは以上です」
「そうですか・・・・・ありがとうございます」
話をはじめてから1時間ほどかけて、シトリーからレーティングゲームとライザーの事を聞けた・・・・レイヴェルのことは全くだったけど。ちくせう。
それにしても・・・・ああ、うん。予想してたけど・・・・ダメだなこれは。レーティングゲームのルールとライザー、及びその眷属の能力を考慮してもほぼ確実に・・・・・
「・・・・・私の話は役に立ちそうですか?」
「ええ、それはもう。おかげでいくつか策が建てられそうです」
嘘はついていない。話を聞いていくらか策は思いついたからな。ついでも警戒すべき要素もわかったし。
ただまあ・・・・それが結果影響するかどうか別だがな。
「そうですか・・・・・それはなによりです」
・・・・それは何より、ねぇ。
「本日はお話を聞かせていただきありがとうございます。ただ・・・・最後にもう一つだけ聞きたいことがあるのですが・・・・」
「なんですか?」
「客観的に見て、部長達はライザーに勝てると思いますか?」
「・・・・・」
俺に問われ、シトリーは黙り込んだ。きっと、客観的見解から勝てるかどうか思考しているのだろう。シトリーは賢いから、きっと導き出される答えは俺と同じだろうが・・・・・
そして・・・・数秒した後に、シトリーは口を開く。
「・・・・正直勝つのは難しいと思います。リアスとその眷属達では・・・勝率は薄いでしょう」
シトリーは神妙な面持ちで答える。
「・・・・それが会長の見解ですか?」
「はい」
「そうですか・・・・・」
勝率は薄い・・・・ねぇ。随分とまあふざけた見解だこと。
「・・・会長、ちょっと失礼」
「え?」
「―――――」
俺はシトリーに顔を近づけ、そっと耳打ちした。
「!?私・・・は・・・・」
シトリーは一瞬目を見開いたあと、バツが悪そうに俯いてみせる。
この様子からして・・・・・やっぱり俺の思った通りってわけだ。
「お、おい現世!会長になにしてんだよ!」
「何って・・・・見ての通りちょっと耳打ちをね。いや、息を吹きかけたっていう方がエロくていいかな?」
「お前は・・・!」
「おっと、怒らせちゃったかな?ごめんごめん。それじゃあ会長、匙がおっかないんで俺はこれで失礼しますね。そのうち部長を交えてお茶でもしましょう。その時は・・・・身内の愚痴を発散しちゃいましょうね~」
俺はシトリーにそう告げた後、生徒会室から出て行った。
あの野郎・・・・・よくも会長に耳打ちを!そんなこと眷属の俺だってまだしたことないんだぞ!羨ま・・・・いや、恨めしい!
しかも早々に逃げやがって・・・・会長のこと応援してくれるって言うから少しはいい奴だと思ったけど撤回だ!今度会ったらとっちめてやる!
「・・・・・匙」
俺が現世への怒りを募らせていると、会長が声をかけてきた。
そして・・・・俺の手をギュッと握ってくる。
「か、かかか会長?どどどどうしたんですか?」
突然の会長の行動に、俺は驚いてついどもってしまった。
会長の手・・・・柔らかくてスベスベだ。それに小刻みに震えて・・・・
・・・・えっ?震えてる?どうして・・・・
「・・・・会長、本当にどうしたんですか?」
俺は会長の顔を見据えながら言う。会長の表情は・・・・少々どころではなく、優れなかった。
「・・・・・嘘つき」
「え?」
「彼に・・・・さっきそう言われてしまったわ」
なっ!?さっきって・・・あの耳打ちか!?あの野郎・・・・会長になんてことを!
あれ?でも・・・・どうして会長はそんな戯言でこんなに?
「・・・・リアスから話を聞いて警戒すべき人間だとは思っていた。けれど・・・・実際に会ってみてその思いは一層に強まってしまった。現世朧・・・・彼は恐ろしい。私の考え、思いは容易に見透かされていた」
「見透かされて・・・いた?」
「・・・・・彼の言うとおり、私は嘘つきです。客観的と言われたにも関わらず・・・・希望的見解を含んだ答えを返してしまったのだから」
勝つのが難しいっていうのが・・・・希望的見解?十分に厳しいものだと思うけど・・・・違うのか?
