まだ続くでよ~。
そんだらば、行ってらっしゃい。
視点:斎王
「ところで斎王様。私は全力の決闘で十代を倒します」
「うむ……」
「だから十代との結婚をお許しください」
……今思い出しても、不可解なものだ。
「……今、何と言った?」
「ですから……今許可をいただきたい。斎王様。十代との、結婚の許可を……」
「……一体何を言っている?」
「……オレはなにも、最初から十代と結婚できるなんて思っちゃいない。わたしは十代にとって敵だし、十代が私のことを好きになるわけがないことも分かってる。でも……十代があなたを警戒させる強靭な意志と心は、いつだって私の心の闇を照らしてくれている! 崩壊しそうな私の心の底をッ!」
「……」
「今のオレには必要なんだ……一言でいい、「許す」と……私の心を解き放ってほしい! 決闘に勝ったなら結婚の「許可」を与えると!」
「……言っている意味がよく分からんのだが……」
自身と虚構、二つの口調が混ざるほど必死な言葉にそう返すと、天上院明日香の表情は、あからさまに曇ってしまった。
「いずれにせよ、結婚など、当事者同士の問題だ。私にどうこうできることではないよ」
「……」
「だがどの道、もし遊城十代を倒したのなら、彼もまた私達の仲間となるだろう。その時、今私に言った言葉を彼に伝え、彼が了承したのなら、その時は二人の好きにすればいい」
「……」
その答えで、天上院明日香の表情に変化は無かった。
昨夜聞いた時はああ返したが……
結婚……結婚か。遊城十代と、天上院明日香が結婚……
彼女が勝利した暁には、遊城十代にそういった洗脳を施してみるのも、面白いかもしれんな……
視点:外
十代
LP:1200
手札:1枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
無し
明日香
LP:700
手札:2枚
場 :モンスター
『CNo.39 希望皇ホープレイ』攻撃力2500+200×2
『ゴゴゴジャイアント』守備力0+200×2
魔法・罠
フィールド魔法『希望卿-オノマトピア-』かっとビングカウンター:2
「俺のターン、ドロー」
十代
手札:1→2
「来たぜ! 墓地のネクロダークマンの効果。こいつが墓地に存在する限り一度だけ、レベル5以上の『E・HERO』を、生贄無しで召喚できる。来い『E・HERO ネオス』!」
『E・HERO ネオス』
レベル7
攻撃力2500
「出た! 十代の兄貴のエースモンスターだドン!」
「たとえネオスでも、オノマトピアの効果でパワーアップしたホープレイの攻撃力を超えることはできないわ!」
「確かにな。だから、また舞台を整えさせてもらう。フィールド魔法『ネオスペース』!」
十代が二枚目のフィールド魔法を発動させた。
その瞬間、先程のスカイスクレイパーがそうだったように、周囲の建立物が崩れ始めた。
ただの夜空だった空、そして周りの景色が、虹色の光に包まれ、フィールド全てのモンスターを照らし出した。
『CNo.39 希望皇ホープレイ』
攻撃力2500
『ゴゴゴジャイアント』
守備力0
「フィールド魔法が貼り替わったことで、明日香のフィールドのモンスターの攻撃力は元に戻る。そして、『ネオスペース』の効果で、ネオスの攻撃力は500アップ!」
『E・HERO ネオス』
攻撃力2500+500
「バトル! ネオスで、まずはホープレイを攻撃だ!」
飛び上がったネオスの手刀が、ホープレイを切り裂いた。
「この、能力は……時を! 十代、キサマ……」
明日香
LP:700→200
「どうかしたか?」
「……いえ、別に……」
「あはは……確かに、ちょっと似てたね……」
「何の話です?」
「ターンエンドだ」
十代
LP:1200
手札:0枚
場 :モンスター
『E・HERO ネオス』攻撃力2500+500
魔法・罠
フィールド魔法『ネオスペース』
明日香
LP:200
手札:2枚
場 :モンスター
『ゴゴゴジャイアント』守備力0
魔法・罠
無し
「つぎにお前は、これで形勢逆転だぜ明日香! と言う……」
「これで形勢逆転だぜ明日香! ……はっ!」
