【完結】嵐を呼ぶうたわれるものとケツだけ星人(うたわれるもの 二人の白皇×クレヨンしんちゃん)   作:アニッキーブラッザー

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第10話 世界の窓からこんにちはだぞ

「仕方がない。ウルトリィ殿、この国を覆っている封印の力を解いて戴きたい。自分もまた、力を解放しましょう」

 

 このまま何もしないでボコボコにされるのはまずいから、さっさと大封印を解いてくれと頼んだ。

 しかし……

 

「「「「「却下」」」」」

 

 なんと、ヤマト勢……というか、女性陣が盛大に却下した。

 

 

「おにーさん、仮面の力を使うなんて言わんといてーな。それでうちらどれほど悲しんだと思うん?(本音:おにーさん、力取り戻したら、なんやうちと契る前に逃げ出しそーやからな。もう逃がさんえ。クオンはんにだけやなんて……うち……ゆるさんえ?)」

 

「そうだぞ、ハク。私たちはいつまでもお前に頼ってばかりの私たちではない(本音:なな、くく、クオンは生娘でないだと? で、では、は、ハクの子種的なものを……ま、まずい、わ、私も早く……)」

 

「そうです、ハク様。ですから、仮面を使うだなんて言わないでください(本音:クオン様とハク様が既に……いいえ、まだ手遅れではないはずです。なら、私ももういつまでも怯えてなどいられません。ハク様が力を失われている今こそ……ココポの力を借りてハク様を誘拐して……どこか遠い遠い山奥で……二人っきりで……永遠に……)」

 

「そうだ、ハクよ! 仮面の力はそなたにどれだけの負担を与えると思っている! 軽々しく使うことは許さん!(本音:もし、ハクが力を取り戻せば、この件で余らが詰め寄ろうとしたら、姿を消して逃げ回るに決まっておる。もう逃がさぬのじゃ。絶対に契るのじゃ! クオンなんぞに遅れたままでいられるか!…………クオンなんぞにっ!)」

 

「主様の力がないうちに強行手段」

 

「三日ほど休みなくすれば、すぐにクオン様を追い抜きます」

 

 

 なにやら、自分が力を取り戻すことが色々な意味で反対なようで、皆の言葉にウルトリィさんも苦笑している。

 すると、ネコネまで……

 

「あにさま……」

 

 ネコネが自分の裾を掴んで来た。

 アクルカは命を削る力ゆえ、それを使う自分をいつもネコネは悲しそうな顔を浮かべていた。

 しかし今は……

 

「もう絶対に逃がさないのです」

 

 逃げたらブチコロス。そうその目が語っていた。

 

「し、しかしだな、皆。流石に自分も戦わないとアレは……」

 

 カンタムとアクション仮面。この二つを前に自分も戦わねばと皆に言おうとしたが……

 

「くだらん! このような太古の遺物が、何の脅威かッ! 我は鳴神なりっ!」

「アクルカよ、小生に力をッ!」

「まっ、相手になるじゃなーい」

「トゥスクルの方々に、かつての恩を返します!」

「では、参ります!」

 

 ミカヅチ、ムネチカ、ヤクトワルト、キウル、オウギがトゥスクルの援護をすべく飛び出した。

 

「邪魔しないでくださーいっ! アクルカションビイイイイイイイム!」

「鎮守のムネチカ、推して参るッ!」

 

 アクション仮面から放たれる光線。ムネチカが前面に出て、壁を作って防ぐ。

 

「ええい、邪魔するなーッ! カン・タムゥよ、あんなもの蹴散らしてやれッ!」

「久々に全力を出すか……うおおおおおおおおおおおおッ!」

 

 ミカヅチがカンタムに。

 雷を纏った激しい剣を勢いよくカンタムに叩きつけていく。

 だが……

 

「効かぬッ!」

「むっ!」

「余のカン・タムゥは無敵だーッ!」

 

 ビクともしていない! あのミカヅチの攻撃をまともに受けて。

 

「ミカヅチ様ッ! 援護します!」

 

 即座に矢で援護するキウル。しかし、カンタムの装甲は現代の人智を超えるものでもあった。

 雨のように降り注がれるキウルの矢を受けても、全く効果がなく弾かれている。

 

「そ、そんな……」

 

 ミカヅチ、キウルの攻撃だけではない。

 

「これは、確かにアヴ・カムゥを超える硬度ですね」

「おいおい、こりゃー、反則だぜ」

 

 トゥスクルが誇るベナウィとクロウも、カンタムの硬度に冷や汗をかいている。

 さらに……

 

