これも評価して下さった方、お気に入りに登録して下さった皆様方のおかげです。
ほんとうにありがとうございました。
至らない所や表現が下手で読みにくい部分が色々と出てきて不快にさせてしまうかもしれませんが気をつけて直していきますのでどうかこれからもよろしくお願いします。
話の展開的にどうしても必要だったとはいえ今回は特にやりすぎたと思ってますのでマミさんファンの方や原作ファンの方は不快に思われるかもしれないのでご注意してください。
~~マミサイド~~
鹿目さんと美樹さんの協力で生まれたての魔女を追い詰めてとどめのティロ・フィナーレを放ち勝敗は決まったと確信した時にソレは現れた。
魔女を抱きかかえて光の障壁でティロ・フィナーレを防いだ白い鎧の人物。
白龍皇アルビオン。
城戸一真君の宿命のライバルであり一真君の左腕に宿る赤いドラゴン【ドライグさん】と相反する力を持った
一真君もその正体は知らないと言う。
ただ分かるのは声からして男性だということ。
私が彼に会ったのはこれで三度目だ。
一度目は去年の夏に赤龍帝の鎧を纏った一真君が白龍皇に負けた時。
あの時は信じられなかった。
あんなに強かった一真君が負けたのだから。
そういえばあのとき一緒に強くなろうって約束したっけ。
でももうその約束は果たせない・・・。
二度目は鹿目さんと美樹さんが魔女の結界に巻き込まれ二人と契約しようとしたキュゥべえを粉々にされた時。
キュゥべえは無事だったけどキュゥべえにひどいことをした暁美さんと白龍皇は許せない。
そして今、白龍皇は
彼がなぜ魔女を助けたのか分からない。
分かっているのはただひとつ。
私の命を狙ってる。
理由は分からない。
魔女を掴んだまま浮遊してた白龍皇がゆっくりと降りてくる。
その間に白龍皇を迎え打つ準備をする為に銃弾の入ったマスケット銃を新たに召喚する。
相手は一真君ですら倒せなかった相手だ。
油断しないのはもちろんだけど作戦なしでまともに正面からぶつかっても勝てる相手じゃない。
それに…チラッと後ろを見るとキュゥべえと不安そうにこちらを見ている鹿目さんと美樹さん。
なんとしても二人をここから逃がさないと。
そして静かに着地する白龍皇。
すごい威圧感だ。
立って向かい合ってるだけなのに息苦しい…
すごいわね一真君。
こんな恐ろしい相手とたった一人で戦ったなんて…
「赤龍帝は来ていないようだが?」
周囲をゆっくりと見回し一真君を探している。
そうか白龍皇は私と一真君が仲違いしたのを知らないんだ。
なら当然私と一真君が一緒に行動してると思ったのね。
「鹿目まどか、赤龍帝はどこだ?」
「え、ええ?」
いきなり鹿目さんの方を見て名指しで尋ねる白龍皇。
鹿目さんも突然質問され驚いている。
しまった、私なら上手く誤魔化せるけど嘘が苦手そうな鹿目さんなら正直に答えてしまう。
「あ、あの、一真君には連絡したんですけどまだ来てないんです」
申し訳なさそうに打ち明ける鹿目さん。
「まどか、もしかして一真にも連絡したの?」
「ご、ごめんね、さやかちゃんなにが起こるか分からなかったから」
一真君に連絡した事に美樹さんが鹿目さんに怒っている。
元はといえばケンカしてしまったのは分からず屋の一真君の所為。
あなたがそんなに気にしないでいいのよ。
現に今、白龍皇が魔女を助けるという予想外の出来事が起きているのだから。
鹿目さんを攻められないわ。
「なるほど、そういうことか」
鹿目さん見ていた視線が再び私の方に向けられる。
この中で戦う力があるの私だけ。
だから注意しているのだろうか。
ただ分かるのは私たちの敵である魔女を助けたこと。
「どうして魔女を助けるような事をしたの?」
白龍皇を睨む。
もう少しで魔女を倒せたのに…それを邪魔して。
「別に魔女を助けたというわけではない。あのまま黙って巨大化させて君が負けて見捨てるのもまた一興だと思ったがそれだと大きすぎて私の計画に支障が出てしまうからな」
「巨大化?私が負ける?一体何のことよ?」
あのままなら私が勝っていたのに何を言ってるか分からない。
「知る必要はないだろう。今から君はここで消滅するのだから」
白龍皇から殺気か出る。
私は見滝原の魔法少女としてみんなを護る為に魔女や使い魔と戦ってきた。
人から恨みを買うことなんかしてない筈。
白龍皇は何が目的なの?