「エースモンスターを呼びだせて嬉しいのは分かるけど、まだ私のライフは残っているわよ。私のターン!」
明日香
手札:2→3
(……とは言え、この手札ではネオスを倒すのも難しいわね。まずは守備を整えないと……)
「『天使の施し』発動。カードを三枚ドローして、二枚を捨てる……『ゴゴゴアリステラ&デクシア』召喚!」
ゴ
『ゴゴゴアリステラ&デクシア』 ゴ ゴ
レベル4 ゴ
守備力2200 ゴ
ゴ
「なんだ? 岩の、手?」
「このカードとこのカード以外のゴゴゴモンスターが場にある限り、十代、あなたはゴゴゴモンスターを攻撃対象に選択できず、効果の対象にもできない。更に一枚カードを伏せる。ターンエンド」
明日香 ゴ ゴ ゴ ゴ
LP:200
手札:1枚
場 :モンスター
『ゴゴゴアリステラ&デクシア』守備力2200
『ゴゴゴジャイアント』守備力0 ゴ ゴ ゴ ゴ
魔法・罠
セット ゴ ゴ ゴ
十代
LP:1200
手札:0枚
場 :モンスター
『E・HERO ネオス』攻撃力2500+500
魔法・罠
フィールド魔法『ネオスペース』
「なんだかゴゴゴゴうるせぇな……俺のターン!」
十代
手札:0→1
(攻撃は封じられたけど、まだ手はある……)
「『N・アクア・ドルフィン』召喚!」
『N・アクア・ドルフィン』
レベル3
守備力800
(アクア・ドルフィンは一ターンに一度、手札一枚を捨てることで相手の手札を確認して、その中からこっちのモンスターより低い攻撃力のモンスターカードを破壊して500ポイントのダメージを与える効果がある。俺の手札はゼロ。次のターン、カードをドローすれば効果が使える……)
「ターンエンド」
十代
LP:1200
手札:0枚
場 :モンスター
『E・HERO ネオス』攻撃力2500+500
『N・アクア・ドルフィン』守備力800
魔法・罠
フィールド魔法『ネオスペース』
明日香
LP:200 ゴ ゴ ゴ ゴ
手札:1枚
場 :モンスター
『ゴゴゴアリステラ&デクシア』守備力2200
『ゴゴゴジャイアント』守備力0
魔法・罠 ゴ ゴ ゴ
セット
「膠着状態って感じね……」
「遊城十代の方は、モンスターでの攻撃を封じられている。一方の明日香様は、あと一撃でもダメージを受ければ終わってしまう数値……」
『いずれにせよ、次のターンが鍵ですね……』
「私のターン」
明日香
手札:1→2
「……カードを伏せる。更に私は、二体のゴゴゴを生贄に、モンスターをセット。ターンエンド」
「なに!?」
明日香
LP:200
手札:0枚
場 :モンスター
セット
魔法・罠
セット
セット
十代
LP:1200
手札:0枚
場 :モンスター
『E・HERO ネオス』攻撃力2500+500
『N・アクア・ドルフィン』守備力800
魔法・罠
フィールド魔法『ネオスペース』
「自らロックを解除してまで、生贄召喚したモンスターをセット?」
「それだけ強力なモンスターというわけか……」
「俺のターン!」
十代
手札:0→1
(わざわざ生贄召喚したモンスターをセットした……どの道、明日香の手札はゼロ。アクア・ドルフィンの効果は、もう使えない)
「やっぱマグロ食ってるようなのはダメだな……次。バトル! ネオスでその伏せモンスターを攻撃!」
十代が叫んだと同時に、ネオスは再び、伏せられたモンスターに向かって飛び上がった。
「ラス・オブ・ネオス!」
真上から落下し、得意の手刀を伏せモンスターに浴びせた、その瞬間……
「墓地の『ネクロガードナー』を除外、その攻撃を無効にするわ!」
墓地から一体の戦士が飛び出し、その手刀を受け止めてしまった。
「俺と同じカード! 前のターンの『天使の施し』の時か……カードを一枚伏せる。ターンエンド」
十代
LP:1200
手札:0枚
場 :モンスター
『E・HERO ネオス』攻撃力2500+500
『N・アクア・ドルフィン』守備力800
魔法・罠
セット
フィールド魔法『ネオスペース』
明日香
LP:200
手札:0枚
場 :モンスター
セット
魔法・罠
セット
セット
「私のターン!」
