遊戯王GX ~氷結の花~   作:大海

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決闘完結~。
なお、今回も例によってオリカが出ます。
でもぶっちゃけ後書きの解説いるかな? よほどマニアックなカードでない限り必要ない気がするんだよね。
その辺の意見も聞きたいところ。
まあとりあえず、行ってらっしゃい。



第七話 ボクと遊ぼう ~ボク~

視点:あずさ

 許せない……何なのあいつ!! 本気で自分以外を人以下だとでも思ってるわけ!?

 絶対に許せない……もう、梓くんの意見とか、財閥がどうかなんて関係無い……

 決闘を邪魔する気は無い。けど、決闘が終わった時、私はあいつを……

 

 ブチッ

 

 突然、そんな音が響いた。何かと思って見ると、梓くんが、髪止めを乱暴に引きちぎったのが分かった。

 一本に縛ってまとまってた髪が広がってる。

「……」

 何も言わない。無言で袖から新しいゴムを取り出して、それを、今までポニーテールだったのに、どうしてかツインテールに縛り直してる。

「……」

 ただ、わたしには分かる。梓くんは、わたしが今まで見た中で、一番怒ってるって。

 

「……ボクのターン……」

 

手札:0→1

 

 あ、あれ? 梓くん、今まで『ボク』なんて言わなかったよね?

 それに、何だか口調まで変わってる? 凄く、幼い?

 

「……ボクは魔法カード『命削りの宝札』を発動。手札が五枚になるようドローできる。五ターン後、手札全部を墓地に送らなきゃいけないけどね……」

 

手札:0→5

 

「一気に手札補充!!」

 明日香ちゃんが叫んだ。私も驚いてる。まさかここであのカードを引き当てるなんて。

「さあ……ボクと遊ぼう……」

 

 ニヤッ

 

 ひ!! なに!? 怖い……!!

 

 

 

視点:佐倉

 一体どうしたんだ? あれは、怒りに震えてるとか、そのせいでおかしくなったとか、そんなチャチなもんじゃない。髪型以前に、明らかに今までとは違う。同一人物であって別の人間。それが今、目の前にいる。

「ボクは墓地の『氷結界の武士』とグルナードを除外。現れて冷狼……『フェンリル』を特殊召喚」

 

『フェンリル』

 攻撃力1400+500

 

「そして、装備魔法『魔導師の力』。自分フィールド上の魔法・罠一枚につき、攻撃力を500ポイントアップさせる。ボクのフィールドには『魔導師の力』と『ウォーター・ワールド』。攻撃力は1000ポイントアップ」

 

『フェンリル』

 攻撃力1400+500+1000

 

「バトル、『フェンリル』で『ホーリー・ナイト・ドラゴン』を攻撃。冷爪牙斬」

「ぐぅ……『スピリットバリア』の効果でダメージは0」

「ボクは『氷結界の水影』を召喚して、ターンエンド」

 

 

LP:200

手札:2枚

場 :モンスター

   『フェンリル』攻撃力1400+500+1000

   『氷結界の水影』攻撃力1200+500

   魔法・罠

    フィールド魔法『ウォーター・ワールド』

    装備魔法『魔導師の力』

 

佐倉

LP:4500

手札:0枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    永続罠『神の恵み』

    永続罠『スピリットバリア』

 

 

 なぜ水影で攻撃しなかった? 先に召喚していればダイレクトアタックできたのに。

「……俺のターン」

 ……ちっ、デッキは凍りついてやがる。

「『フェンリル』の効果でドローフェイズはスキップされる。ターンエン……」

 

「え? 終わりなの?」

 

 なに?

「どうしたの~? ねえ~、このままじゃゴミに負けちゃうよ~。何もしないの~? 逆転するために何かしないといけないんじゃないの~?」

 ……! こいつ!

「ねえ、何もしないの? ねえ? ボクはゴミなんでしょう? キミは偉い偉い人間様なんだよね? だったら逆転しないと。ほら、ほらほらほらほらほらほら~」

「くぅ……ターンエンド!」

 

 

佐倉

LP:4500

手札:0枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    永続罠『神の恵み』

    永続罠『スピリットバリア』

 

LP:200

手札:2枚

場 :モンスター

   『フェンリル』攻撃力1400+500+1000

   『氷結界の水影』攻撃力1200+500

   魔法・罠

    フィールド魔法『ウォーター・ワールド』

    装備魔法『魔導師の力』

 

 

「本当に終わっちゃった。何もできずに終わっちゃったよ。ねえ見て! あれがボク達をゴミだって言ってる人間様の姿だって!」

 俺を指差しながら、ゴミ共に話し掛けている。全員動揺してやがる。当然だ。こいつは本当に、さっきまでと同じ、水瀬梓なのか?

