遊戯王GX ~氷結の花~   作:大海

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七話目いくよ~。
今回もオリキャラが出ます。


行ってらっしゃい。



第七話 ボクと遊ぼう

視点:あずさ

 

 チュンチュン……

 

 皆さん、おはようございます。平家あずさです。

 現在早朝五時。わたしは早朝トレーニングの真最中です。

 普段は朝に弱いわたしですが、時々目が覚めちゃうことってあるよね。そんな時、あなたはどうしますか? わたしは今のようにトレーニングを行っています。

 いやぁ、トレーニングは大切だよねぇ。いつ何が起こっても平気なように。

 ジョギングに始まり、筋力トレーニング、シャドー格闘技、板割りにバット割りにブロック砕き、岩石砕きに巨木倒しなどなど、定番のトレーニングをこなしていきます。

 中でも一番辛いのが、木を倒すのではなく引き抜く訓練。倒すのは殴れば簡単だけど、引き抜くには結構技術がいるんだよねぇ。わたしの場合は、まず木を殴って貫いて、そうして手を突っ込んだ状態のまま引っ張り上げます。昔は両手だったけど、今では片手で抜けます。これを片手で五本ずつ、計十本。

 ちなみに今の目標は、木を貫かずに片手で握って引っこ抜くことです。持つところが広いから握り締めるのが難しいんだよね。

 わたしってまだまだ握力弱いなぁ。リンゴや自然石は握り潰せるけど、木を握ることもできないんだから。もっともっと鍛えないと。

 

 そんなことを考えてるうちに、十本目の木を引き抜き終わっちゃった。ちなみに引き抜いた後はちゃんと元に戻します。自然は大切にしないとね。

 いやぁ良い汗掻いたぁ~。水浴びしようっと。

 森の中にちょうどいい滝壺があるんだよね。こんな時間に人はいないから服とか脱いじゃっても大丈夫だし。あ、でもこの間お猿は見たけど。まあ……お猿なら良いや。

 

 バシャ

 

 あれ? 滝以外の音だ。滝壺に何かいる? 魚かお猿でも泳いでるのかな?

 

 バシャ

 

 違う。音の大きさからして、少なくともお猿や魚よりずっと大きな物が水を叩いてる。多分人間だね。人の肌が水を叩いた時ってこんな音するもん。

 けど、わたし以外にこんな所に来る人なんて、誰なんだろう。

 そう思いながら、わたしはゆっくり滝壺に近づいて、岩に隠れながら眺めます。姿は見えないけど、気泡が昇ってるから、水中に潜ってるみたい。でも、わたしだけの穴場だと思ってたのに、ちょっとだけショック。

 なんて思ってる時に、気泡は段々大きくなっていく。そして……

 

 バシャ

「ふぅ……」

 

 て、梓くんじゃん!!

 梓くんはこっちの岸まで泳いで、地に足を着いて川から上がりました……

 って!! 全裸!!

「ぶはぁ……!!」

 は、鼻血が……ばっちり見ちゃったよ~!!//////

 

「おや、あずささん」

 

 しかもばれたし!!

「どうして隠れているのですか?」

 どうしてって//////

「あ、あ、あ、梓くん、まず服を着てもらえる?//////」

「服ですか? 分かりました」

 何だかよく分かってないって声出してるし。うぅ~、梓くんには羞恥心て物が無いの?

 そう思いつつ、もう一回チラッと……

「ぶはぁ……!!」

 まだ着てない! また見ちゃった! かなり綺麗な体してるよ!!

 ……それにしても、梓くんて、やっぱり体が細いなぁ。無駄な贅肉どころか、目立つような筋肉はほとんど付いてないし、肌なんて真っ白な上に滑々。男子と女子じゃ体の構造が違うけど、女子って言われても全然違和感無いや。多分わたしよりも細い……

 何だか悔しい……

 一応あれから時々お弁当を作って梓くんに渡してる。そしたらちゃんと食べてはくれるけど、やっぱり普段の食生活は変わってないみたい。

 けど、あんなにほっそりして綺麗な体なのに……意外と大っきかったな//////

 

「着替えました」

 

 !!

