ソードアート・オンライン パラダイス・ロスト 作:hirotani
めっちゃ興奮しました。コンセレファイズギア付けてショッカー首領の椅子の前で写真撮りました。
これでも成人です。
この意思は、殺意と呼べるのだろうか。転移時の光がおさまっていくなか、俺はそう思った。
死神として殺していた頃、俺のなかには標的に対する憎悪があり、それは殺意と明確に自覚できるものだった。
このプレイヤーを殺せば、この層は安全になる。
このギルドを潰せば、この周辺の層は安全になる。
殺した者達は皆初対面で、しばらくの間は仲間として苦楽を共にしていたが、いざ殺すときに俺は一片の迷いもなく殺していた。殺す理由にはヒースクリフから受けた命令よりも、俺の中にある憎悪が大半を占めていた。
俺はナミエを殺された。
あんた達はナミエを殺したわけじゃないが、奴と同類だ。
だから死んでほしい。
俺は確かに彼等を憎んでいた。その場に居合わせてしまった不幸な目撃者にも申し訳ないという気持ちはあったが、必要だからと殺すのに迷いはなかった。
でも俺の憎悪は、ゾディアークを殺してから嘘のように消えた。あれだけ犯罪者達を憎んでいたのに、復讐を果たした俺にはそれまで自分を満たしていたものが抜け落ちてしまったらしい。
俺は空っぽになってしまった。殺す理由を失ってしまった。でも俺のアバターは殺すために培ってきたスキルと経験値に満ちていて、できるからという理由でこれから標的を殺そうとしている。
青の衣装。重苦しい鎧。顔半分を覆う兜。いつもと同じ潜入用の装備を身に纏っているせいか、気分はいたって平常だ。この作戦がどれだけ重要なのか、理解しているが実感が追いついていない。隣にいるクラインを見やると、緊張と興奮を押し殺すように口を真一文字に結んでいる。
「名前と所属を」
村の広場で待機している検問係が近付いてくる。答えるのは俺でもクラインでもなく、2人の前にいる女だ。
「レブロ、第76師団」
見慣れた光景。今まで自分もやってきた光景だ。レブロは紛れもなく本人としてここにやってきたのだが、彼女は2ヶ月も前に俺によって無理矢理ギルドから脱退させられている。ほんの小さな、でも看過できない不安を感じながら、俺は紙束を捲る検問係を兜越しに見つめる。
「76層の指揮官殿でしたか。層が奪われた際に行方不明になったと聞いていますが」
「KoBに捕縛されていたけど、彼等が助けてくれたわ」
そう言ってレブロは俺とクラインを手で示す。
「そうでしたか。ご無事で何よりです」
「リーダーはいる? 報告したいことがあるの」
「ええ、邸宅におられます。きっと、レブロ様の帰還を喜んでくださいますよ」
「ありがとう。申し訳ないけど、招待メッセージを貰える? 無理矢理抜けさせられて」
「え?」と検問係は、レブロの後ろにつく俺とクラインに視線を向ける。なぜ彼等から招待を受けないのかと彼の内なる疑問が聞こえる。
「ここに来るまで忘れちゃってた」
レブロが照れ隠しに微笑すると、検問係はそこで考えるのを止めてしまったようだ。貴重な女性プレイヤーは重宝される。虐げられることもあるが、力があれば男よりも強力な女王になることもできる。実話を基にした「東京島」のように。
メッセージを受諾し、晴れて聖竜連合に復帰したレブロは敬礼した。俺とクラインもそれにならい、検問係も敬礼を返す。
念のために認識票を提示して、俺達は村の家々の中でも一際大きく突き出した屋根を目指して歩き出す。
そこで俺はようやく、自分がこれから殺しに行くんだなと実感することができた。この実感こそ、殺意なのだろうか。親しくもない、つい最近出会ったばかりで憎しみも抱いていない人間だけど、その人間を殺すという目的がある。