「ボクのターン!」

 

手札2→3

 

「ボクは水影を生贄に、『氷結界のロイヤル・ナイト』を召喚するよ!」

 

『氷結界のロイヤル・ナイト』

 攻撃力2000+500

 

「このカードが生贄召喚に成功した時、キミの場に攻撃力1000の『アイス・コフュン・トークン』を特殊召喚する。さあ受け取ってよ、ゴミからのプレゼント」

「……」

 

『アイス・コフュン・トークン』

 攻撃力1000+500

 

「バトル! 『フェンリル』で『アイス・コフュン・トークン』を攻撃!」

 ちっ、『スピリット・バリア』の効果で戦闘ダメージは受けない。だが、どの道ロイヤルナイトの攻撃が……

「二枚伏せてターンエンド」

「なに!?」

 

 

LP:200

手札:0枚

場 :モンスター

   『フェンリル』攻撃力1400+500+1000

   『氷結界のロイヤル・ナイト』攻撃力2000+500

   魔法・罠

    フィールド魔法『ウォーター・ワールド』

    装備魔法『魔導師の力』

    セット

    セット

 

佐倉

LP:4500

手札:0枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    永続罠『神の恵み』

    永続罠『スピリットバリア』

 

 

「どうして、梓は攻めないの?」

「『フェンリル』の効果でカードが引けない。もう勝ちは決まってるのに、こんなことしても無駄じゃ……」

「……楽しんでる」

「あずさ?」

「梓くん、相手が何もできずに負けていくのを、楽しんでるんだ」

『……』

 

 そうだ。こいつは……そう、氷漬けにした俺ではなく、その周りの凍りを砕いて楽しんでやがる。そうやって動けずに、いずれ自分が砕かれることに恐怖を浮かべることしかできない俺を見て、楽しんでやがる。

 

「俺のターン……できることは無い。ターンエンド」

 くそ、本当にドローも何もできない……何も変わらない……作者がフィールド表示を省略するほどに……

「ねえ、どうしたの?」

 ……

「どうしてゴミにされるがままなの? ねえ、どうして?」

 ……口調も態度も、完全に幼い子供か。

「ボクのターン!」

 

手札:0→1

 

「罠発動! 『ナイトメア・デーモンズ』! 『氷結界のロイヤル・ナイト』を生贄に捧げて、キミの場に三体の『ナイトメア・デーモン・トークン』を特殊召喚するよ!」

 

『ナイトメア・デーモン・トークン』

 攻撃力2000

『ナイトメア・デーモン・トークン』

 攻撃力2000

『ナイトメア・デーモン・トークン』

 攻撃力2000

 

 攻撃力2000か。だが、『魔導師の力』を装備した『フェンリル』には勝てない。

「バトル! 『フェンリル』で一体目に攻撃ぃ!」

 ちっ、戦闘ダメージは0……

「『ナイトメア・デーモン・トークン』が破壊された時、キミは800ポイントのダメージを受けるよ!」

 

佐倉

LP:4500→3700

 

 く、『スピリットバリア』のせいで無駄に長引く。

「ターンエンド。ほら、早く何とかしないと! ほら!! ほらほらほらほらほらほらほらほら!!」

 

 

LP:200

手札:1枚

場 :モンスター

   『フェンリル』攻撃力1400+500+1500

   魔法・罠

    フィールド魔法『ウォーター・ワールド』

    装備魔法『魔導師の力』

    セット

 

佐倉

LP:3700

手札:0枚

場 :モンスター

   『ナイトメア・デーモン・トークン』攻撃力2000

   『ナイトメア・デーモン・トークン』攻撃力2000

   魔法・罠

    永続罠『神の恵み』

    永続罠『スピリットバリア』

 

 

 くぅ……普通の奴ならこれだけで発狂レベルだな。正直、俺自身もこいつと向かい合っていながら、まともに立っていられるのが不思議なくらい辛い。

 だが、これが俺への報いなら、逃げない。

「俺のターン。何もできん。終了」

 

「佐倉さんが、負ける」

「あの野郎、楽しんでやがる!」

「このままじゃ、せっかくのレアカードが……」

「そんなことさせるかよ!」

 

「ボクのターン!」

 

手札:1→2

 

「バトル! 『フェンリル』で……」

 

「おい待てこら!!」

 

 ん? 取巻き共の声?

