仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。 作:3番目
今回は感想に上がっている疑問の等への説明回です。
あと、次の休みまでちょっとペース落とします。
隅田川
屋形船や小舟に乗って、花火見物もあれば、きれいなお姉さんと一緒に遊んだり、
お酒を飲んだりと、いろいろ楽しんだりできる場所だ。
もちろん、人には聞かれたくない話をする場所でもある。
隅田川に浮かぶ中型の屋形船。
その周りには護衛のための奥詰銃隊の隊士達が小舟に乗り込み守りを固めている。
そんな、厳重な護衛を受けた屋形船の中には、この国の実質的トップスリーである徳川家茂と松平定敬と松平容保の憑依者達がいた。
この船上の中で、幕府の重鎮に話す前に重要な話を話し合ったりするのである。
酒などが一応並んでいるが3人とも大して口を付けていない。重要な話をするのだから当然と言えば当然か。
開口一番、容保の苛立ちを示したこの発言から始まる。
「軍事に予算が下りなくなってきてるんだが、どうなってるんだ?」
「貴族院の連中が反対している。」
「どうしてだ!!西方統監府の連中は、今もローマと戦ってるんだぞ!?」
「仕方がなかろう、この国の庶民含め、他の統監府の連中にとっても遠い場所の事だ。他の統監府の連中も庶民も、鉄道・道路・上下水道・電信・入植地の開墾と生活の向上を何よりも望んでいる。今手にしている豊かさがこれらの発展でさらに良くなることを理解しているんだ。貴族院の連中など特にその傾向が顕著だ。実際、これらが整えば自分達の生活もよくなる。」
家茂と容保の議論を定敬はただ黙って聞いている。
「だがよう!!西の油田は民生にも良い影響を与えることがわかるだろう?」
「庶民どもがそれを理解できると?無理だろう、現状軍事は他の国とは比べ物にならんほど隔絶している。そういう要求は西方統監府だけだろう。」
「まあ、たしかにそうだがよぅ・・・」
「それに、資源地を大量に確保したがそれを運ぶ手段が足りん。それを何とかするために3隻の油槽船の建造を指示したのだ。第三艦隊の修繕、第五艦隊の新設で軍費に回せる分はほぼ限界だ。国営の大型造船所三つの一つ横須賀造船所で艦隊関係はすべてやらねばならん。修繕はそう時間は掛からんが新設となると当分は横須賀は空かない。それでも油槽船は絶対に必要だ。呉の造船所は輸送艦群建造で使えない。ゆえに残りの佐世保造船所で1隻。残りの2隻は民間の三井財閥と三菱財閥の造船所で作らせているのだぞ?」
容保は納得したと言わんばかりに手を打った。
「なら、それができれば。万事解決じゃねえか!?」
「まあな。ただ、油槽船は完成までに短く見積もって8年はかかる。普通に考えて10年。」
「はぁ!?遅ぇな!!」
「仕方ないだろう。技術力の問題に初めての油槽船だ。蒸気タービンの開発は同時進行で急がせているが、レシプロ蒸気機関で作らなければならなくなる可能性もあるのだ。そうなると前の歴史でもやったことがない事をさせることになる。時間がかかるのは当然だ。」
「なら、呉の輸送船群をとっと回せばいい。」
「無理を言うな船の建造は簡単な物でも1隻2年はかかる。そもそも、呉の輸送船は今治造船のすべての造船所に回している現状だ。正直言ってあの造船会社が史実より早くできたのは神に感謝言ったところだよ。」
「なら、住友財閥の造船所は!?」
「ああ、大島炭鉱の隣のやつか?あれも動員しいる。まあ待て、時間をかければ国内需要は何とかなる。海軍力の問題だが、場合によっては雄藩に限り水軍の保有を認めようかと思っている。統監府付きの沿岸海軍くらいにでもなってくれればと思っているんだがな・・・」
「資源の輸送問題は何とかなるか、だいぶ時間がかかるようだがな。だが、人は?」
「ああ、それは何とかなりそうだ。金払いもよく軍人と違い早々死なないからな。」
「それと、人と言えば、俺はわからねぇことがある!!なんで学校をもっと作らねえ!?」
「ああ、それか・・・。なら、定敬に聞け。彼の方が詳しい、あと私も彼と同意見だ。すこし、外の空気を吸ってくる。」
家茂はキャラメルの入った小袋をもって出て行った。
「おう、定敬!説明しろや!!」
「一言でいえば、衆愚政治の温床は作りたくありません。愚民は愚民のままが一番統治しやすいのですよ。」
「だが、そのせいで優秀な人材が減る一方だ。」