明日香
手札:0→1
「私は、モンスターを反転召喚するわ」
現れた、三度笠を被った白装束の騎士は、腰の刀を抜き立ち上がった。
「モンスターの正体は、『ドドドガッサー』!」
ド
『ドドドガッサー』 ド
レベル8 ド
攻撃力0
守備力3000 ド
ド
ド
「守備力3000!? ネオスと互角……」
「それだけじゃあない! 『ドドドガッサー』がリバースしたこの瞬間、フィールド上の表側表示のモンスター二体までを選択して破壊する効果がある!」
「なに!?」
座っていた『ドドドガッサー』が立ち上がり、同時に走り抜く。
その瞬間、すれ違った十代の場の二体のモンスターは、二体同時に破壊されてしまった。
「そして、更なる能力……」
『ドドドガッサー』 ド
攻撃力0+3500 ド
ド
ド
「攻撃力3500!?」
「『ドドドガッサー』は反転召喚に成功した時、攻撃力が3500ポイントアップする。バトル! 『ドドドガッサー』で、十代にダイレクトアタック!」
刀を構え、再び十代へ走り出した。
「速攻魔法発動『クリボーを呼ぶ笛』! デッキから、『ハネクリボー』を特殊召喚!」
『ハネクリボー』
レベル1
守備力200
『クリクリ~』
羽の生えた小さな悪魔。それが勇ましく立ちはだかったものの、圧倒的すぎる攻撃力の差に成すすべなく倒された。
「さすがにしぶといわね……私は速攻魔法『サイクロン』を発動。十代の場の『ネオスペース』を破壊」
「くそ……」
「更に、それに合わせて伏せカードオープン、速攻魔法『非常食』。『サイクロン』を墓地へ送って、ライフを1000回復。ターンエンド」
明日香
LP:1200
手札:0枚 ド
場 :モンスター ド
『ドドドガッサー』攻撃力0+3500 ド
魔法・罠 ド
セット ド
十代
LP:1200
手札:0枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
無し
明日香のライフ回復。それに合わせ発生したつむじ風。
それに巻き上げられるように、虹色の宇宙も消滅し、元のフィールドへと戻った。
「これでライフも並んだわね」
「そうだな。けど、まだまだこっからだぜ……ドロー!」
十代
手札:0→1
「魔法カード『ホープ・オブ・フィフス』! 墓地の『E・HERO』五枚をデッキに加えて、シャッフルする」
『E・HERO フェザーマン』
『E・HERO バーストレディ』
『E・HERO バブルマン』
『E・HERO ネクロダークマン』
『E・HERO エッジマン』
「そして、カードを二枚ドローする。だが、このカードの発動時、手札とフィールドに他のカードが無い場合、カードを三枚ドローできる。ドロー!」
十代
手札:0→3
「来たぜ、吹雪さん! 今度はあんたの番だ!」
「うん!」
「魔法カード『思い出のブランコ』! 自分の墓地の通常モンスター一体を特殊召喚する。来い『E・HERO ネオス』!」
『E・HERO ネオス』
レベル7
攻撃力2500
「明日香!」
「やかましいッ! 向こうへ行けぇ!!」
「はいぃぃい!!」
最初のターンに万丈目がしたように、吹雪も言葉を送ろうとした。
だが、明日香の怒声を聞いたと同時に姿勢を正し、後ろの席へ下がってしまった。
「吹雪さん……」
「師匠……」
「……まあいいや。更に、『N・グラン・モール』を召喚!」
『N・グラン・モール』
レベル3
攻撃力900
「ネオス、グラン・モール……コンタクト融合!」
二枚のカードをデッキに戻す。その瞬間、フィールドに並んだ二体のモンスターが、虹色の宇宙へ同時に飛び上がる。
飛び上がった先で、輝きを発した時……フィールドに、新たなモンスターが出現した。
「『E・HERO グラン・ネオス』!」
『E・HERO グラン・ネオス』融合
レベル7
攻撃力2500
「コンタクト融合……」
「グラン・ネオスの効果! 一ターンに一度、相手フィールドのモンスター一体を手札に戻す。ネビュラスホール!」
グラン・ネオスが右腕のドリルを、『ドドドガッサー』へ発射した。
