……
……
うん。行ってらっしゃい。
視点:万丈目
『決闘!!』
梓
LP:4000
手札:5枚
場 :無し
万丈目
LP:4000
手札:5枚
場 :無し
「私の先行、ドロー」
梓
手札:5→6
「……手札を全て伏せ、ターンエンド」
梓
LP:4000
手札:0枚
場:モンスター
セット
魔法・罠
セット
セット
セット
セット
セット
「俺のターン!」
万丈目
手札:5→6
いきなり手札を0にしてまでカードを伏せるとはな。
どうする……
……梓のことだ。ほとんどは罠や速攻魔法と見て間違いないだろう。どのタイミングで発動させてくるか。
それに、あのセットモンスター。リバース効果モンスターか、それとも攻撃を誘っての高守備力モンスターか……
……くそ! 梓の場には攻撃モンスターはいない。だが、あの正体不明のカード達、たったそれだけで、ここまで俺に迷いを抱かせる。多くの生徒がおろそかにしがちな魔法・罠を、梓はかなり上手く扱う。そんな梓だからこそ、あの大量のセットカードからのプレッシャーは凄まじい。
だが……
「俺は、『
『仮面竜』
攻撃力1400
恐れていては、何も変えることはできない! 奴の手札が0の間に、一枚ずつで良い、あのカードを消費させる!
「『仮面竜』で、そのセットモンスターを攻撃!」
仮面竜の吐く火炎により、セットモンスターは表になる。現れたのは……雪だるま?
『スノーマンイーター』
守備力1900
「『スノーマンイーター』の効果発動。このカードがリバースした時、フィールド上に表側表示で存在するモンスター一体を破壊する」
「な!」
く、やはり効果モンスターだったか。それも、場合によっては発動されないリバース効果ではなく、リバースした時に強制発動する誘発効果。おまけに攻撃力は0だが、守備力が1900。
「『仮面竜』を破壊し、貴様のライフも削る」
「くぅ、この程度くれてやる……」
万丈目
LP:4000→3500
「……カードを伏せる。これでターンエンド!」
『サイクロン』を使うか?
……
……カードに手を伸ばす様子は無い。使わないか。
万丈目
LP:3500
手札:4枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
梓
LP:4000
手札:0枚
場 :モンスター
『スノーマンイーター』守備力1900
魔法・罠
セット
セット
セット
セット
セット
「私のターン」
梓
手札:0→1
「伏せカードオープン。『強欲な壺』。カードを二枚ドロー」
梓
手札:1→3
「……『スノーマンイーター』を生贄に、『氷結界の虎将 ライホウ』召喚」
『氷結界の虎将 ライホウ』
攻撃力2100
「効果は分かっているな。フィールド上でのモンスター効果は、手札を一枚捨てなければ発動できない」
「ああ。分かっている」
「バトルだ。ライホウ、ダイレクトアタック。冷奏円舞」
「ぐぅ!」
万丈目
LP:3500→1400
「一枚伏せ、ターンエンド」
梓
LP:4000
手札:1枚
場 :モンスター
『氷結界の虎将 ライホウ』攻撃力2100
魔法・罠
セット
セット
セット
セット
セット
万丈目
LP:1400
手札:4枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
さすがにブラフで伏せたカードに躊躇してくれるような奴ではないか。
「俺のターン!」
万丈目
手札:4→5
奴のフィールドのカードはまだ減っていない。だが、臆していては勝つことはできない!
「『ドラゴンフライ』召喚!」
『ドラゴンフライ』
攻撃力1400
「バトル! 『ドラゴンフライ』で、ライホウを攻撃!」
向かっていく『ドラゴンフライ』だが、当然攻撃力の高いライホウには勝てない。
万丈目
LP:1400→900
「この瞬間、『ドラゴンフライ』のモンスター効果! デッキから、攻撃力1500以下の風属性モンスター一体を攻撃表示で特殊召喚する! この効果は墓地での発動のため、ライホウの効果で無効にはならない。『アームド・ドラゴンLV3』召喚!」
『アームド・ドラゴンLV3』
攻撃力1200
「メインフェイズ2、魔法カード『レベルアップ!』! フィールド上のLVモンスター一体を墓地へ送り、そのモンスターに記されたモンスターを手札、デッキから特殊召喚する! 現れろ! 『アームド・ドラゴンLV5』!」
『アームド・ドラゴンLV5』
攻撃力2400
……
……ここまで、カードを発動する様子は無い。無意味に伏せいた『強欲な壺』と言い、まさか全てブラフか? それとも……
「『アームド・ドラゴンLV5』の効果! 一ターンに一度、手札のモンスター一枚を捨て、その攻撃力以下の相手フィールド上のモンスター一体を破壊する! 俺は手札の、『闇より出でし絶望』、そして、ライホウの効果でもう一枚のカードを捨て、『氷結界の虎将 ライホウ』を破壊する!」
万丈目
手札:3→1
「デストロイド・パイル!」
……黙って破壊されるライホウ。何のアクションも無いのが逆に不気味だ。
「カードを伏せ、ターンエンド!」
「……エンドフェイズに罠カード『鳳翼の爆風』。手札を一枚捨て、相手フィールドのカード一枚をデッキトップに戻す」
「なに!?」
梓
手札:1→0
炎の風に巻き上げられ、『アームド・ドラゴンLV5』がデッキトップに。
「く、そ……」
だがなぜだ? こいつを呼び出した瞬間デッキトップに戻しても良かったはずだ。そうすれば、ライホウが破壊されることは無かったのに……
ライホウ?
