魔法少女と偽りのヒーロー   作:カオスロイドR

18 / 30
今回のサブタイを考えてメモ帳に名前を付けて保存したら、ふとウルトラセブンにも似たようなサブタイトルがあったの思い出したorz

かまへんこのままいったれ!


第17話 ひとりぼっちの魔法少女

~~ほむらサイド~~

 

 

放課後になりクラスの女子からの誘いを断って私は一人下校しながら今日の事考えていた。

 

一体この時間軸はどうなっているの?

 

風見野にいる筈のない佐倉杏子や入院中の上条恭介が普通に登校している。

 

何より数百メートル離れた場所にいた私の存在に気付いたあの男子生徒。

 

調べてみたが名前は城戸一真といいやはり名前にも聞き覚えがなく

 

今まで何度も繰り返した時間軸にあんな少年は存在していなかった。

 

何者なの?まどかや美樹さやか、佐倉杏子とも親しそうだったし

 

もしまどかに危害を加えるような存在ならその時は私の手で始末する・・・。

 

いえこの件は後回しにしてまずはインキュベーターがまどかに接触する前に始末するべきね。

 

「ありがとうございました~」

 

ん?あれは佐倉杏子・・・。

 

目の前にコンビニ前を掃除している店員とお菓子を詰めた袋を持った佐倉杏子が店から出て来ていた。

 

私が見てきた数々の時間軸の佐倉杏子はどれも家庭環境と自らの願いで家族を失った経験から笑顔の中にもどこか悲しげな顔をしていた。

 

しかしこの時間軸の佐倉杏子は別人と思えるくらい似ても似つかない本当に嬉しそうで幸せな表情だ。

 

店員もお礼を言ってるって事は盗んだんじゃなくて自分で買って手に入れた事になる。

 

幻惑の魔法を使ったのかと思ったがそんな素振りもない。

 

という事は自分でお金を払って購入した事になる。

 

失礼だけど両親のいない彼女にそんな余裕などない筈だ。

 

これは問いただす必要がある。

 

そうすればこの時間軸の事がなにか分かるかもしれない。

 

「佐倉杏子、少しいいかしら?」

 

私は彼女の背後から声を掛けた。このありえない事が起き続けている時間軸になにが起こっているか知る為に。

 

 

 

~~杏子サイド~~

 

今日は一真とマミさんが魔女捜索の日で私は休みの日。

 

さやかは上条の坊やとデート。

 

本人は真っ赤な顔で必死に否定してたが顔が嬉しがってたな。

 

仁美は習い事でまどかは親に頼まれたおつかい。

 

アタシは一真のお母さんから貰ったおこづかいでお菓子を買った帰り道。

 

後ろから声をかけられた。

 

今日来たすれ違いざまに睨んできた転校生で確か暁美ほむらとか言ったっけか?

 

なんでアタシの名前知ってるんだ?話してもないのに。

 

「これに見覚えはないかしら?」

 

暁美がポケットから何かを取り出した物を見て驚いて息をのむ。

 

取り出したのは魔法少女だけが持つ紫色のソウルジェム

 

って事はこいつも魔法少女か!

 

「その反応どうやらこれが何か知っているみたいね。ついて来てくれるかしら?ここでは人目が多いから」

 

「・・・嫌だって言ったら?」

 

ドジった。知らないふりすべきだったのに。

 

いきなりソウルジェムを見せられてつい反応してしまった。

 

「無理やりにでも連れて行くわ。どうしても知りたい事があるから」

 

「・・・分かったよ」

 

マミさんや一真に連絡を取りたいがこいつの目的が分からない以上迂闊な事はできねえから悔しいがここはこいつに従うしかない。

 

自分のマヌケさを呪いながら道を指示する転校生の前を歩いて行く。

 

アタシと転校生の背後にいる存在に気がつかないまま・・・。

 

 

 

~~杏子達から数十メートル離れたお店の前~~

 

「杏子ちゃんと・・・・・・ほむらちゃん?」

 

「お、本当だ!杏子と転校生だ」

 

「さ、さやかちゃん!?上条君とそのデ、デートじゃなかったの?」

 