「いきますわよッ!」

「某も参る! 一つ、二つ、三つ!」

「僕も合わせます! 行きますッ!」

 

 速度、技術、破壊力。ヒトの力を極限に高めたものたちの一斉攻撃がアクション仮面に向けられるも、アクション仮面は雄叫びを上げて飛ぶ。

 

「とわああああああ! 私は負けるわけにはいかない! この世に悪が居る限り、決して屈っしはしないっ! アクルカション・蹴り!」

 

 勢いよく回転しながら落下して、地面に大穴を空ける。

 まともにくらえばひとたまりもない。

 にしても、なんていう身体能力だ。

 

「ちょっと、きびしいじゃなーい」

「あやや、危なかったな~」

 

 流石の皆も顔を青ざめさせるほどの力。

 

「覚悟せよ、ハクオロ。そしてそこの仮面の男。余の心と余の娘をキズモノにしたことを、思い知らせてくれる」

「覚悟してください~!」

「なんということだ……、クーヤ、サクヤ! 落ち着け、もうこれ以上暴れるのはやめろ!」

「そうかな、クーヤお母様、サクヤお母様! 別に、先を越されたとかそういうの、気にする必要はないかな! わたくしはハクが好きで、お母様たちは父様とこれから時間を取り戻す、それでいいんじゃないかな?」

 

 カンタムロボ。

 アクション仮面。

 ふざけた存在かとも思うが、その力は本物だった。

 そして、もはや愛する男と愛する娘の声すらも届かぬほど、二人はお怒りのようだ。

 しっかし、何でその怒りを自分にまで向けられなければならない。

 

 

「ダメに決まっておるであろう、クオン! いくらなんでもクオンの歳で……せ、……接吻など早すぎるのだ!」

 

 

 えっ……?

 その時、その場に居たものはみな、小首を傾げた。

 

「「「「「せ……接吻?」」」」」

「ぐっ、くうう、よ、余ともあろうものが、なんともはしたない言葉を……おのれえ」

 

 接吻……? ん? どういうことだ?

 トゥスクルの人たちも、サクヤという女も、首をかしげてカンタムを見上げている。

 

「えっと、クーヤ様……あの、何を……接吻ってどういうことですか?」

「サクヤ、いつまでも余を子供扱いするではない! 愛し合う男と女が唇を重ねると、子を授かるのであろう! それぐらい、余とて知っている」

 

 接吻……それで子供ができる……あ~はいはい……そういう……

 

「い、いや、あのですね、クーヤ様。こ、子供って、接吻だけでは出来ないんですよ?」

「な、なんと! それは誠か? で、では、クオンは身ごもっているわけではないのだな!」

「えっと、そ、それは分かりませんけど……」

「っ、しかし、クオンは既に生娘ではないと! では、生娘でなくなるにはどうするのだ? 接吻すればよいのではないのか!」

 

 こ、これは意外な展開になったぞ。

 カンタムとアクション仮面が変なことで揉めている。

 そしてどんどんアクション仮面ことサクヤが動揺し始めている。

 

「いや、えと、その、せ、接吻は間違いないんですけど、えっと、その、わ、私の口からは、えと、その、ぼぼ、ぼっ、つきした……その、だ、男性の、い、ん、の、いんけ……いを……」

「いんけ? いんけとは何だ?」

「あああああああん、もう、何で私が言わないといけないんですかー! おチンチンのことですよ、おチンチン!」

 

 ……このとき、トゥスクルとヤマトは一つになって、あることを思った。

 

 

――――面白そうだから、もう少しこのまま見てみよう

 

 

 ……と。

 

「おちんちん? なんだ、そのおちんなんたらとは。それは一体、どのようなものなのだ?」

「ひっぐ、そ、その、だ、男性の……こ、こか……ッ、言えませんよオオオオオオオオオオッ、っていうか、何で誰も助けてくれないんですか! ハクオロ様嗚呼ああああ!」

「な、ど、どうしたというのだ、サクヤ! まだ、話は終わっておらぬぞ! その、おちんちんとは一体なんなのだ!」

 

 限界だった。サクヤは頭を激しく抱え、アクション仮面としての振る舞いなど完全に出来なくなっていた。

 純粋に聞いてくるクーヤって人、生娘とはいえ一体いくつなんだ?