「ちょ、ちょっとなんでマミさんを狙うんだよ。あんたの狙いは一真じゃなかったの?!」
「・・・少し違うな美樹さやか。私が狙うのは私が邪魔だと判断した者だ」
私が邪魔者ってどういうこと?
「なにか誤解をしてるんじゃないかしら、私はあなたに恨まれる覚えはないんだけど?」
「今しているさ、戦う力の無い少女を危険地帯に連れて来て追い込み、願いという甘いエサでいつ終わるか分からないグリーフシードを巡る地獄のような魔女と魔法少女の闘いに平然と友達を引き込もうとしているじゃないか」
言いたい放題って言ってくれわね。
確かに魔法少女同士のグリーフシードの奪い合いという問題はある。
でもそれは互いに分け合えたら解決し魔法少女が増えたらそれだけ魔女に襲われる被害者が減る。
それのどこがいけないことなのよ。
「あなたも一真君のように白龍皇の力で鎧を着ている人間なんでしょ?ならどうして人を襲う魔女を庇ったり魔法少女の私に攻撃したりするの?今なら許してあげるからこんなこと今すぐやめなさい」
忠告しているのにも関わらず白龍皇はこれ以上なにも答えない。
そうあくまでも無視して戦うつもりなのね。
残念だわ、あなたが味方になれば心強かったのに。
だったらその兜と傲慢な自信を打ち砕いて正体を暴き二度と表れないように警察に突き出してあげる。
マスケット銃を構えたその時。
「いきなり出てきてなんなんだよ!魔法少女が増えたら平和になっていいじゃん!それにその魔女はマミさんのだ!勝手に取んな!」
私の代わりに怒った表情の美樹さんが白龍皇の前に割り込んできた。
(っといけない、挑発に乗って近づいたら力を奪われてしまう。接近戦は不利ね・・・なら!)
怒った美樹さんを見て逆に私は落ち着く事ができた。
自分以上に怒った他人を見たら自分は冷静になれるって本当だったのね。
「……この魔女にはまだ実験材料としての利用価値がある。渡すわけにはいかない」
「魔女を使った実験?あなたは一体何を企んでいるの?」
「お前には関係のない事だ。これからいなくなるのだからな」
右手をこちらに向ける白龍皇。
やっぱり戦う気なの
「ど、どういう意味だよ」
殺気に押された美樹さんが一歩下がる。
「そのままの意味だ、魔女の結界内で亡くなれば死体も残らないので後処理が楽に済む、それと安心しろ巴マミを始末したら美樹さやかと鹿目まどかは逃がしてやるつもりだ」
やっぱり思った通りこの人をこのままにしておくのは危険だ。
鹿目さん達は見逃すと言ってるけど信じられない。
なら私にできる事は白龍皇に勝って魔女も倒してここから鹿目さん達と抜け出るだけ。
「あら、あまり女の子を甘くみていたら痛い目に遭うわよ」
悪いけど病院送りにして二度と私達の前に現れないようにしてみせる。
「美樹さん、危ないから隠れていなさい」
「わ、分かりました」
慌てて美樹さんが鹿目さん達の隠れているところに戻った。
よしこれで遠慮なく戦える。
「その魔女をどうするのか知らないけどあなたに渡すわけにはいかないわ」
即座にマスケット銃を出して発砲するが障壁に弾き返される。
「くっ!やっぱりその障壁は厄介ね」
「あいかわらず狭い視野と感情だけですべてを分かった気になり物事を進めようとするのは君の悪いクセだ」
「黙りなさい、あなたに私のなにが分かるっていうの!」
正面からの攻撃が駄目と判断し即座に白龍皇の左真横に移動してから射撃するが真横にも障壁が発生してまたも防がれてしまう。
「ならこれならどう?」
ジャンプして数十、数百のマスケット銃を召喚する。
「無限の魔弾よ私に道を開いて!パロットラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ!!」
一斉に撃鉄が落ち数百丁のマスケット銃から銃弾が発射され微動だにしない白龍皇に直撃して爆煙が舞う。
ことわざの中に塵も積もれば山となるという言葉がある。
