魔法少女と偽りのヒーロー   作:カオスロイドR

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第14話 大激突!白と赤の二天龍

【一真サイト】

 

工場跡地に呼びだされた俺は転生者でしかも白龍皇を宿した上条恭介と戦う事になった。

 

だが俺の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)は最悪のタイミングで禁手(バランス・ブレイカー)の瀬戸際に立ち使用不能になって苦戦を強いられる。

 

背中に白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)が装着された上条の魔力弾や障壁を何とかウルトラマンの能力で応戦し、奴を倉庫内に誘い込み石灰粉を使った粉塵爆発を起こし今の俺にできる最大の攻撃で奴を仕留めたと思っていたが。

 

禁手化(バランス・ブレイク)

 

Vanishing Dragon Balance Breaker!!(バニシングドラゴンバランス・ブレイカー)

 

上条は俺が至っていない禁手(バランス・ブレイカー)になり白龍皇の鎧を纏った姿で現れたのだ。

 

 

 

「粉塵爆発とは驚いたよ。まさかアニメや漫画によくある手を本当に使ってくるなんて、でもおしかったね。僕が禁手(バランス・ブレイカー)ができなければ君の勝ちだったのに」

 

空中に浮かんでいた白龍皇の鎧を装着した上条がゆっくり真下に降りて着地する。

 

最悪だ。

 

まさか上条が禁手(バランス・ブレイカー)に至ってるなんて・・・

 

どうする・・・

 

切り札の粉塵爆発も効かずにしかも工場全体を覆ている結界で逃げ道はない。

 

その上こっちは赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が使えない状況で向こうはただでさえ強いのに力を一気に跳ね上げた禁手(バランス・ブレイカー)

 

チェスでいう完全にチェックメイトの状態。

 

どうすればいいんだ・・・!

 

「さすがにこの状況では声も出ないか。君に合わせて禁手(バランス・ブレイカー)するつもりはなかったけど君の事を見くびってた事を謝罪しよう。君の知略と能力に敬意を表してここからはこちらも本気でいく」

 

できれば油断してる間に倒したかったのに。

 

もう出し惜しみなしだ。時間内にやるしかない。

 

「プロモーションキ・・・「遅い!」

 

みがまえながら王の駒(キング・ピース)を発動としようとしたら俺の目にも止まらぬ速さで一気に接近を許してしまい腹に拳の重い一撃を食らってしまい。左手で頭を掴まれる。

 

肺にあった空気が一気に外に排出され、胃液を吐き出す。

 

『Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!』

 

俺の力が根こそぎ奪い取られ意識が朦朧としてきた。

 

「ぐはっ!」

 

頭を掴んでいた左手から右手に俺の首に持ち変えられ、白龍皇の鎧を着て二回り大きくなった上条に片手で持ちあげられ宙吊りにされる。

 

 

「声を出せなければ王の駒(キング・ピース)は使えないだろう」

 

く、苦しい・・・息ができ・・・な・・・い。

 

苦しくて振り払いたくても力が出ない。

 

「ここまでだ。情けを掛けて殺しはしないが君には全てが終わるまで病院のベットで寝ててもらう」

 

「あ・・・ああ・・・ググ・・・ッガッガ・・・」

 

・・・ここまでなのか・・・あんなにがんばって鍛えて魔女と戦って禁手(バランス・ブレイカー)にもなれず原作が始まる前にこんな所で・・・

 

い、いやだ、でも意識が・・・

 

『相棒!しっかしりしろ』

 

ああ、ドライグが呼びかけってんな・・・頭がボーっとしてきた・・・

 

『相棒!城戸一真!!一真!!!」

 

カズ・・・マ?あ、俺の名前か・・・はっはこんなことまで忘れるなんて相当ヤバイな・・・

 

記憶の隅にあった前世の事が思い出されていく。

 

幼稚園、小学生、親を失った事、中学生、高校生、大学生の頃の思い出。

 

あ、走馬燈まで出てきた。これは本格的にマズイ・・・

 

そして転生する前に会ったリュネとの出会い。

 

転生した出会った一真の母親と父親との思い出。

 

「かず君」

 

母さん・・・

 

「一真」

 

父さん・・・

 

「城戸君」

 

鹿目さん・・・

 

「城戸」

 

美樹さん・・・

 

「城戸」

 

中沢・・・

 

「城戸君」

 

マミさん・・・

 

みんなとの楽しかった悲しかった思い出が次々浮かび上がり頭の中を駆け巡っていく。

 

そして・・・

 

「・・・・バカ野郎」

 

杏子ちゃん・・・

 

「一真、早く立てよ」

 

杏子ちゃんの泣き顔やとびっきりの笑顔が浮かび上がり一つの感情が俺の頭の中で爆発する。

 

俺は・・・・俺は・・・・・みんなに生きてまた会いたい。みんなが好きだから・・・だからまだ終わりたくない!!

 

それはすべての生物が本能の中に持つ生きようとする意志

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の宝玉に光が戻り赤黒い色から鮮やかな赤に戻る。

 

さらに赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)から放たれた膨大な赤いオーラが全身に駆け巡り包み込んでいく。

 

オーラが全身を巡り駆け回り先ほどまであった腹の痛みが引いていく。

 

これって、まさか!

