魔法少女なんてガラじゃない!   作:行雲流水

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第十二話:Brother complex

 

 

目が覚める。

何時もより、体が重い。

最近、寝不足で体調が思わしくなかったけれど、それよりも絶不調と言っていいくらいだ。

 

「…昨日の天井だ」

 

そんな、御馬鹿な事を言ってみる。

今、目に映る天井は私の家の天井ですらない。

ぼんやりと覚えている、昨日見た天井だ。

そして、それ以前の記憶も確りとある。

本当なら忘れてしまいたい。けれど、消し去れない程に鮮烈な記憶になってしまっている。

 

一度目が覚めた時に居た女性の医師は居ない。

流石に担当患者が私一人という訳でもないし、四六時中私を看ていると言うことも無いのだから当然ではある。

枕元のナースコールを探したけれど、どういう訳か見つけられなかった。

動いても良いのか確認を取りたかったけれど、仕方がない。

私一人にかまけていられる程、病院も暇じゃない筈。

だから今は体を起こして、学校に行くことだ。

時刻を見ると、余り悠長にしている時間は無い。

此処が何処の病院か解らないけれど海鳴市の筈。

 

顔に押し当てられている酸素マスクを、右手で無理やり取り払う。

左胸が痛いけれど、我慢できなくは無い。

右腕の力を頼りに体を起こした瞬間、息が詰まる。

 

「無理をするな、と言われただろう?」

 

「…クロ」

 

咳き込んで涙目になった私を、ベッドの傍にある壁にもたれ掛かってりながら、呆れた表情で私を見ていた。

そういえば、喉は昨日のうちに回復した様だった。声が出る。

 

「けど、学校行かなきゃ。寝てられないよ」

 

「阿呆。動けるわけがないだろう、その怪我で」

 

確かに酷い怪我だけれど、動けなくはない。

まだ起き上がろうとしている私を見て、クロはやれやれと言った様子だった。

 

「駄目ですよ、起き上がっちゃ」

 

扉の開く音と共に現れたのが、昨日の女性の医師だった。

呆れ声で私に声を掛けながら、ベッドの頭を起こしてくれた。

 

「運び込まれた時、貴方の状態はかなり危ない物でした。魔法で治療を施しましたが、必要最低限のモノにしてあります。

自然に治す方が、魔法で無理矢理に治すよりも身体に負担は掛かりませんから」

 

目の前の女性は、クロの様に魔法を使えるようだ。

けれど、魔法の存在をこうあっけらかんと言ってしまってもいいのだろうか。

管理局とやらがすっ飛んで来ると聞いているけれど、目の前の女性は平然としている。

魔法の存在を、この女性に聞いてい良いのか迷っている間に、部屋にもう一人訪れた。

 

「お邪魔するよ。シャマルから君が目が覚めた、と聞いたからね。

僕は、時空管理局次元航行隊提督クロノ・ハラオウン。君には少し難しい話かもしれないが、まぁそれなりの役職に就いていると思ってくれ」

 

苦笑いをして、ベッドの横に在ったパイプ椅子に男性が座った。

管理局は既にすっとんで来ていたようだった。

クロからの話では管理局自体に余り良い印象は無いようだけれど、目の前に居る男性からはそんな空気は感じられない。

柔らかい物腰で、私を見ている。

クロは相変わらず、壁に凭れ掛かって腕を組みこちらの様子を窺っているだけだ。

あまり口を出す気は無いらしい。

 

「さて、これから君には昨晩の事を話してもらおうと思う。

辛いかも知れないが、これも事件解決の為だ。済まないが」

 

「上総っ、目が覚めたのか!」

 

ハラオウンと名乗った男性の言葉に被さる様に、よく聞きなれた声。

その声が、私の兄も物だと理解するのに時間は掛からなかった。

 

「兄さん…」

 

急いで私の元に駆け寄って、心配そうな顔をして優しく頭に触れた。

黒いスーツを着ている兄。何処かでよく似た服を見た事が有る気がするのだけど、今はそれどころではない。

 