その意味はどんな小さな塵でも積もれば山の様に大きくなるという事。
一発二発が無理なら百発同時に打ち込んで障壁を破ればいい
つまり数で押した物量作戦だ。
「これでとどめよ!ボンバルダメント!」
さらにダメ押しとばかりにさきほど魔女に放ったティロ・フィナーレを超える両手で保持できない車輪の付いた巨大な大砲を召喚し砲身の上で乗る。
ボンバルダメント。
あまりの威力と魔力の消費が激しいので模擬戦では使用できない私のとっておきの技。
威力が大きすぎて本来なら人間相手に絶対に使ってはならない技だけどティロ・フィナーレさえ防いでしまう障壁を破るにはもうこれしかない。
超巨大大砲から凄まじい爆音と共に放たれた砲弾は一直線に白龍皇に直撃し土煙が巻き起こり姿が見えないが手応えを感じた。
「キャッ!」
「うわあ!」
爆音と爆風、それに伴って起きた空気が震える振動に慣れていない鹿目さんと美樹さんは目を閉じて耳を両手でふさいで座り込んで身を屈める。
「はぁはぁ・・・さ、さすがにやりすぎたかしら。これだけの攻撃を浴びさせたらいくら何でもただで済まないわよね・・・・」
体力と魔力を一気に消費し疲労した今の私に鹿目さん達を気遣う余裕はなかった。
魔力をかなり消費した為に髪飾りのソウルジェムの穢れがかなり進んでしまったけどこれだけの攻撃を浴びたんだ。
白龍皇の鎧の強度が赤龍帝の鎧と同じなら鎧は砕け大怪我を負うくらいで死にはしないと思う。
(けどやっぱり悪い人とはいえ魔女以外の相手に攻撃魔法を使うのは後ろめたさと罪悪感を感じるわね)
煙が徐々に晴れていく。
煙が晴れたら魔女がいなくなり結界も消えるだろうから例え悪人でも救急車を呼んで助けないといけないわね。
幸い病院の近くだから大事に至らないと思うけど。
煙が少し晴れてそこに何かが見えた。
人影・・・まさかっ!?
ありえない気絶してるならともかく立ち上がってられる筈がない。
「う、嘘…!?」
そこには身を守る為の障壁を二枚に展開させている無傷の白龍皇の姿があった。
「赤龍帝だけでなく君にまでこの障壁を破るとは・・・正直計算外だったよ。片手が塞がっているから二重障壁を張らなければ私も危なかった」
一枚目の障壁は割れて地面に落ちて二枚目はひび割れを起こしている。
(信じられないパロットラ・マギカ・エドゥ・インフィニータと切り札のボンバルダメントを使ったのに障壁一枚破るのがやっとだなんて・・・勝てない私一人じゃ・・・)
このままでは待っているのは自分の死だ。
思わずその光景を想像してしまい後ずさる。
「マ、マミさん」
「出てきちゃだめ!あなた達は隠れていなさい」
いけない弱気になっちゃ!
でもどうしたら?ただのマスケット銃じゃ障壁で防がれる・・・。
障壁のない角度から撃っても防がれるし全方位どこから狙っても本人には当たらない。
遠距離攻撃が駄目なら接近戦しかないけど私はそんなに接近戦は得意じゃないし掴まれたら半減の能力で力を奪われてしまう。
どうすれば・・・
「今度はこちらから攻撃してもよろしいかな?」
バカにして!
悔しいけどこうなったら。
「レガーレ・ヴァスタアリア!」
「むっ!」
白龍皇の足元から黄色いリボンが縛り上げて拘束する。
「おまけよ!」
さきほど暁美さんをを縛った金の鎖を縫い込んだ巨大なリボンも白龍皇に絡みついて雁字搦めに縛りつける。
これなら動けないでしょ。
「これは・・・」
動こうとする縛られて動けない白龍皇。
「強引な男の子は嫌われるわよ。そっちは戦う気でもこれ以上付き合う気はないわ」
悔しいけどリボン魔法で動きを封じて態勢を立て直す為に逃げるしかない。
「さあみんな今のうちに・・・」
『Divid!!』
「・・・え?」
白龍皇とは違う声がして振り返ると白龍皇を縛り上げていたリボンがまるで氷から水のように溶けていく。
まさかレガーレに纏っていた魔力を奪ったの!
