捻くれた少年としっかり者の少女   作:ローリング・ビートル

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  活動報告でこの前とは違う方向のアンケートを募集しておりますので、気が向いた方はよろしくお願いします。

  それでは今回もよろしくお願いします。


Dear wonderfulworld

 高坂おすすめのケーキ屋は、女性客がほとんどで正直居心地はあまりよくない。しかもこういう店は店員も女だから、なおのこと居づらい。

「おお…………」

「わあ~♪」

「来た来た♪」

 クリームやフルーツがたっぷりと盛り込まれたロールケーキが運ばれてくる。見た目がいかにも女子好みでかなり可愛らしい(笑)。

 まあ、一男子としては、美味ければそれでよし。味に集中すれば、少しは居心地も良くなりそうだ。

「はい、どうぞ」

 いつの間にか、高坂が手早く切り分けてくれていた。

「ありがとう~♪」

「あ、ありがとう…………」

 さっそく三人共、ケーキを頬張る。

 まず生地の部分がかなり上手い。決して甘すぎず、程よい感じが、生クリームとフルーツの甘さを引き立てる。これまで食べた中でも一番のロールケーキかもしれない。

「美味しい~!ね、お兄ちゃん!」

「ああ、美味いな…………」

「喜んでもらえて何よりです」

 高坂も幸せそうな笑顔を浮かべている。

 数秒間見とれていると、小町が高坂に話しかけた。

「やっぱり外では和菓子を食べないの?」

「うん。散々試食させられてるからね。和食もほとんど食べないくらい」

「家は和食ばかりなのか?」

「ええ、お父さんが和食派なので。お姉ちゃんも外でパンばかり食べてます」

 高坂は苦笑していた。まあ、年頃の女子はそういうもんじゃなかろうか。小町ぐらいしか年頃の女子の生態をまともに知らんけど。

「小町ちゃん達の家ではどうなの?」

「ウチは私がほとんど作ってるんだけど、まあ、日替わりかな~」

「へえ~、すごいね。料理出来るんだ!」

「いえいえ、両親共働きであんまり家にいないし」

「私も、やってみようかな」

「ぜひぜひ!そういえばお姉さんいるみたいだけど、いくつなの?」

「高2だよ」

「お兄ちゃんと同じだね~」

「え、そうなんですか?」

「ああ」

「高2って修学旅行とか楽しみですよね」

「あ、ああ…………」

 小町と共に気まずい表情になる。まあ、ここで俺のぼっちエピソードを紹介しても仕方ない。

 小町の学校生活に話題を逸らす事で、何とか学校内の話題をやり過ごした。

 

 会計を済まし、店を出る。また少し温い空気に包まれた。

「おいしかった~」

「すいません。奢ってもらっちゃって」

「気にすんな。しばらく金使ってなかったし」

「さっすがお兄ちゃん。デートの予定もない男は違うね~」

「おい。褒めるふりして罵倒するのは止めろ」

「雪穂ちゃんは彼氏とかいないの~?」

 小町がニヤニヤしながら聞く。何故一瞬俺をチラ見した? 

「わ、私?い、いないよ!まだあまり興味ないというか」

 高坂の顔が赤くなり、きょろきょろと視線が彷徨う。

「でもモテそうだよね~、お兄ちゃん?」

「あ、ああ……」

「そ、そうですか?」

 こちらを窺うような視線に軽く頷いた。

 彼氏がいないという言葉に少し胸が高鳴ったのは、気のせいに違いない。ああ、きっとそうだ。これまでにそんな勘違いを繰り返してきたのだから。

 





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