アル「さてと、総理も帰った事だしさっさと、事を始めるか。」
そう言ってアルベルトは、ここにいる専用機持ちの人数と同じ台数のパソコンのスイッチを入れた。
一夏「アルベルトさん、そんなにパソコンを起動させて、どうするんですか?」
アル「あぁ。ISの核自体は、束が開発したモノだ。けど、それぞれの装備や装甲なんかは各国のオリジナルとも言える。
だからよ、その材料を調べあげてギリギリのラインまで、性能をあげたいんだ。」
束「なるほど、それで各国のメインコンピューターに同時ハッキングをするんだね。」
束が納得している間も、アルベルトは全てのパソコンを操作していた。
アル「おいお前ら。データを送信しなきゃいけねぇから、ISを待機状態にして渡してくれ。」
アルベルトに言われた通り、一夏達は自分達のISをアルベルトに手渡した。
アル「ちょっと待ってろよ…、良し!イギリス、中国、フランス、ドイツ、日本のハッキングに成功と。
さて、ここからが正念場だな。あまり能力を上げすぎると、ISが耐えられずにパンクするからな。
その絶妙なさじ加減を計算しながら…。」
そう言ってアルベルトは、パソコンの画面を見ては手元のメモ用紙に計算式を書いていた。
束「それにしても、私は世間から天才って言われてるけど、義兄さんを見てると、その評価が恥ずかしくなるよ。」
千冬「そうだな。あれだけのパソコンを同時に、しかもあんなに簡単にメインコンピューターをハッキングするなんて、人間業じゃないな。」
マイルナ「驚くのはまだ早いわ。アルは、少なくとも10歳の時に、あれだけの事は出来たわ。
しかも、全部独学でよ?凄いでょ?」
マイルナの言葉に、それを聞いていた千冬と束は驚きのあまり言葉を失っていた。
一夏「そう言えば、千冬姉に話を聞いてふと疑問に思ったんですけど、幸太郎さんの病状はまだ良く分からないことばかりなんですよね?」
マイルナ「えぇそうよ?それがどうかしたのかしら?」
一夏「じゃあ、どうしてアルベルトさんが来た時に来てた役人は、幸太郎さんの病気が他人に移ったらどうなるかを、知ってたんですか?」
束がIS学園に来た時に来ていた、役人との大まかな話を千冬に聞いていた一夏は、ふと疑問だった事を聞いてみた。
その瞬間、タイピングばかりをしていたアルベルトの手が止まり、マイルナの表情が怒りの無表情になった。
アルベルトは、ひとつ大きな咳払いをして作業を続行した。
マイルナとアルベルトから漂う、ただならぬ雰囲気と怒りと恐怖。
そのオーラのせいで、タイピングの音だけが静かに響いていた。
さすがに空気の読めない一夏でも、自分が何を仕出かしたかを、瞬時に理解した。
マイルナ「ねぇ千冬?貴方って、本当にお喋りな子ね?それに一夏もね?
どうすれば二人は余計な事を、言わなくなるのかしら?口を縫い付ければ良いの?それとも、舌を引っこ抜けば良いの?ねぇ?教えて?」
冗談ではない、本気のトーン。
マイルナの本気に、一夏と千冬は死を覚悟する程の恐怖を味わった。
アル「この際だからよ、話すしか無いんじゃないか?ちょうど、あの人もここに来るんだからよ?
遅かれ早かれ、政府の連中に知らされるよりかは変な語弊を無くせるしな。」
マイルナ「でも…、わかったわ。でも話すかどうかは、あの人に判断してもらうわ。」
アル「わかってるさ。さすがに、俺達が勝手に話すわけにいかないさ。」
ラウラ「あの…、さっきから言っているあの人って、誰の事なんですか?」
アル「言ってなかったな。これから来るあの人ってのは、幸太郎の親父さんだ。」
一夏は無謀というか、怖いもの知らずというか…。
ですが、確かに一夏の疑問通りですよね?
そして次回、幸太郎のお父さんが登場です。
お父さんの口から語られる、真相とは!?