束「大丈夫なの幸太郎!」
ラウラ「そうだぞ嫁よ!何かあったのか!」
いきなりドアを開けて、束とラウラが入ってきた。
急いで走ってきたのか、二人は息が上がっていた。
千冬「どうしたもこうしたも、お前達こそそんなに慌てて、何があったんだ?」
束「いや…あのねちーちゃん、今さっき私達の存在を脅かす予感がしたの!」
ラウラ「そうです!ですから、急いで状況を確認したくて…。」
二人がそう話していると、ルアネールは二人に冷たい目線を浴びせていた。
ルアネール「ふぅ~ん…貴方達がマイルナ様が言っていた束にラウラね…。
どうせ、幸太郎様の見た目だけかマイルナ様の地位を狙って、好きなふりをしてるだけでしょ?」
ルアネールの発言に、ラウラと束は表情が一変した。
ラウラ「おいお前…。初めて見るお前が誰かは、今は関係無い。
だが、見知らぬお前に私の…、私と束の嫁を想う気持ちを貶す権利があるのか!」
束「そうよ!お前こそ、どうせ幸太郎の優しすぎる人柄や、その魅力を知らないんでょ!
このペテン師!」
こうして三人は、お互いを罵倒しあう言い争いに発展していってしまった。
幸太郎「皆、理由はわからないけど、喧嘩は止めてよ。喧嘩より、皆仲良くしようよ。」
幸太郎が止めようとするが、既にヒートアップしてる三人には幸太郎の声は届いていなかった。
マイルナ「無駄よ幸太郎。今のあの子達には、何を言っても止まらないわ。」
アル「ハッハッハ!まさに、『私のために争わないで!』の状態だな!
これが修羅場か…、初めて見るが凄いな。」
口喧嘩をしている三人や、心配でオロオロしてる幸太郎に比べ、この夫婦は何故か落ち着いていた。
千冬「あの…マイルナさん?あれを、止めなくて良いんですか?あのままだと、口喧嘩だけじゃすまなそうですが…。」
マイルナ「まぁ良いんじゃない?別に、幸太郎を貶してる訳じゃ無いし、幸太郎を愛してるからそこの口喧嘩だし。」
アル「そうそう。若い内に、ああゆう自分の気持ちを打ち明けられる親友の存在は、必要だぞ?
それに見た感じ、あの三人なら仲良く出来そうだしな。」
幸太郎「お姉ちゃんやアル兄がそう言うなら…、止めないけどさ…。
なんだが、釈然としない様な…。」
アル「お前の言いたい事もわかる。だが、俺達みたいにもう少し大人になれば、嫌でもわかるさ。」
そう言ってアルベルトは、幸太郎の頭を撫でた。
束「ふん!お前が何を言おうとも、私は幸太郎にとって、“初めて”の親友なんだよ!
言うなれば、幸太郎の幼馴染みだ!年季も愛情も違うんだよ!」
ルアネール「それが何だと言うのですか!?それを言うなら、マイルナ様の方が時間は長いわ!
私なんて、幸太郎様のファーストキスをいただいたのよ!」
ラウラ「ファ…ファーストキスだと!羨ましい…じゃ無くて、私なんて嫁と毎晩同じくベッドで、毎日抱き合いながら寝ているのだぞ?」
ルアネール「幸太郎様は、自分のお体が悪いにも関わらず、いつも周りを優先できる心を掴まねばお持ちになった、素晴らしい人なのです!」
ラウラ「その通り!出会った日に、きつい態度をとった私なんかにも、優しく…そして愛をもって接してくれる。
嫁は、世界一素晴らしい嫁だ!」
束「そうよ!幸太郎は、クラスで浮いていた私なんかに、声をかけてくれた。
そして私の夢であったISを褒めてくれた。
幸太郎は誰よりも、私達を幸せにしてくれる!だから、私はその優しさ以上の愛で応えているの!」
いつの間にか、口喧嘩が幸太郎の良いところを褒める状態になっていた。
認めたくはないが、お互いに幸太郎の事を十分に理解し、そして本当に愛している。
この瞬間、“敵”から“ライバル”へと変わっていった。
ラウラ「私はラウラ・ボーデビッヒだ。
先ほどは、熱くなっていたと言え失礼な事を言ってしまった。」
束「私は篠ノ之 束よ。
ラウラ以外にも、ここまで幸太郎のことを愛してる人がいたなんて知らなかったわ。」
ルアネール「謝るのはこちらです。私も、二人の事を知らずに、幸太郎様への気持ちを貶してしまいました。
ルアネール・デルトネス・フォーデュノです。
よろしくお願いいたします。束様、ラウラ様。」
こうして三人は、仲直りの握手を交わした。
一触即発の初対面も、気づけば仲良くなれましたね。
仲良くなるきっかけが、幸太郎への誉め言葉だなんて、本当に幸太郎の事を好いているんですね。
ルアネールのキャラが、若干クロエとかぶってますね…。
しかも、何となくつけた名前ですが、アルみたいに略すと、ルアですね…。
今さらですが、少し困りましたね。