「デートじゃないって。恭介が急に親に呼び出されて途中で帰る破目になっちゃってさ、失礼しちゃうよまったく」

 

「そ、そうなんだ大変だったね」

 

「それより何やらただならぬ気配をこのさやかちゃんレーダーが感じますな。よし尾行(つい)て行こう」

 

「だ、ダメだよさやかちゃんそんな事」

 

「だって気になるじゃない、まどかの夢に出てきた運命の転校生が杏子と一緒にいるなんて。もしかしたら昼間の事が原因かもしれないし」

 

「う、うんでも・・・」

 

「じゃあ私だけ見てくるよ、あとでまどかにも教えてあげる」

 

「ま、待ってよさやかちゃん」

 

 

 

 

~~ほむらサイド~~

 

ここらでいいわね。

 

破棄されたゴミやダンボールがある路地裏に着き佐倉杏子にゆっくり此方を向けという。

 

「単刀直入に聞くわ佐倉杏子。あなたなんで見滝原市にいるの?あなたの縄張りは隣の風見野市の筈なのに」

 

「なんでアタシが風見野市にいた事知ってるんだよ?」

 

「質問してるのはこっちよ、答えなさい!」

 

ただでさえイレギュラーな事態が起こりすぎて状況も分からない上に佐倉杏子の態度にイライラして怒鳴ってしまう。

 

「いきなり素性も知らない奴に教えるわけないだろ、バーカ」

 

佐倉杏子は素早くソウルジェムをかざして魔法少女に変身する。

 

「仕方ないわね」

 

私も魔法少女に変身して迎え討つ。

 

佐倉杏子は強敵だ。

 

戦って危なくなれば時間停止で逃げればいい。

 

と思っていたのに・・・

 

カランカラン

 

急に右の方から大きな音がして私と佐倉杏子そちらを向く。

 

「ちょっとまどか何やってるんだよ」

 

「ご、ごめんさやかちゃん」

 

そこには美樹さやかといてほしくなかったまどかが居て足元には誤って蹴ってしまい音を立ててしまった原因の空き缶が転がっていた。

 

「お前らなんでここに!」

 

「くっ、まどか!」

 

なぜまどかがここにいるの!?もしかして尾行(つい)てきてしまったの

 

しまった佐倉杏子に気を取られて気がつかなかった。

 

「お前ら早く逃げろ!」

 

くっ・・・そうね佐倉杏子にとったらまどか達は親友で初対面の私はあの子達に危害を加えるかもしれない敵って事になるわね・・・。

 

すこし胸が痛いわ。

 

時間を止めてこの場は逃げるしかないわね

 

盾に手を伸ばして時間を止めようとしたその時

 

《佐倉杏子と見覚えのない魔法少女がいるね、君は誰だい?》

 

こ、この忘れもしない耳障りで吐き気がする声は!?

 

積み重ねられた段ボールの上にソイツはいた。

 

まどかや私をそして何人もの少女達を願いと言う甘い毒で不幸に陥れた憎むべき敵

 

キュゥべえ・・・いえインキュベーター!

 

「ね、ねえまどか、私の耳が変になったのかな、あのヌイグルミみたいのがが喋ってるように聞こえるんだけど」

 

「わ、私も聞こえた・・・なにあれ?」

 

やはり二人にもキュゥべえの声が聞こえてるのね

 

魔法少女になってしまう素質が・・・

 

《おや、僕の声が聞こえるのかい?よかったら僕と契約して魔法・・・》

 

「その必要はないわ!」

 

私は即座に盾からベレッタを引き抜いてインキュベーターに向けて発砲した。

 

パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!

 

「おいおいいきなりぶっ放すか普通!あれ本物じゃねえか!」

 

佐倉杏子が驚きの声を上げるが無視する。

 

パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!

 

まどかと美樹さやかは発砲音に耐えきれず耳を両手で抑えて恐怖でしゃがみ込む。

 

感情のない無表情のインキュベーターは右へ左へ動き回り銃弾を避ける。

 

パンッ!パンッ!パンッ!

 

的が小さい上に動き回って当たらない

 

でもここで始末しないと!

