魔法少女と偽りのヒーロー   作:カオスロイドR

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第22話 許されない契約

~~まどかサイド~~

 

 

昼休みの屋上でフェンスに背を預けて左隣に座るさやかちゃんと二人でお昼ご飯を食べた後、昨日あった出来事を話し合っていた。

 

話を聞いて一日立ったけどまだ実感が湧ないな。

 

杏子ちゃんとマミさんが実は魔法少女で城戸く・・・ううん一真君が赤い鎧を着てみんなに秘密で悪い魔女や使い魔と戦っているなんて。

 

「ねぇ願いごと考えた?」

 

誰の役にも立てない私と大違いだ・・・

 

「まどか?おーいまどか!」

 

「え?何さやかちゃん」

 

「何ボーッとしてるのさ?願いごと決まった?」

 

「う、ううん、さやかちゃんは?」

 

いけないさやかちゃんの話聞いてなかった。

 

やっぱり駄目だな私・・・

 

「あたしも全然だわ。願いごとなんていくらでも思いつくと思ったんだけど命懸けてまで叶えたい願いと言われるとね・・・」

 

《意外だなあ大抵の子は、二つ返事なんだけど》

 

右隣にいるキュゥべえが座って無表情で首を傾げている。

 

キュゥべえは魔法少女や魔法少女の素質のある子、一真君のようなイレギュラー的な力を持った人間にしか見えないし声も聞こえないそうだ。

 

だからこうやって人前に堂々と現れても大丈夫らしい。

 

「きっとバカなんだよ」

 

「そ、そうかな」

 

バカって…どうしたんだろいきなり?

 

「そう幸せバカ」

 

幸せバカか・・・・

 

そう言われると心辺りがある。

 

「私達ってさ恵まれてたんだね、だから命を懸ける願いもない。マミさんや杏子の話を聞いて思ったんだ。なんであたし達なのかなって・・・命に代えても叶えたい願いがある人って世の中にたくさんいる筈なのに・・・なんか不公平って思ってさ」

 

そうだよね、

 

そうかもしれない・・・

 

私には帰る家もあるし温かく迎えてくれるママとパパがいて弟のタツヤがいてなんの不自由もない生活を送っている。

 

だから命を懸ける願いがないのかもしれない。

 

「だったら断りな。そんな中途半端な覚悟で魔法少女になられたらこっちが迷惑だ」

 

「杏子ちゃん」

 

「杏子」

 

いつのまにか杏子ちゃんが私達の前に立っていて見下ろしていた。

 

「じゃまだ、どけよ」

 

キュゥべえを足で押しのけてお弁当を持った杏子ちゃんが来て私の右隣に座る。

 

私達の魔法少女の契約に反対している杏子ちゃんはキュゥべえを嫌っている。

 

気持ちは分かるけど仲良くできないのかな。

 

「あれ?一真は?一緒じゃないの?」

 

「知らねえ、何時の間にかいなくなってて探してたらおかげで昼飯食いそびれかける所だった」」

 

お弁当のおかずを口に入れながら杏子ちゃんが答える。

 

一真君が見つからなくて少し怒ってるみたい。

 

「その杏子、なんていうか・・・」

 

言いにくそうなさやかちゃん。

 

私も同じだ、杏子ちゃんになんて言ったらいいんだろう。

 

「別に同情されたくて話たんじゃねえ。アタシが自分で選んだ道だし親父の事も整理がついてる」

 

私達は杏子ちゃんから魔法少女になったいきさつとお父さんの事を教えてもらった。

 

あの明るい杏子ちゃんにそんな過去があったなんて。

 

「私は昼飯を食べに来たついでにさやかとまどかに魔法少女にならないようクギを刺しに来たんだがアンタもその口かい?【転校生】」

 

「あんた・・・!」

 

「ほむらちゃん!」

 

杏子ちゃんの顔を上げた目線の先にはいつのまにか屋上に上がっていたほむらちゃんがこっちを見ていた。

 

「何?なんの用だよ?言っておくが一真は信じてるみたいだけど私の中であんたが魔法少女を襲っている黒い魔法少女の疑いはまだ完全に晴れた訳じゃないんだからね、それとも昨日の続きか?」

 

さやかちゃん・・・まだほむらちゃんを疑ってるんだ・・・

 

「・・・いいえ、そのつもりはないわ。」

 

ほむらちゃんが私達に見せない冷たい目でキュゥべえを睨む。

 

「そいつがまどかと接触する前に決着(ケリ)をつけたかったけれど…今更それも手遅れだし」

 

どうしてそこまでしてキュゥべえを襲おうと狙っているの?