 

「そうです、ついに至りましたね」

 

幼女神リュネの声が聞こえる

 

『なるほど相棒の禁手(バランス・ブレイカー)になるための欠けたピースは前世で蔑ろにされ自分の存在と命を軽んじて事か、だがそれは死にたくないと願ってそのピースは埋まった』

 

「一真は優しい子なのです。前世で家族を失い親戚中から疎まれながらもそれでも他人の為に自分を投げだせる。ですがそれは見方を変えればその優しさが時として自分を大切にせず自分自身を傷つけ成長を阻害していました。

ですが一真が家族や友人とまた会いたいと思い緒に生きたいと願う事で一真の世界が変わり禁手に至ったのです。今こそ叫ぶのです。あの言葉を!」

 

禁手化(バランス・ブレイク)

 

Welsh Dragon Balance Breaker!!(ウェルシュドラゴンバランス・ブレイカー)!!!!』

 

あの時、銀の魔女との戦いで纏った赤い鎧を再び装着されていく。

 

「その姿は能力を使いづづけても約2時間は維持できます」

 

2時間もあれば十分だ!兵藤一誠は最初の頃は三十分だったが俺はその四倍!九年間の修行の成果が役に立ったぜ。

 

『至った!この土壇場で至りやがった』

 

『このタイミングで禁手(バランス・ブレイカー)だと!?』

 

「ほう、そうでなくてはな」

 

歓喜の声を上げるドライグと驚くアルビオン

 

上条は心なしか喜んでるような気がする。

 

俺は脱出する為に赤いオーラが両手に集め

 

上条の両方の首元に両手で同時にチョップする。

 

「くっ」

 

俺の首を絞めていた手が緩み隙ができた所に延髄蹴りを入れる。

 

上条が手を離し後ろに跳び退いて距離を開ける。

 

『CutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCutCut』

 

膨大なオーラと共に聞き慣れない音声が流れる

 

『これは・・・相棒、喜べ!これまでリミッター掛かっていた光の戦士の技が禁手(バランス・ブレイカー)に至った事でほとんどが解除されていったぞ』

 

禁手(バランス・ブレイカー)になり今まで使えなかった技も使える、これなら・・・

 

上条、もうお前の思い通りにはならないぞ!

 

赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)死の淵ギリギリの所からここに降臨!」

 

よし、声は問題なく出るな。

 

これでプロモーションキングも大丈夫だ。

 

あー喉が痛てえ・・後が残らなければいいけど。

 

もし手の跡が残ってたらみんなに何事かと質問責めされて心配するからな。

 

それにしてもこれが真の禁手(バランス・ブレイカー)か、前の疑似禁手(バランス・ブレイカー)と比べ物にならないくらい赤いオーラが溢れて力がみなぎってくる。

 

『相棒、おめでとう』

 

ドライグが祝福の言葉を掛けてきてくれる。

 

「なんだよ、ドライグもう一真って名前で呼んでくれないのか?」

 

『い、いやあれは勢いでつい出たというか・・・』

 

心なしかドライグが焦ってるような気がする。

 

こんなドライグを見るのも珍しいな。

 

「一真って呼んでくれよ。そっちの方が嬉しいし、あの時ドライグがそう呼んでくれたから俺は目が覚めて禁手(バランス・ブレイカー)に至れたんだ。禁手(バランス・ブレイカー)記念って事でさ」

 

相棒だと本家兵藤一誠と被るし名前の方が特別感が出てさらに気が引き締まるからそっちの方がいい。

 

『分かった一真、改めて禁手(バランス・ブレイカー)おめでとう」

 

「ああ、ありがとなドライグ!」

 

パチパチパチパチ

 

音がする方を見ると上条が拍手してやがった。

 

「やればできるじゃないか。禁手(バランス・ブレイカー)に至らなければワルプルギスやインキュベーターから彼女達を守る事なんてできないからね」

 

「・・・まさか俺を禁手(バランス・ブレイカー)にさせる為にワザと手を抜いてたのか・・・・」

 

「あと一年で原作が始まるんだ。のんびり禁手(バランス・ブレイカー)になられるより早めに禁手(バランス・ブレイカー)に至り強くなってもらわないと困るからね。」

 

こいつにまんまと乗せられてたのか。

 

どこまで上から目線で人を見下せば気が済むんだ。

 

こいつのやり方や言動は怒りを覚える。

 

先に禁手(バランス・ブレイカー)に至ったからって調子に乗ってんじゃないぞ!

 

でも一つだけ感謝はしよう。お前のおかげで禁手(バランス・ブレイカー)に至れたんだからな。

 

「さて、禁手(バランス・ブレイカー)になったばかりの状態でどこまで戦えるか見せてもらおうか」

 

「望むところだ!」

 

先に仕掛けてきたのは飛翔して拳を振り上げ殴りかかってくる上条

 

ガキキキキンンン!!

