ハイスクールD×D ~それは現か幻か~ 作:DDX
誰なのかは見てのお楽しみ
それでは本編どうぞ
休日の朝7時・・・・・俺ぐらいの年頃の奴はまだ寝床でおねむの時間あろう。そんな時間に俺はイッセーの家の前に来ていた。昨日作った弁当、及びおやつを届けるためにだ。
「ほい、これ約束の弁当とおやつな」
俺はイッセーに弁当とおやつを渡す。
「ありがとう・・・・って、多いな」
「重箱7段だからな。まあ、これでも足りるかどうか微妙なところだけど」
俺は横目でチラリと塔城の方を見る。というか塔城・・・・あの小さな体でなんであんなにたくさん食べられるんだ?
いや、それよりも・・・・
「オカ研メンバー勢揃いだな・・・・・なに?皆してお前とアーシアを迎えに来たのか?」
そう、この場にはグレモリーとその眷属が勢ぞろいしていた。
「ああ・・・・・そうみたい。なんでもここから修行する山の麓に転移するらしい」
「ということは山登りか・・・・・・荷物持ち頑張れよイッセー」
「私が荷物持ち!?そういうの普通は男の木場じゃない!?」
「いや、筋トレの一貫でイッセーが荷物持ちすることになると思うぞ?どうですか部長?」
「ええ、朧の言うとおりイッセーに荷物持ちをしてもらうつもりだったわ」
「そんなぁ・・・・」
大量の荷物を持って山を登るのを想像したのだろう、イッセーはすっごい凹んでる。流石に同情するな。
「まあ朧がついてきてくれたら朧に荷物持ちをさせようと思っていたけれど」
「勘弁してくださいよ部長。普通の人間である俺にそれは酷です」
・・・・マジに断ってよかった。身体能力的に人間にしては少しいい程度の俺には耐えられない。
「ま、まあ何はともあれ皆さん頑張ってくださいね。俺もこの地で、心の片隅で皆さんにエールを送りますので」
「心の片隅というのが少々怒りの琴線に触れるけれど・・・・まあいいわ。それよりも、あなた予定があるから修行に参加しないと言っていたけれど・・・・・一応それを信じるとしてその予定というのは今日あるのかしら?」
一応って・・・・・いや、実際には予定なんてないから疑われるのは一向に構わないんだけどさぁ。
「今日はないですけど・・・・それが何か?」
「なら2時頃に生徒会室に行きなさい。そこでソーナがあなたにレーティングゲームの事を教えてくれるわ」
「およ?わざわざ俺のために話を通してくれたんですか?」
「一応ね。ソーナにはあなたのこと話してあるけれど・・・・いえ、だからこそ突然あなたが目の前に現れてしまえば警戒すると思ったのよ」
「あはははー。部長にそんなに信頼されてるなんて嬉しいなー」
でも俺のことを話していたのなら警戒されるのは当然だし・・・・・話通してくれたのは助かるな。そこには感謝する。
「それじゃあ私達はもう行くわね。朧、私達がいないからって変なことしないでちょうだいよ?」
「しーまーせーん。俺は面倒事嫌いな平和主義者なんですよ?」
「「「幻術使いは嘘つき」」」
・・・・・話に参加していない連中(アーシアを除く)含めてそんな声合わせなくてもいいと思うんだけど?流石に痛いよ?心が。
唯一、申し訳なさそうに苦笑いを浮かべているアーシアだけが救いである。
『いいじゃない。あなただって嘘つきを公言してるんだから』
そうだけども。でも平和主義者は本当だぞ。
「・・・・まあいいや。それでは皆さん言ってらっしゃい。イッセー・・・・強くなってこいよ」
「ああ!見違える程強くなってやるさ!」
イッセーが意気揚々と返事を返した後、皆は魔方陣を使って転移していった。
「行ったか。無駄な努力にならないよう祈るが・・・・・それは難しいだろうなぁ」
『あら、辛辣ね』
「仕方ないだろう。勝ち目なんて・・・・・ほぼ無いと言ってもいいんだから」
というかぶっちゃけ負けると思ってるし。それなのにレーティングゲームのこと聞いて対策考えようとするのも無駄な努力なんだろうけどさ。
「さて・・・・帰って手土産になんか菓子でも作るか」
『最近そんなのばかりね』
まあいいよ。お菓子作り嫌いじゃないしさ。
午後2時となり、俺は生徒会室の前に来た。休日なのに学校の、それも普段なら絶対に来ないであろう生徒会室に来るなんて変な気分だ。
『まあまあ、そう言わないの。それよりも、早く入って話を聞きなさい』
はいはい・・・・・というか最近よく思うんだが、お前は俺の姉か何かか?世話焼きすぎじゃない?