「……そういうことか」
爆風が止んだところで、改めて梓と向かい合う。
「わざとタイミングをずらしたのか。俺にアームド・ドラゴンの効果を使わせ、更にライホウの効果で無駄に手札を消費させるために……」
相変わらず計算高い、そして鮮やかな決闘をする……
万丈目
LP:900
手札:0枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
セット
梓
LP:4000
手札:0枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
セット
セット
セット
「私のターン……」
梓
手札:0→1
「……セット。罠カード『徴兵令』。相手のデッキの一番上のカードを確認し、通常召喚可能なモンスターならば、私のフィールドに特殊召喚する」
「何だと!?」
「私のもとへ跪け、『アームド・ドラゴンLV5』」
『アームド・ドラゴンLV5』
攻撃力2400
「これで終わりか……『アームド・ドラゴンLV5』の攻撃」
「罠発動『和睦の使者』! このターン、俺は戦闘ダメージを受けない!」
「……まあ良い。ターンエンド」
梓
LP:4000
手札:0枚
場 :モンスター
『アームド・ドラゴンLV5』攻撃力2400
魔法・罠
セット
セット
セット
セット
万丈目
LP:900
手札:0枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
「くぅ、俺のターン!」
万丈目
手札:0→1
「『強欲な壺』! カードを二枚ドロー!」
万丈目
手札:0→2
「……魔法カード『レベル・コピー』! フィールド上のLVモンスター一体を選択し、それと同じ名前と能力を持つ『コピートークン』を特殊召喚する!」
『コピートークン(アームド・ドラゴンLV5)』
攻撃力2400
「バトルだ! コピー・アームド・ドラゴンで、『アームド・ドラゴンLV5』を攻撃! アームド・バスター!!」
互いにぶつかり合い、同じ攻撃力同士当然破壊される。
「罠発動! 『リビングデッドの呼び声』! 墓地の『アームド・ドラゴンLV5』を特殊召喚!」
『アームド・ドラゴンLV5』
攻撃力2400
「『アームド・ドラゴンLV5』で、梓にダイレクトアタック! アームド・バスター!」
「……罠発動『次元幽閉』。攻撃モンスターは除外される」
その言葉と同時に、アームド・ドラゴンが宙へ開いた穴へと吸い込まれる。
「くそっ、魔法カード『マジック・プランター』発動! フィールドの永続罠を墓地へ送り、カードを二枚ドローする。フィールドに残った『リビングデッドの呼び声』を墓地へ送り、カードを二枚ドロー!」
万丈目
手札:0→2
「……カードを二枚伏せる。ターンエンド!」
「速攻魔法『サイクロン』。貴様から見て、右側のカードを破壊」
くそ、『攻撃の無力化』が。一枚はあると思っていたが、やはり伏せていたか。
万丈目
LP:900
手札:0枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
梓
LP:4000
手札:0枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
セット
奴の場に残ったカードは二枚。枚数的にも危険には違いないだが、二枚ともブラフの可能性もある。このターン、攻撃モンスターを召喚されなければまだ勝機はある。
「……私のターン」
梓
手札:0→1
「……」
何を引いた?
「……モンスターをセット。ターンエンド」
梓
LP:4000
手札:0枚
場 :モンスター
セット
魔法・罠
セット
セット
万丈目
LP:900
手札:0枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
よし! ギリギリのところで踏みとどまった!
「俺のターン!」
万丈目
手札:0→1
これならいける!
