マイルナ「ごめんなさいね。学年別トーナメントが始まると言うのに、応援にいけなくて。」
ラウラ「良いんですよ。マイルナさんが幸太郎の側にいてくれるからこそ、私は何も心配しないで試合に望めますから。」
そう言ってラウラは、マイルナに深く頭を下げた。
それは、幸太郎の事を任せるという意味と、応援に感謝する意味もある。
そして眠っている幸太郎の側に立ち、ラウラは幸太郎の頬に優しく触れた。
ラウラ「幸太郎よ、私はお前に誓おう。必ずこのトーナメントに優勝して私の信じた強さ、そしてお前の強さを証明して見せる!」
そう固く誓い、ラウラは幸太郎のオデコにキスをした。
ラウラ「それではマイルナさん、幸太郎の事を任せました。」
マイルナ「待ってラウラ。貴方に渡したい物があるの。」
部屋から出ていこうとしていたラウラを止め、マイルナは半分に割れたハートのついたペンダントを手渡した。
ラウラ「マイルナさん、これはいったい…。」
マイルナ「これは幸太郎が幼い時に作った、大切な人を守ってくれる御守りみたいな物よ。
貴方はもう、幸太郎にとってとても大切な人になったわ。だからこれをあげるわ。」
マイルナ「本来なら、束にあげた対の物だけど、貴方なら幸太郎も喜んで譲ると思うわ。」
幸太郎からの手作りの御守りは、安っぽい材料で作られた代物だが、ラウラにとっては何よりも高価で大事な物だ。
ラウラ「ありがとうございます。この御守りと幸太郎に恥じない戦いをします!
ですので、見守っていて下さい!」
ラウラはもう一度頭を深く下げ、保健室から出ていった。
マイルナ「本当にあの子は、素直で素敵な子ね。速く目を覚まして、色々と話をしたいでしょ幸太郎。」
幸太郎の頭を撫でながら、マイルナは優しく微笑んだ。
~~~トーナメント会場~~~
トーナメントが始まり、ラウラ・箒ペアは順調に勝ち進んでいた。
圧倒的な力でぶつかる訳ではなく、全ての攻撃に優しさや愛を込めていた。
箒「特訓を頑張ったかいがあったなラウラ。」
ラウラ「そうだな!この調子なら、優勝は間違いないな。」
箒「でも、次に戦う一夏・シャルルペアは油断出来ないわ。シャルルは専用機持ちだし、一夏も強くなっている筈だ。」
ラウラ「わかっている。だが、今の私には何よりも心強い希望がある。」
ラウラは御守りを握りながらそう言った。
そうする事で、幸太郎の優しさを感じる事が出来る。
箒「おや?そのペンダント、確か姉さんもつけていたな。幸太郎さんじゃ無くて姉さんとお揃いだなんて、少し複雑な気持ちでしょ?」
ラウラ「全くもって、その通りだ。この御守りは、幸太郎と私を繋ぐ物だと思っていたのに、別の女性、しかも篠ノ之 束だなんて。
それに、篠ノ之 束の方が先に貰っているだなんて、妬けてしまう!こんな気持ちは、産まれて初めてだ!」
ラウラの戸惑いに、箒は嬉しく感じていた。
少しずつだが、あんなに堅物だったラウラが恋する乙女としての感情を得始めたていたからだ。
そして、試合準備の合図がなった。
箒「その気持ちは、追々理解するわ。今は一夏達に勝つ事を考えましょう。」
ラウラ「そうだな。良し!この試合も、私達の力で勝利を飾ろう!」
ラウラと箒は、お互いに気持ちを高めた。
幸太郎の御守り、貰ったラウラにしてみれば嬉しいけど、複雑な気持ちになりますね。
それに、この事を束が知ったら同じ複雑さになるんでしょうね。