「その、ごめんなさい。兄さんに迷惑を掛けてしまいました」

 

「迷惑だなんて思っていないぞ。上総が悪い訳じゃないだろう?」

 

「でもっ!」

 

泣きそうになってしまう。兄には迷惑を掛けてばかりだ。

両親が居なくなった後、ずっと私の面倒を見ていてくれたというのに。

御飯や服に不自由な思いをした事もない。

学校も良い所に行けと、行かせてくれた。

そんな兄の期待を裏切ってはいけないのに。

 

「いいんだ。いいから…」

 

ベッドの淵に座って、頭を撫で続けてくれる兄。

兄の優しさと手の温かさに、少しだけ救われる。

 

「あ、学校行かなきゃ」

 

「馬鹿野郎。無理に決まってるだろう? 暫く休むと連絡を入れておいたから、心配するな」

 

私の頭を撫でていた手が、手刀になった。

兄は加減をしたつもりなのだろうけど、結構痛かった。

 

「済まないが…話を続けていいかい?」

 

「? ああ、済まん。アンタの存在を忘れていた」

 

何気に兄から酷い扱いを受けるハラオウンさん。

いいのかな、と思いつつ少しばかり状況に着いていけないので兄の存在は助かる。

 

「上総」

 

「「上総ちゃん」」

 

そうしてまた人が増えた。

フェイト、なのは、はやてだった。

フェイトは昨晩、会って何故か謝罪を受けた。

理由はイマイチ理解できなかったけれど。

それでも、私をあの場から助けようとしてくれたことだけは理解できた。

 

「フェイトには昨晩会ったけど、何でなのはとはやてが此処に居るの?」

 

正直に疑問に思っている事を聞いてみた。

 

「それは、えっと」

 

なのはが言い淀んで、そんななのはをはやてが見かねて言葉を続けた。

 

「この間、話したけどわたしら、管理局員やって言うたやろ? この船はその時空管理局が所持している船なんや。

今、海鳴市で起きている昏睡事件。その事件は魔法が関わっとる可能性が高いんや。それで私達が管理世界からこの地球にやって来たちゅう訳や」

 

「そっか」

 

船という事は、海鳴市に面した海にでも浮かんでいるのだろう。

この部屋は病院では無くて、医務室みたいな所なのだろう。

時空管理局がどれ程の規模かは解らないけれど、大型船を所持しているだなんて、すごい組織の様だ。

けれど流石にこの部屋に八人。少しばかり、否、大分窮屈ではある。

私が動けないから、仕方ないと言えば仕方ないけれど。

 

「それじゃぁ、身が覚めたばかりの君には悪いが、昨夜君に起こった事を話してもらうよ?」

 

話を終えた私達の様子を見てハラオウンさんが話を切り出した。

そう言われても何をどう話せば良いのか解らない。

 

「バイト帰りに知らない誰かに襲われました」

 

正直に言うのなら、こうなってしまう。

説明しようにも、この部屋に居る人たちに伝わるのか、と思ってしまう。

荒唐無稽な話だと思うし。信じてくれるのかも怪しいし。

 

「…」

 

無言が辛い。

残念な子を見るような目で見ないでほしい、と思う。

本当にこれ以上の説明のしようが無い。

襲われた最中の事なんて説明しても無駄だろうし。

肩身、狭いなぁ。

 

「はぁ…。何も事情を知らん奴に、事件の手掛かりを期待しても仕方あるまい。

まずは順を追って説明するくらいはしてやれ。貴様らだけの都合でコイツを振り回すな」

 

そう言ってクロが猫の姿に戻って、私の膝の上にちょこんと乗った。

さりげに怒っているのか、尻尾をぼふぼふと布団に叩きつけている。

ちなみに兄は“俺の役目が…”と小声で言っていた。

相変わらず、私に甘い兄だと思う。

 

「おい、此処が何処か理解しているのか?」

 

「海鳴の沖に浮いてる船の中じゃないの?」

 

クロに答えた。

 

