【完結】嵐を呼ぶうたわれるものとケツだけ星人(うたわれるもの 二人の白皇×クレヨンしんちゃん)   作:アニッキーブラッザー

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第7話 大人の飲み会はお下品だぞ

「じゃんがじゃんがじゃんがじゃんが!」

 

 よっ、ほっ、ほいっとな。

 真っ裸になって二つのお盆でリズムよく股間を隠す、裸踊り。

 大事なところが隠せているか、隠せていないかは些細なこと。

 ブラブラとナニかが見えても御愛嬌。

 

「おおおお、ハクとーちゃん、お下品だぞーッ! オラだってオラだってーっ! ケツだけ星人ぶりぶりぶりーっ!」

「おっ、やるな、しんのすけ! ようし、こうなったら自分もだ! ケツだけ星人ぶりぶりぶりー!」

「なぬっ! ハクとーちゃんめ、いつの間に! だが、まだまだ甘いぞーッ! 秘技・ケツだけ星人ローリングサンダーッ! からの~四回転半ケツジャンプだぞーっ!」

 

 オケツをプリンと出しても御愛嬌。今日はそんな無礼講。

 

「だーっはっはっはっは! 神となった旦那の神の子が、めっさブラブラ見えてるじゃなーいっ! しんのすけも、やるじゃなーい!」

「くくく、神となってにしては、まだまだ貧相だな、ハクッ! 我は鳴神なり! この肉体美を見よーっ! これぞ、鳴神ケツだけセージンだーッ!」

「さあ、キウルさん。あなたの成長度合いも見せてもらいますよ」

「ひ、ひいいい、お、オウギさん、や、やめ、あっ、ああああああああーっ!」

 

 気づけば、ヤマトもトゥスクルも関係なく、美味い酒を飲みながらの宴会になっていた。

 

「ひいい、や、やめ、僕は脱ぎませーん! っていうか、トゥスクルの方たちも、それにじょ、女性も、ねねね、ネコネさんも居るのにーっ!」

「おっ? んも~、キウルくんってば~いけずなんだから~ん」

「しし、しんのすけくん!」

「よいではないかー、よいではないかー。あむ」

「ひいいい、み、耳たぶをか、かまな、……あ~~れえええええええ」

 

 ヤマトの男たちは気付けばほとんどが全裸状態で顔を真っ赤にしながら酒を飲む。

 唯一粘っていたキウルも、しんのすけとオウギの挟撃により、服を全て剥ぎ取られた。

 

 

「おー、キウルとしんのすけのぷらぷらはおなじぐらいだな」

 

「……………………………………………………………………………………えっ?」

 

「「「「「シノノオオオオオオオオオオオオオオオンッ! それを言っちゃダメ!」」」」」

 

 

 あのときは、ウコンが居た。マロが居た。

 でも、今もみんなは居る。

 みんなが居てくれる。

 それに今は、トゥスクルもだ。

 

「ふう、やれやれ……騒がしいものなのだな、ヤマトの宴会というものは」

「聖上は、決して真似をされないように御願い致します」

「だーはっはっはっは、しかし、総大将、大将、俺は嫌いじゃないですぜ? こういうバカ丸出しの奴らは。こりゃ、トゥスクルも負けてられやせんね。んじゃあ、俺もトゥスクルのケツだけなんたらを……」

 

 ハクオロは苦笑し、ベナウィは頭を抱え、クロウは大爆笑しながら尻丸出しで自分たちと一緒に踊っていた。

 それに対して女性陣は……

 

「は、はううう、こ、ここは、と、桃源郷ですか? 殿方が突くことができる穴が、大中小……ぷ、プラプラ突っ込み棒まで……はううう~!」

「ルルやんが壊れてもうたー!」

「こ、こここ、こら、は、ハク、い、いいおとこが、だだ、台無しに、や、やめろおお!」

「これが小生らを導いたヤマトの総大将か……」

「うむうむ、ルルティエの本のように、美しき男の友情なのじゃ!」

「まあ、みなさん、とーっても仲がよろしいんですね」

 

 ルルティエ、アトゥイ、ノスリ、ムネチカも、皇女さんも、フミルィルも……

 