 その声で、わたしはゆっくりと岩から出た。

 おぉ! いつもの着物じゃなくて、かなり動きやすそうな浴衣着てる。まあ私もジャージだし、当然か。

「どうしたのですか? お鼻が真っ赤ですよ」

「なっ、何でもないよ! それより、随分早起きだね。お散歩?」

「いえ。毎朝行っている訓練後の水浴びです」

「訓練?」

 そう聞き返すと、梓くんは森の奥の方を指差した。そこには普通に気が並んで立ってる。と思ったけど……

「あれ?」

 何か変だな。何か分からないから、近づいてみる。

 何か、真ん中に線が入ってる? そう思いつつ、その木を触ってみると……

 

 バキバキバキ……

 ズンッ!!

 

「えぇ!?」

 木が、縦に割れた!?

 いや、割れたんじゃない! 綺麗に斬られてるよ!!

 それに気付かなかったけど、普通に立ってるようで、縦に割れてる木は一本や二本じゃない!!

「一日に五百本の木を斬る。それが訓練です」

「五百本!?」

「ええ。木を斬るために移動することで速度を、斬る際に踏み込みを入れることで足腰と脚力を、木を斬ることで抜刀の素早さ、腕力、肩の力を、それぞれ鍛えることができます。木を斬るという動作には、鍛えるべき部分を鍛えるための要素が全て詰まっているのです」

「へぇ、すごい!」

「やはり訓練はしておかないと。いつ何が起こっても平気なように」

 おぉ! わたしと同じ意見だね。

「実はわたしもトレーニングが終わった所なんだ」

「ほぉ、あずささんも早朝の訓練を?」

「うん。もっとも早起きは苦手だから、目が覚めた日だけなんだけどね」

 その話しに、梓くんは笑った。もう、気にしてるんだから笑わないでよ!

「どのようなトレーニングを?」

「えっとね、普通に走ったり筋力トレーニングだったり、岩を砕いたり木を殴り倒したり、木を片手で引っこ抜いたり」

「木を、片手でですか!? どうやって!?」

 そ、そんなに驚くことなの?

「えっとね……じゃあ見せてあげる」

 えっと、この辺に適当な木は……あった。

「見てて」

 まず思いっきり殴って貫いて、そのまま上に向かって引っ張って、持ち上げて、と……

「簡単でしょ」

 そう言いつつ、抜いた木を思いっきり上に投げる。

 って、いけない! 梓くんの方に……大丈夫だね。

 梓くんは平然と刀を取り出して(本当にどこに持ってたのかな?)木を真っ二つに斬っちゃった。うわ、相変わらず抜き身が全然見えないや。

「なるほど。これだけの訓練をしているからあれほど強いのですね。私が勝てない訳です」

 あははははは、うふふふふふ……

 

 ……え?

「え? 何で? 梓くんの方が強いよ」

「またそんなご謙遜を……」

「謙遜なんかじゃないよ! 梓くんこそ、わたしに気を遣うことなんて無いよ!」

「……私には分かります。あの夜のことは、覚えていますよね」

 あの夜……わたし達が初めて会った、女子寮でのことだね。

「あの闘いで、十代さん達に止められる直前、わたし達はお互いに向かい合いましたよね」

「うん」

「あの時は頭に血が昇っていましたが、あの後すぐに分かりました。私の刃が届く前に、私はあなたに砕かれていたと。あの闘いに負けていたのは私でした」

 いや、違うって!!

「逆だよ! あのまま打ちあってたら、私の拳が届く前に間違い無く真っ二つにされてたよ! あのまま続けてたら負けてたのはわたしだよ!!」

 

「……」

「……」

 

『ぷっ、あははははははは……!』

 

 二人で話しながら、最後にはそうやって大爆笑しちゃった。

「お互いに、相手が自分よりも強いと認め合っていたのですね」

「本当はどっちが強いか分からないのにね」

「ただ私は、もうあずささんとは闘いたくはありませんが」

「私もだよ。もうわたし達友達だしね」

「ええ」

 やっぱり梓くんと話してると楽しいよ。

 梓くんとずっと一緒にいたいなぁ。

 

