ボッチな美少女は孤高のボッチを見て育つ   作:Iタク

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朝から部活があるのは運動部だけではない

「おはようございます。」

 

 記憶がない橙山冬華?初めての朝の挨拶。ぐっすり眠れたおかけが、笑顔で挨拶が出来るまでには精神が落ち着いたようだ。私に、自分の枕じゃないと眠れない、みたいな性質がなくてホントに助かった。

 さて、今は午前6時30分。割と学校まで距離が近い電車通学の人や、少し距離のある自転車通学の人ならだいたい起きるような時間だろう。知らないけど。

 しかし、それも土曜日となると起きる人は減るのではないだろうか。では何故こんな時間に起きるのかというと、、

 

【夜分遅くに失礼します。部長の雪ノ下雪乃です。明日は土曜日ですが部活はありますので、8時30分に部室に集合してください。(22:20)】

 

 無論私の携帯にも同じメールが届いていたが、この時間だと私が熟睡したあとだったので、メールを見たのは朝起きてからだ。加えてここで一つ訂正しておこうと思う。私は先ほど起きた、と言ったが、正確には起こされた、のである。

 

「おっはよーですよ冬華さん!」

 

 そう言って挨拶を返してくれたのは部屋を提供してくれた小町さん。そして私を起こした人でもある。誤解しないで欲しいのは、私は起こされたことに関して全く怒っていないし、むしろ感謝している。

 どうやらあのメールは小町さんの方にも届いていたようだ。そして私も部員であることも書かれていたらしく、ご丁寧に起こしてくれたというわけだ。

 

「もう少し寝かせてあげたかったのですが、冬華さんも部員ということですので一応起こしたんですが、、調子が悪かったら、小町から連絡しておきますよ?」

「ううん、大丈夫だよ。ごめんね小町さん。朝ごはんまで用意してもらって。」

「いえいえ!いつもと作る量は変わってないので全然問題ないですよ!それよりも…」

 

 そう言って小町さんは2階の方を見つめた。まだ起きてこないお兄ちゃんをどうしようかと迷っているのだろうか。

 

「あの……起こしてこようか?」

「あ、別にそういうつもりじゃ…!まーけど、すいません、お願いしてもいいですか?」

「うん、小町さんの部屋の隣だよね。」

「はい!あ、起きなかったら耳元で名前を囁いてください。多分すぐ起きますので。」

「うん!わかっ………ってええ!?ささやくって…いつもそうしてるの?!」

「小町がやっても意味ありませんよー。冬華さんがやるから効果バツグンなんですっ!」

「まあ………最終手段として…ね?」

 

 小町さんは「わっかりました~♪」とニヤニヤしたまま料理を続けた。あれだね、割と凄いこと言う子なんだね小町さん。こういう方面に関しては誰よりも優れてそうだよ…囁くって…そういうこと普通に勧めてくるんだから恐ろしい子だわ…

 しかし、せっかくの休日、ゆっくり寝かせてるあげてもいいのではないだろうか。彼も昨日は私のせいで疲れただろうし、自分から言ったとはいえ少し気が引けるなぁ……

  とまあそんなことを思いながら躊躇なく彼の部屋の扉を開けたのだった。

 ………そういえば、男の人の部屋に入るのってこれが初めてじゃない?

 

 …………

 

 ………………うわ…

 

 …………………どうしよう…

 

 …………………………やばい…

 

 

 

 

 全然緊張しない。

 

 

 

「……………zzZ」

 

 どうやらまだ眠っているようだ。

 やはり休日は昼まで寝るに限るよね。

 

「比企谷くん、朝ですよ。ほら、起きてください。」

 

 美少女から起こされるとか、全国の男子の憧れのシチュエーションじゃないのかなごめんなさい調子に乗りました。

 

「………うぅ………あと10分…」

 

 ……寝かせて上げたい…!けど起こさないといけないってことは用事があるんだよねきっと。

 

「ほら、そんな事言わずに。起きてください。」

 

「………あと5分………あと5分で諦めてくれ……」

 

 それ起こしに来た意味ないんですけど……。さっきの10分から諦めるまでの時間減らしちゃったよこの人。

 

 …………やるしかないのか……

 

 

 すぅー…………はぁ…………

 

 

 

 

 

「…………八幡。」

 

「うぉい!!??」

「ひゃっ!?」

 

 予想以上の反応に想定外の反応をしてしまった……恥ずかしいよぉ………

 

「え………あれ?………橙山…?」

「うん………橙山?だよ?」

「えっと、………おはようございます?」

「あっ、うん。おはようございます?」

 

