ぺディグリーすかーれっと   作:葉虎

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第25話

「どうしてこうなった?」

 

目の前にはやる気満々のオウカ。そして期待に目を輝かせているリエル。

 

場所は町からそこそこ離れた荒野である。

 

そこで俺達は向かい合っていた。

 

「今なら思い切り戦えますよね?」

 

最終試験の時の対戦を此処で仕切り直そうと言う話になった。

 

というかオウカが一方的にそう決めた。

 

リエルも乗り気…

 

もういい……諦めた。

 

取りあえず、【幸福の青い鳥の鳥籠(ハピネスアレスト)】で結界を作る。

 

充分な広さを取り、準備完了だ。

 

「巾着袋に薬に…今度は此れですか。とことん便利ですね」

 

けど思い切りやれます。と喜ぶオウカ。

 

そして始めの合図は特になく、オウカが仕掛けてくる。

 

「……ふっ!」

 

素早い踏込からの袈裟切り。当然のように刀には周を使っている。俺はと言えば、その周よりも多いオーラで防…って、拙い!!

 

咄嗟に気づく。

 

周ならばより多いオーラで防御した時に刀が弾かれる筈だ…しかし、オウカの放った斬撃は俺のオーラを切り裂き、身体を通過する。

 

そして切り裂かれたオーラは四散し…直ぐに元に戻ろうとするが…その切り裂かれた部分が完全に無防備。オーラで守られていない状態になり

 

其処に返しの刀で左切り上げ。俺は咄嗟に右腕にオーラを集中し、受け止めた。

 

「え、えげつないコンビネーション。切り替えが早くなってないか?」

 

今のはオウカの発。本人は斬(ザン)とか言ってたな。

 

見た目は周を行った状態の刀と相違ない。だが完全に別物。

 

このオウカの斬はオーラ…相手の念能力を切り裂く。

 

ヒソカの伸縮自在の愛(バンジーガム)を断ち切ったのもこれだ。

 

最も、斬で切れるのは念のみ。肉体や物体は素通りする。

 

強化系の能力で斬撃を強化していき、極めようとしていた際に使えるようになったという。

 

本人いわく、掛けられた念も斬り裂くことで除念が可能との事だが、除念の場合、消す念能力と同等のオーラを自身も消耗するので自分の許容を超えるオーラの念は斬れない。

 

この斬と周を同時に使用した剣術がこいつの基本的戦闘スタイル。

 

周での斬撃は普通に斬る能力が上がっているので、こいつの攻撃力に劣るオーラで防御するとスパッと斬られる。

 

見た目じゃ分からないのですべてが周だと想定して、防御を展開しなくてはならない。じゃないと大ダメージ喰らうしね。

 

しかし斬だった場合、オーラは容易く斬られ、その部分は一瞬無防備状態になる。

 

そこに周の斬撃を喰らえば、当たった部分によっては一瞬であのあの世逝きだ…。

 

「つか…殺す気か?」

 

「安心してください。峰打ちです。」

 

いや、峰だろうがオーラを纏っていない部分に周の攻撃喰らったらヤバいから。

 

強くなったな…オウカ。

 

昔はそこまでの精度は無かったんだが…。

 

滅茶苦茶やり辛い。

 

……こっちも出し惜しみはしてられないか。

 

 

俺の能力で戦闘用の能力は【永遠の中二病(エターナルオブドリーム)】のみ。

 

詠唱さえ完了すれば、絶大な効果の能力が使用可能である。

 

しかし、詠唱に時間が掛る事が難点だ。

 

だが…それを補う方法がある。

 

俺は目を閉じ、緋の眼を発動させる。

 

長年の練習で発動時間、持続時間が格段に向上している。

 

そしてそのまま、【幸福の青い鳥の鳥籠(ハピネスアレスト)】を俺の周囲にのみ発動させ、間一髪いれず、【鳥籠の幸福空間(ケージオブエンヴァイロメント)】で時間を操作する。

 

この二つの能力さえ展開すれば、詠唱時間を稼ぐのは容易だと気付き…。

 

以来、念の発動速度の向上に努めて来た。

 

今ではかなりの速度で発動が可能だ。

 

 

 

ーー

 

私が犯した罪は

War es so schmählich,――

 

 

心からの信頼において あなたの命に反したこと

ihm innig vertraut-trotzt’ ich deinem Gebot.

 

 

私は愚かで あなたのお役に立てなかった

Wohl taugte dir nicht die tör' ge Maid,

 

 

だからあなたの炎で包んでほしい

Auf dein Gebot entbrenne ein Feuer;

 

 

我が槍を恐れるならば この炎を越すこと許さぬ

Wer meines Speeres Spitze furchtet, durchschreite das feuer nie!