 

ただグリーフシードっていうのを独り占めしたいってだけじゃないみたい。

 

他にも理由があるような気がする。

 

「昨日の話覚えてる?」

 

「え?う、うん」

 

昨日の話、変わらずそのままのあなたでいなさいって話だ。

 

もしかしてほむらちゃんは私に魔法少女の素質があるのを知っていていたのかな。

 

「そう・・・なら忘れないで、そいつの甘言に耳を貸して後悔することがないように。私の忠告が無駄にならない事を祈ってるわ」

 

「あ・・・待ってほむらちゃん!」

 

帰ろうとするほむらちゃんに思わず声を掛けて呼び止めてしまう。

 

どうして会ったばかりの私をそんなにも心配してくれるんだろ。

 

やっぱり私が忘れてるだけでどこかで会った事あるのかな

 

「ほ…ほむらちゃん!その…ど、どんな願い事をして魔法少女になったの?」

 

「っ!?」

 

そう聞くとほむらちゃんは驚き辛そうに表情を歪めて走って立ち去っていった。

 

「何アイツ?」

 

「気にすんなよまどか、中途半端な願いで魔法少女になっちまったらいつか後悔する時がどこかであるもんなんだ。あいつもそうなんだろう」

 

「う、うん」

 

杏子ちゃんはそう言ってくれたけど私はなぜか悪い事を聞いた気がしてなぜか胸が痛み、ほむらちゃんのあの泣きそうな表情が頭から離れる事ができなかった。

 

「そういやおまえら今日の放課後のマミさんが言ってた今日の″アレ゛ほんとに参加すんのか?」

 

「もちろん行くよ、まだどうするか決めてないけどこんな体験めったにできないからさ」」

 

「ごめんね杏子ちゃん、せっかくマミさんが誘ってくれたから・・・ほむらちゃんは心配してくれたけどこんな私に魔法少女の素質があって一真君達や誰かの為に役に立てれるならがんばってみたいんだ」

 

そう今日は私とさやかちゃんはある事で放課後マミさんに誘われている。

 

「・・・はああぁぁ~来るなって言っても行くつもりなんだろ?目をつむって許すのは今回だけだからな」

 

杏子ちゃんは呆れてため息を吐いている。

 

許してくれたけどやっぱり杏子ちゃんもほむらちゃんと同じで私達が魔法少女関連に係わるのは反対なんだね。

 

 

 

 

【一真サイド】

 

まどかさん達が屋上にいる同時刻

 

俺は上条に人払いの結界を張り巡らされた校舎裏に呼び出されて反省会であった事をすべて包み隠さずにすべて打ち明けていた。

 

あまり言いたくなかったが仕方ない事だ。

 

『勘の鋭い奴だ。隠していてもすぐバレる』

 

ならここで打ち明けておいた方が相手の出方が見れるとドライグと話し合って決めた。

 

さて話を聞いた上条がどう出るか。

 

うわぁ・・・

 

話を聞いて案の定、目の前に見るからに機嫌の悪い表情と態度の白龍皇こと同じ転生者の上条恭介。

 

あ~帰りたい・・・

 

「とりあえずこれが反省会であった事の出来事だ」

 

「そうか、まあ名前に関してはさやかから言い出したみたいだし僕は何も言わない・・・で?なにがどうしたらそこからああいう事になったんだい?」

 

噓つきめ・・・うまく隠そうとしてるけど悔しそうな顔してるじゃないか。

 

まあ今はそれを冷やかしてる場合じゃないな。

 

「色々あったんだよ・・・」

 