 

「確か十数年前……初めてサクヤをクーヤが私に紹介してくれた時、言っていたな。サクヤは床上手……と。そう、サクヤの敷いてくれた布団で眠ると気持ちいのだと……クーヤ……変わってないな」

 

 ハクオロが目を細めながら呟くと、トゥスクル勢も笑わずにはいられなかった。

 ああ、あの人、そういう教育全く受けてないのか……何だか色々と残念な人だな……

 

 

「ほっほーい! ちんちんはこれのことだぞ」

 

「……なに? なっ、も、モロロ頭、そなたいつの間に!」

 

「へっ?」

 

「「「「「なにっ? ……って、あああああああああああああああっ!」」」」」

 

 

 それは、誰も気づいていなかった。

 さっきまで足元に居ると思っていたしんのすけ。

 なんとそのしんのすけが、どうやったのかは知らないが、いつの間にかカンタムの肩の上によじ登っていた。

 

「ちょ、しんのすけーっ! 危ないかな!」

「しんのすけ、降りるのです、危ないのですッ!」

「しんちゃーんッ!」

 

 慌てて叫ぶも、しんのすけはカンタムの肩に乗ってご機嫌の様子。

 そして……

 

「ぞーさん、ぞーさん、オラはにんきもの~」

 

 ……既に下穿きを脱いでいたしんのすけは、自分の下腹部を晒して、歌いながら踊っていた。

 

「………………………………………………………………………………」

 

 すると、クーヤは一瞬言葉を失って無言になるも……

 

「ふ、ふ、ふ、ぷぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ! な、なんなのだそれはあああああああ! ひいいい、ガクガクブルブルガクガクブルブル」

 

 突如暴れたカンタムロボは怯えた子供のようにその場で蹲った。

 振り落とされるかと思ったしんのすけも、クルクルと回転しながら普通に着地……って、だからお前は何者なんだ!

 

「く、クーヤ様ァ!」

「ほっほ~い、ぞーさん、ぞーさん」

「くっ、ちょ、下穿きを穿きなさい!」

「ねーねー、女アクション仮面~、オラとライン交換しない~? モロロはそのまま派? それともタレで食べる派?」

 

 な、な、か、カンタムが戦闘不能に?

 チンチン出して走り回るしんのすけに恐怖したカンタムが震えている。

 そして、サクヤもまた、クーヤほどではないが慌てているのが分かる。

 

「クーヤはまるで情操教育を受けておらず、そしてサクヤもクーヤほどではないにしろ、男に対する免疫がまるでないのだな……」

「父様。これ、父様の責任かな?」

「い、言うな、クオン」

 

 しっかし、ミカズチたちの攻撃を受けてもなんともなかったカンタムがこんな簡単に……

 そして、あのサクヤという人にも効果があるようだ。

 

「ちょ、いい加減にしまいなさーい! わ、私は昔、お兄ちゃんが居たことがあって、子供の頃に見たことがあるから、だ、大丈夫なんですから! で、でもしまいなさーい!」

「ふふ~ん、おねーさん! 安心してください……オラ、穿いてますよ!」

「……穿いてないじゃないですかーッ!」

「おお。んも~、せっかちなんだから~ん」

 

 溜息はきながら、下穿きを履き直すしんのすけ。だが、今のしんのすけの行動により、活路を見いだせた。

 なるほど。兄が居たから、クーヤほど怯えはしない。

 だが、それも五十歩百歩。目くそ鼻くそを笑う程度の差。

 子供のチンチンなら、まだ耐えられるか。

 ならば大人のは?

 それにより、この状況を打破できるのであれば……

 

「勝機! 某、勝つためなら何でもヤル」

 

 それが自分の導き出した打開策だった。

 

「ハク?」

「ッ! まさか、あにさまっ!」

 

 その時、自分の思考を真っ先に読み取ったのは、ネコネだった。

 ネコネは涙目になりながら自分の裾を掴んだ。

 

 

「ダメなのです、兄様! もう、これ以上はダメなのです! あにさまが、あにさまでは無くなってしまうのです!」

 

「ネコネ……」

 

「もう、嫌なのです! あにさまが、どんどん、一人で堕ちてしまうのは耐えられないのです! これ以上、あにさまが……」

 

 

 それは、ヴライ、ミカヅチ、タタリ、ウォシス。かつて、強敵たちとの戦いにおいて、自分が命を削る仮面の力を使うたびに泣かせてしまっていたネコネを思い出させた。

 

「今、某は……ほろ酔い気分」

「あ、あにさま……」

「ゆえに今ならば、酒のせいにすることもできるやもしれぬ」

 

 これ以上、大切な兄を失いたくないという切なる願い。

 その願いが心を打つ。

 しかし……

 

 

「許せ……ネコネ」

 

「兄様ッ!」

 

「某、この流れに乗らねば、しんのすけに遅れを取ることになる」

 

「や、いやああああああ、あにさまああああああああああ!」

 

「我が下穿きよ。扉となりて根源への道を解き放て!」

 

 

 そして、自分は下穿きを脱いで、全てを解放した。

 その姿に、トゥスクル勢は「あらあら」と子供のヤンチャに笑う母親の様子を。

 ヤマトは全員呆れて顔を俯かせる。

 しかし、某は引かぬ!

