アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第70話

~~~次の日~~~

 

一夏「へぇ、これが幸太郎さんが拾ってきた犬の大和か…。小さくて可愛い犬だな。」

 

そう言って一夏が手を伸ばすと、大和は一夏に威嚇をした。

 

箒「全く、お前は犬のあやし方を知らんのか?犬は上から撫でてはいけない。

犬を撫でる時は、下から手を伸ばすんだ。」

 

そう言って箒も、大和に手を伸ばすが、変わらずに大和は威嚇を続けていた。

 

アル「俺達も試してみたが、結果は同じだったよ。どうやら、幸太郎以外にはなつかない様だな。

これが人間だったら、独占欲が強い女になるな。」

 

アルベルトが笑いながらそう言うと、マイルナはアルベルトを睨み付けた。

 

セシリア「そう言えば、幸太郎さんはどうしたのですか?今朝からお姿を見かけていませんが…。」

 

マイルナ「幸太郎なら、部屋で寝ているわ。心配しなくてもいいわ。

一年に数回、起きられない時があるのよ。」

 

鈴音「それはわかったけど、こんな朝っぱらから私達を集めて何の用があるのよ?

集められたのは、見たところ幸太郎さんに関わりのある専用機持ちだけど。」

 

アル「その事なんだがな…昨日の夜、わが社の情報員から、亡命機業が何やら慌ただしい動きを見せている。

俺の勘では、近いうちに幸太郎に接近してくるだろう。」

 

アルベルトがそう言うと、一夏達に緊張が走った。

自分達は専用機を持っているとはいえ、相手はテロ組織。

 

もし戦う事になったらと考えると、身震いしていた。

 

アル「そこで、俺と束で相談した事なんだが、わが社のデータを使って、お前達のISの基本性能をバージョンアップさせる。」

 

束「そうだよ。義兄さんの技術を使えば、最大でも10~20%の増量は見込めるよ。」

 

シャル「ですが、その行為は法律では規制されている筈しゃ無いんですか?

いくら束さんでも、法を犯せば政府が黙ってませんよ。」

 

シャルロットは、的確な心配をついていた。

 

確かに束は、政府や世界にとって重要な人物であるが、法を犯したのをきっかけに政府から脅しをかけられたり、下手をしたら政府に捕まり良いように使われる可能性もある。

 

アル「その心配なら何もいらんよ。その為に、俺がいるんだからな。

さてと、そろそろ時間の筈だな…。俺達も応接室に行くか。」

 

アルベルトは、腕時計を見ながら呟いた。

 

~~~応接室~~~

 

応接室に入った一夏達は、そこに待っていた人物に驚きを隠せないでいた。

 

なぜなら、そこに待っていたのは総理大臣だったからだ。

 

総理「私をこんな所に呼ぶなんて、いったい何が目的なんだ。私はお前の様なコウモリを、信用していないんだ。」 

 

アル「コウモリとは、また的確な例えだな。まぁ、金さえ貰えば俺達は誰の味方にもつくからな。」

 

そう言ってアルベルトは、ソファーに腰掛けた。

そしてアルベルトの横に、マイルナも座った。

 

アル「お前達も突っ立ってないで適当に座りなよ。」

 

アルベルトの言葉に、一夏達はハッとなり椅子に座った。

 

総理「篠ノ之博士や、織斑千冬やマイルナ所長までいるなんて、用件が本当にわからないな。」

 

アル「お前みたいなクソ人間にも、分かりやすく教えてやる。

俺達はこれから、ISの違法改造をする。お前達政府は、それを承認し黙って見て見ぬふりをする。

わかったか?」

 

総理「い、違法改造だと!そんなもの、黙っている訳にはいかないだろう!

それに、お前達を捕まえて手中に納めれれば、私達日本が世界を牛耳る事が出来る。

そんな我々にとって上手い話を、みすみす逃すと思うのか?」

 

総理は、鼻で笑いながらそう言った。

 

すでにアルベルト達を手に入れた気でいるのか、勝ち誇った顔をしていた。

 

アル「はぁ…、やはり無能なお前じゃあ俺の言いたい事がわからないか。」

 

アルベルトはため息を吐きながら、一枚の写真を総理にだけ見える様に、少しだけちらつかせた。

 

その写真を見た瞬間、総理の顔色が急変した。

 

総理「そ、その写真…。アルベルト、お前は何が言いたいんだ。」

 

アル「本当にわからず屋だな。これは取引だ。お前が俺達の行動を黙っていれば、この写真は陽の目を見ない。

どうだ?分かりやすくて簡単な話だろ?」

 

総理は、額に汗をたらしながら唸り声を上げていた。

 

総理「…わかった。私は何も聞いていない。

だが、約束は守って貰うぞ!」

 

アル「あぁ、この写真は封印しておこう。まぁ、仲良くしてこうや。」

 

アルベルトは、悪い笑顔をしていた。

 

こうして、政府の行動を抑止する事に成功したのだった。

 




世界中の裏のコネクトがあれば、脅しの一つや二つはやはりあるんですね。

総理大臣さえも黙らせるなんて、アルベルトが見せた写真は相当な代物だったのでしょうね。

やはり、裏の社会に根を張り巡らせている、アルベルトの会社を敵に回すのは恐ろしいですね…。

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