THE COCKPIT 隻眼パイロットのその後   作:放火後ティータイム

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よく見てみたら土方って頭には出血があるけど、目には一切血がついてないので
実際は目はまだ見えるのでは?とこの作品のタイトル詐欺疑惑が頭に浮かんでます。


第ニ話 「混乱」

「加賀、報告を頼む。」

 

「はい。」

 

鎮守府内にある提督執務室には鎮守府の責任者でもある提督と

本日の秘書官不知火、そして件のパイロットを救出した加賀がいた。

 

「今回救出した男性は大日本帝国海軍 第七ニ一海軍航空隊所属 土方〇〇少尉

です。」

 

「……!?……怪我の容態は?」

 

「意識不明の重体ですが命に別状はありません。しかし機体に血痕が無いにも関わらず出血部分が多々あります。

右腕にはかなり大きな口径の銃で撃たれた跡がのこっています。

右目と頭には既に治療の跡が残っていましたが右目はもうダメです。」

 

「そうか……ありがとう。しかし第七ニ一航空隊……知らない部隊だ……

不知火はしってるか?」

「いいえ、不知火はそのような部隊は存じ上げません。」

 

「私も初めて聞きました。」

 

提督は「うーん」と悩んだすえ

 

「まあいい、後で事情聴取することにする。加賀よ、もう少し監視を頼む。」

 

「了解しました。では報告は以上です。失礼しました。」

 

そう言って加賀は執務室を出た。

 

 

 

 

 

 

 

土方は夢を見ていた

空を覆い尽くすほどのヘルキャットの大群……

愛機に乗る自分の後ろには野上の乗る一式陸攻

夢のなかでひたすら守る為に戦い続けた。

 

「糞!糞!糞!何で俺を狙わねぇ!!何で俺を無視する!!」

 

ヘルキャットの大群は土方を狙わずひたすら一式陸攻のケツを追いかける。

 

「行くなぁ!!行くなぁ!!こっちにこい!!お前らの相手は俺だぁああ!!」

 

迫るヘルキャットをひたすら撃つ。

ずっとずっと撃ち続ける。

 

「なぁ!?」

 

弾切れになった。

力を失った土方に敵を止める術はない。

 

「おい……止めろ……止めろ……止めろ!!」

 

震える声を必死に振り絞って叫ぶ。

意味なんて無いとわかっていても叫んでしまう。

そして一式陸攻を大量の銃弾が貫いた。

 

一式陸攻は火を吹き、火だるまになり墜ちていった。

 

「野上ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

…………………………

……………………

………………

…………

……

 

「はっ!?」

 

気が付けば土方は操縦席ではなくベッドの上にいた。

真っ白なシーツは汗でびっしりと濡れていて、いつの間にか身体中に巻かれた

包帯からはわずかではあるが至るところから血がにじんでいた。

 

「ここは……いったい…!?」

 

ベッドと自分しかいない真っ白で小さな空間は天国なのか地獄なのかすらもわからない。

そんなとき、突然心地よい音をたてながら扉がノックされた。

 

「失礼します。あらもう起きていたんですね。土方少尉」

 

「だ……だれだ!?っつぁぁ!?」

 

土方は身構える。まだ生傷の怪我が開いて激痛がはしり、顔を歪ませた。

入ってきたのは自分より少し背の低い女性だった。

弓道袴と胸当て、青いスカートを着ていて、髪を後ろで結んだ女性が

籠に果物と果物ナイフを持って現れた。

 

「そんなに構えないでください。傷口が開きます。もうかれこれ2日間寝込んでるんですよ?」

 

「んなことはどうでもいい……ここはどこだ!?そして君はだれだ!!」

 

情報を整理するため脅すように質問を投げつけた。

女性は呆れたような顔をしながら

 

「……ここは佐世保鎮守府です。そして紹介が遅れましたが、私は航空母艦の加賀です。」

 

情報を整理するために質問をしたはずなのに反って頭が掻き乱された。

 

「馬鹿な…!俺は沖縄で死んだはずだ!!何故佐世保鎮守府にいる!!おまけに加賀!?

当の昔に沈んだはずだ!!何故君が名乗っている!!」

 

「起きたばっかりで混乱するのはわかりますが落ち着いてください。」

 

「落ち着いていられるか!!」

 

そう言うと土方は痛みを堪えながら加賀から果物ナイフを奪った。

 

「野上が立派に戦ったのに俺だけのうのうと生き残るなんて恥さらしだ!!」

 

そう言って腹にナイフをおもいっきり降り下ろそうとすると

加賀が手を握った。

 

「止めなさい。」

 

「五月蝿い!!これは君には関係ない話だ!!邪魔をするなぁぁぁぁ!!??」

 

加賀の手に力がはいった。

骨がミシミシと嫌な音をたてる。

とても女性の力がとは思えなかった。

あまりの痛さに手のひらからナイフを落とした。

 

「あなたがどんな目に遭ったのかはわかりませんが、せっかく助かった命を投げ捨てるような

愚かな真似は止めなさい。」

 

そう言って加賀は手を離す。

加賀という支えを失った体は痛みのせいで思うように動かず、重力に従って落ちた。

 

「殺せよぉ……俺を殺してくれよぉぉ……」

 

ひたすら殺せと懇願する土方を無視し、加賀は目覚めたことを報告するべく

提督の元へ向かうのであった。

去った後でもひたすら死を願う土方の声がずっと室内に響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




土方の性格ってこんなんでいいでしょうか?
完全にオリ主と化してるような気が……

坂下郁さん、誤字報告と情報提供ありがとうございました。

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