ハイスクールD×D ~それは現か幻か~ 作:DDX
それでは本編どうぞ
「修行・・・・ですか?」
レイヴェル・フェニックスという素敵なうなじを持つ少女とであった翌日の放課後、部室にて。俺はグレモリーからそう告げられた。
「ええ、そうよ。ライザーに勝つためには戦力アップは必須。だから明日から泊まりで山に篭って修行をしようと思うの」
山篭りの修行か・・・・・随分とまあ古風な。現代人である俺には全くもって向いていない。
てか・・・・それを俺に言うってことはまさか・・・・
「部長、それまさか・・・・俺も参加しろって言うつもりです?」
「あなただってオカルト研究部の一員なのだから当然よ。それにレイヴェルを口説き落とすためにも私達に勝ってもらいたいのでしょう?」
いや、それはそうなんだけど・・・そうなるとレイナーレを家に残さなきゃならなくなる。
流石に数日留守にするわけにはいかない。主に俺の精神安定的な意味で。切実に。
それに・・・・・ぶっちゃけそれって無駄な努力になりそうなんだよなぁ。成果は得られるだろうけど結果には繋がらなさうな。俺そういうの嫌いだしー。
ということで・・・・と。
「すみません部長。俺ちょっと予定があって・・・・お断りさせていただきます」
俺はグレモリーに深々と頭を下げながら告げた。
「予定って・・・・それはこちらの事情よりも大事なことなのかしら?」
「いや、まあそれはそれでこれはこれと申しますか・・・・・すみません。どうしても外せない用事があるんです」
まあ嘘だけど。
「・・・・それは嘘じゃないでしょうね?」
うわ・・・・疑われてる。グレモリーだけじゃなくて他の皆(アーシアを除く)まで疑いの眼差し向けてくるよ。
「嘘・・・・と思いたければそれはそれでいいのですが、眷属でもなく、ましてやレーティングゲームに参加することもない俺の参加を強制させるつもりですか?」
「・・・・・」
俺のその言葉に、グレモリーはむっとした表情を浮かべながらも黙り込んだ。
「・・・・お気を悪くされたのなら申しわけありません。ですが、俺があなた達に協力しているのはあくまでも我欲を満たすために過ぎない。あなた達はそれは理解していると思っていたのですが・・・・」
「ええ、そうね。あなたはそういう人間だったわ。ごめんなさい、もう何も言わないわ」
「ありがとうございます」
納得した・・・・という感じではないけれどこれ以上誘っても無駄とは思ってくれたのだろう。グレモリーはとりあえず引き下がってくれた。
のだが・・・・
「・・・・本当に来てくれないんですか?」
塔城が俺の服の裾を引っ張って上目遣い気味に見つめてきた。
・・・・おろ?これは意外なリアクション。俺この子にフラグ建てた覚えないんだけどな・・・・
「あ~・・・・うん。どうしても外せない用事があるからさ。ごめんね」
俺は塔城の頭を撫でながら言う。
うん・・・・レイナーレほどではないけど撫で心地のいい髪質だ。
「そんな。それじゃあ・・・・・それじゃあ・・・・・修行中は誰がごはんを作ってくれるんですか?」
「塔城ちゃん、君は俺を給仕係かなにかだと思っていないかい?」
・・・・・どうやらフラグなど建っていなかったようだ。
「困りましたわね・・・・宿泊先の家事全般を任せようと思っていましたのに」
・・・・お前もか姫島。
「・・・・前言撤回。あんたら俺のこと家事手伝いかなにかだと思ってるのか?」
「いいえ。雑用係だと思っているわ」
もっと酷かった・・・・・だと?
確かに部室の掃除やら書類整理やらおやつ用意したりはしてるけど・・・・雑用係か。
「・・・・俺の心はボロボロだ」
「げ、元気出してください朧さん!朧さんは私達の大切な仲間です!」
落ち込む俺を励ましてくれるアーシア・・・・その健気さは今の俺にとってとてもありがたかった。
「アーシア・・・・俺の妹にならないか?」
「朧!アーシアを汚すな!」
アーシアの手をとって妹になって欲しいとお願いしたらイッセーに怒鳴られた・・・・・俺の妹になったらアーシア汚れるの?俺はそこまでの汚物なの?
