仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

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28話 幕府評定 国際要綱・国内要綱・他

「では、次の内容です。北新大陸情勢ですが開発状況ですが、可も不可もなくといったところでしょうか。鉱山開発に関しては順調ですが農地開拓については現地民の森を削ることが予想されましたので交渉が難航しております。とくに彼らの聖地となっているところではこちらが折れる必要があるでしょう。また農地の労働力は現地民に頼らざるを得ません、彼らの取り分を決めなくてはならないでしょう。また、敵対している凶暴な部族の討伐は現地友好民族の協力もあり順調です。3年以内には敵対者は消える見積もりです。」

「北新大陸情勢はもはや、心配はないだろう。次」

 

 定敬は資料をめくる

「中央・南新大陸ですが新食材発見の知らせです。こちらにあります馬鈴薯(ジャガイモ)ですが比較的保存がきく食材であるが、秋に植え付けて冬に収穫するのに加えて、冬に植え付けて春に収穫する二期作が可能です。入植地含めて全土で飢饉対策として栽培を奨励しております。」

 

「うむ、うまい。」

 家茂含め幕臣達の前に塩降ったふかし芋が提供され各々感想を口にしていた。

 

「煮てよし、焼いてよし、蒸してよしの万能食材です。」

「すばらしい、次」

 

「次は西方開拓団の計画ですが中止、交易外交団としての存続が決定されました。原因の一つに中継地のインドの不安定化。他候補地が軒並み未発達地域で優良な港が皆無だということがあげられます。ただし、西方の黒(アフリカ)大陸はアクスム王国・メロエ王国と言った将来性の高い国家があり彼らとの関係維持のためにも交易外交団と言った形での維持を決定しました。それと非国家部族の傭兵化と言う提案がありますがいかがしましょうか?」

 家茂は不快感を隠そうともせず言い放つ。

「却下だ!!却下!!傭兵にしたとして彼らをどこで戦わす?インドか?はたまた新大陸か?距離を考えろ!!距離をそれをしてしまえば白人どもがやった奴隷政策と同じだ!!そのような野蛮は認めん!!そもそも、幕府が認めている傭兵の定義は周辺地域に居住する人間による自発的な義勇軍の扱いの一つだ。さらにそう言った人間の移動に関してはその地域内に限られているうえにその帰路も保証することが取り決められている。道理に反することはしてはならん!!」

 家茂は奴隷制度を嫌い、自国内での奴隷を完全に廃止した。また同盟国や友好国に対しても奴隷廃止を呼びかけ積極的に交渉したとされる。

 

「さ、左様ですか。では西方交易外交団にはそのように伝えておきます。」

 

 家茂の気持ちが落ち着いたのを見計らい次に移る。

 

「次に南方ですが、東南諸島の入植はおおむね完了、鉄道・上下水道・通信設備を除いた公共設備の設置が完了しました。通信設備は根拠地に指定している島の行政庁舎には完備しております。また、一部地域での上下水道の導入も始まっておりますが、自然環境等でかなりの時間が必要とのことです。それと南天(オーストラリア)大陸のアボリの聖地ウルル(エアーズロック)への侵入許可が下りました。これは非常に大きな意味を持つものです。よそ者である我々が彼らの聖地にはいる許可が得られたこれは彼らの大きな信頼を得られたことを意味します。」

 

「アボリの件、誠に喜ばしい事であるアボリの首長達に礼をもって感謝を伝えるように・・・。東南の開発に関しては仕方がないことだな。だが、我が国の民には万遍無く豊かな暮らしをさせてやりたいものだ。」

 

「上様の民に対する慈愛の心は民にも伝わっているでしょう。」

他の幕臣達も頷いて答える。

「よせ、照れるではないか。」

家茂も髪をガルマ弄りしながら照れくさそうに応じた。

 

 そんな、家茂を無視して定敬は話を進める。

「では国内情勢ですが、日本本領の鉄道網の完備、その補填事業鉄道馬車網構築も完了したことを報告します。また、蝦夷地の鉄道鉄道馬車も八割型完了です。これで国内の輸送は格段に向上したことをご報告いたします。同鉄道事業ですが北新大陸の事業ですが鉄道馬車網に関して租借地間の敷設が完了、友好部族の土地に跨ることもありましたが衝突はなく彼らも利用しております。今後はこの鉄道馬車網を下敷きに本格的な鉄道導入が行われる予定です。また、北方の鉄道ですが堪察加(カムチャッカ)から誅句知(チュクチ)の鉄道敷設にとどまっております。馬車鉄道は寒冷地ゆえに馬が恒久的な馬車鉄道業務に耐えられないとのことです。堪察加以南地域への敷設は遊牧民が突発的に出現するため安全の確保に発生する予算との兼ね合いで中止となりました。朝鮮半島や東南アジア半島は漢王朝への情報流出の危惧があり当面は予定しておりません。つぎに幕府技術開発局より電波に音声を乗せる実験に成功したとのことです。この技術が実用化すれば我が国の通信技術の大規模な発展に繋がることを提言いたします。つきましては予算増額をご検討ください。それと通信の民間流用における有線通信事業ですがこちらは亀山社中、三菱商会、三井越後屋・住友商会・鈴木商店・安田商会・浅野セメント工業・鴻池商会の全面協力にて順調に進んでおります。国内事業は以上となります。」

「うむ、日本の領域の無線通信網の構築は急務、鉄道事業の強化も同様である。予算の増額は認めるから急がせるように、それと技術開発局への予算増額を認める金額は任せる。」

「っは、御意。」

 

 テキパキと進んでいく評定。日本国首脳部の有能さが如実に表れていた。

 

 ここで、その場の空気が緩む。ここから先は慈善事業に関するものなので気を張り詰める必要はない。幕臣含め家茂も姿勢を楽にする。

 

「では、最後に事前項目になります。扶越室百新伽への病院及び学校建設ですが相手国からの感謝の言葉とともに歓迎されております。」

「おお!」「これは」「なかなか」

 

 写真資料もあり、和やかに進んでいく。

 

「最後に残念なお知らせがございます、私としても悔やみ気持ちでいっぱいです。先頃企画さえておりました簿留根緒(ボルネオ)島で予定されていました万国博覧会でしたが、世界情勢の不安定化により延期とさせていただきました。情勢の安定し次第開催させていただきます。」

 

 


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