皇国に吹く風   作:INtention

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書きながら、これがメインの架空戦記でいいんじゃないかという気が...。



第二話 我夜戦に突入す

 

昭和17年6月5日21:15 横須賀

 

「ミッドウェー島への砲撃を命ずる。敵艦隊と遭遇すればこれを撃滅せよ」

 

山本五十六は命じた。

無傷な敵空母は4隻と筑摩の偵察機が報じているが、2隻は飛龍が撃破しているので残りは攻撃隊が目撃しているエンタープライズ型1隻と不明な空母3隻である。

アメリカが保有している大型空母の残りはレンジャーとワスプだが、レンジャーは大西洋にいるようなので仮に大型空母だとしてもワスプだけである。

という事は2隻は貨物船改造の小型空母となる。(実は誤認でエンタープライズのみなのだが)

 

対して日本は南雲機動部隊で唯一健在な飛龍も大破してしまい壊滅状態だ。

だが、攻略部隊の第二艦隊には瑞鳳がいるし、主隊の第一艦隊には鳳翔がいる。

第二艦隊の近藤司令長官は瑞鳳の傘を受けながら敵に突撃する構えを見せている。

 

だが山本が攻撃続行を命じた決め手はAL作戦の空母であった。

AL作戦を援護するために第四航空戦隊龍驤・隼鷹が向かっていたが、半年間のほとんどが濃霧に包まれる地域のため米航空隊は少数しか配備されておらず、その殆どが地上撃破された。

また、その後の偵察で湾内に数隻の駆逐艦を発見。これも撃沈ないしかなりの損傷を与えた。

憂いを断った日本はアッツ・キスカ両島への上陸をほとんど抵抗なく終えたため機動部隊は早々とサイパンに帰投中であった。そのため搭載機用の爆弾などを補給するのを含めても翌日の6日午後にはミッドウェー海域に到着出来そうとの見込みを受け、夜襲を決定した。

 

日はすでに暮れかけており、空襲を受ける心配は少ない。そこでミッドウェー島に一番近い潜水艦伊168に飛行場砲撃を命じている。伊168は第16任務部隊攻撃の生き残りであり、島の周囲を哨戒していたのだ。また、23時からは栗田少将率いる最上ら第七戦隊が引き継いで飛行場や地上施設を破壊する。

日が登るまでに如何に飛行場の脅威を減らすかが勝負だった。

 

 

 

同22時 第一航空艦隊

 

「準備できました!」

(…よし、曳航開始)

 

長良は大破した赤城を引っ張り始めた。

赤城の爆発は収まり、小康状態になっている。それを知った南雲と山本の強い意志で赤城と飛龍は曳航して引き上げることになったのだ。赤城は長良が、飛龍は筑摩が曳航して敵勢力圏から離脱させる。護衛には野分舞風と秋雲巻雲が付く。

 

「第十戦隊と司令部は任せたよ!」

「おう!任せて下さい」

「夜が明ける頃にはウェーク島航空隊の範囲まで戻って!」

 

赤城曳航のため一航艦司令部は長良から駆逐艦嵐へ移っている。

マストに中将旗を掲げた嵐は強気に返事する。

 

「艦隊旗艦なんて滅多に出来ないよ」

「分かってる」

「嵐の事は私達が守るから!行きましょう」

 

萩風と風雲が嵐を励ます。空襲は空母を狙い撃ちしたため駆逐艦はまだまだ元気である。

 

「よし。両舷前進第四戦速!利根さん達と合流するよ」

 

そう言うと単縦陣で夜闇に消えた。

 

 

6月6日5時 ミッドウェー島沖

 

「そろそろ戻らなきゃ」

「あら、飛行場を砲撃したのですから空襲は来ないはずでは?」

 

第七戦隊旗艦の鈴谷の意見に熊野が反対する。

水偵の夜間偵察によると一定の成果はあるようだが、完全に無力化出来たかは怪しい。

 

「もうすぐ大和さんも来るし、僕らはもういいんじゃないかな」

「最上さんの言う通りですわ」

 