『あら?ドラゴンがお姉さんだなんて豪華じゃない。良かったわね』
・・・・・ノーコメントでお願いします。そんなことはどうでもいいんだ。マジで早いとこ用事終わらせよう。家でレイナーレが待ってるし。
『そうね』
俺は生徒会室の扉をノックした。
「どうぞ」
「失礼します」
中から返事が聞こえてきた後、扉を開いて部屋に入る。部屋の中には、メガネをかけた少女が一人。
その少女の名は支取蒼那・・・・いや、正確にはソーナ・シトリーといったほうがいいか。駒王学園の生徒会長であり、上位悪魔、シトリー家のお嬢さんだ。
そして・・・・俺はそんな彼女と接点がある。といっても、その接点というのは悪魔関連ではない。
半年ほど前、校舎裏で泣いている女子生徒を見かけたから紳士としてほうっておけなかった俺はその女の子を慰めていた。しかし、それをたまたま通りかかったシトリーに見つかり・・・・・俺が泣かせているのだと勘違いされて生徒会室に連行されたのだ。
・・・・確かにその時から俺が女癖が悪い下品な奴だっていう噂が流れていたから誤解されるのはわかる。わかるけど・・・・・当時のことを思い出すと目頭が熱くなるぜ。すっごい解せない。まあ、その時は当時付き合ってた女の子と逢引して・・・・まあちょっと盛り上がってしまっていたからそっちで連行されていた可能性は無きにしも非ずだったが。ちなみに、その件は慰めていた女の子の弁護により誤解が解けて事なきを得た。
そんなわけで生徒会に俺は貸しがあって、今回レーティングゲームの事を教えてもらうという形で返してもらおうと思ったということだ。
さて、それじゃあ読者のための説明はここまでにして話をはじめましょうか。
「どうも。お久しぶりです支取蒼那・・・・いや、ソーナ・シトリー生徒会長」
「・・・・学校ではできれば支取蒼那でお願いします」
「わかりました生徒会長」
「・・・・・はあ」
あら?シトリーの奴なんでため息なんて吐いてるんだ?
『どう考えてもあなたが原因でしょう?』
ですよねー。
と、それよりも・・・・
「お一人のようですが・・・・他の眷属の方はどうしていないんですか?」
そう、部屋にはシトリー一人しかいない。
シトリーもグレモリーと同じく上級悪魔だ。だから眷属を従えている。その眷属というのが生徒会の役員なのだが・・・・・その姿は一人もないとは。
「皆には隣の部屋で待機してもらっています。こちらの様子はモニターで確認できるようになっていますが」
「なんでわざわざそのようなことを?」
「リアスからあなたの幻術について聞き、あなたの幻術には大きく分けて2つのパターンがあると分析しました。一つは空間に幻術を投影し、ないものを有るように見せる、またはあるものを無いように見せるパターン。もう一つは視界に入った者を幻術に嵌めるパターン・・・・・違いますか?」
「・・・・・驚きました。部長から話を聞いただけでそこまで分析できるだなんて。正解ですよ」
そう、俺の幻術のパターンは今シトリーが言ったものでほぼほぼ間違いはない。正直話を聞いただけでそこまで見破られるとは思わなかった。
でもまあ・・・・おかげでどうしてこの部屋にシトリー一人しかいないのかがわかった。
「つまり、この部屋にあなたしかいないのは俺が幻術を使用するのを警戒しているから。そして、万が一の時には隣の部屋から壁をぶち破ってでも俺に攻撃を仕掛けるためですね?モニターで確認しているのなら俺のおおよその位置はわかるでしょうし」
「ええ。その通りです」
断言したな。誤魔化す気が一切ないとは恐れ入る。しかもこの対策からして幻術がモニター越しじゃ効果が薄いってこともわかってるんだろうなぁ。
なんというか・・・・・これは面白い。
「くく・・・・・あははははは!いいですね生徒会長!その疑い深さ!判断力!本当にいい!」
そういう打算的で冷静で容赦のない女は、俺のフェチにそぐわなくとも好みだ。
それこそ・・・・
「本当に・・・・・あなたはいい女だ。それこそ・・・・・俺のハーレムに入って欲しいと思えるぐらいには」
「・・・・そうですか」
俺はシトリーの手を取り、真っ直ぐに見つめながら言う。だが、シトリーは一切動揺した様子を見せずに平坦な声色で返事を返すだけであった。
・・・・コイツは手厳しいな。でもまあいいか。問題は、もう一つの目的が果たせるかどうかだが・・・
「こらお前!会長に何してんだよ!」
生徒会室の扉を乱暴に開き、一人の少年が部屋に入ってきた。
見事に引っかかってくれたな・・・・とりあえず目的は果たせたか。
「はあ・・・・匙。何をしているのですかあなたは」
「何って、会長を助けに来たんです!やいお前!会長から手を離せ!」
「ああ、いいよ。目的は果たせたからな」
「・・・・は?」
あっさりとシトリーから手を離した俺を見て、匙と呼ばれた少年は間抜けな声を上げてキョトンとしている。