「この船、大気圏外に停泊しているぞ」

 

「冗談を」

 

あはは、と笑って受け流す。

周りの皆は至って真面目な顔をしている。

笑ってる私だけが浮いている。

 

そうして、ハラオウンさんが“これを見てくれ”と言って、私の目の前にモニターを出した。

しかも、半透明で空中に浮いているのだ。ありえない。

そしてそのモニターに映し出されたのは、テンプレどおりの大きくて丸い青い地球が。

 

「嘘…本当に、宇宙に居るの…?」

 

「嗚呼、さっき言った通りだ。次元航行船だからな。地球で生まれ育った貴様には実感は無いかも知れないが。

次元世界を渡れるし、こうして惑星外にも停泊出来る」

 

次元を渡れる、大気圏外に停泊している…どれだけ技術が発展しているんだ。

というかこの船、地球に住む人たちに見つかったら大騒ぎなんじゃ…

 

「ちなみに、欺瞞魔法で見つからない様にして有る筈だ。だから、管理外世界の人間に見つかる事は、まず無いだろう。

管理世界に影響が無いようにな。また逆も同じだ。管理外世界に影響が無いように、そういう活動をしているのがコイツらだ」

 

“気に食わんが”と聞こえない様に小声でクロが呟いた。

私以外の人に、聞こえてなきゃいいけれど。

 

「それだと、地球に何か有ったって聞こえるんだけどなぁ」

 

単純な疑問を聞いてみる。

地球が管理外世界であると、クロから聞いている。

何か起こらなければ彼等、時空管理局は来ないという事なのだから。

 

「ん。さっきも其処に居る女が言っていた昏睡事件だろう。こんな辺境に、ご苦労な事だ」

 

ああそうだ、とハラオウンさんが肯定した。

 

「だが、その為に僕たちは此処に居る。そして、その事件を解決しなければならない。

だから、君は僕たちに協力して欲しい。犯人に繋がる怪しい人物に会ったのは君だけだ。情報が欲しい」

 

真剣に私に問いかけた。

私は、ハラオウンさん達に昨晩起こった事を話すのは、別にかまわない。

けれど、話してしまえばきっとクロに矛先が行きそうな気がする。

クロにそっくりだった、『名も無き偽典』の統括者―コマンダー―と名乗った女性。

私は『名も無き教典』、だと言っていたクロ。接点が無い訳が無いのだから。

クロの事情を知らない私が、勝手に喋って良い物なのか。

 

「それで。貴様等は何を知りたいのだ? 私の代わりに、コイツの治療を引き受けてくれたからな。都合が悪いこと以外は喋ってやるぞ」

 

嫌々答えてやるぞ、と言わんばかりの台詞だった。

というか、都合の悪い事は言わないと言うのである。性質が悪いよクロ。

私はクロのこの態度には慣れているけれど、他の人たちは面を喰らっている。

仕方ないと言えば仕方ないけれど、もう少し穏便に物事を運ぼうとは思わないのか。

…思ってないか。クロだし。

 

「出来れば、犯人に直結する情報だけれど、君は知っているのか?」

 

「知っている、と言えば?」

 

「っ!!」

 

凄い勢いでハラオウンさんが椅子から立ち上がる。

そんなに驚く事なのだろうか。私も一応、男の顔は覚えているし、もう一人に至ってはクロにそっくりだし。

 

「それに、其処の金髪が私と瓜二つの犯人の一人を見ているからな。言い逃れが出来ん」

 

フェイトだよ、と泣きそうな顔でフェイトが文句を言っていた。

名前をちゃんと言わないクロには後で言い聞かせておくから。御免フェイト、と心の中で謝っておく。

 

「それで? あの男と何を話した」

 

「うん。『名も無き偽典』の真の力を開放する鍵になってもらうって」

 

「…なるほどな」

 

両目を瞑ってクロが少し考え込んだ様子を見せた。

 

「待ってくれ! 『名も無き偽典』と言ったのか? 『名も無き教典』ではなく!」

 

