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それでは今回もよろしくお願いします。
「お兄ちゃーん!起きて-!」
「あと5分…………」
「はいはい。そんな定番のセリフはいいから」
小町は無情にもカーテンを開け、日光が部屋の中に降り注ぐ。ああ、体が溶ける~…………。
「どうしたんだよ…………。今日は土曜日だろ…………」
次に月曜日を控えている日曜日と違い、土曜日は気兼ねなく惰眠を貪れる貴重な休日なのだ。ただの休日とは違うのだよ。
「今日は雪穂ちゃんと亜里沙ちゃんがウチに来るんだよ。忘れたの?」
「…………」
わ、忘れてなんかないよ?ハチマン、ウソ、ツカナイ。
「はぁ~。いいから早くシャワー浴びてきて。着替えは置いとくから。二人が来るのにその恰好じゃみっともないでしょ」
「え?俺、出かけた方がよくない?」
女子会に男が入っても仕方ない。手持ち無沙汰になるくらいなら、図書館にでも行って時間を潰した方がマシだ。
「…………まったく。相変わらずゴミぃちゃんは…………」
「?」
「はいはい。そんなお兄ちゃんでも見捨てないでいてあげるから。早く準備してきて。あ、今の小町的にポイント高い♪」
「へいへい」
今日も今日とて、妹に主導権を握られるシスコンっぷり。これ八幡的にポイント高い。
客を迎える準備を整え、ソファーでくつろいでいると呼び鈴が鳴った。
「お兄ちゃん、行ってきて!」
「俺かよ…………」
のろのろと起き上がり、よたよたと玄関まで行く。学校やバイトならこのまま逃げ帰るところだが、生憎ここはマイホーム。俺の帰る場所はここしかない!やだ何この格好いいフレーズ。
扉を開けると、高坂と絢瀬が並んで立っている。
「おう」
「こんにちわ」
「ふ、ふつつか者ですが、よろしくお願いします!」
「「…………」」
おや、のっけからいいパンチきましたよ?おかげで目が覚めた。
よく見ると、高坂は肩も露わなタンクトップに脚も露わなホットパンツ。絢瀬もミニスカート。…………ちと無警戒すぎやしませんかね。
しかも、絢瀬はポニーテールにしている。これがまた破壊力抜群だ。スポーティなイメージのあるポニーテールに、絢瀬の快活な表情が相まって、健康的な魅力が溢れている。何かもう爽やかさが天元突破して、すごいニアってる。
「…………」
「どした?」
高坂がじぃーっとこっちを見ている。
「いえ、別に…………」
ぷいっとそっぽを向いてしまった。
「わぁ、可愛い~♪」
「カマクラちゃ~ん。よしよし♪」
初対面の二人にカマクラはされるがままになっている。…………俺の時と態度違いすぎねーか、こいつ。ここにこの家の長男がいますよー!
「おとなしいんですね」
「動くのが面倒くさいだけだろ」
「お兄ちゃんと一緒だね」
「…………否定できねぇ」
「肉球柔らか~い」
高坂のむき出しの脚に横になり、絢瀬に肉球を触られるカマクラ。この二人のクラスメートが見たら、きっと羨ましがるだろう。俺も…………ごらむごらむけぷこんけぷこん。
「にゃ~」
あぁ、ほっこりするなぁ。花の中3トリオは天使なので、見ているだけで癒される。いい休日になりそうだ。
しかし、俺は…………いや、誰も知る由もなかった。
この後の騒動が今後の人生を左右する一大事になるという事を。
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