仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。 作:3番目
紀霊を総大将とした南進軍は蘆江・薪春・番陽・豫章まで進軍していた。蘆陵か会稽を落とせば交州と領境を接する。越国との連携も可能になる。
美羽もとい七乃は越国との連携をするために呂布と劉備達を紀霊の下に派遣しに南下を急がせた。ちなみに、劉備は蘆陵を陥落させた時点で交州を通って入蜀を果たす予定だ。
五代友厚と幕府の役人、数名立会いの下。写真機を持った役人たちが美羽の写真を撮影する。
写真撮影に応じる美羽の横に控えているのは七乃と侍従の月と詠だ。
中には月と詠と一緒に写真に写った物や、七乃が写った物もあった。
楽しそうに色々ポーズを撮る美羽と少々恥ずかしそうに巻き込まれている月と詠。
そんな彼女達を少し離れたところで様子を見る七乃と友厚。
「今回の写真は、幕府の官報と民間報道紙として出します。もちろん内容は家茂公の婚約発表となります。」
幕府官報の記事面を七乃に渡す友厚。
「そうですか、徳川日本国ではそろそろ公表するんですねー。こちらも揚州を抑えた頃にでも民に公表しましょうか。」
友厚は大袈裟に手を広げて答える。
「早い方がいいですよ!あまり公表の時期がずれますと挙式はもちろん外交的なものも調整が必要なのに取り掛かる時期がずれると不便が多くなりますよ!」
「こちらも、早めに発表できるように手を尽くしますね。」
「お願いしますよ。」
「もちろん、手を尽くしています。袁術様もお目見えの準備のために近々呉に入りますから」
「それは良かった。」
後日、美羽は徳川日本国訪問のため七乃・月・詠他親衛隊を伴って呉へと出立した。
呉では陳紀が厳白虎と連携し呉を攻め落とした。
建業では美羽の委任状を受け取った孫権が孫策にそれを見せて、不穏な動きを見せていた姉を諫めようとしていた。
「姉上、袁術殿より揚州北半分の支配を認める内容の書状を頂いております。これ以上戦に傾倒するのは民の疲弊を招きます。これだけの領地をくれると言っているのです。ここまで我々の意を汲んでくれている相手に権謀術数を仕掛けるのは信義に反すると思います。」
孫権は強い眼差しを孫策に送る。
対する孫策も孫権を睨むような強い視線を送っている。
「蓮華・・・あなた、自分が何を言っているのか解っているのでしょうね。・・・袁術は母さんの仇の一人なのよ!」
孫策の訴えに孫権は反論する。
「確かに袁術は母さんを見殺しにしたと言っても過言ではないでしょう。ですが、直接手を下したのは劉表の配下です!」
孫策と孫権の舌戦が激しくなり、周瑜が孫策の援護に加わる。
「孫権様は袁術をそうやって擁護しますが、袁術が意図を持って援軍を送らせた←遅らせた のは事実。その様な袁術を擁護するのはいかがなものかと思いますが・・・」
孫権の軍師である呂蒙が舌戦に加わる。
「ですが、袁術殿が援軍を送り兵糧を提供したのは紛れもない事実。周囲から見れば遅れたとはいえ義理を果たしています。」
舌戦が繰り広げられ孫策は孫権の独断行動を責める
「蓮華、いくらあなたが政の多くを任されていると言っても、勝手に越と停戦したのはどうなの?」
「私は何度も言うように民の疲弊は避けるべきと言ってきています。いつまでも戦争を続けて民に終わりなき苦を与えるおつもりか!」
「権殿!!いくら何でも言葉が過ぎますぞ!!」
孫権の言葉に古参の黄蓋が孫権に言い放つ。
「蔡!もういいわ!蓮華!下がりなさい!」
「姉上!袁術殿は十分にお心を砕いておられました!これ以上どうしろとおっしゃるのです!これでは越や徳川の間を取り持ってくださった美羽殿に不義理を働いてしまうことになります!」
「あなた・・・今、袁術の真名を・・・・・・蓮華・・・あなたには虎林港に入ってもらうわ。」
「あ、姉上!」
孫策は袁術と真名の交換をするほどまでに親しくなっていた妹に対して冷たく追い返したのであった。
孫家の姉妹の亀裂は修正不可能なところにまで至っていた。
虎林港道中
「蓮華様・・・・」
「思春・・・わかってるわ。もうどうしようもない・・・自分がやったことは間違っているとも思ってないわ。」
辛そうな顔をしている孫権に甘寧は何と声をかけるべきか迷っていた。
そんな中、呂蒙が孫策を促す
「孫権様、今は立ち止まっている場合ではありません。今回の事で孫権様と孫策様の関係は完全に破綻してしまいました。対立は避けられません・・・」
「亞沙!」
「いいの、思春。続けなさい亞沙。」
甘寧が呂蒙を止めようとしたが、それを孫権が止める。
「おそらく、孫策様は私達を袁術陣営と認識したでしょう。戦いは避けられません・・・今更かもしれませんが、孫策陣営の切り崩しを行いましょう。」
「でも、古参の皆は姉さんについているわ。シャオに協力しろとは言えないわ・・・それにきっとあの子はそうなったら孫呉を出ていくわ。」
味方はいないと孫権はどうすればいいかを問う。
呂蒙は彼女達の中でも消えかけていた存在を示した。
「いえ、家中において未だにある程度力を残し表舞台から身を引いており、尚且つ孫策様を危険視していた方がいらしゃいます。」
呂蒙の言葉に二人は耳を傾ける。
「孫権様の伯母上孫静様です。」