「あ、はい。あの場所に居た男の人がそう言ってました」

 

ハラオウンさんが声を荒げて聞いてきた。

そもそも、『名も無き教典』と名乗ったのはクロで、『名も無き偽典』と言ったのは、アクスマンと名乗った男性だ。

恐らく、クロと何か関係しているのだろう、と言う事は何となくだけれど察することが出来る。

名前が酷似しているし。

 

「『偽典』は私の複写品―コピー―だよ」

 

「ええ!?」

 

「…貴様が驚いてどうする。聞いたのだろう、あの男から。私に瓜二つの統括者―コマンダー―を見て何も思わない訳があるまい」

 

呆れた顔で私を見ているクロ。

猫の姿ではあるけれど、そんな気がした。

改めて聞くと驚くのは仕方ないと思う。私の予想でしかなかったのだし。

 

「複写品とはどういうことだ!!」

 

「言葉のままだが?」

 

「なら! 君が!! 『名も無き教典』なのか!?」

 

「そうだ、と言ったらどうするんだ?」

 

「それに、君は彼女の使い魔ではなかったのか!?」

 

「違うな」

 

「なぜ嘘を吐いた! 虚偽報告だぞ!」

 

「あの時は、ああ言った方が都合がよかっただけだ。誰が進んで管理局なんぞに、自分の正体を露呈させねばならんのだ」

 

「っ!」

 

ハラオウンさんの怒気に気圧される。その対象になっている筈のクロは涼しい顔をしているけれど。

複製品、とはどういう事だろう。

もうここまでクロが自身の事や、魔法について私以外の人に話しているのだ。

魔法の事について喋るな、とクロが言っていた事は無効だろう。

 

「…一体どうなっているんだ」

 

片手で顔半分を抱えてハラオウンさんが、疲れた様子を見せている。

 

「複製品って事はクロが創ったの?」

 

「私と言うよりも、私と契約した契約者―マスター―だな。何時の頃だったかは余り覚えていないが、私を複写した契約者が居た」

 

素直に疑問を聞いてみる。

複製品と言うのなら、創った人が居る筈なのだ。

 

「クロと同じって言うのなら、なんで昏睡事件何て起こしたの?」

 

クロは世界の知識を求めるだけの存在だと聞いている。

 

「さぁな。契約者の資質が大部分を占めるだろうが、アレは創られた方法が不味かった。マトモな方法で創られなかったからな」

 

「その方法って?」

 

「ん? 聞きたいのか?」

 

ニヤリ、とクロが笑ったような気がした。

 

「嫌な予感しかしないから止めておく」

 

「賢明だな」

 

「待ってくれ、その方法とは何だ?」

 

ハラオウンさん、勇気あるな。

この手のモノは大抵碌なものじゃないと思うんだけど。

それに敢て足を突っ込もうとしているのだ。

私なら無理だな。例え仕事だろうと、聞きたい話ではない。

 

「契約者本人の血や処女の血やら聖獣と呼ばれるモノの血やらを使って書き写したんだよ。

素材になった紙も碌なものを使っていないぞ。要するに元から曰くつきというヤツさ」

 

この場に居る全員が微妙な顔をした。

そりゃそうだ。こんな話は誰だって聞きたくは無い。

 

「だから、という訳ではないが契約者にマトモな奴がなる事は皆無だ」

 

「…君は知っていて『偽典』を放置していたのかい?」

 

「他人から見ればそうなるのだろうな。今まで『偽典』と邂逅する事も無かったからな」

 

「君、そんなモノを放置していた責任はどうするんだ?」

 

「責任? そんなものは私にはない。それは、貴様等のルール。私には関係ないものだ」

 

「何を言っている、知っていながら見ていぬ振りをしていたのだろう!」

 

「知らぬよ。人間が勝手に『偽典』を利用していたのだろう? 本来、何の害も無いものだ。

だと言うのに、何か起こったのならば、それは『私たち』と契約したマスターの仕業だ」

 

周りの視線が一点に集まる。

もちろんそれは私だ。

 