 

 

視点:梓

 さて、今日も無事に授業が終わりました。

「梓ー」

 この声は、十代さん。振り返ると、翔さんと共にこちらに歩いてきました。

「この後何かあるのか?」

「いえ、特に予定はありませんが」

 いつも誰かに話し掛けられて開くお茶会も、今日はありません。

「じゃあ、この後俺達の部屋に来ないか?」

「十代さんのお部屋ですか? そういえば、私の方から出向いたことは一度もありませんでしたね」

「ああ。お前の部屋は何度か行ったことあるし、たまには俺の部屋にも来いよ」

「分かりました。では、お土産を持って参りますね」

 

「私も行きますわ!!」

 

 突然そんな声が響き、ももえさんがやってきました。そして、否応無しに翔さんの手を取ります。

「私もお邪魔させて下さい、翔君/////」

「は、はあ……どうぞ……」

 みんなで着物を着た日以来、ももえさんは翔さんに対して随分積極的になっています。翔さんのことを随分気に入ってしまったようですね。ただ、翔さんはあまり嬉しそうではありませんが。

 

「おぉ! わたしも行っていい?」

 

 !! あ、あずささん、一体どこから////

「あら、私もいいかしら」

 明日香さんまでいたのですか。ジュンコさんもいますが、ほとんどついでといった感じですね。

「いいぜ。みんな来い」

「では、お土産を取りに戻ってすぐに参ります」

「別にそんなに気を遣わなくてもいいって」

「いいえ、せっかく皆さんで集まるのですから」

 そんなふうに会話して、私は一旦皆さんと離れました。しかし同じ学園の寮とはいえ、他人の家に行くなど、考えてみると初めての経験ですね。

 

 ……

 …………

 ………………

 

 さて、お土産を持ち、オシリスレッドにやってきました。なるほど、話には聞いていましたが……その、大変趣があります。

 

「返せ!!」

 

 な、何ですか!?

 

 

 

視点:外

「返せよ!! 俺のカード返せよ!!」

「バカか!お前みたいなゴミが持ってていいカードじゃねえんだよ。こんなカードを持って生意気起してねーで、屑カードをかき集めてカード遊びするのがお似合いなんだよレッドのゴミは!!」

 一人のオシリスレッドの生徒を、五人ものオベリスクブルー生徒が取り囲んでいた。

 

「おい! 何やってるんだ!!」

 

 十代が部屋からその生徒に向かって叫んだ。そして、明日香やあずさ、翔達と共に部屋から出てきて、彼らの前に立った。

「お前ら、自分が何やってるのか分かってるのか!?」

「分かってるさ。せっかくのレアカードをゴミが持つせいでゴミにならないよう回収してやってるんだ。こいつの言う大事なカードを有効活用してやるって言ってるんだぜ。感謝はされても文句を言われる筋合いは無えよ」

「てんめぇ……!!」

 いつの間にか、部屋からレッドの生徒達が次々と顔を出していたが、五人は気にしていない。

「……ちょうど良い。お前のカードもよこせ。お前確か、イエローに昇格できたのを断ってたよな。レッドのゴミの分際で、そんなこと許されるって思ってるのか? 罰としてカード全部置いて行けよ」

「何なんスか、その訳の分からない理屈は!?」

「さっきから言ってること無茶苦茶なんだなぁ!!」

「うるさい!! いいからカードをよこせ!!」

 そんな叫びと同時に、五人が一斉に十代ら七人を取り囲んでしまった。

「あなた達、自分のしていることが恥ずかしくないの!?」

 明日香が叫ぶが、男子達は卑しく笑うだけ。

「ちょうど良い。前々からお前のことも気に食わなかったんだよなぁ」

 五人の中心に立っている、鉄パイプを持った男子が、静かにその重低音の声を発した。

「何が一年のクイーンだよ。できる奴もできない奴も、女子は全員ブルーに入る癖に、そんな吹き溜りみたいな場所で一番になったからって、粋がってんじゃねーぞ」

「な、吹き溜りですって!?」

「喋るなよゴミが。ケガさせねーからカード出せや。でないとその顔潰すぞ」

 徐々に、口調から表情から、冷たい物に変わっていく。

 直前までは単純に人間を見下している顔をしていたのが、現在は見下すどころか、同じ人間としてすら見ていない。彼の言う通り、ゴミを見ている目。

「そんなに俺のカードが欲しいなら、俺と決闘しろ!」

 

 ゴッ!