 

「これを見ろよ!!」

 

 っ! あいつら!!

「それ以上しやがったらこいつら、どうなるか分かってるよな!!」

 四人がそれぞれ、レッドの十代に、ブルーの天上院と女子二人を抑えつけて、ナイフを顔に当ててやがる!

「やめろお前ら! 邪魔するな!!」

「あんたは黙ってなよ佐倉さん。これであんたは勝てるんだ」

「ふざけるな!! 俺はこの決闘で不正はしない。そう言ったはずだ!」

「あんたはな。けど、俺達が何もしないとは言ってないだろう」

「なにぃ!?」

「第一、あんたも勝手過ぎるんだよ。何で俺達のカードまで返さないといけないんだ?  あんたのカードじゃないんだよ! これは俺達のカードなんだ!! それをまるで自分のカードみたいに勝手なこと抜かすんじゃねえ!!」

 くそ! 分かってはいたが、本当のゴミは俺と、とっくに腐りきってるこいつらだったか……

 

「……『フェンリル』の攻撃」

 

 !

「ぐぅ……」

 

佐倉

LP:3700→2900

 

「おい!! お前何やってる!!」

「ターンエンド」

 

 

LP:200

手札:2枚

場 :モンスター

   『フェンリル』攻撃力1400+500+1500

   魔法・罠

    フィールド魔法『ウォーター・ワールド』

    装備魔法『魔導師の力』

    セット

 

佐倉

LP:2900

手札:0枚

場 :モンスター

   『ナイトメア・デーモン・トークン』攻撃力2000

   魔法・罠

    永続罠『神の恵み』

    永続罠『スピリットバリア』

 

 

 水瀬梓は何も言わない。こいつ、俺しか見えてないのか?

 だとしたらまずい。大抵はハッタリだから特に危険は無いんだが、あいつらなら本気でやりかねない。

「……」

 俺はとっさに、さっき地面を殴った女子を睨みつける。ほとんどが水瀬梓にビビって動けない中、何とかできるとしたらあいつくらいだ。

 

「……!」

 

 よし。俺の視線には気付いたか。後は何とか頼む。

「ターンエンド……」

 

「あれぇー!?」

 

 ぐぅ……

「また終わっちゃった。ねえどうして? 人間様ならゴミよりも強いんだよねぇ? なのに何で何もできないのかなぁ?」

 く、本当に俺しか見えてない……

 

「おい!! いい加減に……!!」

 

「ボクのターン!」

 

「おいこら!!」

 

手札:2→3

 

「『フェンリル』で最後の一体を攻撃!」

 

佐倉

LP:2900→2100

 

「ターン、エ・ン・ド」

 

 

LP:200

手札:3枚

場 :モンスター

   『フェンリル』攻撃力1400+500+1500

   魔法・罠

    フィールド魔法『ウォーター・ワールド』

    装備魔法『魔導師の力』

    セット

 

佐倉

LP:2100

手札:0枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    永続罠『神の恵み』

    永続罠『スピリットバリア』

 

 

「俺のターン……終了……」

 ……くそ。それなりの苦しみには耐えてきたつもりだったが、もう心が折れそうだ。

 

「……ドロー……」

 

手札:3→4

 

「……このスタンバイフェイズ、『命削りの宝札』の効果で全部墓地に送る……」

 

手札:4→0

 

 仮想立体映像(ソリッド・ヴィジョン)でギロチンが現れ、梓の手札が四枚とも真っ二つになった。

 

「……」

 

 さっきからかなり喋ってたのに、今は無言でうつむいてる。

 どうしたんだ? 手札がゼロになったからか?

 

「……どうして?」

 

 ?

 

「……キミはさっき言ったよね。無駄金使って学校に通わせてるって……」

 

 ……

 

「……当たり前でしょう。みんな自分でお金が出せないから親に出して貰ってきてるんだよ。それくらい分かるでしょう。キミはそうじゃないの……?」

 

 ……

 

「みんなさあ、そうやって自分達のために色々してくれる、家族に応えるためにも頑張ってるんだよ……みんなみんな、頑張りたい気持ちは一緒なんだよ……なのに……」

 

 ギンッ!!

 

 !!

