捻くれた少年としっかり者の少女   作:ローリング・ビートル

25 / 38


  いつも感想・評価・お気に入り登録・誤字脱字報告ありがとうございます!

  それでは今回もよろしくお願いします。


youthful days

 

「お兄ちゃーん!起きて-!」

「あと5分…………」

「はいはい。そんな定番のセリフはいいから」

 小町は無情にもカーテンを開け、日光が部屋の中に降り注ぐ。ああ、体が溶ける~…………。

「どうしたんだよ…………。今日は土曜日だろ…………」

 次に月曜日を控えている日曜日と違い、土曜日は気兼ねなく惰眠を貪れる貴重な休日なのだ。ただの休日とは違うのだよ。

「今日は雪穂ちゃんと亜里沙ちゃんがウチに来るんだよ。忘れたの?」

「…………」

 わ、忘れてなんかないよ?ハチマン、ウソ、ツカナイ。

「はぁ~。いいから早くシャワー浴びてきて。着替えは置いとくから。二人が来るのにその恰好じゃみっともないでしょ」

「え?俺、出かけた方がよくない?」

 女子会に男が入っても仕方ない。手持ち無沙汰になるくらいなら、図書館にでも行って時間を潰した方がマシだ。

「…………まったく。相変わらずゴミぃちゃんは…………」

「?」

「はいはい。そんなお兄ちゃんでも見捨てないでいてあげるから。早く準備してきて。あ、今の小町的にポイント高い♪」

「へいへい」

 今日も今日とて、妹に主導権を握られるシスコンっぷり。これ八幡的にポイント高い。

 

 客を迎える準備を整え、ソファーでくつろいでいると呼び鈴が鳴った。

「お兄ちゃん、行ってきて!」

「俺かよ…………」

 のろのろと起き上がり、よたよたと玄関まで行く。学校やバイトならこのまま逃げ帰るところだが、生憎ここはマイホーム。俺の帰る場所はここしかない!やだ何この格好いいフレーズ。

 扉を開けると、高坂と絢瀬が並んで立っている。

「おう」

「こんにちわ」

「ふ、ふつつか者ですが、よろしくお願いします!」

「「…………」」

 おや、のっけからいいパンチきましたよ?おかげで目が覚めた。

 よく見ると、高坂は肩も露わなタンクトップに脚も露わなホットパンツ。絢瀬もミニスカート。…………ちと無警戒すぎやしませんかね。

 しかも、絢瀬はポニーテールにしている。これがまた破壊力抜群だ。スポーティなイメージのあるポニーテールに、絢瀬の快活な表情が相まって、健康的な魅力が溢れている。何かもう爽やかさが天元突破して、すごいニアってる。

「…………」

「どした?」

 高坂がじぃーっとこっちを見ている。

「いえ、別に…………」

 ぷいっとそっぽを向いてしまった。

 

「わぁ、可愛い~♪」

「カマクラちゃ~ん。よしよし♪」

 初対面の二人にカマクラはされるがままになっている。…………俺の時と態度違いすぎねーか、こいつ。ここにこの家の長男がいますよー!

「おとなしいんですね」

「動くのが面倒くさいだけだろ」

「お兄ちゃんと一緒だね」

「…………否定できねぇ」

「肉球柔らか~い」

 高坂のむき出しの脚に横になり、絢瀬に肉球を触られるカマクラ。この二人のクラスメートが見たら、きっと羨ましがるだろう。俺も…………ごらむごらむけぷこんけぷこん。

「にゃ~」

 あぁ、ほっこりするなぁ。花の中3トリオは天使なので、見ているだけで癒される。いい休日になりそうだ。

 しかし、俺は…………いや、誰も知る由もなかった。

 この後の騒動が今後の人生を左右する一大事になるという事を。

 






  読んでくれた方々、ありがとうございます!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。