捻くれた少年としっかり者の少女   作:ローリング・ビートル

14 / 38


  感想・評価・お気に入り登録ありがとうございます!

  それでは今回もよろしくお願いします。


ヨーイドン

 

 その場で解散かと思ったが、小町が誘った事により、4人で昼飯を食う事になった。そして、再び雑多な街中へ飛び込む。

「やっぱりパンだよ!」

 高坂姉が薄い胸を張る。…………ここは由比ヶ浜の圧倒的勝利である。

「もー、お姉ちゃん。落ち着いてってば」

 高坂がはしゃぐ姉を見ながら溜息をつく。別に変な意味などこれっぽっちもないが、高坂は潜在能力が高いはず。もう一度言うが、別に変な意味はない。

「まあまあ、うちも今朝和食だったから、洋食がいいかなぁ~♪」

「…………」

 女子3人に男子1人。俺に決定権など皆無である。まあ、特に何を食べたいとかの希望はないから何でもいいけど。

「お兄さんはどこに行きたいですか?」

 いつの間にか隣りにいた高坂がこちらを見上げてくる。あら、優しい。ていうか上目遣いは緊張するからやめてね。俺の身長は平均ぐらいだが、高坂が割と小柄なので、近くにくればこうなるのは仕方ないかもしれんが。

「高坂の行きたいところでいいんじゃないか?」

「わーい!」

「お姉ちゃんは高坂姉でしょ?」

「むー、雪穂が高坂だから、なんかオマケみたい」

 頬を膨らます高坂姉をスルーして、話を進める。

「ま、どこでもいいのは本当だ。それにこの辺りの事は全然知らんし」

「じゃあ、その辺りのファミレスに…………」

「雪穂?」

 高坂に声がかかる。

「あ、亜里沙!」

「亜里沙ちゃんだ!」

 薄めの金髪の美少女がほんわかオーラを放ちながら、こちらへ駆け寄ってくる。て、天使だ。天使がおる。

「亜里沙、どうしたの?」

「お買い物だよ!たまには一人もいいかなって。お姉ちゃんに心配されたけど」

「絵里ちゃん、心配性だからね」

 ハーフか、クォーターか。金髪碧眼なんてラノベでしか見た事ない。どこの血だろうか。

「…………」

 亜里沙と呼ばれた、高坂より小柄な少女はこちらをぽ~っと見ている。日本語は普通に話せるようだが、何だか緊張してしまう。あ、三浦にひびっちゃうのも金髪だからか!

「小町ちゃん、お兄さん、紹介しますね。同級生の絢瀬亜里沙です。お姉さんはμ'sのメンバーの絢瀬絵里さんなんですよ」

「…………よろしくお願いします!」

 どこかぽ~っとしながら頭を下げる。熱でもあるのだろうか。

「お兄ちゃん。恐がらせちゃダメでしょ」

「何でだよ。何もしてねーよ」

 濡れ衣もいいところだ。ただ女子しかいないので、証拠能力を認められてしまうだろう。

 金髪美少女は、こちらを見上げながら、ぽそぽそ呟いた。

「ハラ…………ショー…………」

 ハラショー?ロシア語だよな。

「ほほう…………」

「亜里沙?どうしたの?」

「比企谷君、ダメだよ!怖がらせちゃ!」

「…………」

 駄目だ。俺の対人スキルでは女子4人を相手になどできん。

 もう、夏と言ってもいいくらいの暑さと、普段味わう事のない賑やかさに、頭がオーバーヒートしそうになっていた。   






  読んでくれた方々、ありがとうございます!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。