『ドドドガッサー』の足もとへ刺さったドリルが、そこへ黒い穴を開く。
その穴の中へ、『ドドドガッサー』は消えていった。
明日香
手札:0→1
「よっしゃ、バトル! グラン・ネオスで、明日香にダイレクトアタック!」
右腕のドリルを、今度は明日香へ向け、走り出した。
「罠発動『波紋のバリア -ウェーブ・フォース-』」
コ
オ
オ
オ
オ
罠カードが発動されたと同時に、明日香が特殊な呼吸を行った。
その呼吸に合わせるように、空間が揺れ、エネルギーが広がる。
「
「はもん……しっそう……?」
明日香が叫び、空間が大きく揺れた瞬間、グラン・ネオスはその姿を消した。
「『波紋のバリア -ウェーブ・フォース-』は、相手の直接攻撃時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスター全てを持ち主のデッキに戻す」
「マジかよ……だったらこいつだ。手札がこのカード一枚の時、特殊召喚できる。もう一度出てこい! バブルマン!」
『E・HERO バブルマン』
レベル4
守備力1200
「バブルマンの召喚、特殊召喚時、フィールドに他にカードが無い場合、カードを二枚ドローする」
十代
手札:0→2
「うむ……やはり便利ですね、バブルマン。今更ながら、私もデッキに入れるべきか……」
『むしろ、今まで何で入れてなかったのかが不思議なくらいなんだよね……』
「梓が使ったなら、それはそれは凶悪な動きをしそうだがな……」
「……ううっ、なんか、悪寒が……梓くん、おかしなこと考えてないかな……」
「永続魔法『悪夢の蜃気楼』発動。更にカードを一枚伏せる。これでターンエンド」
十代
LP:1200
手札:0枚
場 :モンスター
『E・HERO バブルマン』守備力1200
魔法・罠
永続魔法『悪夢の蜃気楼』
セット
明日香
LP:1200
手札:1枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
無し
「私のターン、ドロー!」
明日香
手札:1→2
「この明日香のスタンバイフェイズ、『悪夢の蜃気楼』の効果! 手札が四枚になるよう、カードをドローする」
十代
手札:0→4
「……魔法カード『貪欲な壺』。墓地のモンスターカード五枚をデッキに戻し、カードを二枚ドローする」
『No.39 希望皇ホープ』
『CNo.39 希望皇ホープレイ』
『ゴゴゴジャイアント』
『ドドドライバー』
『ドドドウィッチ』
「この五枚をデッキに戻してシャッフル……そして、二枚ドロー」
明日香
手札:1→3
「二体のホープがデッキに戻った……」
「もう一枚。二枚目の『ドドドドロー』。手札の『ドドドガッサー』を捨てて、二枚ドロー……こっちもまた出番よ、『ゴゴゴジャイアント』!」
『ゴゴゴジャイアント』
レベル4
攻撃力2000
「そして、『ゴゴゴジャイアント』の効果。このカードの召喚に成功した時、墓地のゴゴゴを一体、守備表示で特殊召喚できる。来なさい『ゴゴゴゴーレム』!」
『ゴゴゴゴーレム』
レベル4
守備力1500
「この効果を使用した時、『ゴゴゴジャイアント』は守備表示になる」
『ゴゴゴジャイアント』
守備力0
「これでは、天上院君も攻撃ができない」
「ですが、彼女のフィールドに、レベル4のモンスターが二体……」
「来るってわけか。あいつが……」
「
「レベル4の『ゴゴゴジャイアント』と、『ゴゴゴゴーレム』で、オーバーレイ! 二体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築……」
そして最初と同じ光景が繰り広げられる。
光へと変わるモンスター。誕生する宇宙。その宇宙へ飛び込む二本の光……
「エクシーズ召喚! 目覚めよ『No.39 希望皇ホープ』!!」
『No.39 希望皇ホープ』エクシーズ
ランク4
攻撃力2500
「
「……なんか、さっきからルビがおかしい気が……」
「気にしてはいけませんわ……」
『よくあることです。よくあること、なんです……』
「希望皇ホープ!」