「私の半減の能力の方向性を調整すれば魔力も吸収して自分の力にすることができる残念だがこの程度の魔法など私には通用しない」
「う、うそ・・・」
背後で驚く美樹さんの小さな声が聞こえる。
私も美樹さんと同じ気持ちだ。
一真君ですら破れなかった私の魔法がこんなにも簡単に破られるなんて・・・
「い、いや来ないで!?」
どうにもできない恐怖に逃げようと白龍皇に背を向ける。
白龍皇が魔力弾を放ち私の足元で小さく破裂し足が止まる。
外れた?いえわざと外したの?
「逃げようなどと考えない事だ。逃げれば変わりにお前の母親の命はないと思え・・・」
今なんて?
「あ、あなたまさか私のお母さんを!?」
予期せぬ言葉に振り返る。
「それが嫌なら逃げない事だな」
そんな!?お母さんが私の所為で危険に晒されるなんて…。
「ひ、卑怯だぞ、マミさんのお母さんは関係ないじゃないか!」
「戦いとは常に非情なものだよ美樹さやか。先ほども言ったが君達は二人が魔法少女にならないというのなら見逃してやる」
「……美樹さん、鹿目さんと早く逃げなさい」
「で、でもマミさんを置いて逃げるなんて」
「いいから早く行きなさい!」
どうすれば・・・思い出しなさい巴マミ。
幸い白龍皇の能力を教えてもらってるし赤龍帝の鎧を纏った一真君にも模擬戦で何度か勝っている。
それに私自身も強くなっているから簡単には負けない。
「マミさん、私は逃げない三人で一緒に帰ろう」
「だから負けないで!マミさん」
それに私の後ろには逃げず応援してくれる鹿目さん達がいる。負けるわけにはいかない!
「そうか、それがお前達の答えか、ならよく見ていろその答えが間違いであることを」
「絶対に負けないわ」
白龍皇の魔力弾をなんとか避けながら対策を考える。
魔力弾は私の近くで爆発してマスケット銃を撃ち返すが効かない。
このままじゃ負けてしまう。
考えるのよ巴マミ。
一真君が白龍皇の技や特性を教えてくれた。
そこにきっとヒントがあるはず。
「どうした?人を護ると言ってきたがその程度か」
掴まれて力を奪われたら終わりだ。
私は一真君のように力を倍加して元に戻せばいい。
でも私にはそれがない。
・・・そうだ!これならいけるかも
「レガーレ!」
白龍皇の身体をリボンで縛り付ける。
「またこれか、私には効かないと知ってる筈だが」
魔力を吸収されながらも次々リボンで縛りつけていく。
「何?これは」
リボンが集中的に白龍皇の光の翼を重点的に縛りつけていく。
「まさか…!?これを狙っていたのか巴マミ!」
「余分なエネルギーを吐き出す排出口を防がれたら溜まった魔力はどうなるかしらね?しかも排出した魔力は元々私の魔力。あなたの翼を縛っているリボンが吸収してどんどん大きくなって締め上げていくわよ」
「貴様・・・」
そうこれが本当の狙い。
あらかじめ一真君から白龍皇の能力と特性を聞いていた私はこれを狙っていた。
白龍皇は吸収した力が許容範囲を超えると余った力を翼から放出して常に力を最大限の状態に保ち続けると一真君は教えてくれた。
なら余った力を逃がさないように翼を塞いでしまえば白龍皇は空気がいっぱいになった風船のように破裂して自滅する。
でなければワザワザ吸収した魔力を外に出す必要がないもの。
それが嫌なら鎧を解くしかない。
生身なら魔法少女の私に勝機がある。
「さあどうするの?このまま魔力を吸収し続けて破裂するか鎧を脱いでおとなしく降参するかどちらか好きな方を選びなさい」
油断せずマスケット銃を出して照準を白龍皇に定める。
「やったあ!マミさんの大逆転勝利だ!」
「うん、すごいよマミさん」
後ろで美樹さんと鹿目さんの歓声が上がる。
その歓声に答える為に振り返り二人に向かってウインクで答えた。
膨れ上がった魔力に耐え切れなくなったのか白い鎧や兜に亀裂が走っていく。
その相手の力を半分にする能力が逆に仇となったわね。
「やせ我慢していないで早く降参しないとあなた自身ただじゃすまないわよ」
これで勝てる。
そう思っていた。
「(さやかがいるから使うつもりはなかったんだけど仕方ない巻き込まないように手加減しないとな)」
「え?何か言った?降参するのなら大きな声で・・・っ」
『
白龍皇が腕を広げ宝玉から音声と共にオーラが発せられる。
何これ・・・
白龍皇の周辺の徐々に空間が歪んでいく・・・・。
さらに歪みは広がり結界内にあった巨大なイチゴケーキや板チョコレートが歪みに触れると半分の大きさになっていく。
まさかこの技に触れると物体の大きさ半分になってしまうの!?
