桜華「あら幸太郎。こんなに大きくなって。おばあちゃん、本当に感激だわ。」
そう言って桜華は、静かに微笑みながら抱きついて来た幸太郎を、やさしく抱き締め返しながら頭を撫でた。
幸太郎「もうおばあちゃん//そんなに頭を撫でないでよ。凄くくすぐったいよ。
そう言えばおじいちゃんは?」
桜華「宗ちゃんなら、貴方の誕生パーティーの準備をしてるはずよ?
でも、もう終わってると思うわ。
だから、早く私達も行きましょ?さぁ幸太郎、今度はおばあちゃんと手を繋ぎましょ。」
松陽「あっ、桜華さん。それなら、私が幸太郎を連れていきますよ。
わざわざ、桜華さんのお手を煩わせる訳にはいきません。」
桜華「貴方はいつまでたっても、執事だった時と変わらず頭が固いままね。そんな事、 何とも想って無いわよ。
それに、たまには自分の立場を忘れて可愛い孫と過ごしたい祖母心よ。」
桜華がそう言うと、松陽は納得せざるを得なくなり、そのまま一同は先頭を歩く桜華と幸太郎の後につづいて歩みを進めた。
そして長い廊下を数分間歩いて行き、桜華は1つの部屋の前で止まった。
桜華「この部屋に宗ちゃんがいるわ。さて、宗ちゃんいる?」
桜華がドアをノックすると、中から渋い声で返事が聞こえてきた。
宗次郎「あぁ、ずっと前から待ってたぞ。全く、全然こないから心配してたんだぞ。」
桜華「さぁ皆、中へ入りましょう。」
桜華に案内され中に入ると、見るからに高級そうな立派な椅子に腰かけた、桜華と同じく70を過ぎているとは思えない男が座っていた。
宗次郎「ようこそ皆さん、我が寿家の屋敷へ。俺が寿家現当主、寿 宗次郎だ。」
宗次郎はそう言って千冬達の方へと、近づいていった。
宗次郎が近づくにつれて、千冬達は緊張と恐怖、そしてある種の喜びの心が芽生えていた。
そんな中、一夏だけは宗次郎の顔を見て何か考え事をしていた。
そして一夏は、思い出した様に多きな声を上げた。
千冬「なんだ一夏、突然大きな声なんか出して。宗次郎さんの前で失礼だろ。」
一夏「思い出した・・・思い出したんだよ!!あんた、二年前に駅で迷ってたあのおっさんだろ!」
千冬「おい一夏!!何度も言っているだろう!お前はどうして、そこまで無礼なんだ!
しかも相手は、あの寿 宗次郎だぞ!」
箒「そうだぞ一夏!お前は、千冬さんの言っていた事を、理解していなかったのか!」
千冬達は、一夏を追い詰めようとした時に宗次郎は手を叩いた。
宗次郎「そうだ思い出したよ。あの時、俺に未知を教えてくれた少年だったな!
いや~、あの頃より随分と大人になってるから、見ただけではわからなかったぞ。」
宗次郎「あの時は、本当に助かったぞ少年。あの日は、皆に内緒で幸太郎に会おうとしたんだが、まいごになってな。」
そう言って宗次郎は、愉快そうに笑い一夏の肩を叩いた。
千冬「あの・・・、一夏の態度に怒ってはいないのですか。」
宗次郎「当たり前だろ?恩人だし、若者ならそれくらいの恐れを知らない態度がなければ、これからの世界を任せてられないさ。」
桜華「そうよ。それに宗ちゃんは、この程度の事を許せない様な小さい男じゃないわ。寛大な心を持って無いと、ここまで寿家を大きく出来ないわ。
それよりも、早くパーティー会場に行きましょう。」
皆様、お久しぶりです。お盆のいそがしさも終わったので、更新再開です。
まさに豪傑な男ですね。
世界一の男らしく、わきまえているんですかね。
そしてそんな宗次郎を助けただなんて、ちゃっかり凄い事をしてますね一夏は。