最上と三隈の意見で四人は第二艦隊と合流する事にした。

重巡四人の砲撃で艦上機十数機、B17を8機破壊している。滑走路にもダメージが入ったし充分の戦果である。

 

結局日本は米艦隊を見つけられず、夜襲を掛ける事は出来なかった。米艦隊はレーダーの性能が良くない上、制空権がない夜間に戦うのは不利と見て東方へ下がっていたからである。

しかし、その夜間に日本の主力は急いで走り、戦闘地域に入る事に成功した。戦艦11隻にも登る勢力となった日本だが、空母は小型なのが2隻しかない。対してアメリカはエンタープライズに基地航空隊がある。どちらが優勢なのかはどちらにも分からなかった。

 

 

 

同6時 横須賀

 

「飛龍が撃破したエンタープライズ級(ホーネットの事)を放棄し、重巡を中心とした護衛艦は東へ逃走しています」

「伊168が急行するとの事です!」

「愛宕2番機より入電。敵艦隊発見!大型空母1、巡洋艦6、駆……以降は途切れており確認出来ません」

 

次々と入ってくる報告に司令部は慌しかった。皆ほとんど寝ていない。大打撃を受けてもまだ闘志は失われていなかった。

 

「今こそ艦隊決戦の時かと」

 

参謀の黒島が提案する。

 

「第二艦隊の水雷戦隊を突入させて混乱させ、大和達に砲撃戦をさせましょう」

 

鉄仮面と言われる参謀長宇垣も長年夢見た艦隊決戦に顔に赤みが差している。

 

「そんな上手く行きますかね。制空権は敵さんが持ってますよ」

 

その中で戦務参謀渡辺は冷静であった。

 

「どちらにも言い分はある。今こそ艦隊決戦の機会ではある。だが傘が少ない中

、二つも差してられんだろう。第二艦隊(2F)の水雷戦隊は主力の護衛をしてもらう。いざ戦闘となれば突撃して貰うがね」

 

深く考えていた山本はこう決断した。

 

「空母はどうしましょう。攻撃させますか」

「そうしたい所だが貧弱過ぎます」

 

航空参謀の佐々木が却下した。

 

「瑞鳳、鳳翔共に搭載機は少ないです。二人共戦闘機は九六式が中心で瑞鳳に零戦6機があるだけです。鳳翔の艦爆は旧式の九六式ですし、瑞鳳は魚雷を積んでいません。後方に下げて主力の艦隊直掩に努めるべきかと」

「佐々木!弱気になってどうする」

「いや、尤もだ。そうしよう。最低でも四航戦が来る午後までは持たせなければならないからな」

 

山本の鬨の声で決まっているが参謀達はピリピリしている。思ってもいなかった展開に何が正しいのかが分からなくなっているのだ。

山本はため息をついた。

 

 

 

同8時 ハワイ真珠湾

 

日本と同じく艦隊から降りた司令部は真珠湾の司令部に篭っている。太平洋の地図が広げられた部屋で士官達が考えていた。

 

「連合艦隊が接近しています」

「ナグモの艦隊が壊滅した今、敵の連合艦隊(グランドフリート)は砲撃戦に持ち込もうとしているのでしょう」

「だろうな」

 

第16任務部隊のレイモンド・スプルーアンスは冷静に賛同した。

 

「私が負けなければ…」

 

第17任務部隊のフレッチャーはヨークタウンを見捨てた判断をまだ悩んでいるようだ。

 

「いやいや。応急処置だけで再び海戦とはよくやったよ。むしろ潜水艦などにホーネットを傷つけられた私の方がイライラするね」

 

スプルーアンスは無表情で言った。言葉とは反対に全く怒っている素振りは見えない。

 

「エンタープライズはミッドウェー島を砲撃した敵艦隊に向け攻撃機を発進中」

 

エンタープライズからの報告にスプルーアンスは頷いた。その時ミッドウェー島から無線が届いた。伝令が読み上げる。

 

「ミッドウェー航空隊から入電。戦艦1隻を大破させたようです」

 

室内から歓声が上がる。

 

