ラウラ「すみませんマイルナさん。嫁が熱を出したので、私ではどうする事も出来ないと思ったので来ました…、どうやらお取り込み中でしたか…。」
マイルナ「そんな事は無いわ。それよりも幸太郎、ほら体温計で今の体温を計って。」
そう言ってマイルナは、ポケットから体温計を取り出し幸太郎に渡した。
そして幸太郎を椅子に座らせた。
幸太郎「ごめんねお姉ちゃん…、ちょっとフラフラするから、寄り掛かっても良い?」
マイルナ「えぇ、私なんかで良かったらいつでも寄り掛かって良いわ。」
体温計が計測終了の音を鳴らした。
そして体温計を見てみると、38.2℃を示していた。
マイルナ「なるほど、見たところ普通の熱っぽい様子だから、薬を飲んでゆっくり休めばすぐに治るわ。
さぁ幸太郎、この薬を飲んで。」
幸太郎「ありがとうお姉ちゃ…、ゴホッゴホッ!」
幸太郎が咳をすると、男は慌てて口をハンカチでふさいだ。
その行為を見て、マイルナの怒りがまた溜まり出していた。
マイルナ「お前は何をしてるんだ?お前のその行動は、幸太郎を侮辱しているんだぞ。」
役人「いや~本当にすみません。ですが、そんなのと同じ部屋で、しかも元々ある病原菌以外にウイルスを持っているなんて耐えられないですよ。
もし、私にも感染したらどうするつもりですか?」
男がそう言った瞬間、束と千冬はすぐに座っているマイルナを押さえた。
そしてラウラは、幸太郎を避難させる様に自分の方へと移動させた。
マイルナ「そんなの?それ?病原菌?感染?お前は何を言ってるんだ?おい。」
二人に、しかも世界最高レベルのスペックを持つ二人に押さえられているにも関わらず、マイルナはゆっくりとその場から立ち上がり始めた。
千冬「な!私達が押さえているのに、こんなにあっさり立ち上がるなんて!」
束「義姉さん!落ち着いて下さい!ここは大人しくして下さい!」
マイルナ「ねぇ二人とも。さっきから邪魔ばっかして、何がしたいの?
もしかして、二人もあいつと同じ意見なのかしら。」
そう言ってマイルナは、二人を振りほどき胸ぐらを掴んだ。
その優しさのない冷酷な言葉、ハイライトが消え全てを飲み込む程の恐怖を与える目。
束と千冬は、まさに死の恐怖を味わっていた。
千冬「そ、そんな事あるわけ無いですよ!私だって、怒りでいっぱいです!」
束「そうですよ!それに義姉さん、怒りに我を忘れている様ですけど、ここには幸太郎もいるんですよ!」
束にそう言われたマイルナは、我に帰り幸太郎の方を慌てて見た。
初めて見るマイルナの怒りの恐怖に、幸太郎はラウラの後ろに隠れていた。
マイルナ「ち、違うのよ幸太郎…、こ…これは貴方を想っての事で…、その…貴方を怖がらせるつもりはなかったわ。だから、ね?」
そう言って幸太郎に近づくが、近づけば近づくほど幸太郎は、マイルナから遠ざかっていった。
そんな幸太郎の行動に、マイルナは後悔と悲しみによりその場から崩れる様に膝をついた。
役人「どうやら、緊急事態の様ですね。厄介事に巻き込まれたくないので、私はこの辺で帰ります。」
そう言って男は、逃げる様に部屋から出ていった。
そして、緊張と熱のせいで幸太郎は気を失ってしまった。
これは、最悪の事態ですね。
幸太郎にとって、優しいお姉さんのマイルナ。
でも、そんなマイルナの誰もが恐れる側面を初めて見たせいで、熱のせいもあってビビってますね。
これは政府がもたらした、マイルナへのダメージは計り知れませんね。
しかも、マイルナは超が付くほどのブラコン。
今後の展開が、凄く怖いです。