「ですが、半端知識を得た愚民は中途半端な知識で智者騙り。人心を惑わす、私たちのいた世界がそうでした。世の中知らない方が平和なこともありました。一応言っておきますが、私たちのいるこの日本は明治であって明治でない、江戸であって江戸ではない。そういう状態なのですよ。」
「どういうことだ?」
「明治のように技術が勢いよく発展し、貴族院ができる。公共設備にも力が入っていますね。我々のいた世界に近づいているようにも思える。ですが、徳川幕府が存続し将軍と幕閣が政治を主導している。藩だって存続しています。なぜ、維持したかをお忘れですか?」
容保が急に静かになる。
「私達は庶民ではなく。本来の歴史で淘汰された権力者のですよ?私は今の地位を失いたくありません、上様も同様です。当たり前ですが他の大名や大身旗本達も・・・。あなたは?ハーレム捨てられます?あんな美人たちとイチャイチャできるギャルゲーみたいな現状を捨てられるのですか?別に自分達のいた未来に繋げようなど、馬鹿なことは考えてないでしょう?この世界楽しんでいるんでしょう?美女とズッコンバッコンして、ゲームみたいに人殺しをして楽しいんでしょう?人間、そういった願望ってみんな持ってるんですよ?」
容保が叫ぶ。
「そうだ!!楽しいよ!!すげー楽しいよ!!自分が乱交大好きの快楽殺人者だったとは自分でも意外だったさ!!だが、そういうことを言ってるんじゃねぇ!!お前らは戦場に立ったことがねぇから言えるんだ!!西の戦場で戦っている連中が俺に頼み込んでくるんだ!!断れねえ!!それに学校だって学者が減ってるから言ってるんだ!!」
定敬が安心しましたと言った感じで表情を綻ばせる。
「く、くくくくくく。所詮私たちは同じ穴の狢、変な正義感等湧く訳もありませんね。」
「ちげぇねぇ!!っははははははは!!!!」
「それと、学校建設の様な最善のものではありませんが、学者の問題は解決する予定ですよ?」
「どういうことだ?」
「民部省が寺子屋の数を把握していたでしょう?システムとしては推薦システムです。寺子屋の優秀者を諸藩の藩校に推薦するのです。そして、藩校の優秀者達を幕府の研究機関に送り込むのです。優秀者以外の卒業生にも幕府や諸藩の軍や官の仕事を推薦することで、市政に埋めることをなくします。学校程の回収力はありませんが、衆愚政治のできる温床は確実に消えると考えています。」
「だが、それだと本当に何も出来ねえ役立たずだけになっちまうんじゃねえか?」
「この国の識字率は都市部ならば90%、それ以外でも60%。数学のレベルは転移前から世界一位だった優秀な愚民ですよ。」
「お前は本当に頭がいいな。」
「いやはや、そう褒めても何も出ませんよ?ところで塵劫記全部解けるか?」
「無理だ。」
「なあ、一桁のガキが複素関数論理解できる時代ってすごいな。」
屋形船の外側。
「よい、下がれ。」
家茂がそう支持すると屋形船の周囲にいた忍達が闇に溶けるように消えていく。
そして、屋形船に銃を向けていた奥詰銃隊の隊士達も銃を下ろす。
「容保が裏切らなくてよかった。同じ記憶を持つ友を殺さずに済んだ。」
しばらくして、定敬が出てくる。
容保は、途中で乗船させた芸妓と遊んでいるようだ。
金毘羅ふねふねの声が聞こえる。あいつの事だから負けた方が脱ぐ仕様の奴だろう。
「よく本音を、聞き出してくれたな。」
「そう、むつかしい事でもありませんよ。で、例の件は?」
「ああ、覚醒剤のことか。蓬莱大陸なら構わん。連中はすでにシャーマニズムの儀式で常用してる。彼らの文化だったよ。忘れていた、まあ、大切な戦力だ。使い潰さないように手心は加えろよ?」
「もちろんです。そういえば、阿片を大陸に流さなかったはなぜです?」
「まあ、うまくは言えないが、嫌な予感がした。」
「また、適当な・・・。ところで、例の姫様とは?」
家茂の顔が少し赤くなる。
「文通をな少々・・・。」
「青いですねー。中学生みたいですねー。いやーお菓子の君?でしたか?くくく」
「笑うな、兵が見ている。」
まとめ
国内需要の問題解決の目途が立ちました。10年かかる
知識人補充の目途が立ちました。超長期的に見て。
海軍力強化の目途が立ちました。10年かかる
資源の呪い、資源に依存し、他の産業が育たないが未解決。上記の行動で一時的に加速。
10年くらい、銃火器等軍事の技術がほとんど発展しないことが決まりました。
民生技術の発展及び生活水準向上によって庶民達の厭戦気分が国内で広がっています。