「やったか。しかし空母1、駆逐艦5と聞いていたが…」

 

スプルーアンスは疑問に思ったが戦力を削った事には変わりなく、日本の主力とは別の部隊なので深くは気にしなかった。

 

 

同時刻 横須賀

 

「第七戦隊から入電。我二度目の空襲を受け、三隈轟沈、最上中破、朝潮荒潮が小破の被害を受ける」

「くまりんこがやられたか」

「敵空母はそっちを攻撃してくれたな」

「このまま向こうに行ってくれれば良いが…」

 

一等巡洋艦の損失は大きいが空母4隻に比べれば衝撃は少ない。むしろ昼間に突進する連合艦隊に向かわなくて良かったという雰囲気が流れている。

山本は時計ばかりを眺めていた。

 

 

 

同9時20分 ミッドウェー沖

 

「壮観ね」

「連合艦隊の主力が揃ってるからな」

 

大和と長門が話すように、現在第一艦隊と第二艦隊の警戒隊は合流して大艦隊となっている。空母部隊の前衛として突撃、敵攻撃隊の吸収という意味合いもある。

 

第一戦隊 大和、長門、陸奥

第二戦隊 伊勢、日向、扶桑、山城

第四戦隊 愛宕、鳥海

第五戦隊 妙高、羽黒

を中心に左右を第二、第三水雷戦隊が固めており、三本の束になって進んでいる。 

続く空母部隊は金剛ら第三戦隊が横に並び、その後ろに鳳翔、瑞鳳、夕風(駆逐艦)が、外周を第四水雷戦隊が固めている。

 

また、第一航空艦隊の生き残りと被害を受けた鈴谷ら第七戦隊、ミッドウェー島攻略部隊、補給部隊はウェーク島航空隊の傘へ入り、主力の突撃後に再接近する予定だ。

 

いよいよ艦隊決戦という形であるが、アメリカの艦隊は空母と重巡が中心であり戦艦は1隻もいない。スプルーアンスは元々水雷屋であるため、日本と砲雷撃戦をしてみたいという気持ちが無くはなかった。しかし、こちらは正規空母という長槍が主兵装であるため、一定の距離を保ちながらむしろ後退していた。

日本は大艦隊ではあるが、速度は扶桑型に合わせて最大でも21ノットでしかないが、アメリカは30ノットである。追いつけるはずが無かった。

しかし山本は時計を見つめたまま、ただ時を待っていた。

 

 

 

同10時30分 連合艦隊

 

「北東から不明機多数。敵艦載機だと思います」

 

大和が電探で敵機を察知した。

 

「ついに来たか」

「空母1隻とは言え侮れないわ」

 

長門と陸奥が応じる。

 

「対空戦闘用意!」

 

大和の掛け声で全艦が一斉に零式通常弾(榴弾)を装填、砲機銃を北の空へ向けた。

 

 

 

同10時35分 連合艦隊上空

 

エンタープライズから発進した航空郡司令のクラレンス・マクラスキー少佐は眼下に見えて来た大艦隊に思わず口笛を吹いた。

 

「主力空母を沈めたと思ったらまだこんなにいたとはね」

「やつらも必死ですなぁ」

 

彼の部下もあまりの数に苦笑しているようだ。

彼らは真珠湾にある艦娘搭載航空隊司令部からの映像を見ている。航空機とはモニターではなく直接脳波で繋がっており、本当に搭乗しているかのような感覚である。実際の航空機には搭乗スペース一杯に装置が詰め込まれており、それとリンクする事で遠隔操作が可能で、かつ空母艦娘が運用出来る。しかし搭乗員と感覚が繋がっているので無人機のような10Gを超える動きは出来ない。

とは言え全員が回線で繋がっているので無線が無くても意思疎通出来る利点は大きい。その分通常の有人機より高額になるが、操縦を妖精に任せる機体よりは格段に安い。

この技術を持っているのは未だに日英米の三カ国だけであり、航空母艦保有の大きな壁となっている。

 

「妖精のやつらにはこの景色をどう見ているんでしょうね」

「同じじゃないか?」

 