「ほ、ほんとうに、に、賑やか……ですね……私たちの前に現れたのが、ハクオロさんで本当に良かった……」

「まあ、私も嫌いではありませんわ」

「ええ、可愛らしいお尻ではないですか」

「くけえええええ! クオンの婿となる御仁がなんたることを!」

「あ、あはははははは、ハクちゃんもああいうところは、おじさまとちょっと違うね」

「クーの好みちょっと変」

 

 エルルゥさん、カルラさん、ウルトリィさん、トウカさん、カミュ、アルルゥも、なんだかんだといいながら、ちゃんとこの場に居てくれている。

 さらに、自分たちを「しら~」っとした顔で、我が愛しの妹は……

 

「私の兄さまが……よりいっそう、お下劣になってしまったのです……」

 

 と、ネコネが侮蔑の篭った目で見てくる。

 つい数時間前まで、ギュッと自分から離れず「これは、甘えているわけではないのです。イジワルな兄様がもうどこにも逃げ出さないように捕まえているだけなのです」と言ってたのに、今はかなり離れた距離で自分を蔑んでいる。

 

「ははは、でも……わたくしは、何だか嬉しいかな?」

「あねさまああっ!」

「だって……ようやく……ハクが帰って来たって思えるから」

「姉様は甘いのです! もう、兄様はお下品だったり、ただののんべんだらりとしていい人ではないのです!」

 

 温かい眼差しで瞳を潤ませているクオンに慌てて声を上げるネコネだが、そんなネコネにケツだけ星人のしんのすけが近づいた。ネコネも思わず全身を逆立たせている。

 

 

「んも~、ネコちゃんはお兄ちゃんに厳しいぞ~、お兄ちゃんは妹の反抗期は寂しくなるものだぞ」

 

「ふしゃあああああああああああああ! しんのすけ! いい加減、お尻をしまうのです! 女性に対してとても失礼なのです! お尻ばっかり人に見せて、何を考えているのです!」

 

「え~、それはひどいぞネコちゃん。それじゃ~まるで、おらが人にオケツを見せるのが好きみたいに聞こえちゃうぞ」

 

「「「「「実際、好きだろうがッ!」」」」」

 

 

 思わず全員そろって、しんのすけにツッコミ入れていた。

 

「あはははは、本当に面白い子かな。でも、ハク~、ほんと~に、しんのすけはハクの実の子供じゃないんだよね?」

「そうなのじゃ、ハク! 余に隠れて、その……他のおなごと……その……ないであろうな!」

「あ、当たり前だ、クオン! 皇女さん! じ、自分に、そんな隠し子的なのは居ないぞ」

「そんなー、ハクとーちゃん! オラとかーちゃんは、遊びだったの?」

「お前も変な冗談を言うな、しんのすけーっ!」

「主様、ひょっとしたら」

「はい、しんのすけは、あの晩に出来た私たちと主様の……」

「ウルゥル、サラァナ! そんな晩は一度もなかったはずだーっ!」

 

 騒いで、笑って、怒られて、メチャクチャになって、つぶれて、そんな日々をどれだけ望んでいたか。

 もう二度とこの日々には帰れないと思っていた。

 でも、もういいんだ。

 お互いが「それでもいい」と思えるのなら、もうこれでいいんだ。

 そう思わせてくれたのは……

 

「そんで、オラのかーちゃんととーちゃんはこんな感じだぞ。御願いします結婚してくださいあなたが居ないと生きていけませーん、っていったのはあなたでしょ! なーに言ってやがる、あなたと結婚できないなら春日部神社で首をつるわ~って言ったのはお前だろ! まあ、失礼しちゃうわ! くらえ、主婦の三段腹アターック! あーれ~~~~!」

 

 ヤマトとトゥスクルの重鎮たちの注目を一心に浴びて、笑わせているこの坊主のおかげだ。

 

「まったく、めちゃくちゃで手に負えない子供が居たもんだな……こんな子供を預けられちゃ、特別労働手当を要求するね……」

 

 酔いも回り、更に動き回った所為で体もドッと疲れ、気付いたら壁に寄りかかるように座って一休みに入った。

 しんのすけだけは変わらずあっちこっちに走り回っては、ヤマトもトゥスクルも関係なく注目を浴びている。

 

「本当に大変かな」

 

 そんな自分の隣に、いつの間にかクオンが居た。

 クオンはこの大騒ぎの大宴会の中、自分の隣にそっと寄り添うように静かに座り、自分にしか聞こえないぐらいの声で話しかけてきた。

 

