仮題・・・恋姫世界に幕末日本をぶち込んでみた。   作:3番目

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19話 遣漢使道中記①

 

 

 川路聖謨を団長に筒井政憲を副団長にした外交団をはこの幕末日本国が漢王朝へ派遣した使節つまるところ遣漢使と言うことである。

 

 この日本では過去20回程大陸の王朝に使節を送っているのだが、家茂から見てこれらの使節はすべて失敗していると認識していた。

 何せこちら側の資料では対等の使節と言う名目で送っているのに、大陸側の資料では朝貢の使節として記録されていたからである。

 今回の使節の役割は漢王朝と対等な関係を結ぶことだ。

 今現在、遼東半島の領有に関して遼東太守の公孫度と領有に関して揉めているのだ。

 はっきり言って遼東太守などと名乗っているがもうすでに遼東半島を高麗に奪われて2・3世代は経っているのだ。それに、すでに遼東以東の地には異民族に虐殺されたからか逃げたのか漢民族は誰もいない。我が国の兵の血を対価に手に入れたその土地を、横で引きこもってただ見ていただけの連中が割って入ってきたのだから、荒れに荒れている。

 遼東総督に任じている紀州藩藩主徳川茂承と副総督島津斉彬は公孫度の治める玄菟郡との国境線に遼東総督府軍(遼東地域及びその周辺を加増された諸藩の連合軍)を布陣させ一触即発な状況なのだ。

 今戦ったとしても勝てることは勝てるだろう。

 だが、家茂としてはこれからバラバラになって付け入りやすくなる事がわかっているのに余計なことをして我が国を敵と認識し纏まられては困るのだ。

 今回の使節団はあまりなめられても困るが、あまりにも強大に思われても困るのだ。程々に存在感をアピールし、一目置かれる存在としての立場がほしいのだ。

 まあ、一番簡単な方法として黒船戦術があるが、過剰に反応される可能性もあるので、次善の策としてではあったが、大量の財宝で遼東の地を買い取ってしまおうと考えているのだ。

 今の漢王朝はとんでもなく腐敗している故、大金をちらつかせれば、そのように動いてくれる腐敗文官がうじゃうじゃいるはずだ。

 そうすることで軍事力を見せないで国力の一端を見せることができる。そういった打算もあった。

 川路聖謨と筒井政憲らベテランの重鎮が選ばれたのだ。

 

 様々な思いが交差した遣漢使は漢王朝の首都洛陽を目指したのであった。

 以前の調査で発覚した恐ろしいくらいのザル警備の南皮に亀山社中の商船の協力を得て交易目的として入港し、上陸した。

 そもそも、滅亡カウントダウンが始まっている漢王朝ではかなりの数の賊徒であふれかえっている。護衛には伝習第二大隊500が護衛につくこととなっており、随行員の総数は非戦闘員を含めて600程の規模となった。

 遼東買い取り資金はあまりの量があり通常より頑丈で通常より多くの馬を使用した荷馬車が10両使用され、使節が乗るための馬車で下級官吏用大型のものが2両、川路聖謨と筒井政憲が乗る立派な外交馬車が1両であった。

 

 外交団一行は南皮の港町を抜けようと車列を進めていた。

 この港町は人通りが多く車列が進まない。

 

 

 大陸での第一歩が渋滞で進めないとか、正直出鼻を挫かれた思いだ。町を出るだけでも半日かかった。

 二人は外交馬車の窓から暇そうに外を眺めて、ポツリポツリであるが会話もある。

「うむ、この国の服飾文化は異様に高いようじゃな。」

「そうですな、西陣織や友禅の価値は低そうですな。」

 川路聖謨は大陸の服飾文化の高さに感嘆し、筒井政憲は贈答用の反物の価値が低くみられるのではと不安を口にした。

「大丈夫じゃろう。品質はこちらの方が上じゃ、先ほどの港町で反物店で確認させたが友禅や西陣に勝るものはなかった。探せはあるいは上のものもあるやもしれんが、これらが上物であることは変わらんじゃろうて・・・。」

「うむ・・・そういうものか。」

 自分から不安がったのに聖謨の話を聞き流しているのか、政憲は窓の方を眺めている。

 聖謨も窓をちらりと見てから政憲に苦言する。

「政憲殿、また女子を見ておるのか・・・。あまり、じろじろ見るのは感心せんぞ・・・。」

「聖謨殿、ちと・・・ちぃと・・・見てみぃ」

 政憲が手招きし、あれを見ろと促す。

「なんじゃ、この好色爺が・・・・・・・・・・っ!!すごい美女じゃ!?」

「だろ!?だろ!?」

 老骨爺二人の目を奪った少女は金色の鎧を身にまとい髪を襟首あたりの所で切り揃えた青髪が美しい美少女だった。

 彼女は数十騎程の騎兵を率いているようで二人の馬車を追い越していった。

「おい!見たか!見たか!聖謨殿!?」

「見た!見たぞ!政憲殿!!」

「次の町!次の町で彼女を見かけたら声をかけてみよう!!」

「そうじゃな!政憲殿!!それがよい!!」

 自分たちの好みの女を見て大興奮する幕府の重鎮2人。

 そんな彼らを見て伝習第二大隊の隊長大川正次朗はそんな彼らを見て大きなため息をついた。

 


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