ももえら三人が困惑している間にも、ホープは走り出した。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄 無駄ァ!!」
今度は防がれることなく、全ての拳がバブルマンを捕らえた。
「カードをセット。ターンエンドよ」
「リバースカードオープン、速攻魔法『サイクロン』! 『悪夢の蜃気楼』を墓地に送る」
明日香
LP:1200
手札:1枚
場 :モンスター
『No.39 希望皇ホープ』攻撃力2500
魔法・罠
セット
十代
LP:1200
手札:4枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
無し
「まだまだ……俺のターン!」
十代
手札:4→5
「魔法カード『コクーン・パーティ』。墓地に存在する『N』一種類につき一体、デッキから『
『C・パンテール』
レベル2
守備力300
『C・ピニー』
レベル2
守備力700
「この二体を生贄に、もう一度出番だ! 『E・HERO ネオス』!」
『E・HERO ネオス』
レベル7
攻撃力2500
「やっぱりあなたとは気が合う……いいえ、深い所で魂が繋がってるわ! 十代!」
「そ、そうかな……?」
「そうよ! ライフの数値も同じな上、たった一ターンでお互いのエースを呼び出すなんて……こんなにも気が合う。こんなに嬉しいことは無いわ!」
「大げさだな……けど確かに、ライフも同じで、こうしてお互いのデッキの象徴が向かい合ってるってのも、なんだか感慨深いものがあるよな……」
「ええ……」
「そして、そんな明日香のエースモンスターを、俺のエースモンスターがブッ倒してやるぜ! 装備魔法『アサルト・アーマー』! こいつは戦士族モンスターにのみ装備できる装備魔法。装備モンスターの攻撃力を300ポイントアップさせる」
『E・HERO ネオス』
攻撃力2500+300
「攻撃力だけ上げても、ホープに攻撃は効かないわよ!」
「どうかな……バトル! ネオスで、ホープに攻撃! ラス・オブ・ネオス!」
ネオスのジャンプからの手刀。しかし、それは当然、ホープに防がれる。
「
『No.39 希望皇ホープ』
ORU:2→1
「だったら、『アサルト・アーマー』を解除! これでネオスは二回目の攻撃ができる」
「そんな……!」
「ネオスでもう一度攻撃! ラス・オブ・ネオス!」
続けてネオスが攻撃する。このまま戦闘を行えば、攻撃力が低いホープは破壊される。
だから、明日香が選ぶのは……
「
『No.39 希望皇ホープ』
ORU:1→0
当然、最後のオーバーレイユニットの消費だった。
「二枚のカードをセット、ターンエンドだ」
十代
LP:1200
手札:0枚
場 :モンスター
『E・HERO ネオス』攻撃力2500
魔法・罠
セット
セット
明日香
LP:1200
手札:1枚
場 :モンスター
『No.39 希望皇ホープ』攻撃力2500
魔法・罠
セット
「すごい! オーバーレイユニットを一気に使わせた!」
「これでもう時を止めることはできない。なにより、オーバーレイユニットを使い切ったことで、攻撃を受ければその瞬間ホープは破壊される」
「しかも、明日香のライフは1200。ライフが1000を下回らなければ、仮にホープレイに進化させたとしても、
「勝負有り……だと、いいのですが……」
「ぬううぅぅぅ……ドロー!」
明日香
手札:1→2
「……安心するのはまだ早いわよ……
明日香が叫び、再び二人の周囲の景色が変わっていった。
フィールド魔法が失せた室内で、その視覚的な変化は微々たるものでしかない。
それでも、確かに加速している時間の中で、剣のオブジェへ姿を戻したホープの時間が加速していくのは誰が見ても明らかだった。
「ホープレイを呼ぶのか? けど、そのライフじゃ効果は使えないぜ」
「ホープレイではない……カオスの時は終わり、光の時が始まるのだ!」
その言葉を理解できていない十代をよそに、ホープの剣は、確かに、ホープレイの時とは違う変化を起こしていた。
(そう……これから呼び出すのが、正真正銘、ホープの最強の姿。私でさえ予想だにしなかった力……)