半分?白龍皇の狙いは。
白龍皇の方を見ると白龍皇を縛っていたリボンが細くなって行く。
このままじゃリボンが切られる。
急いで新しいリボンを召喚して縛り直さないと。
けど召喚して巻き付いたリボンも次々細くなっていく。
リボンが細くなったことで隙間ができて光の翼から魔力が排出される。
いけないこのままじゃせっかく封じた魔力が逃げてしまう。
「レガーレヴァスタ・・・」
「遅い!」
白龍皇は白いオーラで細くなり弱くなったリボンを吹き飛ばしてしまった。
「ここまで私が追い込まれるとは君の事を見くびっていたよ、しかし…」
白いオーラが全身を覆うとあんなに苦労してヒビだらけにした鎧が修復されて新品同様に元に戻る。
「ここからは遊びでなく本気を出す事にする」
さっきまでとは違う空気とオーラが放たれ。
私は疲労と恐怖で足に力が入らなくなり膝をつく。
私の全力が白龍皇にとったら遊び程度だったなんて。
「そ、そんな・・・」
魔力もほとんど残ってなくマスケット銃を一、二発撃つのが精一杯・・・。
対して白龍皇はダメージ一つ無い
だ、だめだ…どうやっても私じゃあ勝てない・・・
「そんなマミさんがあんなにがんばったのにチートすぎじゃないか・・・強すぎるよアイツ・・・」
「こんなのってないよ・・・」
白龍皇の理不尽すぎる強さに二人の顔が絶望に染まる。
「ど、どうして・・・どうしてそこまでこの二人の魔法少女になろうとするのを邪魔するの?あなたは一真君と同じで魔力を使ってもグリーフシードを必要としないのに・・・」
この負けるくらいならせめて私を狙い二人の契約をここまで反対する理由を知りたく尋ねた。
「ふ、グリーフシードか・・・そんなものいらないさ。君は現実を理解していない。ただでさえグリーフシードを落とさない使い魔を狩ってグリーフシードは不足しているにもかかわらず魔法少女を無責任に増やそうとする。そうなれば君のようなベテランの魔法少女がグリーフシードを独占し弱い新人の魔法少女はグリーフシードは回らず魔法少女でいられなくなり淘汰される運命しかない。これを地獄と言わずになんと言う?」
「で、でも分け合ったらそんなの・・・」
確かにそうだけど私達ベテラン魔法少女がサポートするそれでいい筈。
私がそう言おうとしたが…。
「君は他の魔法少女が命懸けで必死に戦った報酬を強要するのか?それとも君一人であの二人に分け与えると?共倒れもいい所だな」
「そ、それは・・・」
言い返せなかった。
みんなで協力して魔女を倒してグリーフシードを均等に分ける。
それが一番いいと思っていた。
けど暁美さんや魔法少女襲撃犯のようにそれに納得できない魔法少女もいる。
グリーフシードは魔法少女が魔女との戦いで命懸けで手に入れた貴重な戦利品。
それを他者と分け与えて、その上魔女に成長する前のグリーフシードを落とさない使い魔を狩っている事はもしかして間違いではないかとずっと考えないようにしていた。
「城戸一真はそれを理解しているみたいだがな」
私は一真君もグリーフシードを分け与える考えを受け入れてくれると思っていた。
いや思い込んでしまっていた。
「魔法少女といっても万能じゃない。もし俺達が負けたらなんの力のない二人は犠牲になってしまう」
「魔法少女が増えたらグリーフシードは不足してしまう」
体験コースの別れ際に一真君に言われた忠告を思い出す。
けど何も分かっていなかった私は忠告を聞かなかった。
魔法少女を増やすデメリットに気づけなかった自分の考え方の甘さとワガママで大切な友達を過酷な戦いの渦に巻き込もうとしていた心の弱さに情けなく自然と涙が流れる。
一真君の言ってたように人を護る為に魔女だけでなく使い魔も倒す私の考えは独りよがりな綺麗事だったと白龍皇にそう思い知らされ漏れる嗚咽を止める事が出来なかった。
「覚えておく事だね、分け与えるいう言葉は良い言葉だが現実的ではない害悪な言葉でもあると言うことを」