 

「何でキミ達はそれを平気で邪魔するの!? キミ達のどこにそんな権利があるの!? キミ達がゴミだって言ってる人達はみんな頑張ってるんだよ!! キミ達よりよっぽど頑張ってるんだよ!! なのにそれを邪魔する権利がどうしてあるの!? キミ達がしてるのは何人もの人達の人生をメチャクチャにしてるってことだよ!! その人の人生家族の人生知人の人生恩人の人生!! 全部キミ達が壊してるんだよ!! 何でそんなことができるの!? キミはそんなに偉い人なの!? 人の人生を壊して良いくらい偉い人なの!? ゴミの人生だから!? そもそも何でみんながゴミなの!? ボク以外の人達まで何でゴミになっちゃうの!?」

「何で!? なんで!?」

「ねえ!? ねえ!!」

「ねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえ!!」

 

 バタッ

 

 突然、そんな音がそこら中から響いた。

 あいつのどす黒いオーラに当てられたのか? 何人かの生徒が倒れてやがる。しかも、あの女が何かする前に、ゴミの四人まで倒れてる。正直、俺も倒れそうなんだが……

 

「……答えられないくらいならさ、始めから邪魔しないでよ。ねえ……」

 

 今まで以上に、おぞましい目で俺を睨みつけた。

 

「……消えちゃえ」

 

 !?

「罠発動『堕天使の施し』」

 な! そのために手札を!

「このターン、手札から墓地に送られたカードを手札に加える」

 

手札:0→4

 

「一枚セット。魔法カード『魔宝石の採掘』。手札を二枚捨てて、墓地の魔法カードを手札に加える。対象は『命削りの宝札』。そしてそのまま発動!」

「くっ……」

 

手札:0→5

 

「魔法カード『融合』!」

 融合!? そんなカードまで使うのか。一体何を呼ぶ気だ……?

「場の『フェンリル』と、手札の『E・HERO アイスエッジ』を融合!」

 『E・HERO』だと!? いや、それ以前にそんな素材で呼び出せるカードなんて……!

 

「『E・HERO アブソルートZero』を融合召喚!!」

 

『E・HERO アブソルートZero』

 攻撃力2500+500

 

「バカな! どうして!?」

「ZeroはHEROと、水属性モンスター一体を素材に融合召喚されるHEROなんだ」

 バカな、属性のみを素材指定した融合HEROだと!?

「伏せカードオープン! 『融合回収(フュージョン・リカバリー)』! 墓地の融合一枚と、素材となったモンスター一体を手札に戻す! もう一度融合発動! 手札の『E・HERO オーシャン』と『氷結界の虎将 ライホウ』を融合!! 『ミラクル・フュージョン』!! 墓地のアイスエッジと『氷結界の水影』を除外して融合!!」

 

『E・HERO アブソルートZero』

 攻撃力2500+500

『E・HERO アブソルートZero』

 攻撃力2500+500

 

「一ターンで、三体の融合召喚だと!?」

「まだだよ!! 墓地のオーシャンと、『氷結界のロイヤル・ナイト』を除外!! 『フェンリル』を特殊召喚!! 『死者蘇生』発動!! 『氷結界の舞姫』を特殊召喚!! Zeroの効果発動!! 場のZero以外の水属性一体につき攻撃力500アップ!!」

 

『フェンリル』

 攻撃力1400+500

『氷結界の舞姫』

 攻撃力1700+500

 

「こんな……まさか……」

 

『E・HERO アブソルートZero』

 攻撃力2500+500+1000

『E・HERO アブソルートZero』

 攻撃力2500+500+1000

『E・HERO アブソルートZero』

 攻撃力2500+500+1000

『フェンリル』

 攻撃力1400+500

『氷結界の舞姫』

 攻撃力1700+500

 

 もう、声も出ない……報いだとか……終わりがどうだとか……そんな物の問題じゃない……

 ただ、目の前の光景に、そして水瀬梓の姿に、俺は恐怖し、動けない……

 

「す、すげえ……」

「これが、梓の本気なの……?」

「こんな……今まで人のこと何より思いやってた梓くんが……こんなの、梓くんの決闘じゃない……」

 

 そんな声が聞こえた。誰の声かなんて気にしていられない。

 

「ねえ、もう終わらせるよ。覚悟はできてる?」

 

 覚悟……覚悟か……そうか……

 そんな物、決闘前にできていたつもりだった。

 どんな恐ろしい目に遭おうと、それが報いなら全て受け入れようと思った。

 なのに、今はどうだ。目の前の光景に、動けない……声も出ない……ただ……怖い……

 