クラレンスは横のF4Fワイルドキャットを見る。パイロットの妖精はこちらに気づくと敬礼をした。風防が心なしか輝いているように見える。

比較的潤沢な予算があった米海軍航空隊は消耗品であるパイロットを育てるより資金に物を言わせて妖精という"ユニット"を大量に生産した。それに最新鋭のF4Fが加わり米空母航空隊は世界最強と謳われていた。

だがマニュアル通りの戦闘は少数精鋭の人間パイロットが乗った日本のゼロの前には的でしか無かったのだ。

 

今回も瑞鳳と鳳翔が上げたなけなしの戦闘機に2機が撃墜されている。零式3、九六式6にF4Fが21機という性能と数が開いた戦闘でもこれである。

帰還したら上にレポートを出さなければとクラレンスはため息をついて艦娘の品定めをしているとふと一隻の艦娘に目を奪われた。

その艦娘は中央に位置しており武装から戦艦と分かる。だが後ろに控えるナガトクラスが小さく見える程の武装だ。9本の主砲は17インチ(43cm)はありそうだった。

 

「新型戦艦だ!大きいぞ」

「将旗が上がってますし、旗艦だと思われます」

「直掩機は片付けましたし、攻撃しましょう!」

 

部下達は歓喜の声を上げて攻撃を具申して来た。

日本艦隊は艦隊決戦或いは島砲撃を狙っているし、直掩機の数を見ても残存空母は小型レベル。とすればこの新型とナガトクラスを沈めれば合衆国の勝利である。クラレンスは素早く計算して攻撃を許可した。

 

 

 

同10時45分 横須賀

 

「連合艦隊が米空母から空襲を受けました!」

「被害は」

 

伝令に参謀長の宇垣が鋭く反応した。

 

「は。攻撃は大和に集中。被弾7、至近弾8。それにより右舷の副砲が破損、主砲第二砲塔が電路切断により使用不能との事です」

「かなりやられたな」

「それで、何機墜とした」

「瑞鳳隊が2、大和と陸奥がそれぞれ機銃で1です」

 

あまりに少ない数に失望の声が漏れる。

 

「やはりその程度だよなぁ」

「最上砲の薄い装甲が仇となったか。対空砲火を増やさねば」

 

それに対しての山本と宇垣の反応は正反対だった。

 

「長官。如何なさいますか」

「如何も何も続行に決まってるだろう。あと数回耐えるだけだ」

 

参謀の問に山本は力強く答えた。

 

 

 

同14時 第16任務部隊

 

「第四次攻撃隊発艦」

 

エンタープライズは一人で攻撃隊を送り続けた。リーチを活かした完璧なアウトレンジ。だが空母一隻に戦艦7隻は荷が重すぎた。

三度の攻撃は中心部の戦艦三隻のみを狙っている。弾みで護衛の駆逐艦娘2隻を沈めた程度で三隻が沈む気配はまだない。特に最新鋭のアイオワとも肩を並べそうな旗艦はすでに10発以上の1000ポンド(454kg)爆弾と魚雷を命中させているが落伍していない。長時間の連続運用と敵の粘り強さがエンタープライズを疲れさせていた。

米空母機動部隊を地獄に陥れた報告が入ったのはそんな時だった。

 

「北方より不明機多数!」

 

軽巡アトランタの電探が捉えた影に艦隊は混乱した。

 

「そんなはずは…」

「ミッドウェー基地からの増援かしら?」

 

重巡ニューオーリンズが疑念の声を上げる。

 

「でもあそこにはそんなに飛行機はないはず」

 

重巡達の議論に第一駆逐戦隊のファラガット型駆逐艦娘達は混乱し始めた。嚮導駆逐艦ウォーデンが制しようとしているが収まらない。

 

「念のため直掩機を上げるわ」

 

エンタープライズはF4Fワイルドキャット4機を撃ち出す。全力で攻撃を仕掛けるために手元に残した艦戦は僅かであった。敵機の空襲を受ける可能性は低いと考えていたからだ。

