アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第50話

束「政府の人が私に?それよりも、義姉さんの言う通りに、バレてたわね。」

 

マイルナ「腐っても政府機関よ?それなりの情報網は持っているはずよ。さて、どうせ貴女の勧誘でしょ。

私も、政府の連中と話をつけたい件があるから、私も行くわ。」

 

そう言ってマイルナ達は、政府からの使者がいる校長室に入っていった。

 

~~~校長室~~~

 

校長室に入ると、少し小太りでスーツ姿の男が待っていた。

 

役人「いやいや、初めまして篠ノ之博士。私はこう言う者でございます。」

 

男は低い姿勢で名刺を差し出したが、それに目を通す事無く束はその名刺を破り捨てた。

 

束「こんな下らない能書きはいらないよ。どうせお前の名前なんか、覚える気なんてさらさら無いからね。」

 

役人「それは失礼いたしました。私も、名刺を差し出すのが癖になっていましてね。」

 

明らかに束の様子を伺う様な態度に、束とマイルナはイラついていた。

 

役人「おや?誰かと思えば、マイルナ所長ではないですか。お久しぶりでございます。覚えていますか?14年前に一度お会いしたんです…。」

 

マイルナ「知らない。お前みたいな人間は知らないし、覚えていても関係ないわ。」

 

男が言い終わる前に、マイルナが話を終わらせた。

 

千冬「そ、それよりわざわざ政府の役人が何しに来たんですか?そんな挨拶だけじゃ無いだろう?」

 

役人「そうでしたそうでした。実は、私達は今とある機械を作っていまして…。

これがその設計図です。」

 

そう言って男は、一枚の設計図を取り出した。

 

束「ふぅん、お前達低レベルでここまで考えられるなんてね。でも今のお前達の科学力じゃ、実現は100年かかっても無理だよ?」

 

役人「それは重々承知でございます。ですので、私達のこの計画に是非とも篠ノ之博士の、その卓越した頭脳と神憑りな科学力をお貸しして欲しいのです!」

 

男は、机に額をつけながら束に頼んできた。  

 

束「下らない…。本当にお前らって下らないね。幸太郎が誉めてくれた、私の夢の結晶のISを兵器呼ばわりしておいて、今度は私に兵器を作れって?

都合が良いにも程がある。お前達みたいな連中といると、本当に虫酸が走るよ!」

 

役人「そうですか…、それはとても残念です。それに、兵器とは聞こえが悪いですよ。これが完成した暁には、外国への抑止力になると期待されているんですよ?それに、私達が想定している抑止力は、これだけじゃ無いんですよ?ねぇマイルナ所長。」

 

束に断られ、残念そうにしていた男はマイルナに向かって不気味な笑みをした。 

 

マイルナ「全く、お前達はまだ諦めてなかったのか?」

 

役人「当たり前です!あれは、武器を持たぬ私達からすれば、夢の様な代物ですよ!」

 

男が話すたびに、マイルナに怒りがたまって来ているのを、束と千冬は察知した。

だが、何に対して怒りを覚えているのかを聞かなければ、話は始まらない。

 

束「そ、その…義姉さん、そいつらは何を計画しているんですか?」

 

束の質問に、マイルナは一瞬束を睨んだ。 

 

マイルナ「はぁ…、いずれは貴女達に話さなければいけないわよね。 

こいつらは、幸太郎の病気を使って生物兵器を作ろうとしているのよ。」

  

マイルナの答えに、束は聞いた事を後悔した。

 

役人「生物兵器とは言い掛かりですよ。ただのワクチンですワクチン。あれしか生きられないのなら、相当の抑止力になるでしょ?」

 

男は、幸太郎をまるで物のような言い種で話していた。 

 マイルナ「確かに、あの病気は幸太郎じゃなければ、かかった瞬間に即死だわ。でもお前達に幸太郎を渡せば、幸太郎はお前達に殺されるわ。」

 

マイルナ「それに、お前達の幸太郎を侮辱する態度が前々から大嫌いだったのよ!」

 

そう言って席から立ったマイルナを、千冬と束は慌てて座らせた。 

 

千冬「マイルナさん!いったん落ち着いて下さい!」 

 

束「そうですよ!気持ちは痛いほどわかりますが、まずさ落ち着きましょう!」

 

すると、校長室の扉が開いた。

 

幸太郎「お姉ちゃん…、どうしよう…。なんだが熱が出てふらふらするよ…。」

 

そこには、明らかに体調を悪くしている幸太郎が立っていた。




ヤバいですね…。
これは確実に一悶着ありますよ。

と言うか、マイルナが大暴れしそうな勢いですね。
役人は生きて帰れるのでしょうか?

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