 なんだよこの会話。

 疑問形だけで会話成り立たせるとか現国の先生怒っちゃうよ。誰かは知らないけど。

 

「あの……朝ごはん、できますよ?」

「おっおお……きっ、着替えてから行くわ…」

「うっ、うん……そう言っとく。」

 

 そう言って彼の部屋を後にした。

 

 ロストメモリー冬華、最初の黒歴史が刻まれた瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

  * * * * * * * *

 

 

 

 朝食を済ませた私たちは、休日出勤というなの部活のため、学校へ向かっていた。小町さんは後から行くらしく、現在比企谷くんの自転車で2人乗り中。良い子は真似しちゃダメだゾ☆

 男の子と2人乗り……縮まる距離、揺れる度に触れ合う体、そしていつしかそれは恋心に……

 

 なんてものは皆無だ。

 

 ここに来て一つ気づいたのは、私も、そして恐らく彼も、そういった事に関してはあまり積極的ではないという事だ。興味がない訳では無いが、喉から手が出るほど欲しいという訳では無い。

 彼の場合、欲しいものは、多分もっと不確かな────

 

「橙山、そろそろ着くからこの辺で降りてくれ。」

「え?ああ、うん。わかった。」

 

 そう言われて降りると、「自転車停めてから行くから、もう先行ってくれてもいいぞ。」と言われたが、ここまで来てそれもなんか気持ち悪い感じがしたので、彼を待ち、2人で学校へ行くことにした。

 

「そういや、転校早々部活に入るとか、結構積極的なんだな、橙山。」

「まあ入ったのは事実なんだけど…半ば強制というか……ってあれ?私転校したって言ったっけ?」

 

 気付いたら学校にいたとは昨日説明したが、私が転校生であるとは小町さんにも言っていない。けどメールに私が転校生って書いてあったのかも………

 

「あー……、ちょっと生徒指導の先生にたまたま聞いたんだよ。」

「生徒指導の先生って………平塚先生、だよね?」

「お、なんだ、知ってたのか。」

「うん、というか、そもそもその人のせいで部活に入ることになったんだけどね………ははは……」

 

 全く、笑い話にもならない。人格に問題があるから部活に入れられましたって、ちょっと言って後悔しちゃったかも。

 

 

 …………あれ、返事が来ない。

 

「………比企谷くん?」

 

「………そっ、そうか……その、お疲れさん…」

 

 そこまで驚いた話なのだろうか?

 まあ確かに、こんな人多分他にはいないもんね。

 

「じゃあ、比企谷くん、送ってくれてありがとねっ!もう大丈夫だよ。」

 

 さて、ここからが勝負だ。とりあえず今日で私の印象を最悪にする。あわよくば今日で退部する……!

 

「あー、その………俺も多分…いや確実に行き先は同じだから。最後まで付いて行くぞ…。」

 

 ………………確実に同じ行き先?

 

 どういう事だろうか……。

 そして、そんな疑問にならないような疑問を抱き、昨日同様共に行動するのであった。

 

 

「ねぇ、比企谷くん。比企谷くんって運動部?」

「…………まあ、運動部並には疲れるかな。」

 

 

 ………………………

 

 

「ねぇ、比企谷くん、比企谷くんは自分から部活に入ったの?」

「…………………ノーコメント。」

 

 

 …………………………

 

 

「ねぇ、比企谷くん、その部活って部長は冷徹美少女だったりする?」

「そこまできたら聞く必要あるの?」

 

 そう、もう分かりきったことだった。

 なるほど、部員は小町さんの方だと思ったけど……実際は………

 

 ──ガラガラ

 

「あ、ヒッキー遅い!集合時間過ぎてるよ?!」

 

「うっせ、正義は遅れてくるのが鉄板だろうが。」

「あなたのことを正義というのなら、この世はもう終わりね。」

「世界レベルで巻き込むとか、俺マジカリスマ性やばいわ。」

「ねぇゆきのん、ヒッキーの隣にいる女の子って…」

「ええ、さっき説明した新しい入部者よ。」

「うわー、すっごい綺麗だねっ!」

「ところで、何故2人が一緒にきたのか……説明してくれないかしら比企谷くん?」

「お前笑顔の使いどころ毎度毎度間違えてるからね?つーか俺限定かよ。」

「当たり前よ。そもそも私からの────

 

 

 

 ……………まず、一つ気づいたのは、

 

 男女比おかしいでしょ………

 

 

 

  こうして、私の部活動が始まった。

 

 

 

 




書いてて自分でもごっちゃになってきました……

もし文章に矛盾等ございましたら、遠慮なくご指摘してください

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