現実で戦争映画を観る度に、俺は疑問を抱いていた。「プライベート・ライアン」、「ブラックホーク・ダウン」、「アメリカン・スナイパー」に登場する兵士達は、どうして無慈悲に敵を殺すことができるのだろうと。純粋なフィクションなら、作り話と言うだけで解決してしまう。でも多くの戦争映画は実話をもとに製作されている。第二次世界大戦、ソマリア内戦、イラク戦争。実際に起こった戦争の中で、兵士達は容赦なく敵に弾丸を叩き込んできたはずだ。
映像の中で語られる戦う理由とは、もっぱらお国のため、祖国にいる家族のため。でも、そんな理由が蓋となって、心を完全に覆い尽くせるのだろうか。国や家族を守るために死地へ赴く。殺人の罪を背負う。そんな尊い自己犠牲の精神だけで、危険な戦場へ行く理由を作ることはできないだろう。少なくとも、軍隊は兵士をできるだけ死なせないよう必要な装備を与える。敵が発砲してきたら反撃できるように銃を。弾丸が当たっても致命傷にならない防弾チョッキを。戦地においても兵士は生きることに躍起だ。自己犠牲という意思とは矛盾している。
多分、彼等の根本にあるのは愛国心や家族愛ではなく、自分にできることだからという理由なのかもしれない。体を鍛え、訓練を受け、敵を殺すための技術を持っている。だから殺す。
俺は、画面の中で戦っていた彼等と同じなのかもしれない。敵を殺せる人材が必要という需要に応えるために、自分の殺人技術を提供するというビジネス精神に基づいている。
料理人は作れるから料理を作る。音楽家は弾けるから曲を弾く。軍人は殺せるから敵を殺す。
殺すのは誰かのため。殺すのは利益のため。意図はともかく殺すという目的があるのなら、俺の標的への意思は殺意と呼ぶべきか。
だとしたら、この作戦を決めた会議にいた全員の意思も、殺意と呼べるのかもしれない。
♦
「それでは決議を取ります。ギルバートとポールの暗殺に賛成する方は挙手を」
書記係がそう言うと、会議に出席する参謀職の中からゆっくりと、ひとつ、ふたつと手が挙がっていった。ゲストとして招集されたアルゴを除き、会議に出席する5人のうち挙手をしたのは新任の偵察隊長、クライン、俺の3人だった。守備隊長も手を挙げようか迷っている素振りが見えたが、過半数が賛成の意を表した時点で決議は取れた。
「議題を、暗殺作戦へと移します」
物騒な作戦に、会議室に漂う緊張の高まりを感じた。明らかにこれまでとは毛色の異なる作戦になったからだ。
血盟騎士団はこれまでの奪還作戦で、PKを避けるという方針を徹底していた。殺す場合は自身の生存が脅かされる場合に限り許可する。だが戦争と呼ばれるほどにスケールが大きくなってしまったこの戦いで、団員達は生存のために敵を殺さなければならなかった。
できるだけ殺すな。そう指示されていながらも、実行された作戦で死者は必ず出る。1人や2人のみならず、何十何百という単位で。
それでもPKを避けつつ奪還は続けられていたのだが、抗争が始まって2ヶ月経つ頃には、そんな生命の尊重は限界がきていた。既に占領された層の半分近くは奪還に成功したのだが、その代償として血盟騎士団は前任の偵察隊長と名だたるトッププレイヤー達を浪費してしまった。まだレベルが伴っていない団員を戦地に送ることも多くなり、作戦時に生じる損失も増えている。
ポールという人物が、聖竜連合にPK戦術をもたらしている。そのレブロから発した情報は徐々にだが参謀職達の間に、暗殺という選択肢を浮かべさせた。
リーダーであるギルバートとポール。2人を排除すれば、聖竜連合の統率を瓦解させることができるのではないか。
その可能性は以前から存在した。それでもあえて議題には出さず放置していた選択を表に出した。ある意味でこの会議は記念すべきものだ。
「シュミットは取調べで、ギルバートが最前線の層で攻略隊を率いていることを話しました」
