~~~次の日~~~
一夏「へぇ、これが幸太郎さんが拾ってきた犬の大和か…。小さくて可愛い犬だな。」
そう言って一夏が手を伸ばすと、大和は一夏に威嚇をした。
箒「全く、お前は犬のあやし方を知らんのか?犬は上から撫でてはいけない。
犬を撫でる時は、下から手を伸ばすんだ。」
そう言って箒も、大和に手を伸ばすが、変わらずに大和は威嚇を続けていた。
アル「俺達も試してみたが、結果は同じだったよ。どうやら、幸太郎以外にはなつかない様だな。
これが人間だったら、独占欲が強い女になるな。」
アルベルトが笑いながらそう言うと、マイルナはアルベルトを睨み付けた。
セシリア「そう言えば、幸太郎さんはどうしたのですか?今朝からお姿を見かけていませんが…。」
マイルナ「幸太郎なら、部屋で寝ているわ。心配しなくてもいいわ。
一年に数回、起きられない時があるのよ。」
鈴音「それはわかったけど、こんな朝っぱらから私達を集めて何の用があるのよ?
集められたのは、見たところ幸太郎さんに関わりのある専用機持ちだけど。」
アル「その事なんだがな…昨日の夜、わが社の情報員から、亡命機業が何やら慌ただしい動きを見せている。
俺の勘では、近いうちに幸太郎に接近してくるだろう。」
アルベルトがそう言うと、一夏達に緊張が走った。
自分達は専用機を持っているとはいえ、相手はテロ組織。
もし戦う事になったらと考えると、身震いしていた。
アル「そこで、俺と束で相談した事なんだが、わが社のデータを使って、お前達のISの基本性能をバージョンアップさせる。」
束「そうだよ。義兄さんの技術を使えば、最大でも10~20%の増量は見込めるよ。」
シャル「ですが、その行為は法律では規制されている筈しゃ無いんですか?
いくら束さんでも、法を犯せば政府が黙ってませんよ。」
シャルロットは、的確な心配をついていた。
確かに束は、政府や世界にとって重要な人物であるが、法を犯したのをきっかけに政府から脅しをかけられたり、下手をしたら政府に捕まり良いように使われる可能性もある。
アル「その心配なら何もいらんよ。その為に、俺がいるんだからな。
さてと、そろそろ時間の筈だな…。俺達も応接室に行くか。」
アルベルトは、腕時計を見ながら呟いた。
~~~応接室~~~
応接室に入った一夏達は、そこに待っていた人物に驚きを隠せないでいた。
なぜなら、そこに待っていたのは総理大臣だったからだ。
総理「私をこんな所に呼ぶなんて、いったい何が目的なんだ。私はお前の様なコウモリを、信用していないんだ。」
アル「コウモリとは、また的確な例えだな。まぁ、金さえ貰えば俺達は誰の味方にもつくからな。」
そう言ってアルベルトは、ソファーに腰掛けた。
そしてアルベルトの横に、マイルナも座った。
アル「お前達も突っ立ってないで適当に座りなよ。」
アルベルトの言葉に、一夏達はハッとなり椅子に座った。
総理「篠ノ之博士や、織斑千冬やマイルナ所長までいるなんて、用件が本当にわからないな。」
アル「お前みたいなクソ人間にも、分かりやすく教えてやる。
俺達はこれから、ISの違法改造をする。お前達政府は、それを承認し黙って見て見ぬふりをする。
わかったか?」
総理「い、違法改造だと!そんなもの、黙っている訳にはいかないだろう!
それに、お前達を捕まえて手中に納めれれば、私達日本が世界を牛耳る事が出来る。
そんな我々にとって上手い話を、みすみす逃すと思うのか?」
総理は、鼻で笑いながらそう言った。
すでにアルベルト達を手に入れた気でいるのか、勝ち誇った顔をしていた。
アル「はぁ…、やはり無能なお前じゃあ俺の言いたい事がわからないか。」
アルベルトはため息を吐きながら、一枚の写真を総理にだけ見える様に、少しだけちらつかせた。
その写真を見た瞬間、総理の顔色が急変した。
総理「そ、その写真…。アルベルト、お前は何が言いたいんだ。」
アル「本当にわからず屋だな。これは取引だ。お前が俺達の行動を黙っていれば、この写真は陽の目を見ない。
どうだ?分かりやすくて簡単な話だろ?」
総理は、額に汗をたらしながら唸り声を上げていた。
総理「…わかった。私は何も聞いていない。
だが、約束は守って貰うぞ!」
アル「あぁ、この写真は封印しておこう。まぁ、仲良くしてこうや。」
アルベルトは、悪い笑顔をしていた。
こうして、政府の行動を抑止する事に成功したのだった。
世界中の裏のコネクトがあれば、脅しの一つや二つはやはりあるんですね。
総理大臣さえも黙らせるなんて、アルベルトが見せた写真は相当な代物だったのでしょうね。
やはり、裏の社会に根を張り巡らせている、アルベルトの会社を敵に回すのは恐ろしいですね…。