「速攻魔法『サイクロン』を発動! フィールド上の魔法・罠カード一枚を破壊する!」
梓の最もよく使う、そして、おそらくは速攻魔法の中で最も重宝されるべきカード。梓の決闘を見て、改めてこのカードの汎用性を知った。今では梓だけでなく、俺のデッキにも欠かせないカードだ。
「お前から見て、左のカードを破壊する!」
破壊されたのは……『激流葬』、よし!
「罠発動『異次元からの帰還』! ライフを半分払い、ゲームから除外されているモンスターを可能な限り特殊召喚できる! ゲームから除外された、『アームド・ドラゴンLV5』を特殊召喚!」
万丈目
LP:900→450
「いくぞ! バトル! 『アームド・ドラゴンLV5』! アームド・バスター!」
破壊されたのは、『氷結界の守護陣』。確か単体では効果が発揮されない氷結界のサポートモンスターか。
「これでターンエンド。そしてこのエンドフェイズ、『異次元からの帰還』で特殊召喚されたモンスターは除外されるが、モンスターを戦闘破壊した『アームド・ドラゴンLV5』は、『アームド・ドラゴンLV7』へとレベルアップする!」
『アームド・ドラゴンLV7』
攻撃力2800
『グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
高らかに咆哮を上げる、『アームド・ドラゴンLV7』。
「すげえ! 『アームド・ドラゴンLV7』だ!!」
「さすが! 万丈目サンダー!!」
「サンダー!!」
『サンダー!!』
『サンダー!!』
『万丈目サンダー!!』
周囲からの歓喜の声。
どうだ梓。これが俺の新しいデッキだ。お前が憧れた人間の、今の姿だ。今のお前はあの頃とは大きく違っている。だが、そんなお前の目には、俺の姿はどう映っている?
そんな考えを抱きながら、俺は梓の顔を見た。
「……」
万丈目
LP:450
手札:0枚
場 :モンスター
『アームド・ドラゴンLV7』攻撃力2800
魔法・罠
無し
梓
LP:4000
手札:0枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
「……悲しいな」
ん?
「……私は、この程度の男をずっと目指していたのか……」
「なに!?」
「私のターン」
梓
手札:0→1
「永続魔法『ウォーター・ハザード』を発動。自分のフィールドにモンスターが無い場合、手札の水属性レベル4以下のモンスター一体を特殊召喚できる……」
「な! だが、お前の手札はゼロ。召喚できるモンスターなど……まさか……」
さっきセットされていた『強欲な壺』。そして、あの残った一枚の伏せカード……
「伏せカードオープン。『命削りの宝札』。手札が五枚になるようカードをドローし、五ターン後、手札を全て墓地へ送る」
「ば、バカな!!」
梓
手札:0→5
最初から伏せていたのか……大量に伏せていたカードの中に……ということは……
「始めから、勝てていたと言うのか……もっと早くから、勝負を決めることが、できていたというのか……」
「……『ウォーター・ハザード』の効果発動。手札のモンスター一体を特殊召喚する」
『氷結界の水影』
攻撃力1200
「速攻魔法『地獄の暴走召喚』。相手フィールド上にモンスターが存在し、自分が攻撃力1500以下のモンスターの特殊召喚に成功した時、手札、デッキ、墓地から、同名カードをを可能な限り特殊召喚する。貴様も『アームド・ドラゴンLV7』を特殊召喚するがいい……」
「くぅ……」
『氷結界の水影』
攻撃力1200
『氷結界の水影』
攻撃力1200
……無理だ……『アームド・ドラゴンLV7』は、デッキに一枚しか入っていない。何より、LV7はLV5の効果でしか特殊召喚できない。
そして、確か水影の効果は……
「『氷結界の水影』は、自分フィールドにレベル2以下のモンスターしか存在しない場合、直接攻撃が可能……」
「く……そ……」
「バトル……『氷結界の水影』、氷結・斬影の形」
向かってくる三体の水影……
これが、今のお前の決闘か……そうか……
万丈目
LP:450→0
負けた……1ポイントのダメージも与えられず……完敗だ……
ひざを着きながら、俺は思っていた。
梓は本当に変わってしまった。今の決闘で分かった。
相手の行動、戦術を封じ、時には自分の力に変えつつダメージを与え、勝利する。それ自体は、今まで見せてきた水瀬梓の決闘そのものだ。
だが、少なくともわざと勝負を長引かせるような真似はしなかった。まるで、自ら過酷な道に足を踏み入れ、自分自身を追い詰めているように。
だが、同時に一つだけ分かった……
そんなことを考えているうち、梓は背中を向けた。
「梓!!」
気が付けば、俺はその背中に向かって叫んでいた。
「アカデミアに戻れ!」
お前が何を思って、そんなことをしているのかは知らない。だが、決闘の中で感じた。本来のお前自身は、何も変わっていない。ならば、
「俺達は明後日、アカデミア・本校へ行く。お前もそれに乗れ。アカデミアに帰るんだ! みんながお前を待っている!!」
「……今更、あんな場所に用は無い……」
くそっ! 半ば予想通りの答えだが……
「なぜだ!? あそこには、お前の大切な人も待っているんだろう!!」
「……」
梓と、平家あずさが恋仲になっていたことは、二人の様子を見ていれば分かった。時々二人が話しているのを見たが、あれは単なる友人関係ではない。明らかに、恋人同士の見せるそれだった。何より、月一試験での実技決闘で、平家あずさを罵倒する女子達に怒鳴っていた時と言い、俺も同じ目をしていたから分かる。
好きなんだろう。平家あずさのことが。そして、平家あずさもまた……
「……大切な人……だと!!」
そんな、怒りの声が聞こえた瞬間、梓は一瞬のうちに俺の目の前に現れ、胸倉を掴んできた。
「そんなものは、とっくの昔に失った! 私は奴を許さない……その感情以外は必要無い! 私には、それ以外の欲など許されない!!」
なん……だと……?
