そしてパーティーが始まると、参列してる著名人達が入れ替わり立ち替わりに、幸太郎に近づいて来て祝いの言葉とこれまでの感謝の言葉をかけていた。
あまり慣れない事に、幸太郎は恥ずかしそうに照れていた。
アル「やれやれ、こんなんで恥ずかしがってたらよ、この先宗次郎さんの後を継いで寿家の当主にはなれねぇぞ?」
マイルナ「でも、誰が相手だろうと分け隔てなく接する事が出来るのは、幸太郎の素晴らしい所よ。」
松陽「えぇ、これからの寿家は皆に恐れられ、特別視されるのではなく、みんなに愛される寿家になるはずです。
それこそ、奈々が望んだ夢でもありますから。」
幸太郎の保護者とも言える三人は静かに、そして嬉しそうに幸太郎を見ていた。
そして松陽は、ズボンのポケットからブローチを取り出した。
そのブローチには、幼い幸太郎を抱いた奈々と松陽が写った写真がしまわれていた。
松陽「奈々・・・、見ていますか?私達の愛する幸太郎は、こんなにも愛される人間に育ちましたよ。
これで少しは、父親らしい事は出来たでしょうか?」
すると、まるで狙っていたかの様に風が吹き松陽を包み込んだ。
松陽「ありがとう、ありがとう奈々。これからも、天国で幸太郎を易しく見守っていて下さい。」
松陽は大粒の涙を流しながしていた。
そんな松陽を宗次郎は、横目で見ながら満足感そうな顔をしていた。
宗次郎(やはり、奈々が選んだ男だ。あそこまで、奈々と幸太郎を愛してくれてるとはな。
さらにこの俺の、専属執事までこなしてきたんだ。やはり、俺の目に狂いはなかったな。)
宗次郎「おい松陽。こんなめでたい時に、何を辛気くさい顔をしてるんだ。今は幸太郎を祝う事が一番だろ?
おい学生ども。お前達も楽しんでいるか?」
松陽の肩を叩きながらそう言った宗次郎は、すぐに一夏達の方を見た。
宗次郎のフォローに松陽は、涙をグッとこらえてなんとか笑顔になった。
松陽(ありがとうございます宗次郎さん。)
一夏「はい!すっごく楽しんでます!それよりも、この料理凄く美味しいですね。
こんな美味しい料理は、なかなか味わえないですよ!」
鈴音「こら一夏!そんなにはしゃがないで!周りに凄い人達がいるのよ。恥ずかしいじゃない。」
宗次郎「良いよ良いよ!楽しんでるのなら、関係ないさ。たしかにこの料理は上手いだろ?
これ全部、桜華が丹精込めて作ったんだぞ?」
一夏「えっ!これすべて、桜華さんが作ったんですか!でも、こういうのってコックさんとかがやるんじゃないんですか?」
桜華「この屋敷には、コックはいないわ。元々、私は料理が大好きなの。それに、宗ちゃんには私の手料理を食べて欲しいものなの。
まだ沢山あるから、遠慮しないでどんどん食べてね。一夏くんは食べ盛りだから、足りないかも知れないわね。」
一夏「はい!おっ、あそこのテーブルの料理も、旨そうだな・・・」
箒「一夏!お前は遠慮というものを知らないのか!」
箒が一夏の肩を掴んで止めると、一夏は少し嫌そうな顔をした。
一夏「おい箒、桜華さんがあぁ言ったんだから食べない方が、逆に失礼だろ?」
箒「うぐっ、た、確かにそれはそうだが・・・」
そう言うと一夏は、再び料理を取りに出た。
一夏の言葉に、納得はしているが釈然としていない箒だった。
宗次郎夫婦も、なかなかのラブラブっぷりですね。
マイルナ、アルベルトといい、松陽、奈々さんといい、この作品の大人カップルは、羨ましい程ですね。