やがて空の彼方に大量の黒点が表れ、確認に行った偵察機がそれらに赤い丸が付いているのを確認して撃墜されると艦隊は大混乱となった。

エンタープライズは慌てて残っていたF4Fを4機上げる。

しかし直掩機の奮戦虚しく日本機は艦隊の上空までたどり着き真上で壮絶な空中戦が始まる。味方機を撃たないように対空砲火は控えめにせざるを得ない。

ワイルドキャットはすぐに撃墜され、攻撃隊が突撃体制へと移る。

この攻撃隊を放ったのは第四航空戦隊の龍驤、隼鷹である。アリューシャンから急ぎ南下してなんとか間に合ったのだ。連合艦隊は攻撃は出来なかったが空母の位置は把握しており、盛んに無線を発信していた。その位置に向けて攻撃隊を放ったのだ。

 

第一次攻撃隊は

龍驤 零戦6、九七艦攻12

隼鷹 零戦3、九九艦爆18

であり、中型空母二隻と言えど充分である。

 

この攻撃でエンタープライズが中破、重巡2を大破、駆逐艦2を撃沈した。

ダメコン班の活躍で轟沈を免れたエンタープライズだがカタパルトが破壊され迅速な運用が出来なくなった。

 

四航戦は第二次攻撃隊として共に艦攻を繰り出してエンタープライズを仕留めようとしたが、またもやダメコン班に救われて撃沈には至らなかった。しかし、着艦が困難で連合艦隊を攻撃した多数の艦載機が海上に不時着するかミッドウェー島に避難、護衛艦も甚大な被害が出たためスプルーアンスは撤退を決め、エンタープライズは泣く泣く真珠湾へと戻った。

 

その後連合艦隊はミッドウェー島に到達。飛行場を砲撃した後に大破した大和、長門を庇いながら帰国。

代わりに第二艦隊が進出して揚陸を敢行し、これを占領した。

第四航空戦隊は弾薬切れにより追撃を諦め、揚陸の上空掩護をした後に帰還した。

 

 

 

6月10日 真珠湾

 

「…という訳でして、我が軍はミッドウェー島を失いました」

 

スプルーアンスはニミッツ太平洋艦隊司令長官に海戦について報告を行った。

 

「君がいながらこの体たらくか」

「大変申し訳ございません」

「ホーネットは空爆で沈み、ヨークタウンは放棄された後に潜水艦に沈められ、エンタープライズは重症を追って帰還か」

 

ニミッツはため息をつく。冷静沈着なスプルーアンスも流石に厳しい表情のままだった。

 

「しかし日本もナグモの空母4隻を沈められてますし、ナガトクラスやあのモンスター(大和)も大損害を負っています」

 

ヨークタウンを率いていたフレッチャー提督は海戦によって得た戦果の大きさを主張する。

 

「そうです。合衆国はエセックスクラスや護衛空母を大量生産しています。対して日本にはそのような建造能力はありません。今を耐えれば必ず勝てます」

()()()()()ね。今太平洋で動かせる正規空母は今日パナマを超えたワスプだけだ。エンタープライズも流石に修理に時間がかかる。それまでどうするのかね」

「海上交易路の遮断です」

 

ニミッツの問にスプルーアンスは淀みなく答える。

 

「潜水艦か…悪くないな」

 

ニミッツは潜水艦に絶大な信頼を寄せている。

アメリカ太平洋艦隊は三箇所の潜水艦基地を持っている。ハワイ、オーストラリア、フィリピンだ。

そのうちフィリピンは開戦時に日本航空隊が台湾から渡洋爆撃をした際に偶然魚雷格納庫に命中。一日で基地機能を失った上、フィリピン占領により物理的にも使用不能となった。

それとは別にアメリカ製の魚雷は不調が多く、P・S級潜水艦娘から苦情が出ていた。

そのような前途多難な潜水艦艦隊だが、魚雷の改良やガトー級の大量生産で改善されるだろう。

 

ニミッツは現在よりさらに積極性な通商破壊作戦を行うように通達をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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