 

 

 

創造

Briah―

 

 

雷速剣舞・戦姫変生

Donner Totentanz――Walküre

 

 

詠唱を完了させ、能力を発動する。

 

それと同時に結界を解き…

 

「……それもあなたの能力ですか?」

 

油断なく構えるオウカへと…

 

雷の如く駆けて攻撃を行う。

 

唯の拳打。だが、今の俺は雷。

 

加減はしているので、ちょっとは火傷を負うかもしれない程度の電圧。

 

円を使っていたのだろう。

 

間合いに入ってから、咄嗟に防御しようとした反応速度は素晴らしい物がある。

 

だが…

 

「それでも…俺の方が速かったな…」

 

能力を解除し、気絶したオウカを抱きとめながらそう呟いた。

 

 

 

 

「どうだった?」

 

取りあえず気絶したオウカを寝かせてリエルにそう尋ねる。

 

「正直、私とはレベルが違ったわね……」

 

悔しそうに言うリエル。

 

「そういえば、念は独学で?」

 

「……基本の四大行は両親から教わったわ。後は独学で能力を開発したりして……」

 

なるほど応用技はまだって訳ね。

 

話しながら多少の火傷をしたオウカにきずぐすりをふりかけて治療を施す。

 

程なくして、目を覚ましたオウカにジト目で睨まれた。

 

「あんな隠し技があったとはね…」

 

「まぁな」

 

「そういえば、前々から疑問だったのだけど…クラン。あなた昔私の身体を操作して動けないようにしたことがありましたね?」

 

拷問城の食人影を使った時の事か…。

 

「あなたは本当に変化系ですか?あれほどの強制力。操作系…もしくは操作系と隣り合う放出系や特質系としか思えないのですが…」

 

……オウカならいいか

 

「嘘は付いてない。俺は変化系だ……ただ」

 

カラコンを外し、緋の眼状態になる。

 

「その瞳は…」

 

「…緋の眼。俺…いやクルタ族は緋の眼発動時に特質系となり、全ての系統の力を100パーセント引き出せる。」

 

「そんな秘密が…」

 

……おい、何故リエルが驚いてやがる。

 

「クラン、あなたはクルタ族だったのですか?」

 

「あぁ、隠してて悪かったな。まぁ、色々あるんでな」

 

言いつつ、カラコンを付け直す。

 

「でさ、念の修行はするとして…これからどうするんだ?つか、お前らなんでハンター試験を?」

 

「私はとある刀を探しているのです。3年前…お世話になった刀鍛冶師の工房から盗まれた最高傑作である五月雨桜を……ハンターになれば刀の情報が手に入りやすいと思いまして…」

 

ふむ、オウカの動機は刀と…リエルは

 

ふと、リエルの方を見れば、瞳の色は変わり、殺気を醸し出していた。

 

「私は…ある男を殺すためよ。そのため情報収集の手段が必要だったの」

 

「……ある男っていうのは?」

 

「幻影旅団…全身包帯の男」

 

………もしかしてボノレノフ?

 

「本当なら幻影旅団を皆殺しにしてやりたいわ……。でも、私にはやらなきゃいけない事がある。旅団全員を殺すには私も命を捨てる覚悟が必要…死ぬ物狂いでやらなきゃいけない。それじゃ、母さんとした約束が守れないの」

 

「約束?」

 

「そう、約束。死ぬ前に母さんを交わした。それは私が好きな男の人と添い遂げて、子供を産んで…クルタの血を後世まで繋ぎ…幸せに暮らして欲しいと。」

 

懐かしさ、愛おしさそして哀しみ。母の事を語るリエルの表情からはそんな感情が読み取れた。

 

「本当ならもう、幻影旅団と関わり合いになる事を母さんは望んでいないと思う。だけど…あいつ…あの男だけは…父さんと母さんを殺したあの男だけは…」

 

再び凄まじい怒気と殺気に染まるリエル。

 

「絶対に殺す」

 

……どうするか

 

リエルの覚悟は本物だ。止めたところで止まりはしないだろう。

 

ただ、クラピカと違い…まだ目標に現実味がある。旅団全員は無理でも一人だけなら戦い方によってはどうにかなるかもしれない。

 

だが、今のままでは…

 

「…幻影旅団がどれほどの実力者の集団か分かりませんが、噂は遠く離れたジャポンにも聞こえてきます。相当な実力者なのでしょう。正直、今のあなたでは万に一つの可能性もありませんよ?」

 

そう、オウカの言うとおりだ。今のリエルで勝てる可能性は殆どない。

 

「分かってるわよ!だから、修行をしようとしてるんじゃない!!」

 

「そうですね。ですが、修行をしたところで勝てる可能性が出てくるかはわかりません。ですが…私と二人ならどうでしょう?」

 

オウカさん?