本来、こうして時を加速する力は、明日の新月の時が来て初めて得られるはずの能力だった。
そして、その力を手にしたところで、せいぜい進化はホープレイまでのはずだった。
ところが、十代が鍵を手にし、斎王がそれに焦り、明日香を洗脳しようと力を流し込んだ時……
その瞬間、明日香の中で、新月の時を待っていた力は躍動し、新月を待つことなく明日香の力と変わった。
それだけじゃあない。時の加速に、斎王の光の力が合わさったことで、本来は存在しえなかった、光の力を宿すこととなった。
(鍵を手にしたのは斎王…斎王が手にした鍵を、新たに手にしたのは十代……その斎王が、鍵を取り戻せと私の中へ流し込んだ力……
そして、その新たな光の力は、確かな形となって、ホープへと流れ込む。
加速した時の中で、黒ずんでいた先程とは違う。
加速した時の中で、輝きはより一層増していき、やがて、何物にも変え難い、神聖なる光を発する聖剣へと変わった。
そして、その聖剣が同じように、光り輝く巨人へ変わる……
「現れよ! 『SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング』!!」
『SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング』エクシーズ
ランク5
攻撃力2500
「『カオスナンバーズ』の次は、『シャイニングナンバーズ』……!」
「なんて、神々しい姿……」
「あのモンスター……」
「希望皇、ホープ・ザ・ライトニング……攻撃力はネオスと同じ、だけど……」
「当然、これだけでは終わらないわ。装備魔法『エクシーズ・ユニット』。これはモンスターエクシーズ専用の装備魔法。このカードを装備したモンスターエクシーズは、攻撃力が自身のランクの200倍アップする」
「200倍……!」
『SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング』
攻撃力2500+200×5
「攻撃力3500……!」
「バトル!」
「待った! 罠発動『ネオス・スパイラル・フォース』! このターン、ネオスの攻撃を放棄する代わりに、モンスター一体の攻撃力を倍にする! 対象はもちろん、『E・HERO ネオス』だ!」
『E・HERO ネオス』
攻撃力2500×2
「このタイミングで効果を使ってくるとは……」
「これで次の俺のターンの予算はゼロだな……次のターンがあれば、だけど……」
「兄貴、さっきからそれ、言いたいだけザウルス……?」
「あはは……まあ、それは明日香も似たようなものだけどね」
「けど、変わらずバトルよ!」
「なっ……ネオスの攻撃力は、ホープのちょうど二倍だぞ。それでも攻撃してくるってのか? こっちには伏せカードだってあるのに……」
「かもな……だが上手いこと、私の残りのカードと、ホープ・ザ・ライトニングの効果で乗り越えられるかもしれない……今日オレは運がいいからな……そうだろう、十代?」
「ホープ・ザ・ライトニングの効果……」
白い歯を見せつけながら、明日香は十代に対し、言い放つ。
「決闘が始まってから、オレは
『……』
「え……」
「…とか言ったりして…ハハ」
「いいぜ」
「……」
「……」
「……」
「申し込めよ、明日香。結婚」
「……」
「一応言っとくけど、この状況見て敗けたって思ったから言ってるんじゃねえぜ。お前が何してくる気か知らねえけど、そこから逆転するって考えたら、すっげぇワクワクするだろう! それでも勝てなかった時は、結婚でも何でも申し込みやがれ!」
「……」
「……」
「……」
「ホープ・ザ・ライトニング!!」
十代の言葉の後で上げた声は、単なる絶叫か、はたまた歓喜の奇声なのか、理解できた者はいない。ただ、明日香の声を聞いて、ホープ・ザ・ライトニングが走り出した。
(攻撃力はこっちが上、けど……なにか……)
「なにか、ヤバい!」
十代が何かを直感し、決闘ディスクに手を伸ばした。
「罠発動!」
「無駄ァ!」