『自分の普段の行いを振り返りなさい。そう思われても仕方がないでしょう?』
ラムてめぇ・・・・否定できないだろうが!
でもまあ・・・・
「イッセー・・・・今の俺の心持ちでそのツッコミは辛い」
「え?あ・・・・ごめん」
うん・・・・まあ素直に謝ってくれてるみたいだからいいけどさ。
「まあ元気だしなよ朧くん」
「うんそうだな。励ましてくれるのが木場じゃなかったら元気になってたよ」
「それはちょっと僕も傷つくんだけど?」
うるせぇ。別にお前のこと特別嫌いってわけじゃないけど男に励まされたところで嬉しくもなんでもねえんだよ。
『正直ね』
自覚はしている。
とまあ、茶番はここまでにしてと。
「明日から修行って言ってましたけど何時頃出発するんですか?」
「明日の7時に出発するつもりよ」
うわっ・・・・めちゃ早いじゃなん。まあその時間はとっくに起きてるからいいけどさ。
「だったら明日の昼食と向こうで食べるお菓子とかは作ってイッセーに渡しておきます」
「「「「本当にもうありがとうございます」」」」
・・・・全員に感謝された。というかレイナーレの時もそうだったけど俺の料理ってそんなにいいの?まあ嬉しいけどさ。
「・・・・とりあえずリクエストがあれば聞きますけど?」
「そうね・・・・それじゃあチキンカツをお願い」
グレモリーが悩むことなく提案してきた。
でもチキンって・・・・もしかして相手のライザーがフェニックスだから?そんでもってカツなのは勝ちたいから?
「・・・・願掛けですか?」
「ええ、そうよ」
・・・・ちょくちょく思うけどグレモリーは変に俗知識に染まってる気がする。
「了解。他にはありませんか?」
「クッキーとマドレーヌとプリンとマカロンをお願いします」
お菓子ばっかじゃないか塔城・・・・・まあいいけどさ。
「卵焼き!私卵焼き食べたい!」
んで今度はイッセーか。そういやコイツ俺の作る卵焼き好きって言ってくれてるもんな・・・・おかげで弁当で入れた日には全部強奪されるし。まあ、すっごい嬉しそうに食べてくれるからいいんだけどさ。
「うん。それも全部作っておくから。それじゃあ俺はその準備もあるので今日はこれで失礼してもいいですか?買い物もしないといけないので」
「ええ、いいわよ。明日お願いね」
「はい。あ、それと・・・・修行には参加できないですけど俺は俺でできる事しておきますので」
「できることって・・・・朧、何する気だ?」
「そうだな・・・・レーティングゲームのこと知ってそうな人に詳しいルールとか聞いて対策やらを考えることかな?うってつけな人物いるし」
「うってつけの人物って・・・・ああ、朧の保護者?」
「それは俺に死ねというのか?」
あの人からレーティングゲームのこと聞く?冗談じゃない。確かに教えてくれるかもしれないけどそうしたらこの現状を教えないといけないじゃないか。
そうなったら・・・・・ダメだ、絶対に面倒くさいことになる。
「心中察するわ朧・・・・でも、だとしたら誰に聞くのかしら?」
「それはまあ・・・・部長の親友にかな?」
「私の親友って・・・・まあ確かに詳しくはあるけれどあなた接点ないでしょう?」
「ところがどっこい。実はちょっとした貸しがあるんですよ。だから大丈夫です」
うん・・・・・あれは酷い冤罪だった。我ながら未だに涙が流れそうだよ。
「朧、結局誰に教えてもらうつもりなんだ?」
「それはまあ・・・いずれわかると思うから今は内緒にしておくよ。それじゃ俺はここで。また明日」
「え?ちょ、朧・・・」
何やら後ろでイッセーが言ってるけど、これ以上ここに留まると買い物の時間が減るので申し訳ないと思いつつも俺は部室から出て行った。
「で、そういうわけで夕食後も料理してるってわけね」
夕食後にも関わらず料理をしている俺を見て、レイナーレが言う。
「まあな。6人分だから結構大変だ。しかもこのあとクッキーとマドレーヌとプリントマカロンも作らないといけないし」
「・・・・あなたは彼女達の食事係か何かなの?」
「ごめんレイナーレ、その話題は今はやめて。俺の心がもたない」
・・・・俺、将来はシェフかパティシエになろうかなぁ。あ、そこまで生きていられないか。
『そんなブラックジョークやめなさい。流石に笑えないわ』
・・・・・はい。ごめんなさいラムさん。
「・・・・・何があったかはわからないけれどごめんなさい」
「いや・・・・いいんだ。それよりも俺はこのとおり手が離せなさそうだからレイナーレはお風呂入ってきな」
本当は髪は俺が洗ってあげたいんだけど・・・・・ちょっと料理が長引きそうだから諦めることにした。
あ、そういえば昨日はなんか機嫌が悪くて髪を洗わせてもらえなかったけど・・・・何故かいつの間にか機嫌が治っててこれからは毎日髪を洗わせてくれるって言ってたんだよなレイナーレ。どういう心境の変化なんだ?