 

「へっ……」

 

 完全に硬直したサクヤ。某のアレを見て石化しているようだ。

 やはり、子供の男の子のアレは大丈夫でも、大人の男のアレはダメだったようだ。

 だが、これでは終わらん。

 攻刃の型で追撃だ!

 

 

「ブルブル体操!」

 

「はっ、へ……えっ?」

 

「ぶるるんぶるるんぶるぶるぶるぶる!」

 

「ッ!」

 

「高速回転でぶるぶるぶるぶるーっ!」

 

「――――――ッ!」

 

「腰の反動を利用して、ブルブルブルブルー!」

 

「――――――ッ!」

 

「今度は回転を加えて~、ブルルルルルルルルルルルルルルッ!」

 

 

 人は、本当に驚いたときは、声を出さない。むしろ、言葉を失ってしまうのだ。

 それは、真っ白になって石化してしまったサクヤだけでなく、この場にいたオナゴは

 

「本当に、私、ハクオロさんで良かった……」

「嗚呼、あれが我らが大神」

「クオン、今さらですけど、本当に彼でよろしいんですの?」

「……未来のトゥスクルの皇……今日のことは、この場に居る者たちの中だけで留めておくようにしましょう」

「あ、アレがハク様の……は、はうわあああ、なんて逞しい……」

「流石は主様」

「相手にとって不足なし」

「クオンよ……あの男で……本当によいのだな?」

「う……うん、父様……ハクでいいの……でも、アレは今後控えさせるかな」

 

……いや、みんなガン見で石化しているのは、皇女さんとノスリだけだった。

 まあ、構わぬ。

 これならば、最小限の犠牲で……

 

「ほっほーい! ハクとーちゃん、お下品だぞーッ! ならば、オラもオラもー!」

 

 すると、しんのすけが再び動いた。

 だが、今度は下穿きを脱ぐわけではなく、下穿きの中に右腕を突っ込んで、下穿きの股間部分の……あれは……古より伝わりし、「社会の窓」ではないか!

 すると、しんのすけは社会の窓をずり降ろし、

 

「世界の窓からこんにちは~♪ 世界の窓からこんにちは~♪」

 

 二の腕を突き上げるように社会の窓から出す、しんのすけ。

 それは一瞬、そして遠目から見たら、五歳児とは思えぬほどの剛直と、誰もが勘違いしてしまう子供のイタズラ。

 しかし、

 

「ブルブルブルブルー!」

「世界の窓からこんにちは~♪ 世界の窓からこんにちは~♪」

 

 その瞬間、石化したサクヤがそのまま気を失って倒れ、その衝撃で、サクヤが身に着けていた仮面が地面に落ちた。

 仮面が落ちた瞬間、身に纏っていた独特の衣服も解除され、元の布や絹で出来た衣服を纏った女の姿があらわになった。

 勝利を確信した自分は、下穿きを履き直し……

 

「勝った。苦しい戦いであっ、ごふあああっ!」

「もう……黙るのです……あにさま……あ゛あ゛ん?」

 

 そう呟いた瞬間、ネコネが杖で自分の後頭部を思いっきりぶん殴った。

 ぐっ、だが、これでカンタムもアクション仮面も……

 

――――ピーーーーーーーーーーーー!

 

 その時、ガタガタ震えているカンタムから、耳鳴りのような音がなった。

 そして……

 

――――運転を、手動からオートへと切り替え、パワーアップ形態へと移行します

 

 なにっ?

 

―――正常合体

 

 その時、カンタムの上半身と下半身が分離。

 分離した半身が入れ替わるように再合体。

 すると、緑一色に染まっていたカンタムロボの機体が赤く染まった。

 

「もう……許さぬ……余の目を犯したそなたらを……許さぬ」

 

 機体の中から聞こえる、闇に染まったクーヤの声。

 

「この、超カン・タムゥ……その恐ろしさ……毛穴の奥まで思い知るがよいッ!」

 

 な、なんだそれはっ!?

 




そういえば、ぞうさんっていつの間にか見なくなったけど、流石にアレは禁止になったんですかね?

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