「その色々を聞いてるんだ!さやかがインキュベーターと接触してしまった事は僕にも落ち度があったから文句は言えない。けどなぜだ?なぜあの魔法少女体験コースなんてふざけたイベントにさやかが参加する事になってしまったんだ!インキュベーターを目の前で粉々にして警告したのに!」

 

怒鳴るなよ、俺だってそう思ってるんだから。

 

ほんとなんでこうなっちゃうんだろうな・・・

 

 

 

 

理由は遡る事昨日の反省会の時だ。

 

「杏子ちゃん、マミさん今後の放課後の魔女捜索は常に三人で行動する事にしよう」

 

俺の神器(セイクリッド・ギア)の説明が終わり今後の方針としては黒い魔法少女の件でいつマミさんや杏子ちゃん、暁美さんが襲われるか分からないので単独行動を控えできるだけ一緒に行動するようにお願いして魔女退治の方は魔法少女襲撃犯を見つけて事件が解決するまで三人一組(スリーマンセル)で行動をしようと提案した。

 

「分かった」

 

「・・・・分かったわ」

 

杏子ちゃんすぐ納得してくれたがマミさんはなぜか返事を渋り辛い顔になった。

 

「暁美さん、君も俺達と一緒に戦ってくれないか?」

 

暁美さんも誘ったがなれ合うつもりはないと断られた。

 

まあ時間停止を使えるし、魔法少女としてもかなりの実力者だから万が一黒い魔法少女に遭遇しても大丈夫だと思うけど。

 

「・・・鹿目さんと美樹さん、あなた達はキュゥべぇの声が聞こえたんでしょう?」

 

事の始まりは説明と反省会終了後みんなでゲームで遊んでたらマミさんの唐突な一言だった。

 

「は、はい…聞こえましたけど……」

 

「わ、私も・・・最初はに何が何だか分からなかったけど」

 

「……いずれ分かる事だろうから今、ここで言っておくわ」

 

「鹿目さんと美樹さんには魔法少女になるだけの資質がある」

 

「わ、私達が…魔法少女に……?」

 

いきなり魔法少女の素質があるって言われて驚くよね。

 

歓迎されない素質だけど・・・・

 

「余計に悩んじゃった?」

 

困った顔の二人を見て次にマミさんはとんでもない事言い出した。

 

「ねえそれなら二人とも私達の魔女退治を見学してみない?」

 

「ええっ!!」

 

マミさん当然何を言い出すんだ!

 

そう原作と同じようにまどかさんとさやかさんを魔法少女に勧誘し始めたのだ。

 

原作では魔法少女として戦う孤独感に耐えきれずまどかさんとさやかさんを魔法少女に誘っていたのだがこの時間軸では男性だが一緒に戦える俺と自分の願いの所為で家族を失い魔法少女としての方向性が変わり仲違い(なかたがい)してしまった杏子ちゃんがいて一緒に戦っているからもうまどかさん達を魔法少女に誘わないと思っていたんだけど。

 

「冗談じゃねえ!部活や遊びじゃないんだぞ!」

 

「何を考えてるの巴マミ、あなた…自分が何を言っているか分かっているの?」

 

これに杏子ちゃんと暁美さんが激怒して大反対。

 

そりゃそうだ。

 

杏子ちゃんは戦いの厳しさと魔法少女になった所為でお父さんに罵倒される辛い現実に直面した、暁美さんも何度失敗してくじけず時間遡行を繰り返してまどかさんの契約を防ごうとしているのに。

 

「でもこういうのって一度ちゃんと見てから決めた方がいいと思うの」

 

「アタシらがいるんだからさやか達まで契約させる必要ねえだろ!」

 

「私はこの子達が自分で決断できるように手伝うだけ、ただそれだけよ?」

 

「あなたは危険な命懸けの戦いに…ただの一般人を巻き込むというの?」

 

「キュゥべえに選ばれた時点ですでにただの一般人とは言い切れないわ」

 

いや選ばれたから一般人じゃないってそれおかしくない?