 

「ぐっ!!」

『十代(兄貴)!!』

 十代が叫んだ直後、男子は手に持っていた鉄パイプで十代の腹を殴った。

「ゴミの癖に人間様に口聞いてんじゃねえよ。何で俺がお前みたいなゴミと遊んでやらないといけないんだ? あ?」

 十代はその痛みに顔を歪め、地にひざを着く。明日香も続いてにひざを着き、十代に寄り添った。そしてそんな二人を、男子は変わらず冷たい目と顔で、後の四人は卑しく笑いながら見ていた。

 

「あんた、よくも……」

 

 当然、それだけのことをされて、あずさが黙っていられるわけが無い。

(まずいわ!! あずさがキレた!!)

「何だ? 何か文句があるのか?」

 その問いに、あずさは応えない。応える代わりに、

 

 ドゴォッ!!

 

 黄色の手甲を着け、地面を本気で殴った。その瞬間地震が巻き起こり、あずさを中心に地面が陥没し、その場にいた生徒全員が倒れた。

「口で言ってもダメ。決闘で決めようとしたら暴力。だったら()も、腕力に物を言わせてもらっても文句は無いね」

 それは、梓と対峙した時に一度だけ見せた姿。梓の凶王化と同じ、あずさのキレた姿。

「……やっちまったなぁ」

 だが、男子は尻餅を着きながらも全く堪えておらず、脅えてすらいなかった。ただ笑いながらゆっくりと立ち上がり、服に着いた土をはらう。

「言っとくが、俺はお前には(・・・・)一切手を出してない。このまま被害届を出して、お前は間違い無く退学にしてやるよ」

「ふざけろ!! そんなバカな話が本気で通ると思ってんの!! こっちにはレッドの被害者だっているんだよ!! どうせ今回が初めてじゃないんでしょう!?」

 あずさがレッド生達を見ながら叫んだ。

 

『……』

 

 だが、レッド生徒は全員、顔を背ける。

「え、みんな、何で?」

 あずさの顔が疑問に染まる。そして、男子は変わらず、笑っている。

「そりゃあ全員、ゴミ掃除はされたくないだろうからな」

「ゴミ掃除?」

「……俺が一言親父に頼めば、お前達ゴミ共を全員、家庭崩壊させることなんて訳無いんだぜ」

「は?」

「……佐倉財閥。聞いたこと無い?」

「!!」

 あずさの顔が、同時にそこにいる全員の顔が驚愕を浮かばせた。

 『佐倉財閥』は、かの『万丈目グループ』に並ぶ大企業である。だが知名度だけで言えば、万丈目グループを遥かに凌ぐ。それは、この場にいる全員を黙らせるには十分過ぎた。

「分かったか? 佐倉さんにとってはお前達全員、本当のゴミなんだよ。俺達を潰せるもんなら潰してみろよ。その前に、一生生き地獄を見せてやるけどな! お前達じゃない。お前達の家族に、だけどな! あはははは!!」

「……」

 取巻きの一人が叫んだが、それを、佐倉は冷めた目で見ていることに誰も気付いていない。

 あずさも、明日香に十代達も全員が怒りに震えるが、何もできずにいた。

 間違っている。それは分かっているのに、佐倉以上の力が無いばかりに、何もできない。

 佐倉は、なぜかうんざりした様子で、一言話した。

「安心しろ。俺は優しいから、お前達全員カードを全部渡せば許してやる」

 その言葉に、全員の顔がわずかにだが緩んだ。

 だが、

「だが、お前はダメだ」

 あずさを指差し、卑しく笑う。

「お前は俺に手を出したからな。カードを全部渡して、俺達全員の相手をさせて、そのうえで退学だ」

「!?」

 そんな佐倉の言葉に、あずさの顔が一気に青白く変わる。

「当然だろう? ゴミが人間様に手を出したんだ。これでも全然足りないくらいなんだ。だがまあ顔や体はマシな方だし、これで許してやるんだから感謝しろよなぁ。ククク……」