書記係が出した新しいウィンドウに、取調べを受けたシュミットの顔が浮かぶ。以前はギルドでディフェンダー隊リーダーを務め、つい4日前に拘束された際に自分はギルドの上層部だと喚き散らしていた男だ。最初は威勢が良かったが、麻痺毒で動けない状態で目にピックを刺されると奇声をあげて泣いていたのを思い出す。元は小心者だったらしく、たっぷりと恐怖を植え付けたら俺が剣を掴むだけでギルドの情報を洗いざらい話してくれた。
偵察隊長が質問する。
「最前線というと81層か?」
「いえ。シュミットによると聖竜連合は87層まで攻略を進めていました。ここから先は、団長に説明をお願いします」
取調べを担当した俺は頷き、椅子から立ち上がると書記係の展開するウィンドウの横へ移動する。
「ギルドの拠点は56層のままだが、ギルバートは攻略の指揮を執るため本部には滞在していない」
「なるほど」と若き偵察隊長が短くため息をつく。
「前線に勇ましく立つ姿を、ギルメンに見せて支持を集めてるわけですか。それに俺達の知らない81層より上なら、簡単に攻められない」
「そうだ」と応え、俺は続ける。
「シュミットはギルバートの親衛隊に所属していたから、彼について詳しく聞き出すことができた」
「ですが、彼を拘束したのは19層でしたね。傘下から外れているあの層に何故いたのですか?」
そう質問するのは守備隊長だった。
「前に所属していたギルドのリーダーの墓参りに来ていたらしい。19層の警備を担当していたヨルコとカインズが捕縛してくれた」
「間抜けな野郎だぜ」とクラインが苛立たしげに頭を掻く。つまらない冗談にも聞こえるが、笑う者は誰もいなかった。
「ギルバートは85層のケルシュという圏外村でプレイヤーホームを購入している。ポールもそこに滞在しているようだ。アルゴ、ポールについての情報は」
椅子にふんぞり返っているアルゴはお手上げという身振りをする。
「情報屋仲間がこぞってそいつのことを調べようとしたケド、強化支援をしてるポールのことは何も分からなかったヨ」
クラインは椅子から立ち上がってアルゴを睨む。
「おいおい、何も分かんねえってこた無ねえだろ。強化支援の商売してたんなら、客とか商売仲間とかいたんじゃねえのか?」
「ポールってプレイヤーはいたにはいたサ。でもそいつが強化支援をしてたって情報はナイ。それと生命の碑で調べたラ、ポールは1ヶ月半前にモンスター戦で死んでル」
システム上では既に死亡しているプレイヤー。ならば幽霊だ。そんな馬鹿なことを言う者は議場にいない。単純に偽名を名乗っているだけだ。ギルドメンバーに名を連ねず、ギルドの誰ともフレンド登録もパーティも組まず本当の名前を隠し通してきた。もしかしたら本物のポールに責任を押し付けようとしていたのかもしれない。映画監督が責任逃れの名義として使っていたアラン・スミシーのように。
「名前が何にしても、暗殺することに変わりはないじゃないですか。問題はこの作戦を誰がやるかってことですよ」
偵察隊長の言葉で、出席者全員が無表情に固まり視線を泳がせている。大量の死者が出ると分かっていながら今まで奪還作戦を立案してきたというのに、たった2人を殺す作戦ではおかしなことに倫理的ハードルが高まっている。
これまでの作戦は、できるだけ死者を出さないよう、誰も殺さないことを呼びかけるものだった。上手くいけば誰も死なないかもしれないと。でもこの作戦は、少なくとも2人は死ぬ。2人の死者を出さなければならない。PKに対する罪悪感に苦しみ、前線から退いた団員もいる。
血盟騎士団を勝利へと導くために罪を背負う。これはそういう作戦なのだ。
ちらり、と参謀職達の視線が、ある1点に集中している。俺には彼等の意図が分かってしまう。
彼等は気付いていない振りをしていた。暗殺というやり方がずっと楽であることを知りながら、ずっとその選択を取らなかったのは自分達の誇りと名誉を守るためだった。認めたくなかったのだ。