 

今はただ白い生物が見えるだけのそれ以外はどこにでもいる普通の女子中学生なんだから。

 

「巴マミあなたはどこまで……」

 

「一真!お前も黙ってないで何か言えよ!」

 

そうだね俺も疑問に思っている事と思っている事をぶつけてみるか。

 

「マミさんはっきり言って俺も杏子ちゃんや暁美さんと同意見で二人を魔法少女に誘う事は反対だ」

 

「城戸君まで!どうして?仲間が増える事は素晴らしい事じゃない」

 

「確かに仲間が増える事はいい事かもしれない、でもそれが命懸けの魔法少女なら話は別だ。杏子ちゃんも言ってたけど戦いは死と隣り合わせの危険な事なのにそれをこちらが強要する必要ない。それに今は魔法少女を襲っている黒い魔法少女の事件や白龍皇の警告もある、鹿目さん達が魔法少女になれば白龍皇達に襲われる危険性があるんだ。マミさんはまどかさん達を危険な目に遭わせたいの?」

 

「白龍皇ってあの白い鎧を着てた・・・」

 

「あいつが私達に・・・」

 

白龍皇の名前が出た瞬間、脅しが効いていたのかまどかさんとさやかさんが青ざめて震える。

 

魔力弾でキュゥべえが目の前でバラバラになったこと思い出しいるんだろう。

 

もし魔法少女になったら自分たちも同じようにバラバラにされるかもしれないと。

 

その恐怖で魔法少女になろうとする事にを歯止めをかけているようだ。

 

自分が悪者になるのも顧みず美樹さんの為に上条は動いた。

 

荒療治とはいえ大した役者だよ、ほんとに。

 

まあ白龍皇の正体はさやかさんを護ろうとしている上条だし、さやかさんも原作では上条の腕を治す為に魔法少女になったけど上条自体は転生者の特典で得た白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)の力で交通事故から無傷で生還しバイオリンを弾く左手もなんともなってないから魔法少女になる可能性は楽観視できないが少ない筈だ。

 

ただ問題はまどかさんだ。

 

俺達が危険な事をしていると知った今、優しい彼女の事だ。

 

誘われれば自分も魔法少女になると言い出すだろう

 

原作でそうだったからな。

 

かといって魔法少女の秘密を話すわけにもいかない。

 

話せば杏子ちゃんやマミさん、暁美さんの見る目が同情的な目に変わり無意識に遠慮がちになってしまう。

 

そうしたらなにがあったかとまどかさんを攻めて耐えきれなくなったまどかさんが話してしまい真実を知ってしまったマミさんが錯乱して自分を含めた魔法少女を殺してしまう。

 

それだけは何としても防がないと。

 

結局の所はマミさんに魔法少女の勧誘を諦めてもらうしかないって事か。

 

はあ、頭痛い・・・どう説得すれば分かってもらえるのだろう・・・

 

「確かにそうね、でも経験は私達が教えて積ませればいいし白龍皇や黒い魔法少女は私達が二人を護ればいい。それでいいじゃない城戸君だって強くなってるんだから決して白龍皇にも負けはしないと思うの」

 

そういう事言ってるんじゃないんだよマミさん・・・

 

「いい加減にしろよマミさん、魔法少女って人とは違う力を得ただけで周りの人間から怖がられて避けられる存在になっちまうんだぞ!」

 

「どう言う事?」

 

杏子ちゃんの言葉にマミさんの驚きの表情が変わる。

 

「誰かを助けるのに戦っても助けた奴から化け物扱いされるって事もあるんだよ」

 

「そんな事ないわ。私達は絶望を撒き散らす魔女と戦ってるのよ。みんな話せば分かってくれる」

 

魔法少女はみんなの為に希望を振りまく存在と信じ切ってるマミさんが言い返し杏子ちゃんは一瞬だけ辛い顔をしてポツリと話す。

 

「・・・昔、親父に魔法少女だと知られて普段優しい親父からお前は魔女だとか悪魔だと怒鳴り散らされたんだよ」

 

「え?」

 

魔法少女は人を護り感謝されると思っているマミさんとまどかさんとさやかさんが驚きの声を上げる

 

まさか話すつもりなのか!?