 

俺はそれを真っ向から受け止める。

 

金属音が鳴り響き足元が陥没するがどうって事ない。

 

『Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!』

 

白龍皇の力で俺の力は半減するが

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

奪われた力を戻す為、倍加して体制を立て直す。

 

「このお!」

 

「な!は、離せ!」

 

腕を掴んだまま何回か上条を振り回し上に投げ飛ばす。

 

追撃を入れる為にメビュームブレードで斬り掛かるがさらに高く飛翔して攻撃が空振りする。

 

俺も跳べる事は跳べるがそんなに高く跳べない。

 

飛翔し距離を取り魔力弾を撃ち込む上条

 

「くっ!!」

 

地上でなんとか避けながら両手をクロスして防御する。

 

このままじゃ負けてしまう。

 

「空さえ飛べたら・・・」

 

防御しながら悔しさを噛みしめる。

 

飛行能力はあるにはあるがあくまでも『浮く』だけで上条の様に自由に飛びまわれない。

 

浮くだけでは恰好の的だ。

 

「お前も飛んでみるか?一真」

 

ドライグそれってどう意味だ?

 

聞き返そうとする前に背中から龍翼が飛び出してくる。

 

これって原作じゃ禁手(バランス・ブレイカー)しても後の方に出てくるんじゃ?

 

『お前は九年間の辛い修行に耐えて禁手(バランス・ブレイカー)に至ったんだ。これくらいできて当然だろう。それにリミッターは光線技だけでなく空を飛ぶ能力も解除されてるから原作の俺よりもかなり速いぞ」

 

よし!これで俺も空中戦で自由に戦える。

 

しかもウルトラマンの飛行能力が付加されて強化されたからあいつにも負けない。

 

『空が初心者の一真では龍翼の制御は難しいだろう。だから俺が制御する。お前は奴をぶっ飛ばす事だけ考えろ』

 

頼む、ドライグ

 

これで奴に一泡吹かせてやる。

 

『JET!!』

 

龍翼を広げて魔力噴出口から圧縮した赤い魔力を一気に放出して爆発的に加速して上空にいる上条に目がけて突撃する。

 

「速い!」

 

上条は魔力弾を連続で放ってきた。

 

さっきまでの俺なら怖がってたかもしれないけどもう怖くないぞ。

 

左手の手甲からメビュームブレードを出して魔力弾を斬り裂いたり、右手で弾き飛ばす。

 

『Boost』

 

右の拳にオーラを纏わせて力を倍加させたとっておきの一撃をを上条の胸にお見舞する。

 

「ぐはっ!」

 

殴られた白龍皇の胸の鎧の部分が砕けて上条が胃液を吐き出す。

 

さっきのお返しだ。

 

「ゴホッ!ゴホッ!」

 

上条は俺から離れて後ろに距離を取り咳き込んでいる。

 

今の内にオーラを溜めておくか。

 

「ゴホッゴホッ・・・ふっふっふやるね、そうでなくては」

 

『あ、ありえん、同じ禁手(バランス・ブレイカー)といっても、奴は恭介と違い禁手(バランス・ブレイカー)に至ったばかりの未熟者の筈、なのに我らと互角だと・・・』

 

『当たり前だアルビオンよ、相棒のこれまで必死に修行してた力が禁手(バランス・ブレイカー)に至った事で一気に爆発したんだ。並みの禁手(バランス・ブレイカー)とわけが違う』

 

そうだ上条は美樹さんを守る為に必死にトレーニングをしてきたと言ってたがそれは俺だって同じだ。

 

過酷な修行内容なら俺だって負けはしない。

 

「ではこちらも障壁の縛りを解除させてもらうよ」

 

上条の前にさっきまで苦戦していた障壁が再び現れる。

 

あれをどうにかしないとこちらの攻撃は届かない。

 

だったら禁手(バランス・ブレイカー)に至って解禁された技を試してみるか。

 

今なら撃てる気がする。

 

俺は解禁された技の中から両手首を交差させて最初に使いたかった技の構えを取る。

 

「その構え・・・おもしろい!」

 

「いっけえええぇ!」

 

マイナスとプラスのエネルギーをスパークさせた光線が左手から発射される

 

幾多の怪獣を倒してきた伝説の初代ウルトラマンの必殺技『スペシウム光線』だ

 

しかし障壁はスペシウム光線を防がれる。

 

「こんなものか、この程度では僕の障壁は破れない」

 

ダメか

 

やはり俺は弱い偽りのままのか。

 

『ならば本物の威力に近づけてやろうか?』

 

ドライグそれって・・・

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

音声と共に俺の力が倍加されてスペシウム光線が勢いよく発射される。

 

『何!?』

 

障壁はスペシウム光線でどんどんヒビが入っていく。

 

防ぎきれると確信していた上条は驚きを隠せない。

 

「いけええええ!!」

 

強化されたスペシウム光線がついに障壁を破壊して上条に直撃した。

 

「ぐああああ!」

 

白き鎧はスペシウム光線の当たっている部分から亀裂が入っていく。

 

上条はなんとか防ごうと両手をクロスして防御の体勢を取ろうとするがスペシウム光線は鎧の腕の部分にも亀裂を走らせる。

 

スペシウム光線は腕を弾き光線は再び胸に直撃して・・・

 

『バ、バカな!こんな事が!」

 

そしてついに上条の纏っていた白き鎧は粉々に砕け散っていった。

 

パラパラと鎧の破片が光を反射しながら下に落ちていく。

 

「どうだ!上条!もう勝負はついたぞ!」

 

「・・・・まだだよ」

 

また再生される白龍皇の鎧

 

これだけやっても戦闘不能にならないのか!