十代がカードを発動させた瞬間、表になろうと立ち上がったそのカードに、剣が突き刺さった。
「なにぃ!?」
「ホープ・ザ・ライトニングが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時までカード効果を発動できない!」
明日香の説明の後で、カードに突き刺された剣を引き抜かれる。
剣によって穿たれたカードの穴から、ホープ・ザ・ライトニングが十代の顔を覗きこんだ。
(ちょ……まさか、『
「攻撃続行!」
某有名ホラー映画を思い浮かべている十代の耳に、再び明日香の声が届いた。
と思った次の瞬間、カードに穿たれた穴に、ホープ・ザ・ライトニングが両手を突っ込む。
『チュ…チュ……チュミミィイイン』
勇ましい見た目にそぐわぬ可愛らしい声を上げながら、伏せカードを無理やり押し開き、こじ開けて、ネオスのもとへ走った。
「けど、それでも攻撃力はネオスの方が上だ!」
「ホープ・ザ・ライトニング、効果発動! 『希望皇ホープ』をオーバーレイユニットとしたこのカードが戦闘する時、オーバーレイユニットを二つ取り除くことで、攻撃力が5000になる!」
「なにぃ!? って、ホープ・ザ・ライトニングのオーバーレイユニットは、ホープ一枚だけのはず……」
「装備魔法『エクシーズ・ユニット』は、オーバーレイユニット一つの代わりできる!」
「なんだとぉ!?」
『SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング』
ORU:1→0
十代の驚愕と同時に、ホープ・ザ・ライトニングの身から、二つの光が飛び出す。
そのうちの一つから、ホープが飛び出した。と同時に、その両手、両足、胴体、頭、全身に、ある形が浮かび上がった。
その形は、カードにも似ていた。だが、ただのカードに作られた長方形よりも、遥かに美しく、完成された形。
芸術に、自然界に、人々が美しいと認めるあらゆる物に備わるとされる、完全なる『黄金長方形』の形。
そんなホープの形作る『黄金長方形』、そして、オーバーレイユニットとなった『エクシーズ・ユニット』の回転が合わさり、ホープ・ザ・ライトニングの身に流し込まれ生まれたそれは、言うなれば……
『完全なる黄金の無限回転エネルギー』。
――本当に本当に……
――なんて遠い廻り道……
――ありがとう、十代。本当に……
――……本当に……
――「ありがとう」……それしか言う言葉がみつからない……
『SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング』
攻撃力2500→5000
「オラオラオラオラオラオラオラアラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
ホープ・ザ・ライトニングの両手から、これまで以上のラッシュがネオスへ放たれた。相手がどんな強力な効果を使おうが、どんな攻撃力だろうが、絶対に、確実に、追い詰め殺す……そんな漆黒に満ち満ちた意志の宿った拳の嵐。
だが……
「ネオスの攻撃力は、『ネオス・スパイラル・フォース』の効果で倍になってるぜ!」
その言葉の通り、攻撃力が互角となっているネオスも、ホープに負けじと両腕のラッシュを放つ。
二人の拳の威力も速度も、全くの互角だった。
そして、互いの拳が最後にぶつかった瞬間、互いのエースモンスターは破壊された。
「ぐああ……!」
「ぬぅぅ……!」
発生した爆風に耐えながら、互いに、モンスターのいなくなったフィールドを見渡す。
「……そして十代、あなた倒すのは、やはり真の希望皇ホープの能力がふさわしい……罠発動『エクシーズ・リボーン』!」
「なっ! 二枚目!?」
発動された罠。そして、先程と同じ光景。
墓地にいたホープがフィールドに舞い戻り、その身に新たなオーバーレイユニットの光の光を纏う。
『No.39 希望皇ホープ』エクシーズ
ランク4
攻撃力2500
「希望皇ホープで、十代にダイレクトアタック!」
そして、無防備となった十代へ、ホープは走り出した。
「間髪入れず最後の時間停止だッ!
