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コメントに関してですが、返答しにくいものに関してはスルーする形になっています。しかし、一つ一つ大事に読ませてもらっているので、お気軽にコメントしてください。
しくじった、
しくじった、
なんてことだ、
自分の直感など信じるんじゃなかった。
自分の家だと思い込んでいたところがまさか彼の家だったなんて。
どうする?
今のは冗談だよ、なんて嘘は誰にでもバレる。
……いっそ自分の今の状況を話そうか…
いやダメだ、優しいとはいえ知り合ってまだ数時間しか経ってない相手だ。
記憶喪失なんだよ、なんて急に言われた方はどうなる。
彼ならば心配してくれるのだろうか…
だが結局迷惑をかけていることには変わりはない。
どうする、
どうする、
今回直感が間違っていたことは、かなり深刻な現実を私に突きつける。
つまり現状、私には帰る家がないという事だ。
記憶が無いというよりも厳しい結果に不安が高まる。
ダメだ、全然頭が回らない。
今ちゃんと呼吸出来ているだろうか。
胸が苦しい
怖い
怖い
ここに来てやっと、と言うべきか、
自分の現状にとてつもない不安を感じる。
「………橙山?大丈夫か?」
………今も、私のことを心配してくれているんだね…
無論、心から信用出来ている訳では無い。
しかし、
その優しさが嘘偽りの無いものだということは、彼のその腐った目が教えてくれた。
ここまで来たんだ。
誰かに話せば楽になるのではないか?
一人はいい。誰にも迷惑をかけずにすむし、被害を受けることもない。
それは、私の一つの理念だ。
けれど、一人で出来ることに制限があるのもまた事実。
本来であれば即病院行きであろうこの状態で、むしろ私は一人でできる最大の対応をしてきたのではないか?
解決しなくてもいい。この不安感を今はどうにかしたい。
全く………ただ頼るだけにこれだけの言い訳を並べないといけないとは……筋金入りのボッチだね私は…
彼なら、比企谷くんなら、力になってくれるよね……
初対面同然の人に、私は過度な期待を抱き、
彼の優しさに甘え────
『甘えるな!誰も貴女なんて救いはしない。』
「…………だ……れ、…?」
「おい橙山?お前ホントに大丈夫なのか?待ってろ、念のため救急車を────
「それはダメ!!」
「!?」
「あっ、………ちがっ………、今のはその…」
頭の整理が追い付かない。
なんだ今のは
咄嗟に誰?と言ってしまったが、ホントに他人なのか?
過去の自分のセリフではないのか?
それとも家族?友達?
────ガチャ
それは、記憶のない私でもわかる音だ。
扉が開いた音がした。
もちろん比企谷家の扉だ。
そしてその音がまた私を焦らせる。
「おにーちゃん!帰ってくるのが遅いよ!!もー小町お腹ぺこぺ………こりん?」
不安と恐怖で目に涙がたまり、顔がよく見えない。
だれだ?
女性の声だ。
私を見て言葉が止まったのだろうか。
それよりも、私のせいで彼が怒られている。
「ちっ、違うの!彼はその……私のせいで遅れただけだから!だから彼は悪くなくて…!…悪いのは私で…」
今出来る限りの弁解をする。
しなくてどうする。お前にはする義務があるだろ橙山冬華。お願い、わかって。彼は悪くない…せめてそれだけでも…!
「ほよよ~?もしかして冬華さんですか?」
「………え?」
慣れない呼び方に、私は腑抜けた声を出してしまった。
……はい。というわけで一話まるまる家の前という……
今回短かったぶん、更新はすぐになると思いますので、次回も閲覧お願いしますm(_ _)m