 

鎧が再生しなくなるのは使用者が戦闘不能になった時

 

それまでは粉々に砕いても鎧は何度でも蘇る。

 

それが二天龍同士の戦い。

 

それにしても赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)で強化されたスペシウム光線をまともに浴びたのにまだ戦えるなんて

 

どんだけタフなんだ!

 

「プロモーションキング!」

 

俺の体の中にある王の駒(キング・ピース)の力を発動させる。

 

体に赤いオーラが数段に膨れ上がる。

 

これで五分間だけ力が十倍にも百倍にもなれる。

 

王の駒(キング・ピース)・フルドライブ!」

 

奴の体の白いオーラが俺と同じくらいに増大される。

 

そうか奴も王の駒(キング・ピース)を体内に持っていたのか。

 

道理で王の駒(キング・ピース)は声を出さないと発動しないと知ってた筈だ。

 

「驚かないのかい?僕も王の駒(キング・ピース)を持ってた事に」

 

「転生者って聞いた時に予想は付いてたさ」

 

神様はご禁制の品だと言ってたけど俺に与えたなら口のうまい上条が神様を丸め込めて手に入れても不思議じゃない。

 

キッ!

 

両者が一気に接近してそのままお互いの拳が顔を殴り飛ばす。

 

何かが弾ける様な音がぶつかり空気が震える。

 

吹っ飛ぶ俺と上条。

 

「く!」

 

素早く起き上がり右手を付き出して構えると念じる。

 

すると全身の魔力を右手の手元に集まってくる。

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

そして倍増して集まった魔力を発射。

 

サッカーボールぐらいの大きさの魔力弾『ドラゴンショット』だ。

 

ドラゴンショットはまっすぐ上条に向かって行く。

 

「甘いな、こんなのよければそれでいい」

 

上条は空を飛んで上に避けるが・・・

 

「上に曲がれ!」

 

ドラゴンショットは上に曲がり上条を追いかける。

 

「なんだと!」

 

原作でも兵藤一誠が魔王サーゼクス様の任意に方向を変える魔力弾を見て自分もできないかとやっていたを見て真似たように俺も修行して真似て見た。

 

いわば三番煎じだけど効果はあった。

 

「くっしつこい!」

 

悪態を吐く上条。

 

それもその筈だ。

 

ドラゴンショットは右へ逃げたら右に追い、左逃げたら左にどこまでも追っていく。

 

上条は避けるのを諦め立ち止まり、障壁で防ぐ。

 

「はああ!!!」

 

ベキベキベキ

 

力で押し切ろうとあと二発発射する

 

三発同時、プロモーションキング状態でも今はこれが限界か・・・

 

三発のドラゴンショットは障壁に亀裂を入れていく。

 

見た目はサッカーボールクラスだが実際は圧縮させまくった魔力弾だ。

 

「ここまでとは・・・だがこれくらいなら」

 

焦りを見せながらも防ぎきる自信を見せる上条

 

じゃあこれならどうだ!

 

龍翼を広げて飛び上がり上条よりさらに高い位置に着くと

 

赤い龍のオーラを右足に纏わせて上条に向けて落下の勢いと背中の魔力口を上に向けて魔力を放ち突撃して

 

「おりゃあああああ!!」

 

見様見真似のレオキックもどきを叩きこむ!

 

「な、何!?」

 

ピシッピシピシ・・・バギッ!

 

三つのドラゴンショットでヒビが入りレオキックで障壁を叩き壊した。

 

「くっ!」

 

スペシウム光線の時で懲りたのかすぐに上条が障壁を解きドラゴンショットを受け流し。

 

受け流されたドラゴンショットがあらぬ方向に飛んで消えていく。

 

ありがとうございます由良さん。

 

ここまで鍛えてもらえた事に感謝の意を心の中で示す。

 

あなたに鍛えていただけなかったらここまで大きな威力の打撃技を出せませんでした。

 

北岡先生の秘書の由良吾郎さんの顔を思い出す。

 

秘書の仕事がない時に道着を着て鍛えてもらっている日々。

 

中学生に対して厳しい鍛錬であったが必死に耐え抜き今こうしてその成果が出たことが嬉しかった。

 

「はあ!」

 

俺がワン・ツーと二段キックをするが上条も同じように二段キックをして相殺させる。

 

お互い後ろに飛び間合いを開けて俺が右へ、上条が左へ動き相手の出方を見る。

 

「でやあ!」

 

ジャンプして右ストレートで殴りかかる。

 