 

「それだけ魔法少女になるってんのは覚悟が居るんだ。知られたら肉親ですら変貌するんだから」

 

「杏子ちゃん、それは!」

 

説得の為とは言え思い出したくない事態々言わなくても。

 

それに杏子ちゃんのお父さんもあの時の事は後悔してるんだ。

 

「いいんだ親父の事はちゃんと分かってるし、それにどうせいつか話すつもりだったから・・・」

 

寂しそうに話す杏子ちゃん

 

辛いなら無理しないでくれ。

 

「そ、そんな…」

 

マミさんショック受けてるな…

 

「そ、それで杏子。その後お父さんとの関係は・・・?」

 

「あん?今は親父も分かってくれたし家族とは親父の仕事の都合で別々に暮らしてるけどちゃんと月に何回か連絡取り合ってるから大丈夫だぞ」

 

「え!?」

 

本来の時間軸なら父親が杏子ちゃんを除く家族を巻き込んで教会に火を放ち一家心中のなる事を知っている暁美さんが驚いた声を上げる。

 

「なんだよその『え!?』って!まあもっともアタシが今でもこうして家族と仲良くしていられんのは一真のおかげなんだけどさ」

 

「一真君が?」

 

鹿目さんが小首をかしげて続きを聞こうとする

 

ちょっと待って杏子ちゃん。

 

お願いだからそれ以上は言わないで。

 

「ああ、アタシが魔女だって言われてショックを受けてた時に一真の奴が飛び込んできて親父と殴り合って説得してくれたんだ」

 

嬉しそうに笑顔で話してみんなの冷たい視線が俺に集まる。

 

やめてよ杏子ちゃん。あの時いくら自分の信者が魔法で操られて集められていたという真実を知りショックで情緒不安定になっていたとはいえ杏子ちゃんのお父さんの娘に対する扱いがひどく許せなかったから頭に血がのぼって殴り合いした事はさすがにやりすぎだったと結構気にして反省したんだから。

 

「一真、あんたって・・・」

 

「一真君、暴力はよくないよ」

 

「一真君、さすがにそれはちょっと・・・」

 

「城戸一真、ナイス」

 

はいそうですね返す言葉もありません。

 

だから美樹さん、鹿目さん、マミさんそんな目で見ないで自分でもやりすぎたって分かってるよ。

 

あと暁美さん、佐倉家の悲劇を回避できて嬉しいのは分かるけどできればサムズアップもやめてほしいな。

 

「おい!一真を攻めんなよ!一真が居なかったらアタシら家族の仲は崩壊してたかもしれないし、親父もあの時一真君が殴って止めてくれて本当によかったって言ってたんだ。でなければどうにかなっていたかもしれないって!親父は一真に感謝してたんだからな!」

 

三人の非難めいた視線を見て杏子ちゃんが怒る。

 

そう言ってくれて嬉しいけど暴力はいけないのでもう少しうまいやり方がなかったのかと反省してるんです。

 

杏子ちゃんのお父さん、その言葉だけで少しだけ心が軽くなりました。

 

「「「ご、ごめんなさい城戸君」」」

 

俺と杏子ちゃんに頭を下げる。

 

「いや気にしないで、俺もやりすぎたって反省してるから」

 

「話が脱線しちまったな。つまりだ魔法少女になるってんのは家族や友達なんかに化け物扱いされるかもしんねえって事があるんだよ」

 

スナック菓子を一つ食べる杏子ちゃんの話を聞いて黙り込む鹿目さんと美樹さん。

 

「・・・ねえ?一真、一真はなんで戦うの?」

 

「さやかちゃん!?」

 

「だって一真は魔法少女じゃないんでしょ?だったら戦う必要なんてないじゃん?」

 

「おい!」

 

怒る杏子ちゃんを片手で制す。

 

確かに俺は魔法少女と違ってグリーフシードを使わないから他人から見たら戦う理由がないと思うかもしれない。

 

「俺の戦う理由か・・・自分の中のこの力(神器)を知って最初は幼なじみが無茶しようとしてたを助けたかったからだけど今は家族や友人を護りたいから戦い続けるって決めたからだよ」

 

それを聞いてなにか考え込む暁美さん。

 

自分も鹿目さんの為に時間軸を遡って戦っているからなにか思う所があるのだろうか?