「・・・・本当はわかっていたんです。リアス達ではライザーに勝つことはできないと。それなのに私は・・・・勝つことは難しいと答えてしまった。まるで僅かでも勝機があるのではないかと思わせるような風に・・・答えてしまった。それは私の希望的見解にほかなりません」
そうだ・・・・会長の言うとおりだ。勝つことは難しいというのと勝つことができないとでは全然違う。勝つことは難しいということは・・・・・勝機があるということ。そして、それは勝つことができないと考えていた会長にしてみれば希望的見解にほかならないんだ。
あいつは・・・・・現世はそれを見透かして会長のこと嘘つきって言ったのか。
「会長・・・・・あんな奴の言うことなんて気にする必要ないですよ。親友に肩入れして希望的見解を答えてしまうなんてよくあることだと俺思います」
そうだ・・・・別に会長は悪いことをしてるわけじゃない。そんな会長を嘘つきだって言って蔑むなんて・・・・やっぱり現世の奴は許せねぇ。
「ありがとう匙。けれど、私が彼を気にしていたのは嘘つきだと言われたことではありません。彼を恐ろしいと思ったのは見透かされたからではありません」
「え?どういうことですか?」
「彼は決して私の見解が聞きたくて勝てるかどうかを尋ねたわけではない・・・・彼は私がどう答えるのかが知りたくて尋ねたんです」
「えっと・・・・俺にはよくわからないんですが?」
「ではわかりやすく言います・・・・・彼は私と敵対することを想定しているのです」
会長と・・・・敵対?どういうことだ?いや、というよりそんな想定をしているとしても、どうしてそれがあの質問につながるんだ?
「彼はおそらく私なら勝つことはできないという結論に抱くであろうと考えていたでしょう。けれど、実際自分に問われたらどう答えるのかを試した。そうすることで私が情に流されるかどうかを見極めたのです。将来敵対したときに備え、私の考え方を理解しておくために」
「そ、そんなことを現世が?考えすぎじゃないですかね?」
「そうであったらそれでいいのですが・・・・・嘘つきと言ったあとに、彼はもう一言こう添えました。『その甘さに付け入られぬようお気をつけて』・・・・と」
「そんなことまで・・・?」
「ええ・・・・その言葉を聞いた瞬間に直感しました。これは自分が敵対したとき、その甘さに容赦なく付け入って追い詰めてやるという・・・・警告なのだと」
た、確かにそう聞こえなくもない。現世とは今日初めて会ったけれど・・・・あいつにはそれを否定しきれない、否定しようと思えない何かがあると直感的に感じてしまう。
「今日あったばかりですが・・・・それでも彼が相当な曲者であることは容易に理解することができた。そんな彼と将来敵対するとしたら・・・・・非常に厄介だと言わざるを得ないでしょう。そうでなくとも幻術使いを相手取るのは面倒だから」
俺にはよくわからないが、どうやら現世みたいな性格の幻術使いは敵に回したくないタイプであるようだ。
なら会長のこの震えは・・・・現世が恐ろしいと思っているから?現世が恐いから・・・・会長は震えているのか?
「会長・・・・大丈夫ですよ」
「え?」
「もしもあいつが敵になったとしても・・・・俺が会長を守ります。現世なんて俺がぶん殴っておとなしくさせてやりますよ」
俺は会長の手を取りながら言う。
そうだ・・・・会長のことは俺が守る。守ってみせる。
まだそうだと決まったわけではないけれど・・・・もしも現世と敵対するようなことになたとしても、会長に危害をくわえさせない。
絶対に・・・・・俺が守る。
「匙・・・・・ありがとう」
会長は俺に微笑みを浮かべながら言う。
会長のこんな微笑み、俺は初めて見た・・・・・より一層。俺が会長を守らなくてはと強く思った。
その為にも・・・・・もっと強くならないとな。会長の兵士として恥じないほどに、会長を守れるように・・・・もっと強く。
「ところで匙、そろそろ手を離してくれませんか?皆も見ていますし・・・・・流石に恥ずかしいです」
「・・・・あ」
会長に言われて気がついた・・・・・この部屋は隣の部屋にいる生徒会のメンバーがモニターで見ていることに。
その後・・・・・俺はニヤニヤ顔の皆に質問攻めにあうのであった。
ちなみにソーナ会長の考えは深読みでもなんでもありません
まさしくその通り・・・・朧の考えを見抜いています
・・・・・この二人のやりとりレベル高すぎです
それでは次回もまたお楽しみに!