『さあ?どうかしらね?』
謎だ・・・・まあいいけど。
ちなみにその時にハーレムのことも話した・・・・そういえば話してなかったなと思い出してな。あれ話してなかったのが機嫌悪くなった原因・・・・いや、それはないかな?別に現状そこまでレイナーレの俺に対する好感度高くないと思うし。
『・・・・はあ』
ラムさん?なぜそこでため息?
『なんでもないわよ。それよりも・・・・レイナーレちゃんお風呂に入る気はないみたいよ』
ラムの言うとおりであった。レイナーレは風呂場にはいかずに、エプロン(俺作)を着て台所に立っていた。
「えっと・・・・レイナーレ?」
「・・・・・正直もう自分で髪を洗うの面倒くさいのよ。かといってあなたは作り終わるまではここいいるんでしょ?だったら・・・・手伝ってあげるから早く終わせるわよ」
おお・・・・なにこれ?すっごい嬉しいんですけど。
なんかツンってそっぽ向けながら言ってるけど頬が微妙に赤く染まっててすっごい可愛いんですけど。
「・・・・なによ?」
どうやら心境が表情に出ていたようで、レイナーレにジト目を向けられる。
「いいや、何でもないよ。でもいいのか?これ食べるのグレモリーとその眷属なんだぞ?お前に煮え湯を飲ませたような奴らのために料理するのか?」
「それを言うなら私を殺したあなたはどうなるのよ」
「うん、まあそうだけどさ・・・・」
「・・・・そのことについてはもういいわ。終わったことよ。それに・・・・・」
「それに?」
「これ・・・・アーシアも食べるのよね?」
・・・ん?これってもしかして・・・・
「アーシアに罪悪感でも感じてるのか?」
「・・・・やったことに関して後悔をしているわけではない。でもあとになって考えるとあの子には悪いことをしてしまったと・・・・思わなくはないわ」
それで罪悪感を抱いてしまった・・・・か。
ああ・・・・前から思ってたけどレイナーレって根は悪い奴じゃないんだよな。
こうやって罪悪感を抱いているし・・・・・なんだかんだ俺にも色々と気を使ってくれているし。
こういうところは正直・・・・・だいぶ好ましいな。うん、俺好みといってもいいだろう。
「ふふふっ・・・・」
「何笑ってるのよ。笑ってる暇があるなら作業を進めなさい」
「別に手は止まってないけど了解した・・・・・手伝ってくれてありがとうなレイナーレ」
「・・・・馬鹿。別にお礼なんていらないわよ」
「ツンデレレイナーレカワユス」
「ぶっ飛ばすわよ?」
「ごめんごめん」
こうして俺はレイナーレと共に明日イッセー達に渡す弁当を作ることとなった。
「ところでこれ私の分もあるのよね?」
・・・・レイナーレさんマジ抜け目ねえっすね。
段々朧の扱いが雑になってる気がする今日この頃
まあ、正直あれぐらいでちょうどいいといえばちょうどいいのですがね
なお、レイナーレの心境に関しては完全にこうだったらいいなという願望です
だってこれかわえええやん?
それでは次回もまたお楽しみに!