 

 

 

「それで巴マミを説得しようとしたが失敗に終わり、話は平行線を辿り結局最後は同伴を条件に一度だけ魔法少女体験ツアーを許して今日の放課後に行く事になったと?」

 

「ああ・・・その通りだ」

 

時間は現代に戻り話を聞いた上条が反省会の内容の確認を取ってくる

 

その後、どんなに危険な事だと説明してもマミさんは折れずに俺と杏子ちゃんが一緒に付いて行くのを条件に一度だけ魔法少女体験ツアーを許してしまう事になってしまった。

 

この不甲斐ない結果に暁美さんも怒りと呆れで帰ってしまう。

 

ただマミさんの説得にはまた来ると言っていたが。

 

できればまどかさん達が魔女との戦いを見て怖くなって諦めたらいいのだが・・・

 

「・・・やはり巴マミは早めに始末しておくべきだったか」

 

ビクッ!?

 

上条の身体から静かな怒りと白いオーラを感じる。

 

まさかこいつここ(学校)でマミさんの命を!

 

即座に籠手を出して臨戦態勢をとる。

 

最近は忘れがちだったが基本的にこいつと行動理念が相反する敵同士なんだ。

 

「なんのつもりだ?巴マミの説得に失敗した君に僕を止める権利はない」

 

さらに強大なオーラを放出して今にも人払いに張ってある結界軋み崩壊しそうだ。

 

学校で戦う気か!言葉を慎重に選ばないと本当に戦う事になるぞ!

 

「待ってくれまだ説得には完全に失敗したと決まったわけじゃない。それにさやかさんも魔法少女になってない俺にもう少し説得する時間をくれ、頼む」

 

マミさんの命もそうだけど今の二天龍同士がいまここで本気で戦ったらそれこそ学校はもちろん見滝原市が廃墟になってしまう。

 

しばし俺と上条は睨みあったあと。

 

「いいだろうそこまで言うなら待ってやる。期限はお菓子の魔女シャルロッテ・・・原作のアニメで巴マミの頭を喰い潰した魔女が生まれるまでだ。もしそれまでに巴マミの説得ができていなく巴マミがさやか達の魔法少女の勧誘を諦めてなければ俺は容赦なく巴マミをこの手で殺す!」

 

俺か・・・

 

普段一人称が僕の上条が前世の頃の俺に戻っている。

 

つまり本気だという事か・・・・

 

「分かったそれまでに必ず説得する。あと最後にこれだけは言っておく!美樹さんを魔法少女にさせない事は俺も賛成だ。けどその為にマミさんに危害を加えるというなら俺は全力でお前の前に立ち塞がる」」

 

「・・・お互い良い答えになる事を待っているよ」

 

あと一つ確かめておかないといけない事がある。

 

暁美さんの濡れ衣を晴らす為に。

 

「あ、そうだお前、魔法少女を襲う黒い魔法少女って知らないか?」

 

「いや、知らないし聞いたこともないよ」

 

そう言って上条は人払い用の結界を解いて校舎に戻って行った。

 

やけにあっさりしているな。

 

原作にない不測の事態が起きたら普通詳しく聞いてくると思ったが。

 

単にさやかさん関連じゃないから興味ないだけなのか?

 

それとも・・・何か隠しているのか。

 

・・・今は目の前の問題に集中しよう。

 

マミさん一人だとお菓子の魔女には勝てない。

 

かといって見捨てる事もできない。

 

こうして魔女との戦いと共にお菓子の魔女が孵化する前にマミさんの説得しなければならないという戦いが始まってしまった。

 

俺はどうにかしてマミさんが魔法少女勧誘を諦めてくれるか授業中もずっと考えていたがいい策がなにも思い浮かばないまま放課後になり。

 

魔法少女体験コースの時間が来てしまった。




祝!お気に入り登録数五十人突破に感謝感激です。
これからもどうかこの作品をよろしくお願いします。

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