「どういう意味だ……? 欲が許されないとはどういうことだ……?」
「私には始めから何も無かった。何かを求めることなど許されない存在だった。それを、一つ大切なものを持ち、他にも求めたせいで全て失った。それ一つあれば幸せでいられたはずなのに、更に欲したせいで全てを失った。そしてそれを、ずっと忘れていた……」
喋りながら、体から紫のオーラがにじみ出てきた。今まで見てきたどの梓よりも、おぞましい姿……
「そして思い出した!! 今も欲している!! 復讐と言う、愚の骨頂を求めている!! だからそれ以外は必要無い!! 日常も、友も、憧れも、私には過ぎた宝だった!! 持つことなど許されなかった!! もう二度と、同じ過ちは繰り返さない!! 大切なものは一つだけあれば良い!! それ以上は許されない!! そして、今のそれが、復讐だ!!」
また叫び、突き飛ばされると同時に、梓は抜刀し、こちらへ振り上げた。
その瞬間、俺のすぐ横の地面に、巨大な斬り跡ができた。
「もう二度と、会うことは無い……」
その言葉を最後に、今度こそ去っていく。
「梓……」
お前は間違っている。
欲を持つことが許されないだと?
誰もが持つ友や憧れ、日常さえが、自分には過ぎていただと?
大切なものは一つだけで良いだと?
それが復讐だと?
そんなバカな話があるものか。お前はずっと、アカデミアで笑っていたではないか。
あれほど優しく、純粋で、みんなと笑い合っていた。それなのに……
過去に何があったのかは知らんが、お前なら……違う。誰だって、何かを欲する気持ちは同じだ。それが日常だと言うならなお更だ。だから、お前が欲しても良いはずなんだ。たとえそれをお前自身が許さずとも、お前を許す人間は大勢いる。
俺もその一人だ。
俺は立ち上がった。
「絶対に戻ってこい!!」
さっきと同じように、梓に対し、叫んでいた。
「たとえお前がお前自身を許せなくとも、俺も、あいつらも、お前を許す!! だから、必ず戻ってこい!! 梓!!」
その叫びが聞こえたかは分からない。ただその絶叫が、冷たい氷の空間に虚しく響いただけだった。
お疲れ~。
じゃあ早速だがオリカ~。
『レベル・コピー』
通常魔法
フィールド上に表側表示で存在する「LV」と名の付くモンスター1体を選択して発動する。
選択されたモンスターと同じ属性・種族・攻撃力・守備力・効果を持つ「コピートークン」1体を自分フィールド上に特殊召喚する。
選択されたモンスターが墓地に送られ、そのカードの効果に記されたモンスターが特殊召喚された時、コピートークンの攻撃力・守備力・効果は特殊召喚されたモンスターと同じになる。
遊戯王GXにおいて万丈目が使用。
『武闘円舞』のLV限定版。ただし効果もコピーされるうえ、レベルアップまでするから強力。
ただでさえ強力な効果のLVモンスターをノーコストでもう一体呼び出すのはかなり強いと思う。
使うタイミングとしては、最終形態まで進化させた後かその前か、どっちのが良いか悩みどころだね。
今回みたいにレベルが相手なら相討ちを狙うこともできるしね。
ちなみに大海は、LVモンスターは『サイレント・ソードマン』が好きです。
皆さんは好きなLVモンスターはおりますか?
まあ雑談はこの辺で。
次も待っててね。