上条もジャンプして右ストレートで迎え撃つ。

 

ガキン

 

互いに空中ですれ違い着地して。

 

振り返りすぐにドラゴンショットを撃ち上条も魔力弾を放つ。

 

互いの技がぶつかり合い相殺される。

 

相殺され煙で身えなくなった所で右腕で殴りかかるが上条がそれを左手で受け止める。

 

上条も空いた右手で拳を振るうが俺も左手で受け止める。

 

「「ぐううううううううう」」

 

そのまま力比べに突入する。

 

『Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!Divid!』

 

上条が力を吸い取り押し出そうとするが

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!Boost!!Boost!』

 

俺も負けじと自分の力を倍加させて応戦する。

 

『やるね、だがこれだけは言っておくよ。僕の邪魔をする者はさやか以外誰であろうと容赦するつもりはない。たとえそれが魔法少女であってもね』

 

「させない!絶対にさせるか!」

 

ブンッ!

 

バキイィ!!

 

振り払って体勢が崩れた所にオーラを纏わせたパンチを放つと、白龍皇のマスクを被る上条の顔に見事にクリーンヒットした。

 

「くっ!くくく・・・・さすがだね、今の君こそ倒すのに相応しい相手だよ!!」

 

シュッ!

 

ザッシュ!!

 

「がはぁ!!」

 

何かががみぞおちに切り裂く。

 

痛みで口から空気が吐き出され、後ろへ数歩下がる。

 

その正体は上条の手をまっすぐに伸ばしたチョップだった。

 

でもそれはただのチョップじゃない。

 

自分のオーラを纏わせたチョップいわばオーラの手刀だ。

 

「体にオーラを纏わせるのは君の専売特許じゃない」

 

オーラ手刀で斬り掛かってる。

 

なんとかそれを避けると後ろにあった鉄の柱が切断され崩れる。

 

シュッ!シュッ!シュッ!

 

「チィ!!」

 

下がった顔に向かって踏み込んでのオーラ手刀三連撃。

 

しかし、これも避けて、最後の三発目を右の裏拳で弾きそのまま、懐に潜り込むとボディに拳を連続で当てる。

 

ドスドスドスドスドス!!!!!

 

鈍い音が鎧越しに上条の腹に響き渡る。

 

「ぐう!ぐう!ぐう!ぐう!」

 

何度か殴った後、剥き出しになった上条の顎に向かって、由良さんから教わった突き上げるような掌底を繰り出す。

 

ブオン!!

 

バキィィィ!!!

 

があぁ!

 

見事にヒットして、白龍皇の兜は割れて素顔になった上条が後ろへ下がる。

 

踏み込んで足元にローキックを繰り出す。

 

『シッ!』

 

『バキン!』

 

 

体勢を崩し、そのまま仰向けに上条は倒れた。

 

馬乗りになろうと飛びかかると、体を横に転がして避ける。

 

「・・・チィ」

 

軽く舌打ちをして、転がっていった方に目をやると、すでに起き上がり構えている上条が目に入った。

 

『・・・本気になった君がここまでやるとは思わなかったよ。』

 

兜を再生させる上条

 

「負けない、お前のような奴にだけは絶対に!」

 

『だったら、まだまだ楽しめそうだね!』

 

上条の白いオーラが増大されて右の拳に集束していく。

 

「これで最後だ。最高の一撃で終わらせよう」

 

迎え討つために俺も全身の赤いオーラを高めて右の拳に集める。

 

大地が揺れて地割れが発生するがお構いなしだ。

 

ちょっとでも手を抜けば負ける。

 

こっちも持てるだけの力を出さないと。

 

「これで終わりだ!」

 

上条が物凄いスピードで飛んで接近して、その勢いを加えた白いオーラの拳をを突き繰り出した。

 

「(来た!!だったら、もっと速く!もっと鋭く突っ込め!) 」

 

あれは仮に避けたり受け流したりしても余波でやられる。

 

なら小細工なしで迎え討って勝つしかない。

 

「おりゃああああ!」

 

俺も赤いオーラの拳を繰り出してぶつかり合う拳

 

衝撃波が発生して景色にヒビが入り粉々に砕け散る。

 

バチバチとオーラ同士が干渉しあい火花が飛び散る

 

お互いに負けじとぶつかり合って均衡状態になっていたが

 

拳と拳の間で爆発して俺と上条は吹き飛び倒れる。

 

そして上条と俺は立ち上がった。

 

だが勝敗は不意に起きた。

 

俺の方はすぐに前のめりにガクッと膝を突く。

 

そして王の駒(キング・ピース)の使用時間がきてしまいオーラが消えてしまった。

 

両手を地面に突き身体がうまく動く立ちあがろうにも力が出ない・・・

 

その場で崩れる。

 

奴の方を見るとオーラは消えずに王の駒(キング・ピース)は継続していた。

 

ほぼ同時に王の駒(キング・ピース)を発動させたのになんで奴の王の駒(キング・ピース)は発動し続けてるんだ。

 

「おしかったね、僕が神から貰った王の駒(キング・ピース)は君の幼女神が勝手に持ち出した試作型の王の駒(キング・ピース)と違って五分間しか発動できない弱点を改良された完全な王の駒(キング・ピース)なんだよ」

 

完全な王の駒(キング・ピース)!そんなものが奴の体内に!

