ご了承ください。
マイルナ「二人して、こそこそしてるのかと思ったらデートの尾行だなんてね。貴方達暇なの?」
一夏「暇じゃないですよ。これも、今後の事を考えれば必要な行動ですよ。それよりも、マイルナさんに聞きたい事があるんですけど・・・」
そう言って一夏は、アルベルトのようすが突然変わった経緯と現場の状態を話した。
するとマイルナは、少しだけ考え出した。
マイルナ「なるほどね。理由はなんとなくわかるわ。でもそれは私の口からは言えないわ。
ほんとうに知りたいのなら、本人かアルに聞いて。」
マイルナはそう言うと、買い物袋を手に取り帰路へとついた。
一夏(マイルナさんのあの様子、なにかそうとうな理由があるんじゃないかなぁ。もしかしたら、千冬姉に迷惑がかかるなんて事ないよな。)
そんな事を考えているあいだにも、二人は席を立ち移動を始めてしまった。
アルベルトも席をはずしている今、一夏は迂闊に移動できないでした。
すると、ちょうど良いタイミングでアルベルトが帰ってきた。
一夏「遅いじゃないですかアルさん!二人とも、移動しちゃいましたよ。」
アル「それは心配いらん。千冬に気づかないように、小型のGPSをつけてある。だから場所は一目でわかる。
それよりもお前には、リズに関して話しておかなければならない事がある。」
一夏「それって、アルさんの様子が変わった事に関係してるんですか?だったら、聞きたいです。」
アル「そうだな・・・、俺とリズは同じ孤児院出身地だって話は前にしただろ?俺はその孤児院最初の人間で、彼奴は同年代で最後の人間だった。
彼奴が孤児院に来た理由は、なんでも彼奴が10歳の頃に父親がリストラした影響か、リズと母親に暴力をする様になった。
そして身体を壊した母親は、父親から逃げるためと治療のためにフランスに帰ろうとしたんだが、経済的にそんなに余裕がなかった母親は、奈々さん経由で孤児院の話を聞いたらしい。」
アル「それでリズの事を考え抜いた結果、母親はリズを孤児院に預けたのさ。その時、泣きながら松陽さんに頼んでいた。」
一夏「リズリーさんって、フランス人だったんですね。」
アル「あぁ、父親は日本人だぞ。まぁ、今でも母親とは手紙でやりとりをしているさ。羨ましい事だな。」
一夏「それって羨ましいんですか?」
アル「そりゃあそうだろ?例え、どんな状況だろうが自分を愛してくれる家族がいるってのは羨ましい限りだ。親との思い出が無いのは、あの孤児院じゃあ、俺と松陽さん位だぜ?
まぁ話を戻そう。リズは昔から、自分を軽んじる傾向にあった。自分が誰かと同じ立場にはたてない。
誰かと同じ態度や言動は出来ないってな。」
アル「しかも極め付きは、自分の中の父親像は暴力をふるう父親だから、自分は父親にはなれない。
自分が、人を愛する事は絶対にないって堅く誓っていた。
今回のデートで、ほんの少しくらいは解消されるかなと思ったんだが、まさかあそこまで堂々と言えるなんてな・・・。」
アルベルトは、少し寂しそうに笑っていた。
父親からの暴力だなんて、以外と重いですね。
自分の中では、マイルナの過去もしっかり考えてはいますが、中中の重さになってしまいます。