幸太郎「可愛いワンちゃんでしょ?こんなにも、俺になついてくれてるんだよ。」
そう言って幸太郎は、楽しそうに豆柴を撫でた。
マイルナ「貴方が外に出てた理由はわかったわ。でも、何で内緒で出ていったりしたのよ?」
アル「それは、お前に怒られると思ったからだよ。」
いつの間にか、マイルナ達の後ろにアルベルトがたっていた。
マイルナ「私が怒るって、どういう事よ?私が、幸太郎に怒るわけ無いでしょ?」
幸太郎「だってお姉ちゃん、昔俺が犬を飼いたいって言ったら、物凄く否定してきたじゃん。
だから、お姉ちゃんは犬が嫌いかなって思って…。」
幸太郎にそう言われ、マイルナは過去を思い出そうとしていた。
そして、その時の状況を思い出した。
マイルナ「あの頃は、貴方の体調が著しく無かったし、病状も今ほど把握して無かったのよ。
だから、その状態で他の生き物と触れ合ってもしもの感染症が起きたら…って、心配だったのよ。」
幸太郎「そうだったんだ。じゃあ、今はこの子を飼っても大丈夫だよね!?」
目の前で起きている事に、千冬と束は置いてきぼりをくらっていた。
束「って、いつから幸太郎はこの犬に出会ったの?こんな捨て犬、簡単に見つけられるものでも無いし。」
幸太郎「実はね、一週間前にアル兄と出掛けた時に、偶然出会ったんだ。
寂しそうに鳴きながら、こっちを見てたんだ。」
アル「で、優しい幸太郎がその犬を無視できる訳無いさ。
その日以来、この犬に会って遊ぶようになったって訳さ。」
こう話している間にも、豆柴は幸太郎に甘えた声で鳴きながら、体を刷り寄せていた。
千冬「それにしても幸太郎、お前がそんなに動物に好かれるなんて、知らなかったぞ。
お前に好意を示すのは、変わり者ばかりだからな。」
千冬はそう言いながら、束を見た。
マイルナ「ふぅん…変わり者ね…。だったら、私は一番の変わり者って事ね。
随分と言う様になったわね千冬?」
千冬「えっ!ち、違いますよ!その…、言葉のあやと言いますか…、表現の一つと言いますか…。」
千冬は、自分の軽はずみな失言を弁解しようと焦っていた。
アル「謝る事無いだろ?だって、超ブラコン姉に、テロ組織のサポーターの兄。
変わり者よりも、酷いもんだろ。」
軽い自虐を混ぜながら、アルベルトは笑いながらそう言った。
アル「それよりもマイルナ、この豆柴を飼うのはどうなんだ?」
マイルナ「どうって言われても…。この犬が安全かわからないし…。」
するとアルベルトは、マイルナの耳元に口を近づけた。
アル「幸太郎の病状は、未確定で危ういんだろ?だったら、今は幸太郎の望みを叶えてやるのが、俺達夫婦の最善の行動だろ?
言い方は悪いが、あいつは今まで病室に閉じ込められてた。自由になった理由としても、賛成してやったらどうだ?」
マイルナ「貴方にそんな事言われなくても、元々賛成のつもりよ。
幸太郎、その犬飼っても良いわよ。」
マイルナがそう言うと、幸太郎は嬉しそうに喜び、豆柴を抱き上げた。
幸太郎「やった!これで今日から君は、俺と一緒だ!
これから宜しくね、えっと…、名前はどうしよっか?」
マイルナ「名前なら、私が考えてあげるわ。
そうね…、アーノルドはどう?」
マイルナの答えに、幸太郎以外の人間は目が点になっていた。
マイルナ「何よ、文句あるの?だったら、エドワードは?それかスミスは?」
呆れたアルベルトは、マイルナの肩に手を置いた。
アル「お前、柴犬にそんな洋風な名前は無いだろ?
お前にネーミングセンスが無いなんて、知らなかったわ。
もし子供が産まれても、お前に名前は考えさせねぇ。」
アルベルトにそう言われたマイルナは、恥ずかしそうに顔を紅くした。
マイルナ「だったら、貴方が考えてよね!
私にそこまで言うんだから、それは最高の名前を考えてくれるわよね?」
アルベルトは、少し考え込んだ。
アル「大和って名前はどうた?カッコいい日本って感じの名前だし、昔は戦艦の名前にもなった程だ。
なりは小さいが、勇ましい犬に育って欲しいって感じかな。」
幸太郎「大和か…、うん凄くカッコいい名前だよ!
良し!今日から君の名前は、大和だ!
宜しくね大和。」
幸太郎が名前を呼ぶと、大和は嬉しそうに幸太郎の顔を舐めた。
アル「我ながら、中々のセンスだな…ん?」
よく見たら、その豆柴がメスだった事に気がついたが、マイルナにあぁ言った手前、自分も人の事が言えないと思い、黙っておく事にした。
皆様お久しぶりです!
すみません、仕事が忙しく更新が遅れてしまいました。
幸太郎に新しい家族?が増えました!
メス犬に大和って、合わないですかね?
自分的には、大和撫子って言うくらいですので、合うような気もしますが、戦艦大和で考えると、合わない様な気もしますね。