 

「何を言っているのあなた?」

 

「手伝うと言っているのです。此処であったのも何かの縁。死なれても後味が悪いですし…」

 

それに…っと微笑むオウカは…

 

「幻影旅団。是非とも一度手合せしてみたい相手ですね」

 

そっちが本当の動機だろ?このバトルジャンキーめ。

 

はぁ、仕方がない。

 

「俺も手伝うよ」

 

「クラン!?」

 

流石に二度もリエルを見捨てるのもどうかと思うし、オウカもほっといたらヤバいし…

 

何より、俺ならある程度旅団の動きが先読みできる。原作知識という反則技を使って…。

 

ただし…

 

「その包帯男だけな。他のメンバーとの接触は極力避けろ。…目を逸らすな!主にお前に言ってるんだよ!」

 

目を逸らすオウカに注意をする。

 

仕方がない。

 

「オウカ、他の人間に目移りする前に…まず俺に勝てよ。……負け犬」

 

「っ!?ふふ、それもそうですね。良いでしょう。その時が来るまで…あなただけを見ていましょう」

 

あ~。こんな美女に言われてみたかった台詞だ。あなただけ見ています。

 

……殺気立ってなきゃ最高なんだけどなぁ。

 

「二人とも…ありがとう。その代りに私も刀を探すの手伝うからね」

 

頭を下げるリエル。

 

「それでクランがハンターライセンスを取った理由はなんです?」

 

「あ~。俺は二人みたいに明確な目的がある訳じゃないんだ。ただあったら欲しい情報があった時に便利かなと思って…」

 

ごめんね。2人みたいな動機が無くて…。

 

それを誤魔化すために、早速ライセンスを使って情報収集をすることを提案し、近くのネカフェに入った。

 

「一応俺が、円を使っとくから」

 

ライセンス目当ての不届き物が居たら速攻で分かるだろう。

 

その間、オウカ…というよりリエルがオウカのライセンスを借りてハンター専用サイトにアクセスする。

 

「……機械は苦手です」

 

……オウカよ。

 

お前、ライセンス持ってても一人で情報収集できないじゃん。

 

まさか、店員さんにお願いする訳にもいかないし…。

 

カチカチと操作していき、いざ情報を得ようとした所でピタリとリエルの手が止まる。

 

「どうした?」

 

「それが…」

 

画面を確認する。そこには

 

『五月雨桜かい?情報料3000万ジェニー頂くぜ』

 

とバーテンダーの台詞が表示されていた。

 

「オウカさん、幾ら持ってる?」

 

「……五万ジェニーくらいですね」

 

少なっ!?

 

リエルに尋ねられて答えたオウカの金額に驚く。

 

「貸そうか?」

 

天空闘技場のお金がまだかなり余っている。

 

「結構です。親しき仲にも礼儀あり。お金の貸し借りはしない主義なので」

 

つってもなぁ、今五万だろ。

 

「……因みにリエルは幾らくらいあるんだ?」

 

「二十万ジェニーくらいかしらね。クランは?」

 

えっと…幾らくらい残ってたかな…

 

携帯で残高を確認してみる。ふむ…

 

「1億8千万くらいだな」

 

「「……え?」」

 

固まる2人。ふむ…まずは何にせよ金稼ぎか。

 

行くかなあそこ。

 

この時期…変態ピエロが居るけど…200階に行かなきゃ多分、大丈夫だよね?




再び天空闘技場へGO

能力は煉たんと迷ったけど、やっぱりベアトリス。

つか他の人の能力使いずらい。

威力が強すぎるか、弱点がやばすぎるとかで…。


弱点ヤバい組

聖餐杯 魂がむき出しになる。攻撃喰らったら一発でおしまい。能力の発動が原作での死亡フラグ。

シュライバー卿 人に触った時点でアウト。回復不能の致命傷を負うというリスクがある。

ベイ中尉 吸血鬼と同じ弱点が付く。何気に吸血鬼って弱点多し。

威力強すぎ組。

ザミエル卿 手加減難しい。すべてを焼き尽くす。攻撃範囲広すぎ。

マッキーナ 一撃必殺。生まれてから1秒でも時間がたっている物を破壊する能力。手加減とかそも      そも無理。

カインの兄貴 触れたものが腐食してしまう。やっぱり手加減とか無理。

後そのほか残っている能力は使いづらかったりする。

まぁ、威力が高いものは手加減不要な戦いには容赦なく使うが。

蟻兵士とかとの戦いとかにね。

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