BLEACH《新たな歩み》   作:白黒

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「大……で…か…」

やめてくれ。

「大丈夫…ですか…」

今はほっといてくれ。
思い出したくないんだ。あの頃を。




「竜ちゃん」

 

誰かが読んでいる。

僕は目を開け、声の主の方を見る。

 

「みぃつけたぁ」

 

緩い口調で少女は言う。その声に反応して目を向けるが、木々の隙間から差し込んで見える光に思わず目を閉じてしまう。

目を擦りながら立ち上がった竜也に少女は、

 

「竜ちゃん、次は私が隠れるね!」

 

「え、ちょっとまっ…て」

 

少女は森の中に走り去ってしまった。

しばらくしてもういいかい?と大声で叫ぶ。だが、その声に対する返答がなく、ただ木や草の擦れた音、小川が流れる音だけが鳴っている。

 

「ったく…なんだよ」

 

少女が走って行った道をゆっくりと辿る。小川で熊を見つけたり、木の枝にとまる梟を見つけたり都会っ子の竜也にとってはかなり驚きのある発見だった。

すると、森の出口が見えてきたので、竜也は森を抜けた。

 

 

 

「もう竜ちゃん!やっと見つけた〜」

先ほど隠れた少女の声が背後から聞こえた。

 

「え…」

 

「どうしたの。そんな驚いた顔して…ほら行くわよ。今日の皿洗いは竜ちゃんだからね〜」

 

竜也は周りを見渡す。さっきまで自分はどこにいたのか。本当に森の中にいたのかを疑うくらい、今竜也が立っている場所は木・雑草・小川がない。デパートにフードコート。バイクに車。どんだけ頑張っても今自分がいる場所は森ではなく、自分の住んでいた日本の東京、都会と言った方が納得がいく。

 

「どういうことだよ…また意味わからん夢なのか?」

 

「何意味わからないこと言ってるの?行くよ竜ちゃん」

 

少女は長い髪を揺らしながら竜也に背中を向け、歩き出した。

 

「ねぇ…」

 

竜也は少女に恐る恐る話しかける。

 

「君は…」

 

「誰?」

 

 

竜也が最後の言葉を言った時、周りの人・生き物・物体・店などが黒くなり、空は赤黒く染まっていく。月なのか太陽なのか、黒く染まりかなり地球に近づいている。

 

そこに黒い刀を持った白く美しい着物を着た少女がいた。

 

「今度は…」

 

少女が喋り出した途端、竜也の頭に電気のような激しい痛みが走る。

 

「うがっ!」

 

竜也は頭を抑えながら膝をつけるように勢いよく腰を落とす。

 

「わた…みつけ…ね…」

 

意識がだんだん薄れていく。

うまくバランスをとり倒れそうになる体をなんとか踏ん張っていたが、耐えられなくなり倒れてしまう。

 

 

「竜ちゃん…」

 

 

ニゲナイデネ

:

 

ここはどこか。そう聞かれたらわからないと答えるしかないが、自分の中では初めて来る感覚より、懐かしく感じる。自然と進む自分の足が気持ち悪く思えてきた。

 

「前にも来たことがあるか…な?」

 

進むことは体に任せ、屋敷内を徘徊する。 誰も居ないことで不思議に思っていると後ろから、

 

「おい。そこのボウズ」

 

振り向くとそこにはオレンジ色の髪の黒装束のおっさんがいた。

とても体格はよく、腰と背中に付けている刀は包帯のようなもので刃の部分が隠されている。その人からはなぜか自分と近いものを感じた。それは雰囲気や性格の話ではなく、存在や役目などだ。なぜここにいるのか。何をしなくちゃいけないのか。この人は全てを教えてくれそうだ。

 

「おい。何してんだ?」

 

「あ、えーと…起きたらここにいて、周りには誰もいなくて散歩していたところです」

 

「そうか、なら俺について来い。ちょうど暇してたとこなんだ」

 

おっさんの暇に付き合うため俺はついて行く。その間にここについてのことや建物、外にある設備など教えてくれた。もちろんここが尸魂界ってこともだ。

 

「そういえばおっさん。名前は?」

 

「あぁ名乗ってなかったな。俺は『黒崎一護』死神代行だ。ボウズは?」

 

「俺は先導竜也。俺も、死神代行?ってやつぽい。なんか知らないおっさんに力を貰ったんだ」

 

「そうか。運が良いか悪いかはわからんがまぁ仲間ができてよかった」

 

おっさんは俺の肩を叩きながら嬉しそうに言ってくれた。

 

「よし着いた。この部屋に入ってみればみんながいる。俺は用事があるからこれで。また会えると良いな」

 

目の前には大きな扉。自分の身長の二倍、いや三倍はあるだろう。そのぐらい大きい扉がある。

 

「ありがとう、ございます」

 

ギクシャクした下手くそな笑顔を見せ、竜也は手を振る。一護も手を振っていたが、その姿はいつの間にか消えていた。

 

「よし」

 

扉を開けて進む。

白い大部屋に十人ぐらいの黒装束に白い羽織を着た人達がいた。

 

「お〜来た来た。おはよう!竜也くん!」

 

そして、竜也の正面にテンション高めの男が話しかけて来た。

 

「おはよう…ございます…」

 

ハイテンションで白髪の男が手を振っている。いきなりテンション高めでくるこういう人とは関わりにくい。と本音は心にしまって竜也は挨拶をする。

周りは殺気だった雰囲気。まるで戦場に行く前の会議に自分は寝坊してしまった感がすごい。一刻も早くこの場から逃げたい。

 

「おい霧丸!こいつぁなんだ?どうせ弱っちいやつを連れ込んだんだろ?どうせ死ぬやつなんかここで殺した方がいいんじゃねぇか?」

 

いかつく目が細い男はテンションの高い男に怒鳴りつける。

 

「黙ってよ。そういうのだるいから。だけど霧く〜ん?今回は異常だよ。たかが斬魄刀が消えただけだろ?そんなの適当に流しとけばどうにかなるだろ」

 

目のクマが酷く、整えてない髪の女はだるそうに話す。

何を言っているのかわからない竜也は頭を掻きながら会話のやり取りを聞く。まるで自分はいない扱いにされている雰囲気に少しイラっとする。

 

「んでだ。他の奴らはこねぇのか?」

 

「他の隊長は任務だよん。まーだいたい暇なのは君達だからねぇ。召集かけたのも君たちだけだし」

 

「霧丸!それじゃあ俺らが暇人みたいじゃねぇか!」

 

今にも喧嘩しそうな雰囲気が漂う。いやもうしてるな。

もう帰ろうかな。そう思いドアを閉めようとする。

 

「おっと、何しようとしてるのかね」

 

霧丸。この人物は何者だ。ただ俺は睨まれただけ。ただそれだけなはず。なのに、動けない。恐怖、怒りなども感じない。だけど腕一本、いや、指一本動かすことができない。

 

「まだ自己紹介してないんだから待ってよ。竜也くん」

 

気づくと俺は膝から倒れ気を失っていた。




久しぶりに出してみた…

今回はほとんどオリジナルキャラで進んで行こうかなと思っています。

まーいずれ原作キャラは全員出しますけどね!うん!(頑張ろう…

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