『No.39 希望皇ホープ』
ORU:1→0
攻撃力2500×2
ホープが翼を広げ、時が、空間が、この世界の全てが、その動きを停止した。
「1秒経過……」
効果を発動したと同時に、ホープが姿を消した。
「まさか、あれをやる気か!?」
「師匠、あれとは……!」
どこから来るのか分からない。それでも、十代はフィールドから目を離さない。
(来やがれ……)
「7秒経過……」
明日香の声が聞こえた時……十代の身が、巨大な影に覆われる。
上を見上げた、その時……
「ロードローラーだ―――――ッ!!」
「タンクローリーじゃなかったあああああああ!!」
「てか、どこにあったんだそれええええええええ!?」
目前まで迫ってきているロードローラーに向かって叫びながら、十代は、決闘ディスクに手を伸ばした。
「罠発動!」
「もうおそい! 脱出不可能よッ!」
ドグオオオオオオオオオオオン!!
「
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
」
「
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
」
「
W ウ
R リ
Y ャ
Y ア
Y ア
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Y ア
」
「
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
無 無 無 無 無 無 無
駄 駄 駄 駄 駄 駄 駄
」
「
無無無無無無無無無無無無無
駄駄駄駄駄駄駄駄駄駄駄駄駄
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」
「
W ウ
R リ
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Y イ
Y イ
Y イ
Y イ
Y イ
Y イ
Y イ
Y イ
Y イ
Y イ
」
「
ぶ
っ
つ
ぶ
れ
よ
ォ
ッ
!
」
ドグシャアアアアアアアアアアア!!
「勝ったッ!」
第3部 完
お疲れ~。
よっしゃ、第3部が終わった。
てなわけでまず、オリカ。
『ネオス・スパイラル・フォース』
通常罠
自分フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力を2倍にする。
このターン自分フィールド上に存在する「E・HERO ネオス」1体は攻撃する事ができない。
劇場版遊戯王にて、十代が使用。
映画そのままのテキストだと、ネオス自身にも使えるうえ、ネオスがいるいないに関係なく普通に使えるカードなんだよね、これ。
このままだと罠な代わりにただの制限の無い『巨大化』か『リミッター解除』なんで、ただの強いカードだわな。
続いて原作効果ね。
『アサルト・アーマー』
装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
装備モンスターが攻撃した時、自分フィールド上に存在するモンスターがこのカードを装備した戦士族モンスター1体のみの場合、このカードを墓地へ送ることで、装備モンスターはもう1度攻撃する事ができる。
遊戯王GXにて、十代が使用。
バトル中に解除することができて、あと攻撃力アップも持続するそうです。
別にOCG効果でも問題は無かったんだけど、バトル中に解除するシーンが好きだったのでこっちにしてみました。
OCGでは、装備する時に一体だけなら二回攻撃が使えるから、攻撃力は戻るが解除後も展開し放題。
皆さんは、どっちが好みかな……
そんで最後に、ホープの紹介。
エクシーズ名-『SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング』
破壊力-A スピード-A 射程距離-C
持続力-A 精密動作性-A 成長性-E(完成)
※ A-超スゴイ B-スゴイ C-人間並み D-ニガテ E-超ニガテ
天上院明日香が、『時を加速させる能力』と共に斎王から受けた力で、ホープが更なる進化を遂げた姿。
能力は、自分が攻撃している間、相手の行動の一切を制限する能力。
そして、オーバーレイユニットとなったホープの作り出す黄金長方形を受けた、残り一つのオーバーレイユニットの回転により、自身の攻撃力を5000にする。
相手が誰であろうと問答無用で、必ず葬るという漆黒の意志のもとに生まれた、正に最強のホープである。
以上。
結局、OCGまんまな効果。
実際、OCG版も、漆黒の意志でできた絶対殺すマンなのは同じだと思う。
こいつに限った話じゃないんだけどさぁ……
そんなこんなで、次はどんな話になるものか。
待っててくれるらば、ちょっと待ってて。