 

失敗したな。もう少し慎重に行動するべきだったか・・・

 

「恨むならなら不完全な駒を持ってきたあの見習い女神を怨むんだね」

 

・・・今、何言ったこの野郎!?

 

「誰が恨むか!リュネがいなければ俺はあのまま何もない人生をただ送っていって死ぬだけだったんだ!感謝するけど怨みなど一切ない!」

 

辛い事も確かにあったが家族や友達ができて楽しい事もたくさんできた。

 

・・・だからそんな泣きそうな顔をするなよ。

 

「でも・・・でも概念の存在の私は助ける事も出来ずにその上また私の所為で一真が死にそうに・・・」

 

上条と俺の間に話を聞いていた半透明の幼女神リュネが立っている。

 

「一人でぶつぶつ言ってるが恐怖で幻覚でも見えてるのか?」

 

リュネの姿は上条には見えていないのか。

 

「俺は・・・転生した事を一度も後悔していない。だからリュネを悪く言うのはやめろ!」

 

くそ!あの野郎を一発殴らないと気が済まないのに身体が動かねえ・・・

 

「そんな死にぞこないの体で何ができるか知らないが所詮は負け犬の遠吠えだな。それにしても前世での君を知ってるけど正直禁手に至ったばかりでここまでやるとは思わなかったよ」

 

「ぜ、前世の俺、なんで知ってるんだ。お前は・・・一体・・・?」

 

「まだ分からないかい?薄情だな、昔一緒に会社で働いたり酒を飲みながらまど☆マギのDVDをフルマラソンで見た仲なのに」

 

「ま、まさか・・・す、鈴木君!!」

 

鈴木君、かつて前世の佐藤だった頃に勤めていた会社の同僚。会社では孤立していたが俺とは気が合いまどか☆マギカやハイスクールD×Dを教えてくれた親友。

 

彼も転生者としてこの世界に来ていたなんて。

 

でもこれで奴が美樹さんに固執する理由が分かったよ

 

鈴木君まどマギの中で美樹さんが一番好きって言ってたからな。

 

そんな彼女が辛い目にあう事が許せなかったのか。

 

あいつの美樹さんを守りたいって気持ちは本物なんだな。

 

「そうそうここまで戦えたから本当の事を教えてあげよう。本物の上条恭介の意識なんだど彼は無事だよ。神様も勝手に魂を消滅させるわけにはいかないようだから僕の一つ下の弟『上条透』としてこの世に生を受けている」

 

そうか、あまり好きじゃなかったけどだからといって居なくなってしまう事とは別だから生きているならそれでいい。

 

後はこの体さえ動いてくれたら最高なんだけどな。

 

なんとか動こうとするが痛みで身体が動かない。

 

「だが君はここで終わりだ。今とどめを刺してあげよう」

 

一歩一歩近づいて来る上条

 

本当に俺はここまでなのか・・・

 

『一真立て!立ってくれ!』

 

ごめんドライグ・・・ここまでかも

 

覚悟を決めて最後の時を迎えようとするが。

 

バギッ!!

 

多節棍の槍が飛んでくるが左手で槍を弾く上条

 

「!?」

 

「これって!」

 

突然の出来事と見覚えのある攻撃に驚く上条と俺

 

「一真、無事か?」

 

空から赤い魔法少女姿の杏子ちゃんが倒れている俺の前に着地する。

 

き、杏子ちゃん・・・!

 

「パロットラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ」

 

「こざかしい!」

 

さらに無数の銃撃が上条に飛んでくるが障壁で防がれる。

 

「城戸君!」

 

杏子ちゃんの横に着地するマミさん。

 

杏子ちゃん、マミさん!?なんでここに?結界があって入れない筈じゃ・・・

 

『どうやら最後の一撃で結界が吹き飛んでしまったようだな。結構強固な結界を張った筈なのだが・・・』

 

アルビオンが説明する。

 

確かに二天龍+二つの王の駒(キング・ピース)の力ならどんな結界でも吹き飛ばしそうな気がするな。

 

「杏子ちゃ、マっ・・・ぐう」

 

まずい、さっきの戦いで受けたダメージで起き上がれず声まで出ない・・・

 

「城戸君!」

 

「一真!テメェは何者だ!顔を見せやがれ!」

 

マミさんが俺に触れて回復魔法を掛けてくれて杏子ちゃんが上条に怒鳴り散らす。

 

幸いにも上条は頭を覆う白龍皇の兜を被っているから素顔が見えていない。

 

「巴マミと佐倉杏子か。引け、僕はそちらが仕掛けてこなければ魔法少女と戦う気はない」

 

「ふざけんなテメエ!一真をこんな目にあわせて何が戦う気がないだ!!」

 

「佐倉さんの言う通りよ。私達の仲間を攻撃した人がそんな事言っても信じると思う?」

 