「バトルフェイズ!!」

 

 そして、来るべき瞬間が来た。

 せめて……せめて……

「待ってくれ……」

 最後くらいは見苦しく……

「勘弁してくれ……」

 同情の余地の無い、最低の人間として……

「俺が悪かった……」

 誰の記憶にも残らぬよう……残ったとしてもすぐに抹消されるよう……

「許して……」

 

「三体のアブソルートZero、フェンリル、舞姫でダイレクトアタック!!」

 

「ひっ!!」

 来る。終わりの瞬間が、迫ってくる……

 

 壊れる……俺が……壊れる……

 これが……俺の……未来……

 これが……終わり……

 

「ぐぅあぁぁぁああああああああああああ!!」

 

佐倉

LP:2100→0

 

 

 

視点:あずさ

 最後の梓くんの一撃で、相手はひざを着いた。

 ジュンコちゃんや、四人のブルー生徒、そしてほとんどのレッド生徒は気絶しちゃってる。普通に立ってるのはわたしと、十代くんと明日香ちゃん、翔くんと隼人くん、ももえちゃんの六人だけ。

 でも、翔くんとももえちゃんはお互いに支え合ってどうにか正気でいるみたいだし、みんな、今にも倒れちゃいそうなくらい、顔が真っ青になってる。

 

「これで終わりじゃないよ……」

 

 !!

 梓くんが、刀を出した!!

「お、おい梓! どうする気だ!?」

 十代くんの問い掛けに、梓くんは答えない。抜き身の刀を片手に、無言で佐倉くんに近づいてる!

「今までキミが苦しめてきた人達の分だけたくさん苦しんで、そのまま死んじゃえ……」

 佐倉くんは動かない……違う! ひざを着いたまま気絶してる!!

 わたしはとっさに走った。

 

「梓くん!! ダメ!!」

 

 ガッキーン!!

 

 デジャブかなって、感じた。あの夜と同じように、わたしの手甲を、梓くんは受け止めた。

「……」

 その時、梓くんはわたしを見て、顔が変わった。

「あずさ……」

 え? 梓くんが、わたしを呼び捨てに……

「……ちゃん」

 ん?

 そう疑問に感じた瞬間、梓くんは急に刀を引いて、地面に捨てて……

 

「あずさちゃ~~~~ん!!」

 

 ガバ!

 ぎゅ~

 

「うぇえぇえええええ!?」

 何で!? 急に何で抱き付いてくるの!? ちょっと……

「ん……!」

 

『ああああああああああああああああああああああ!!』

 

 十代くん達の絶叫が聞こえた気がした。でも、ほとんど聞こえなかった。

 それは、初めてだったけど、柔らかくて、あったかくて、ちょっと粘り気のある感触で……

 

 ……!! て、冷静に感想言ってる場合じゃないよ!!////////

 

「……ん、えへへ////」

 えへへじゃなくて!!////

「いきなり何するの!?////」

「ごめんね。あずさちゃんの顔見たら我慢できなくなっちゃった////」

「そんな赤面した顔で言われても困るよ!!////」

 可愛いけどダメだよ!!////

「今の決闘じゃいきなりボクが出てきてびっくりしたよね。//// 梓やみんながバカにされてるのが許せなくて、出てきちゃった////」

「出てきちゃったじゃないでしょ~~~~~~!!////」

 

 ……て、え?

「出て、きちゃった?」

「うん。梓はボクにとっても大切な人だから。梓はずっと辛い目に遭ってきて、それでも頑張ってきた強い人だけど、それでも、梓や梓の友達をいじめる奴は許せないから。だから……」

 

 バタッ

 

『梓(さん)くん!!』

 

 

 

 




お疲れ様です。
完結は次ね。

うんじゃらオリカ。


『命削りの宝札』通常魔法
 手札が5枚になるようカードをドローする。
 発動後、5回目のスタンバイフェイズに手札を全て捨てる。

めっちゃ欲しい。原作効果の『天よりの宝札』も良いが、大海は断然こっちだわ。相手にアド取られること無いし。皆さんはどっち派かしら。

『堕天使の施し』通常罠
 このターン、手札から墓地へ送られたカードを全て手札に加える。

『天使の施し』と合わせて使われるのがお約束のパターン。『手札抹殺』と合わせたらおっそろしいことになるね。
でもタイミングは限定されてるし、一概に良いとは言い難い。まあ強力には違いないけれど。


以上。次話まで待っててね。

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