「ハク……」

「ん?」

「……二人っきりじゃないけど……もう、ハクのことは……ハクって呼んでいいんだよね? これからも……」

 

 ほんの少しだけ不安そうに聞いてくるクオン。その言葉で少し前を思い出した。

 まだ、自分がオシュトルとして過ごしていた頃、もうハクは死んだのだからハクと呼んではならないとクオンに伝えた時、クオンは「二人だけの時はハクと呼びたい」と言った。

 それを自分が了承したときの、クオンの喜びは……

 

「……好きにしろって……言っただろ……」

「うん! 好きにする! 今も、これからも、ずっと好きにするかな!」

 

 思い出したら少し照れてきたので、少しぶっきらぼうに言うが、クオンは途端に花が咲いたような笑顔を浮かべた。

 今日、この国に来る前までは、まさかこんなことになるなんて思ってもいなかった。

 クオンもそうなんだろう。自分と同じように、笑いの中心に居るしんのすけを温かい眼差しで見ていた。

 

「ねえ、ハク……」

「ん?」

「しんのすけ……結局、どうするの?」

 

 それは、真剣に考えなければならないこと。

 まあ、今この場で話をするのもどうかとも思うが、それでもテキトーでは済まされないことではある。

 

「とりあえず、旅をつづけ、ゲートを探しながらしんのすけが帰る方法を見つけるさ」

 

 全く宛なんてない。明日には、オンカミヤムカイのゲートも試してみないといけない。

 しかし、正直、あまり期待はしていない。オンカミヤムカイのゲートも、ヤマトの聖廟への行き来に使っただけで、マスターキーも既にない状態で設定を変えられるとも思えない。

 だから、手掛かりは今のところない。

 でも、それでもしんのすけはこの世界に来ることができたのだ。だから、帰る方法だってきっとある。そう思っている。

 

「まっ、なんとかなるさ。それまでの間……自分が責任もって面倒見るさ」

「それって、ハクがお父様になるってこと?」

「……まあ、あいつがとーちゃんって呼ぶ限りはな」

 

 だから、それまでの間は、しんのすけも自分に懐いてくれていることもあるし……

 

「ハクもいつのまにか、すっかり保護者かな?」

「ぷっ、はははは、そうだな」

 

 そんな自分に笑いながら言うクオンに、自分もおかしくなって笑ってしまった。

 すると、笑いながらも急に隣のクオンが顔を赤らめてモジモジとしだした。

 

「あ、あのね、ハク……」

「ん? どうしたんだ、クオン」

「そ、それならさ、その、ハクがしんのすけのお父様になるのなら、お、お母様も……必要だよね……うん、必要かな! だ、だから、ハク……わ、わたくしが……そ、そしたらさ、わたくしもハクも……その、うん、保護者とかそういう関係じゃなくて……め、め、めお……と、っていうか、その、ふ、ふー、ふー、ふう……ふ……」

 

 自分もそこまでは鈍感ではない。

 こういう状況で「えっ? なんて?」なんて素で聞いてしまうほど、女心が分からん奴ではない。

 それに、クオンの気持ちはずっと前から……そして、自分の気持ちもまた……

 

 

「全く、本当に仕方ないのじゃ、しんのすけは。仕方がない、しばらくはハクを父と、そして余のことを母と呼ぶがよい」

 

「………………………………は?」

 

 

 クオンが照れた笑顔のまま硬直した。

 すると、

 

「は、はううう! ちょ、あ、アンジュ様~、そ、それは、ず、ずるいです。そうだ、しんのすけくん。わ、私を、お母様って呼んでも大丈夫ですから」

「ルルやんも積極的やな~、せやったら、うちもははさまって呼んでええんよ?」

「な、なにをーっ! そ、そうだ! い、いい女とは、母性があるもの! ゆえに、しんのすけ、私を母上と呼んでもよいのだぞ!」

「うむ、ではしんのすけ、妹も恋しかろう。なれば、小生を妹と思ってくれて構わんぞ!」

「まあ、それではみんなで、しんちゃんのお母様ですね~」

「いみふ。しんのすけは私たちの子」

「しんのすけは私たちが主様とズッコンバッコンして生まれた子供です」

 

 なんか、皆まで乗っかった……いや、ムネチカはどうかとも思うけど……

 