杏子ちゃん、マミさんそれ以上挑発したらダメだ。そいつは自分の目的の為なら君達でも躊躇いなく始末するような奴なんだ。

 

「その男は何も知らない君達の力をを利用してるだけなのにかい?」

 

「一真は今まで体を張って一緒に戦ってきたんだ。お前なんかと一緒にするな!」

 

「あなたが何者か知らないけど彼を侮辱するのはやめてくれるかしら?」

 

二人共そんなにも俺の事を信じてくれてるんだ。

 

ならば俺もなんとかして立ち上がらないと・・・

 

「佐倉さん、あの鎧・・・」

 

「ああ、前に一真が装着してた鎧に似てやがる。あれも神器(セイクリッド・ギア)禁手(バランス・ブレイカー)って奴か」

 

「前にだと?どういう事だ?城戸一真は禁手(バランス・ブレイカー)に至っていなかった筈だが?」

 

そうか、二人は銀の魔女との戦いで一度赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)を見てるんだっけ。

 

『なるほど、道理で左腕から微かなドラゴンの魔力を感じると思ったがこれで合点がいった。どうやらその男、左腕をドライグに代価として奉げて疑似的な禁手(バランス・ブレイカー)に一度なった事があるようだな』

 

「何!?」

 

上条が驚きの声を上げる。

 

さすがに同じ二天龍のアルビオンには疑似禁手(バランス・ブレイカー)の事がバレていたのか・・・

 

説明を受けた上条が俺の方を見る。

 

顔は兜で見えないが声の感じでなんとなく驚きの表情だというのは分かった。

 

「・・・君はそこまでして本当に彼女達の為に戦っているんだね」

 

上条は白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)を広げて飛翔する。

 

「命拾いしたな赤龍帝。せいぜい傷を癒して力を蓄える事だな。次に会う時は必ず決着を付ける」

 

「逃がすかよ!」

 

杏子ちゃんが追うとするが魔力弾を足元に撃ちこんで爆発して躊躇してる間に空を飛び退却する上条。

 

呆然と上条の飛んで行った方向を見つめる俺達。

 

コン

 

杏子ちゃんが槍で兜を軽く叩く。

 

痛くないけど振動が頭に響くな。

 

「一真、聞きたい事は色々あるがとりあえずその鎧を脱げ」

 

「・・・分かった」

 

赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)を解除して制服姿に戻る。

 

よく見ると戦いで大分汚してしまった。

 

母さん、怒るよな、なんていいわけしよう・・・

 

いや今はそれより白龍皇の事を説明しないとだめだよね、どう説明しよう。

 

「次は服も脱げ」

 

「・・・え?」

 

杏子ちゃんの予想外の言葉に思考が停止する。

 

「さ、佐倉さん!」

 

顔を真っ赤にしているマミさん。

 

気持ちは分かるよ。

 

「・・・あっ、か、勘違いするな!へ、変な意味じゃねえ!一真があの鎧を着てたって事はまたどこか体の一部がドラゴン化しちまってないか確認する為だぞ」

 

ああ、そういう事かビックリした。

 

「そ、そうよ!城戸君!また無茶してあの赤い鎧を!」

 

『大丈夫だ佐倉杏子。巴マミ。相棒は禁手(バランス・ブレイカー)に至った。もう身体を代価にする必要はない。それに一真はもうあんな馬鹿なことはしない」

 

体の一部を代価に疑似禁手(バランス・ブレイカー)を行なったと思い怒る二人に俺の代わりにドライグが説明してくれた

 

「驚かせやがって・・・・」

 

「そうなの、よかった」

 

安堵する杏子ちゃんとマミさん。

 

よかった分かってくれて。

 

マミさんの回復魔法で何とか立ち上がれるまで回復する。

 

ウーウー

 

「ん?サイレンの音?」

 

「ああ、パトカーと消防車っぽいなどこかで火事でもあったんじゃねえか?」

 

「・・・・・・ね、ねえ、ふ、二人共もしかしてあれじゃあ?」

 

「「あれ?」」

 

マミさんが震えながら指さす方を杏子ちゃんと見ると・・・

 

結界が無くなって粉塵爆発させた倉庫から煙が立ち上っている。

 

つまりここに来る

 

まずい見つかったら大変な事になる。

 

「と、とにかく逃げるんだよ!!」

 

「「さんせー」」

 

俺達は全速力で工場から逃げだし数分後パトカーと消防車が工場跡地に到着した。

 

 

 

俺達は工場跡地から離れた場所に辿り着き息を整える。

 

「で、なにがあってああなったんだ?」

 

息の整った杏子ちゃんが倉庫の煙の原因を聞いてくる。

 

隠しても仕方ないから話すか。

 

「実は・・・」

 

俺は倉庫に相手を誘い込んで粉塵爆発を起こした事を説明した。

 

「・・・おまえ、いくらなんでもやりすぎだ」

 

「だよね…」

 

杏子ちゃんが呆れた表情で俺を見て、自分でもやりすぎたと思っている。

 

消防所の人、警察の人、そして工場の人ごめんなさい。

 