「クロとは契約をしてませんよ」

 

多分。勝手に契約されていたと言うのなら、吃驚するけれど。

 

「ああ、コイツとは結んではおらんよ」

 

「何故だ?」

 

「何故、と言われても。本人が望んでいない。無理矢理に出来んことも無いが、それだと意味が無い」

 

なぁ?といいながら、私を仰ぎ見るクロ。

クロと契約の事なんて、久しく忘れていた気がする。

というか、無理矢理でも出来るのか。

そういえば『偽典』の契約者であるアクスマンも無理矢理でも出来る、と言っていたか。

 

「うん。魔法を使えるようになるって言われても、困るだけだし。あ、頭が良くなるとかだったら使いたいかも」

 

「有るには有るが、自分の身の為にならんぞ」

 

「なんで?」

 

「付け焼刃で覚えても身に付かんだろう?」

 

…確かに。

自分の力で覚えたほうが、身に付くのだろう。

 

「何を呑気に話し込んでいるんだ! 今は事件の話をしている!」

 

「御免なさい」

 

「…解ればいい。『偽典』の契約者は、何故君を襲ったんだ?」

 

「鍵になってもらう、と言っていたのでその為だと思います」

 

「鍵、か。しかし、何の為に…」

 

「コイツは適格者だ。『名も無き教典』とのな。襲われたのはその所為だろう。

アレは私の複写品。性質も似るからコイツを『偽典』にでも取り入れて力を増幅でもさせる気だろうよ。」

 

「…うへ」

 

つくづく、アクスマンのいう事を聞かなくてよかったと思う。

あの時、痛みに屈して頷いていれば、今の私は居なかったかもしれない。

 

「では、彼女をもう一度襲う可能性が有るな」

 

「だな」

 

「え? マジで?」

 

「大真剣だ。一度や二度で諦めるわけがなかろう。しつこいぞ。あの手の人間は」

 

あの人がマトモではないのは、昨夜襲われた事で理解している。

あれをもう一度やれと言われれば、全力で拒否したい。

というか、耐えられる自信はもう無い。

 

「なら決まりだ。君を我々管理局の保護下に置く」

 

「え? あの、困ります。学校とかバイトとかありますし」

 

「それについては俺が何とかする。黙って聞いていたが、只事じゃなさそうだしな。

魔法に関連した事件、と言うのなら管理局の方が良い。魔法の事は話せないし現地の機関を利用しようとしても、恐らくマトモに取り合ってはくれんだろう」

 

ずっと黙り込んでいた兄が、そう言ってきた。

 

「兄さん! でも!」

 

兄さんのお蔭で、生活には困らないでいる。

だから、私は無駄にしてはならない。キチンと生活をしなければ。

せめて、働いて自活が出来るようになるまでは。

 

「魔法に関わってしまったなら仕方ないさ。襲われる可能性が有るのなら、次元航行船―ココ―が一番安全だ」

 

「………」

 

兄にそう言われたら、従うほかには無い。

授業とかバイトとか気にしなければいけない事が沢山あると言うのに。

何時も、そうだ。

大事な事の筈なのに、私に決定権は無い。

周りの人たちは、それが優しさだと思っている。

そして私もそれが優しさなのだと理解している。

まるで真綿で締められる様に、だんだんと息苦しくなっていくのだ。

 

両親の葬儀に出れなかった事も。

親戚の家から、マンションを借りてほぼ、一人暮らしをする様になった時も。

聖祥大付属高校に通う事になった時も。

 

仕方の無い事も有る。

けれど、思う様に行かないのは不甲斐無さが心に溢れてしまうのだ。

 

「とりあえず、今は怪我を治さないとな」

 

学校やバイト先には兄から連絡を入れておくそうで、後の事は心配するな、との事。

起こしていた体を、兄が優しくベッドへと導く。

疲れている身体は、いくらも経たず私を眠りへと誘う。

結局、対して抗う事も出来ず私の意識は落ちてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あまり話が進んでない・・・

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