仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

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02話 将軍の一日基本編

 

 急な話だが…

 転生者が憑依した、江戸幕府第14代征夷大将軍の私生活を覗いてみよう。

朝6時

 将軍が起きると寝ずの番をしていた小姓(身辺雑用役)が「もぅ~」と大声で合図を出す。

 ちなみにこの「もぅ~」は牛のマネをしているわけではなく「もうお目覚めです」の略。

 

 家茂は非常に嫌そうな顔をして起きてくる。

「ねぇ。彦丸(小姓の名前)君、この起こし方、もうやめようよ。なんか牛小屋で寝てるみたいな気分で目覚め悪いわ~。それに同じ もぅ~なら10代のかわいい女の子がいいわ。何が悲しゅうて、朝の目覚めが牛のモノマネをしてる小僧の声なんじゃ…」

 憑依前から低血圧で、それを今世でも引き継いだのだろう家茂は目覚めの際にはいつも不機嫌だった。

「上様、いつも言っておりますが、これは牛のまねではなく「もうお目覚めです」の略で歴代の将軍様方はこれで起きていらっしゃいます。」

 そんな家茂に平気で切り返す彦丸も大物である。

 

 この合図を受け、小納戸(中奥でのお世話係)が洗顔やうがいの準備をする。

 

「あーだるいわー。」

 そう言って小納戸の補助を受けながらうがい、歯磨き、洗顔をしていく。

 現代のような歯ブラシはないので、代わりに房楊枝(ふさようじ)というものを使い歯磨きをしたのだが、所詮は楊枝。力加減を間違えると口の中を切ってしまうのだ。さらに歯磨き粉も歯磨き粉には御典医(将軍家に仕える医者)作の塩と香料などを特別にブレンドしたオリジナル歯磨き粉を使っている。つまり、口の中を切ってそこに塩を塗り込んで、朝から地獄の苦しみを味わう家茂、機嫌は最悪である。衝動的に御典医を刀で切り殺したくなるが、彼に非は一切ないので気を静める。ちなみにその際、家茂は「ぐぉおおおお」と唸っているが小姓含め誰も気にしない。

 こういう時の家茂を相手にすると非常にめんどくさい事を皆知っているからだ。

 

朝8時

 朝食の時間である。将軍の食事は意外と質素で、二の膳つきの二汁三菜が基本。

 しかも、それを一人でモソモソ食べなくてはならない。しかも、小姓たちが無言でこちらを見てくる。

「ねぇ、一緒に食べようよ。見られてると食べづらいんだけど…」

 反応してくれない小姓達。

「うわぁあああああああ!!!!」

 突然お膳を持ち上げて叫び声をあげる家茂。そのままお膳を抱えて部屋の外に飛び出そうとする家茂。

 一人で小姓達に監視されながらモソモソ飯を食べる環境に精神の限界を迎えた家茂は3・4日に1度朝昼晩のランダムにこの様な奇行をする。ちなみに室内もしくはその周辺で取り押さえることを失敗すると食事中の誰かの部屋に突入して一緒に食事をとろうとする。突入された側にしてはいい迷惑である。

 

 

 朝食が終わると、裃(かみしも)もしくは紋付の袴など正装に着替えし、大奥へ行くのである。 着替えも将軍はなにもせず小姓たちがすべてやってくれた。

「しかし、ショタに服を剥かれる。そういった趣味を持った奴なら嬉しいだろうがな。着替えの手伝いならメイドさんがいいなー」

 翌日、小姓達がメイド服を着ていた。

「そう言うことじゃなくって・・・もう、いい」

 

 着替えが終わると大奥にある徳川家先祖代々の仏間に御台所とともに参拝し、歴代将軍の位牌を拝みに行くのだが、家茂には御台所はまだいない。一人で位牌を拝む。13人も居るので30分は掛かる。

 周りの目もあるので短くするわけにもいかず、ただボーっとする時間である。日によっては苦痛だ。

 

10時

 参拝が終わると、御台所が高級女中たちを連れてあいさつにやってくるので、将軍はずらりと並ぶ彼女らにあいさつをする。これを「朝の総触れ」と言う。だが、家茂は未婚、さらに言うと大奥は経費削減で大幅に人員が減らせれている。その為、今大奥にはババアしかいない。だから「朝の総触れ」そんなものはない。在ってもババアのあいさつでは苦痛でしかない。

 

 昼食までの時間は基本的に自由時間。なのだが、基本武芸学芸の芸事に励まされた。

 公務が忙しい時は午前中から老中と面談したり、大名を謁見した。

 自由なんてなかった。

 

 よく謁見するのは同じ憑依者の松平容保と松平定敬。定敬は自派閥諸藩の近代化具合をかなりの頻度で報告に来る。彼の場合は名代で藩士でも特例的に謁見することにしている。

 しかし、松平容保だ。あいつはなぜかTSしている新撰組をそばに置きハーレムを築き上げており、うらやましくて仕方がない。俺は将軍だぞ。日本で2番目に偉いんだぞ。

 

 

 中奥にて昼食。朝食と同じようなメニューだ。急ぎの政務がある場合は昼食抜きになることもある。現代のサラリーマンと同じだ。特権階級ってなんだろう。

 昼食後は、中奥にある「御休息之間」という部屋で政務。主な仕事は老中から提出された書類に目を通し、決済をすること。短い時でも2~3時間はかかり、仕事量が多い時は夕方過ぎまでかかる。きつい

 

 めったにないが政務が終わると自由時間。

 家茂の趣味は史実同様にスイーツ食べること。

 カステラ、ようかん、もなか、金平糖……などなど、とにかく大の甘党で、ストレスからくるものもあり甘いものを食べまくりだった。

 でも、太らなかった。ストレスからか、日々の激務のせいはわからない。

 富国強兵や多種多様な改革によって歴代の将軍の中で一番忙しいと思われる。

 

 

夕方5時

 あつい湯船にのんびり浸かって1日の疲れを流したいところだが、将軍の場合はそうはいかない。入浴時も小姓らがすべて世話し、まったくひとりきりになれない。着物を脱がせるのも小姓たちの仕事、身体を洗うのも小姓たちの仕事。ショタに裸を見られる…ホモか。

 いつか、この役を大奥の若い女官に変えることが家茂の密かな野望だ。

 

夕方6時

 お風呂でさっぱりしたら夕食です。大奥で御台所と食べるという選択肢は未婚の家茂にはなかった。だから、中奥でひとりで食べる。朝食・昼食に比べるとちょっと品数も増え、お酒もついた。でも晩酌の相手はいない。モソモソ飯を食う。

 

「おい!お酌しろよ!!あー若くてかわいい女の子が酌してくれないかなー!」(悪酔い)

 家茂は酒を飲むと高確率で悪酔いし小姓に絡むのだ。最悪である。

 

 夕食後は、再び大奥へ行き「夜の総触れ」を受け、場合によっては大奥に泊まるのだが未婚なうえに大奥には現在ババアしかいないので、その選択肢は存在しなかった。

 

 夜の自由時間には小姓を相手に将棋や囲碁、投扇興などをして過ごす。歴代の将軍の中には小姓相手にアッー!!!をする事もあったようだが家茂はホモではなかった。

 

午後9時

 小姓達の監視下の中就寝。見られながら寝るとか辛い、なかなか寝付けない。寝不足

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