 

他の時間軸で私とまどかでワルプルギスの夜を倒した後ボロボロのまどかが最後のグリーフシードを使って私のソウルジェムを浄化したあと・・・まどかが自分の命であるソウルジェムを私に破壊してほしいと言った時の哀しげな笑顔を思い出す。

 

あなたの・・・あなたの所為でまどかが!今すぐ消えなさい!

 

《助けて……》

 

パンッ!パンッ!カチィカチィ・・・

 

銃弾をすべて撃ち尽くし撃鉄の音だけが虚しく鳴り響く。

 

「え?声?」

 

「チィ!」

 

《助けて…まどか……!》

 

こいつまどかに助けを!?

 

相変わらず汚い真似を!!

 

ベレッタを捨て、怒りに任せて次の銃を取り出そうとした時

 

「ちょっと転校生なにやってるのさ!」

 

「やめてほむらちゃん」

 

まどかと美樹さやかに抑え込まれた。

 

「は、放して!」

 

邪魔をしないで!早くアイツの始末しないとあなた達も大変な事になるのよ!

 

《やれやれ僕と君は初対面の筈なんだけど?もしかして最近魔法少女を殺す為に動いている黒い魔法少女がいるんだけどもしかして君の事かい?》

 

何言ってるの?インキュベーター?

 

魔法少女を殺す魔法少女って何の事?

 

そんなの今までの時間軸にいなかった。

 

「・・・何の事?」

 

《見滝原、風見野を中心に魔女ではなくて同胞の魔法少女に殺された被害者がすでに何人もいるんだ。その中の被害者の一人が死に際に黒い魔法少女と言い残してね》

 

「それが私だと?」

 

やはりこの時間軸はなにかがおかしい

 

見滝原にいる佐倉杏子と無傷の上条恭介、そして城戸一真の件

 

魔法少女を殺す魔法少女・・・そんな事いままでの時間軸にはなかった。

 

いくらなんでもイレギュラーが多すぎる

 

一体この時間軸は何なの?

 

「おい!転校生!どういう事だよ」

 

美樹さやかが怒鳴ってるけど私の方がどうなってるか聞きたいわ

 

「ほ、ほむらちゃんが・・・人を・・・殺した」

 

ま、まどかが怯えた表情で見ている。

 

他の人にどう思われても構わないがまどかに拒絶されるのは嫌よ。

 

怖がらないで!わたしにも何が何だか分からないの

 

「ち、違う私知らない!」

 

怯えるまどかの視線に耐えきれず思わず後ずさる。、

 

《でも君は今さっき佐倉杏子を襲おうとしたよね》

 

「こ、これには訳が」

 

「あたし達は見たぞ、あんたがここに連れ込んでいたのも!そして杏子を襲おうとしたのも!」

 

状況的に私が佐倉杏子を路地裏に呼んで殺そうとしたように見えてしまう。

 

「私は・・・ぐっ」

 

理由を話すわけにもいかず言い逃れできない。

 

どうして・・・・?

 

どうしてこうなったの?

 

心の中に黒い感情が押し寄せてくる・・・

 

私はまどかを助けたいだけなのに・・・

 

ドウシテワタシヲキョゼツスルノ?

 

私の中に黒い感情が押し寄せて来てソウルジェムが穢れ始めたと同時に辺りの景色が歪み始める。

 

「おい!これって!」

 

見覚えのある光景になっていく事に佐倉杏子が上を見まわしながら怒鳴っている。

 

「しまった!」

 

無実の罪を着せられまどかの視線で私の弱ってしまった心が魔女の結界を呼び寄せてしまった。

 

「さやか、まどか早くここから逃げろ!」

 

状況を察した佐倉杏子が叫ぶが

 

「へ・・・何あれ?冗談でしょ!?」

 

「あわわ・・・・」

 

「くそ!まどかとさやかが居るって時に!」

 

槍を構える佐倉杏子

 

私の所為でまどかを危険な目に遭わせてしまうなんて!

 

私も銃を構え戦闘態勢に入る

 

目の前には私達を獲物として狙う一つ目の使い魔十体と大きな斧を持った一つ目の魔女が現れた。

 

 

 

 

【一真サイド】

 

どこだ!どこにいる?インキュベーター!

