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それでは今回もよろしくお願いします。
さすがに猫とじゃれ合うだけではすぐにやる事もなくなるし、何より気まぐれなうちの猫は飽きてどっか行くだろう。…………あれ?カマクラさ~ん?
「ふふっ。寝ちゃいましたね」
カマクラは高坂の膝枕ですやすや寝息をたてている。身長の割にスラリと伸びた、白く弾力のありそうな太ももが気に入ったのだろうか。…………男ってやっぱりバカばっかだな。
「悪い。うちのバカ猫が」
「だめですよ。バカ猫なんて言っちゃ。こんなに可愛いんだから」
「あまり俺には可愛いところ見せないけどな」
俺がそう言いながらカマクラを撫でるのを高坂は微笑みながら見ていた。
「カマクラちゃん温かいですね」
「まあ、確かに…………」
今気づいた。俺は高坂の太もも辺りに寝ているカマクラを撫でている。つまり、俺の手と高坂の太ももがかなり近い位置にあるという事だ。俺の高感度センサーが危険を察知した。
心中の焦りを高坂に悟られぬよう、そっと手を離す。
危ない危ない。ちなみにリトさんならここでラッキースケベ発動していたはず。…………いや、あの人はどこでも発動するか。
「むぅ。なんか家族みたい」
絢瀬がジト目でこちらを見ている。
「何がだ?」
「二人が夫婦でカマクラちゃんが子供みたい…………」
な、な、何言ってるんですかね?この子は。
だが、俺が何か言うよりはやく反応した奴がいた。
「な、何言ってんのよ亜里沙!」
「だって、本当なんだもん」
「ない!絶対ないから!」
あれ?なんか今チクリときましたよ?やってもない事をチクられて心に傷を負った事はあるが、それとは質の違うダメージだ。いや、わかってるんだけどね。
「本当に~?」
「本当だってば!」
絢瀬にはどこかからかうようなニュアンスがある。ていうか本人目の前にしてやめてくんない?高坂が顔を赤くしてチラチラこっち見てくるのが心臓に悪いんだけど。
だがこれだけでは終わらなかった。
「残念だったね比企谷さん。で、でも心配しないで」
俺の隣にきた絢瀬は覚束ない動作で、俺の腕に自分の腕を絡める。
「な、な、何なら亜里沙がお嫁さんになってあげようか?」
「…………」
右腕に発展途上の膨らみが当たるのを感じながら、顔を逸らす。え?何これ。ドッキリなの?実はそろそろその辺から材木屋が出てくんじゃねえの?あれ、材木屋で合ってるよな?どうでもいいけど。
そして、顔を逸らしたせいで今度は高坂と目が合う。高坂は目を伏せ、なんとも言えない顔をしている。
ひとまず俺がやるべきは絢瀬を振り払うか、雑念を振り払うかだ。うん、満場一致で雑念さんに退場していただこう。別に?雑念さえなければこの発展途上の膨らみも甘い香りも気にならないし?よし、戸塚戸塚戸塚戸塚戸塚…………。
「お兄ちゃん、モテモテだねー♪」
そう言いながら、小町が後ろから抱きついてくる。さすがにこれは別に何ともない。むしろ頭が冷めてきた。
「別にそんなんじゃねーよ」
男子にスキンシップをやたらしまくる女子は中学時代にも見かけた。きっとあの類いだ。いや、違う。絢瀬はそんなビッチキャラじゃないはず!だってこんなにポニーテールが似合うんだもん!
「な、なあ、そろそろ離れてくれると…………」
「う~ん、どうしよっかな~」
「あ、亜里沙。比企谷さんに迷惑かけちゃダメでしょ?もう…………」
「迷惑…………ですか?」
「いや、迷惑ではなく、なんと言いましゅか…………」
「あ、噛んだー♪」
「むぅ…………」
高坂が怒ったような表情になる。…………俺のせいじゃないよな?
「じゃあ、条件があります!」
近い!顔近い!
「な、何だ?」
「あ、亜里沙って呼んで?」
「いや、さすがに…………」
「ダメ~♪」
ぎゅうううっと腕が締まる。くっ、この程度で!負けてたまるか!
「あ、亜里沙!」
「ついでに雪穂も名前で呼んで♪」
「な、な、何でそうなるの!?」
「何でだろうね♪」
「…………」
俺を挟んで言い合いするのはやめていただきたいのだが…………。
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