「・・・・匙、さっきのは釣りです。あなた・・・・いえ、正確には私の眷属をこの部屋におびき寄せるための」
「へ?」
「バレてましたか。どうりでリアクション悪いと思いました。というよりよくわかりましたね?」
「私があなただったら万が一のためにこの部屋に眷属を全員集めようとするだろうと思っただけです」
・・・・グレモリーと比べて随分とまあ頭の回転がいいな。別にグレモリーが考えなしだとは言わないけども。
「ということは・・・・・俺はまんまと引っかかったってことか?」
「そういうことになるな。でもまあ、一人しか引っかからなかったとは・・・・生徒会長の眷属は中々優秀なようですね」
「・・・・お前はなんで俺のことを残念なものを見るような目で見るんだ?」
「え?そんな目してた?それはごめんなさい・・・・・一人だけ引っかかってしまった匙くん」
「この・・・・俺は駒4つ使った会長の兵士だぞ!馬鹿にするな!」
「よしなさい匙。腹が立つのはわかるけれどそこで乗ってしまえば彼の思う壺。幻術使い相手に平静を失えば・・・・ただではすまないわよ」
「うっ・・・・」
シトリーに諭され、匙は苦虫を噛み潰したかのように表情をするものの何も言わなくなった。シトリーの言っていることはもっともだということがわかってるのだろう。
でも・・・・匙みたいなタイプも俺はそれなりに評価している。たしかに敵の策にホイホイ乗ってしまうのは愚かだといえるが・・・・そこまでして主の事を思うような忠義の高い奴は嫌いじゃない。
まあ・・・・忠義だけとは限らないが。どれ・・・・確かめてみるか。
「匙くん、ちょっといいか?
「あ?な、なんだよ・・・・」
「いいからいいから」
俺は匙の首に手を回し、会長に聞こえないように部屋の隅に向って小声で話かけた。
「君さ・・・・もしかして会長のこと好きなのか?」
「なっ!?な、なななな何言って・・・・!」
「声大きい。会長に聞かれるぞ?」
まあ、おかげでだいたい察したけどな。
「うぐっ・・・・・そんなことお前に答える義理はない」
「まあそうだな。でも・・・・もし本当にそうなら俺応援するぞ?」
「・・・・え?」
「だから、お前のこと応援するって。会長とうまくいくようにな」
「な、なんでそんなこと・・・・お前には関係ないだろ?」
どうやら匙は疑っているらしい。まあ、こいつにとって俺は疑わしい存在なんだから当然だけれども。
「確かに関係ない。だけどな・・・・俺はお前みたいな一途で初心な奴は嫌いじゃないんだよ。見てるとついつい応援したくなっちまう」
『余計なお節介ね』
うっさい。今いいところなんだから割り込むな。
「まあ、俺のこと信じる信じないはお前次第だが・・・・たとえ信じてくれなくても、俺は勝手に応援しておいてやるよ」
それはまごうことなき俺の本心だ。確かにシトリーをハーレムに入れたいなとは思ったけど、それよりもシトリーの事を一途に想っているコイツがシトリーとくっつくほうがいいだろう。俺純愛派だし。
「・・・・そうか。わかった。一応礼を言っておく。ありがとうな」
匙は微笑みを浮かべながら俺に礼を言ってくる。その表情からは、俺に対する疑念は感じられない。
「礼なんていらないよ。さっきも言ったけど勝手にしてるだけだからな」
「二人共、何を話しているのですか?」
俺と匙が何を話しているのか気になったのだろう。シトリーが声をかけてくる。
「な、なんでもないです会長。気にしないでください」
「?そうですか・・・・」
なんでもないとごまかしながら、匙は会長の隣に立つ。シトリーは気になってはいるだろうがあまり深くは言及しなかった。
『ふふふ・・・・彼、面白いわね』
ああ、そうだな。ああいう一途な奴は好ましい。
『それもだけれど・・・・彼の中からヴリトラの気配がするわ』
ヴリトラ?それって龍王の一角の?
『ええ。彼はおそらくヴリトラに由縁のある神器の使い手なのでしょうね。ヴリトラの力をどこまで引き出すことができるか・・・・・赤龍帝であるイッセーちゃん並に今後の成長が楽しみだわ』
・・・・・もしかしてヴリトラとも昔何かあったのか?
『昔ちょっとね♪』
そのちょっとがなんなのか気になるけど・・・・まあ今はいいか。
『そうね。それよりも、いい加減話をはじめましょう』
あ・・・・そういえばそうだった。
俺はまだ肝心な話を何も聞いていないことに気がついた。
ソーナ会長は現時点で朧が駒王学園で一番警戒・・・・というよりは厄介だと思っている相手です
敵対すれば朧といえど、相当にやりにくい相手でしょうからね
まあ、やりにくいだけで対応できないというわけではないですが・・・・・
ちなみに頭脳戦においては朧の方がわずかにソーナ会長よりも上です
これはまあ・・・・場数の差ですが
それでは今回はここまで
次回もまたお楽しみに!