 

 ポン

 

 佐倉が笑った時だった。突然後ろから、佐倉の肩に手が置かれた。

「もしよろしければ、私と決闘して下さいませんか?」

 

『梓(さん)!!』

 

 

 

視点:佐倉

 ほぉ、誰かと思ったら、今年期待の美人君、水瀬梓か。

「俺と決闘?」

 ふざけたことを。

「お前、自分が何言ってるのか分かってる?」

「もちろん。あなたにとって、私はゴミなのでしょう?」

 何だ。分かってんのか。

「だったら触るんじゃねえ。体が腐るだろうが。それに、誰がお前と決闘なんか……」

 

 カラン……

 

 言い切る前に、足元からそんな音が聞こえた。見てみると、ずっと手に持っていたはずの鉄パイプが、縦に真っ二つになっている。

 

 ジャキ

 

「……」

 その時、理由が分かった。鉄パイプは斬られたんだ。こいつ、水瀬梓は俺の首筋に刀を宛がう。

「断ると言うのなら、私はここで貴様を殺す」

 ……ほぉ。

「てめぇ! 自分が何言ってるのか分かってるのか!?」

 四人の取巻きの一人が叫んだ。だが、こいつの表情は変わらない。

「私はゴミだ。なら、たかがゴミが人間を殺した所で罪は問えまい」

「ふざけるな!! 自分が何言ってるのか分かってるのか!?」

 二回目。他に掛ける言葉は無いのか?

「貴様らを誅戮(ちゅうりく)すれば、全て帳消しだ」

 こいつ、本気か? 本気で俺のことを……

 

 ……くくく、面白いなぁ。今まで威勢ばかりが立派なゴミばかり見てきたが、こんな奴もいたんだなぁ。

「そうだな。俺も命は惜しい。受けてやるよ。その決闘」

 そう笑って言ってやると、水瀬梓は刀を鞘に納めた。

「これ以上こいつを怒らせるのは怖いし、さっきの話は無しにしてやるよ」

 さっき地面を殴った女子にそう言ってやると、緊張が解けたように地面にひざを着く。

 まったく、最近のゴミはこれだからダメなんだよ。

 ゴミでも粋がるっていうなら、最後まで毅然と抵抗してみろってんだ。何の抵抗も無しに、ちょっと力を示せばすぐに心までゴミになりやがって。これだから掃除したくなるんだ。

 

 

 俺達は互いに向かい合い、決闘を行う姿勢を作った。そしてその周りを、取巻きのゴミ共と、他のゴミ共が取り囲む。

「私が勝てば、私の持つカードは全てあなたの物だ。そして、アカデミアを去りましょう」

 

『梓(さん)(くん)!!』

 

 その目に嘘は無いようだ。ふふ、本当に面白い。ゴミにしておくには勿体ない覚悟を持ってやがる。

「良いだろう。お前が勝てば、ゴミ共から奪ったカードは全部返してやるよ」

『佐倉さん!?』

 取巻きのゴミ共が叫んでいるが、いちいち気にしない。四人とも、勝手に俺に付いて、好き勝手してただけだからな。

「当然、俺も退学の条件は同じだ。もちろん、この決闘では不正はしないと約束する」

「……」

「どうした? 俺の顔に何か付いてるか?」

 さっきから俺の顔をジッと見てる。だが、それは単純に、対戦相手や仇を見る顔とは違う。

「私の勘違いなら謝罪しますが、あなたは明らかに、あの四人とは違う。なぜあのようなマネを?」

 何だ、そんなことか。

「さあ、何でだろうな」

 それだけ応えて、決闘ディスクを構える。水瀬梓も構えた。

 

 

『決闘!!』

 

 

 

 




お疲れ様です。

ちなみに梓の言っていた、木を斬ることでのトレーニング効果ですが、適当です。
一応その辺誤解しないでね。大海にも効果のほどは分からん。

決闘は次回。
ほんじゃ待ってて。

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