自分達の身近にいる暗殺のスペシャリスト。これまで200のPKを手掛けてきた死神をリーダーとして有していることに。
俺は沈黙を破る。
「俺がやる」
クラインを除く参謀職達はわざとらしい驚愕を、アルゴは複雑そうな表情を浮かべている。
「ただ、補助としてもう1人欲しい」
数秒だけさっきの雰囲気に戻るが、すぐに手が挙がる。
「なら俺が一緒に行く」
俺はクラインの目を見据えて聞いた。
「いいのか。場合によってはあんたが殺すこともありえる」
「ギルバートとポールを殺せば、この戦いは終わるんだろ。ならやるしかねえ。これ以上誰かが死んでくのはご免だ」
そう言うクラインの顔は険しく、悲しげでもあった。俺は「頼む」と短く言った。
「案内役としてレブロを作戦に同行させる。決行は明後日だ」
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ケルシュの村にいる聖竜連合のメンバー達は仕事熱心だ。夜でも休むことなく村を巡回している。中層あたりでは僅かばかりに一般プレイヤーがいたが、この村にいるのはギルドメンバーだけらしい。
ギルバートが購入したとされるプレイヤーホームは、さながら村の領主が住む屋敷と呼ぶべきものだった。ギルバートとポールだけでなく親衛隊も寝泊まりするのだから、それなりの広さが必要なのかもしれない。
1ヶ月近くギルドから離れていたレブロもリーダーの新しい邸宅を見るのは初めてだったらしく、その大きさに息を飲んでいる。
3人は地理を確認するため屋敷の周辺を1周回ることにした。怪しまれないよう、巡回しているよう見せるために屋敷を注視しないよう気を配りながら。ヨーロッパの様式、いつの時代がモチーフかは分からないが屋敷は3階建てで、吹き抜けにある中庭の中央には噴水が休むことなく水音を立てている。
裏口はなく、入れるのは表のドアだけ。2階のバルコニーに跳ぶことも考えたが、夜とはいえ巡回する警備陣に見つかってしまうかもしれない。消去法で、3人は表のドアから侵入する方法を取ることにした。
村に入った時点で、既にセツナ達は同志として迎えられているらしい。ドアを守護する警備の男はただの木偶で、レブロがリーダーに報告したいことがあるという旨を話したらあっさりと中へ迎え入れてしまった。
堂々と本拠地へと潜入できた3人は、赤い絨毯が敷かれた廊下を歩いた。屋敷の周りを歩いたときのように、巡回するふりをして。多くの部屋が親衛隊の寝室として使われていた。中にいる全員が眠っている部屋もあれば、隊員達がカードゲームに興じている部屋もある。
「ギルバート様、明日も早いのです。お休みになったほうが」
2階に上がったところで、その声は聞こえた。咄嗟に廊下の角に隠れる。
「あまり寝なくても支障はないさ。あと13層なんだ。もう寝る時間すら惜しい」
「あなたはプレイヤー達の希望なんです。あなたについていけば、本当にこのゲームがクリアされるかもしれないって、皆思ってるんですよ」
「そう言ってくれると嬉しいが、私は何もしていないよ。君達の強化を手伝ったのはポールだ」
「ポールさんですか。確かに彼はすごい人ですけど、どうしてギルドに入らないんでしょう? あの人はサブリーダーに相応しい人なのに」
「彼は自由を好む性分でね。ギルドとかパーティとか、そういった集団に縛られるのを嫌がるんだ。それでも、ポールは我々に協力してくれている。一刻も早くクリアさせて、彼も現実に還さねば」
「そうですね。それなのに、血盟騎士団の連中は邪魔ばかりしてきます。あいつら、そこまでして最強なんて名声が欲しいんですかね。ギルバート様ならどう思います?」
