捻くれた少年としっかり者の少女   作:ローリング・ビートル

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言わせてみてぇもんだ

 

「でも、読書かぁ~。私、国語の成績悪いからなぁ~」

「お姉ちゃんの場合、読書とか全くしないから悪いんじゃないの?」

 頭をかきながら、成績を憂う姉に高坂がジト目を向ける。その姿は微笑ましいが、他人事ながら高坂姉が心配になってしまう。高坂姉の成績の低さは、俺の対人スキルばりに低いらしい。

「お兄ちゃんも私に似たような事言ったよね?」

「ん?ああ、まあ実際にそういう習慣があれば、国語の点数を落とす事はないからな。あとは古文の文法覚えるだけでいいし」

「ですよね」

 高坂が同調してくれる。

「何なら出題者の気持ちまでわかるからな」

「いえ、そこまでは…………」

 まだまだだね。

 某スポーツの王子様の決めゼリフを心中で呟きながら、分かり合う事の難しさを思い知る。おっかしーなー。問題解き終えたらこうして時間潰すのが一番楽なんだけどなー。

「あの…………お兄さんはどんなのを読むんですか?」

 ここで恋愛系ライトノベルをプレゼンしてドン引きされるようなマネはしない。しかし、嘘をつくつもりもない。

「ライトノベルか、昔の有名な作家とかだな」

 女子に引かれないであろうギリギリのラインをつく。

「あ、私も同じです」

 意外な答えが返ってきた。

「最近何読みました?」

「あー、最近は…………」

 しばらくライトノベル談義に花が咲いた。

 

「っと、もうこんな時間か」

 そろそろここを出て、どっかで昼飯を食って、浅草寺にでも寄って帰るか。

「じゃあ、小町。そろそろ行くか」

「そうだね。いやー、よかったね、お兄ちゃん。趣味が合う友達ができて」

「…………」

 確かに学校ではあまり話さない。雪ノ下は古典文学なら話が合いそうだが、俺とあいつが文学談義している姿はあまり想像できない。由比ヶ浜はあれだし。戸塚はそんなに読書しないとか言ってたし、材木座は嫌だ。あいつの作品の話に流れていきそうだ。

 まあ、高坂は友達が多そうだから、そういう話は出来るだろうが。

「ま、高坂は読書好きな友達はいるだろ」

「私、読書しないよ?」

「私は、友達にはいないですね」

 何故か姉が答える。

「いや、高坂…………」

「何?」

「どうしました?」

 姉妹揃ってキョトンとしている。これはあれですか。俺が悪いんでしょうか。

「お兄ちゃん…………どっちも高坂なんだから、私みたいに名前で呼べばいいじゃん」

 そうは言われても、一流のぼっちにそんな高度なコミュニケーションはできない。なら、ここは俺の流儀に従って…………

「高坂と高坂姉で」

「「「…………」」」

 3人のシラーッとした冷たい視線が全身に突き刺さって、かなり気まずかった。






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