「な~に~を~言ってるのかな~? ハクのお嫁さんはわた……しんのすけの母様の役はわたくしかな?」

「はあ? 何を言うておる。母が大勢いるのにまともに育たなかった奴が、母役がつとまるわけなかろう」

「ん~? アンジュ~、言っておくけど、わたくしはもうハクと……ふふふふふ」

「な、なんじゃ、その余裕の笑みは! もうハクと? なんじゃ、なにをした!」

「え~? 知りたい~? ハクと~、遺跡でね~、ふふ~ん」

「な、なんじゃ、思わせぶりに! どーせなにもしておらんくせに、このヴワアカ!」

「したかな!」

「してない!」

「したかな!」

「してない!」

 

 遺跡で……想いを伝えた……のを思い出して急に恥ずかしくなった! 

 

「しんのすけ、風呂に行くぞ!」

「お、おお~?」

「どこ行くかな~?」

「逃がさぬのじゃ!」

 

 慌ててしんのすけを脇に抱えてその場から脱出しようとするも、クオンの尻尾で拘束されて、皇女さんにその腕力で押さえつけられてしまった。

 そんな自分たちの様子に、また笑いが起こった。

 

「あらあら、これじゃあ、私たちももう、おばーちゃんね」

「あら、心外ですわ。わたくしはまだまだ子を今からたくさん生むというのに。ねえ? 主様?」

「マーマになって、バーバになるのですね。女として少し寂しい気持ちですが、でも、とても幸せそうですね」

「し、しかし、せ、せめて、そ、某もややこを一人生みたいと……」

「じゃあ、ここはおじさまに責任とってもらわないとね~」

「おとーさん、こんやねかさない」

 

 と、まあ、こんな感じで宴会が収まることなくどこまでも続いていく……そう思われた。

 

「ちょ、え、エルルゥ? カルラ、ウルト、トウカ? いや、あの、ですねえ。こら、カミュ、アルルゥ、お前たちまで! いや、今はクオンとハクの問題こそが我らの……」

「ハクオロォ! そうやって、自分に問題をすり替えるなッ!」

 

 だが、その時だった! 

 

 

「帰還したと聞いたときはどれほど驚いたか……しかし、余をほったらかしにして、随分と……楽しそうではないか……のう? ハクオロよ……」

 

「ひっぐ、は、ハクオロさま……ひどいですよ~……帰還されたというのに、私たちに、全然……全然会いに来てくれないんですから~。私、一応、正式な側室なのに~……」

 

 

 ──────―ッ! 

 

「っ!? あ、危ない、みんな!」

 

 誰が叫んだかは分からないが、今、この場に集っているのは一騎当千の猛者たちばかり。

 誰かが叫ぶ前に、全員が宴会で緩んだ表情を一瞬で引き締めて、武士の顔してその場を飛びのいた。

 

「ななな、なんだ? しんのすけ、大丈夫か?」

「おおお、ハクとーちゃん、なにがおこったんだーっ! おおおおおおおおお、す、すごいぞー! なんで、あれがあるんだーっ! おらも乗りたいぞー!」

「大丈夫かな、しんのすけ。ほら、落ち着いて。……それにしても……この声……まさか……」

 

 突如として、宴会場の屋根が強力な力によって粉々に破壊された。

 空は既に真っ暗闇。しかしそこには……

 

「な、なんだこれは! あ、アベル……カムル? いや、なんか形が……」

 

 そこには、拳を突き出して自分たちを見下ろす、巨大な人型の何かが立っていた。

 そして、その巨大な何かを、顔を真っ青にさせながら見上げているハクオロは……

 

 

「……あっ……ふ、二人のこと……すっかり……わ、忘れてた……」

 

 

 と、呟いていた。…………ヲイ。

 そして、目の前に現れた巨大な物体から聞こえてきた声は、ハクオロに告げる。

 

 

 

「余を蔑ろにした罪は、償ってもらうぞ、ハクオロ! 旧クンネカムンの地下奥深くの禁断の祠に封印されていた、アヴ・カムゥを超える力を持つという、このカン・タムゥでな!」

 

 

 

 ……なんか、どこか懐かしい様な……そんな気持ちにさせる巨大な人型の怪物が居た。

 そして、しんのすけは、目を輝かせて大はしゃぎしていた。

 




細かいことは何も考えてないです。
しんのすけが未来ではとか、そういう設定まで深く掘り下げるつもりはありません。
御想像にお任せします。

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