「でもそれだけやっても城戸君が勝てなかった相手なんでしょ。さっきの人って?」

 

そうだ、二人が来てくれなかったら俺はあいつにやられていた。

 

上条が転生者の上に白龍皇だったなんて・・・

 

ただでさえ魔女との戦いもあるのに厄介な事になったな。

 

「一真、あいつは何者だ?お前と似たような鎧を着てなんで戦っていたんだ?」

 

そりゃ聞くよね。でもこれだけは・・・

 

「それは・・・言えない」

 

あいつは俺と同じ転生者で同じ天龍を宿す者。だからこれは俺とドライグの問題だ。

 

決着は俺自身で付けないといけなから二人を巻き込むわけにはいかない。

 

俺の返答に杏子ちゃんが胸倉を掴んで自分の顔の前まで俺の顔を引き寄せる。

 

「・・・ちゃんと話せ、お前は私やマミさんの問題に首を突っ込んだんだ。なら私達もお前の問題に首を突っ込む権利はある。なのに自分は駄目って虫がよすぎねえか?」

 

「そうよ城戸君、私達はあなたに感謝している。だから私達からお返しする機会を奪わないで」

 

「杏子ちゃん・・・マミさん」

 

「城戸君、あなたは男の子だから強がりたいのも分かるし私達に弱音を見たくないのも分かるわ。でもね私達女の子にも力になってあげたい支えたいって気持ちもあるの。それも尊重して」

 

「マミさん・・・」

 

「そうだ!別に私らだけでやるとか言わねえ、力を貸して欲しい時は遠慮なんかせずにちゃんと言えっていってんだ。」

 

二人の気持ちは嬉しい。でもこれだけは・・・

 

『・・・・いいんじゃないか一真。二人に頼っても』

 

突然左手の赤龍帝の籠手の宝玉が光りドライグの声が話しかけてくる。

 

『その二人はお前をここまで心配してるんだ。それ以上拒絶することは逆に二人を侮辱する事になる』

 

『それに一真が禁手(バランス・ブレイカー)に至った理由は生きてみんなにまた会いたいと思ったからだ。真っ直ぐなのは美徳だと思うが時には肩の力を抜いて頼るのも大事な事だ。片意地張っては見えるものも見えなくなるぞ』

 

そう言われると何も言えない。

 

「分かった話すよ。あいつが何者でドライグとの因縁を」

 

二人に悪いがさすがに俺と上条恭介が転生者であることは隠ながら話した。

 

「おいおい一真もそうだけどそいつもとんでもねえな」

 

「ドライグさんと同じドラゴン最強の天龍。だけど他者の力を半減して奪い取る。城戸君と真逆なのね・・・」

 

俺の説明を聞き驚き感想を述べる二人。

 

「あいつはとんでもなく強い、だから出会っても戦うなんて無茶せずに退いてくれ。あいつは魔法少女と戦う気はないから手を出さなければ向こうも攻撃してこない。だから俺一人で決着をつけなればいけないんだ」

 

二人の気持ちは嬉しい。

 

でも気持ちだけじゃ白龍皇には勝てない。

 

だから卑怯だけど白龍皇の能力とその恐ろしさを話せば二人も納得して手を出さないだろうと考えていたが

 

「私達の話を聞いてたのか?一人で抱え込むなって!」

 

「分かったわ」

 

「マミさん!」

 

「勘違いしないで佐倉さん、私が分かったのは一人で戦わない事よ、でも援護だけはさせてもらうわ」

 

マミさん?

 

「城戸君がここまでやられた相手に悔しいけど私や佐倉さんじゃまず勝てない。でも私と佐倉さんと城戸君が一緒なら勝てるって事よ」

 

「そっかそういう事か、じゃあ納得だ」

 

杏子ちゃんまで!手を出さないどころか余計にやる気を出させてしまった。

 

「お前は言ったよな一緒に強くなろうって?」

 

「だから私達も城戸君の足手まといにならないように一緒に肩を並べるように強くなるわ」

 

杏子ちゃんとマミさんを見ると

 

まっすぐな二人の目が俺の目と合う。

 

その目はけっして自分を曲げない目だ。

 

そうだ、俺は一人じゃない。こんなにも心配してくれる仲間がいる。

 

杏子ちゃんとマミさんが手を差し出す。

 

二人の言葉を聞いて説得は無理と観念した。

 

こんなにも頼りになる仲間がいる。

 

俺の中でなにかが熱く燃えていて

 

気づけば差し出された二人の手を強く握った。

 

上条に負けたこの悔しさをバネにして俺を信じてくれた杏子ちゃんやマミさんに改めて誓う。

 

もう二度と負けないようにもっと強くなると!

 

そしてみんなと一緒に笑い合える未来を掴む為に。




城戸君、ついに禁手(バランス・ブレイカー)に至り新たな目標ができる。

当初の予定ではお菓子の魔女シャルロッテにマミさんが嚙みつかれるシーンに割って入り変わりに捕食され禁手(バランス・ブレイカー)に至るという予定でしたが上条白龍皇の戦いがあるので急遽変更しました。

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