「ふむ。ヒースクリフがいなくなって、あのギルドの戦力は大幅に落ちてしまった。それでも、蜜の味を知ってしまったら簡単には捨てられない。その歪みに耐えかねてここに移ったが、やはり心が痛むな。元とはいえ同胞と争うのは」
「仕方がないことです。連中はもう害虫と変わらないんですから」
「ああ、仕方がないな。さて、私はそろそろ休むとするよ。引き続き、警備を頼む」
「ええ、お休みなさい」
セツナは堂々と廊下の角から出た。仲間の格好をしている今では、下手にこそこそ動くと怪しまれる。「あ…」と危うく声を出しかけたクラインと、レブロの足音が背後から聞こえてくる。
ギルバートと話していた青年は巡回に戻り、階段を下りていった。それと同じタイミングでギルバートのドアノブを掴む手が見える。ドアが閉まるとセツナは振り返り、手でドアを指し示す。クラインとレブロは頷き、セツナは聞き耳スキルで周囲に耳を傾ける。近くに足音は聞こえない。
素早く、静かにドアの前に立ち、ノブを捻る。ドアが全開する前に隙間から入り込み、剣を抜くとこちらを振り返ろうと顔を横に向けていたギルバートの首に剣を刺す。部屋の照明は消されていて、ギルバートの首を貫通したハーディスクラウンの切っ先が、窓から入り込んだ街灯のおぼろげな光を反射して紅く煌いている。セツナは剣を捻り、真っ直ぐ下へと、首から腹にかけて切り裂いた。ぱっくりと空いたギルバートの裂け目から窓が、窓の奥に広がる村が見える。
数瞬の硬直を経て、ギルバートは消滅した。アインクラッドの攻略を牽引するリーダーとしては、あっけない最期だった。
「後はポールだな」
クラインは霧散するギルバートの残骸を眺めながら言う。既にギルドの求心力は排除したが、さっきの会話でもう1人の目標もギルドで重要なポストにいることが分かってしまった。ギルバートを失っても、聖竜連合はポールを次のリーダーに持ち上げて再起するかもしれない。
「ポールの部屋を――」
セツナはそこで言葉を止め、素早く部屋を見渡した。
「おい、どうしたんだよ」
「剣を構えろ。まだ誰かいる」
セツナがそう言うと、クラインは顔に緊張の色を浮かべながら刀を抜く。夜の部屋は大部分が影に包まれている。一瞬だけ。ほんの一瞬だけだが確かに見えた。部屋を包み込む影の1点で浮かぶ、プレイヤーを示すグリーンのカーソルが。
窓から月光が射し込んでくる 。ケルシュは外周に近い区域にあるようで、雲の切れ間から現れた月が部屋を照らし出した。
月光に晒されて、部屋のソファに腰を据えていた男が影の中から姿を見せる。男は不敵な笑みを浮かべている。
「死神が来るには、いい夜じゃないか」
セツナは男に剣を向ける。
「名前は」
「ポール。ギルバートを殺したってことは、俺も殺すつもりでここに来たんだろう。スリルがあっていい」
掴み所のない男。それがポールに対する第1印象だ。艶のある声。言葉の端々に抑揚のあるイントネーション。
「お前は………」
セツナはポールの顔を凝視する。視界に彼のカーソルとHPが浮かぶ。
彼の顔を見るのは初めてのはず。なのに、この妙な緊張感は何なのかと疑問が浮かび上がる。
セツナはこの緊張感に覚えがある。内なる衝動を駆り立てるような、まるで自分が塗り替えられてしまうような戦慄。「チャイルド・プレイ」を彷彿とさせるポップで不気味なもの。
そして、セツナは緊張感の正体を見出す。
月光を浴びる男は笑っている。今宵は、記念すべき初めて出会う夜ではなかったのだ。
セツナだけでなく、幾度も攻略組が追っていた存在。
追跡を逃れ、とうとう誰にも見つけることができなかった男。
悪のカリスマ。
殺人ギルド《
セツナは意図せずその名前を口に出した。
「………
以前友人から「リーファとシノンも出せや!」と言われていたのですが、最新話まで読んでくれた彼から「出さなくて正解だわ。出たら2人も不幸になるんだろ」と手の平を返されました。
うん、登場したらもれなく不幸だよ。