 

鎧を装着してマミさんとデパートの屋内駐車場にいた原作で鹿目さんと美樹さんが遭遇した蝶とヒゲの生えた綿帽子モドキの使い魔達を瞬殺した後

 

俺はこれから起こる鹿目さん達とキュゥべえが接触するを捜索していた。

 

修行で精度の上がった透視光線で周囲を見回しテレパシーでインキュベーターや暁美さんの存在を探知しようとするがインキュベーター所か猫一匹いない

 

早く見つけないと手遅れになる。

 

「城戸君?使い魔は倒したけどもうここには魔女はいないと思うのだけど?」

 

「城戸君?」

 

「城戸君!」

 

マミさん呼ばれていた事に三回目で初めて気づく。

 

「どうしたの?ボーっとして?いつもの城戸君じゃないみたいだけど、どこか具合でも悪いの?

 

「そ、そんなことないよ、元気いっぱいでいつもと変わらないよ」

 

「じゃあなんでこの場所にそこまでこだわるの?」

 

それは・・・言えるわけがない。

 

これから起こる事を知っているからそれ防ぐ為に躍起になってる事を・・・

 

父親に拒絶された事のある杏子ちゃんと違い今だにマミさんは魔法少女はきれいな正義の味方だと信じてしまっている。

 

鹿目さんと美樹さんに魔法少女の候補になる可能性のあると知れば迷うことなく二人を勧誘するだろう。

 

それだけはなんとしても防がなければ。

 

「そんな事ないよ、俺はいつもの俺だよ」

 

「・・・・城戸君、佐倉さんと一緒じゃないとつまらないの?」

 

「え、どうしたの急に?」

 

「だって城戸君今日はいつもより難しい顔をしてるから、城戸君の悩みは佐倉さんは相談できても私には相談できないの?」」

 

「別に杏子ちゃんだからとかマミさんだからとかそんなんじゃないよ。いずれちゃんと話すから今は何も聞かないで・・・ん?」

 

携帯にメール受信用の音が鳴る。

 

「マミさん、ちょっとごめん」」

 

鎧を解除して携帯を開きメールを見ると上条からでそこには。

 

【すまない!親の取引先で急遽演奏会を開く事になり僕だけ連れ戻された。もしかするとさやかがそちらに向かうかもしれない。すまないがさやかを頼む。僕もこちらが終わり次第すぐに向かう】

 

嘘だろ、こんな時に限って!

 

本来の上条恭介は入院中で演奏会なんてできない状態だったからな。

 

これも運命の修正力って奴なのか。

 

休み中に悪いけど杏子ちゃんに応援を頼むか。

 

いやダメだ。呼んでなんて説明する気だ。

 

考えろ、考えるんだ!

 

早くしないと最悪な展開に・・・

 

『一真、巴マミ魔女の反応を感知した場所はこの近くの路地裏だ。急ぐぞ(まさかと思うが修正力が働いているなら鹿目まどかと美樹さやかがいるかもしれん)』

 

鹿目さん達の件はマミさんに聞こえないようにドライグが小声で話す。

 

恐れていた事態が起きたかもしれない。

 

くっ先手を取る筈が後手に回ってしまった!

 

「分かった、行こうマミさん」

 

「・・・ええ」

 

気まずい雰囲気の中、マミさんと共に反応を追って結界を探しに向かった。

 

 

 

~~マミサイド~~

 

城戸君・・・

 

一体何があったの?分からない・・・

 

教えてほしい・・・頼りにしてもらいたいのに・・・

 

どうして・・・?

 

どうして一人で抱え込んでいるの?

 

なんで・・・?

 

なんで私に相談してくれないの?

 

私達仲間じゃないの?

 

仲間ってなんでも話し合える間柄じゃないの?

 

私じゃ城戸君のパートナーになれないの・・・

 

当然か、城戸君の事なにも知らないのよね。

 

分からない・・・私、城戸君の事が・・・

 

シンジラレナクナッテキテイル・・・。




すこしでも鬱展開な話を考えると胃が痛い・・・

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。