~~~職員室~~~
千冬「幸太郎、さっきは本当にすまなかった。ラウラも悪気があった訳じゃないんだ。」
先程の自己紹介の事を、千冬は自己紹介でもう一度謝罪した。
幸太郎「別に、気にして無いから。それよりも、あのラウラちゃんは、どういった子なの?」
幸太郎は日誌を書きながら、千冬に聞いた。
そしてマイルナは、ラウラの情報が書かれている紙を見ていた。
千冬「どういった子とは、どういう事だ幸太郎?」
マイルナ「何でラウラは、あんなにも他人に対して当たりが強いのか。
それが知りたいんでしょ幸太郎は。」
マイルナの言葉に、幸太郎は頷いた。
そして千冬は、どう説明すれば良いのか、言葉を探し始めた。
そして数秒後、言葉を見つけた千冬が口を開いた。
千冬「ラウラは…あいつは私に憧れているんだ。それも、誰よりも強く有りたいと願いそれを実現させて来た、モンド・グロッソで優勝したあの頃の私にな。」
と、千冬は寂しげに話した。
誰かを護る為には、誰よりも何よりも強く無ければならない。
そう想っていた過去の自分を、千冬は嫌っていた。
マイルナ「力こそ全てね…、ある意味シンプルで良いわね。でも、その力が何なのかを間違えると、物凄く厄介だわ。」
幸太郎「そっか…、じゃあやっぱり俺はラウラちゃんと親友になる!
あの娘は多分だけど、まだクラスの皆と仲良く出来てないと思うからね。」
マイルナ「まぁ、あんな事をしたんだからそうでしょうね…ってもういないわ。あんなに走ると、体に障るのに。」
幸太郎は早速、ラウラを探す為に職員室から出ていってしまった。
マイルナ「さてと、幸太郎も行っちゃった事だし、私も行こうかしら。」
千冬「マイルナさんも、何か用でもあるんですか?」
マイルナ「えぇ、もう一人の転校生にね。」
~~~中庭~~~
昼休み、ラウラは一人で中庭にいた。
ラウラ「はぁ…、なんて不甲斐ない奴らなんだ。本当にあいつは、教官の弟なのか。」
幸太郎「やっと見つけたよ。もう、食堂にいないからあちこち探したんだよ?」
声のする方を見ると、お盆を持った幸太郎が立っていた。
ラウラ「またお前か、私に何の用なんだ。」
敵意を向けているラウラにお構いなしに、幸太郎はラウラの隣に座った。
そして自分が持ってきたお盆を、ラウラに差し出した。
幸太郎「特に用は無いけど、君ご飯食べて無いでしょ?何が良いかわからなかったから、グラタンにしたよ。
これなら、お箸を使わないから食べやすいと思ってね。
こっちのサンドイッチは、俺のだからね。」
そう言って幸太郎は、一緒のお盆に乗せてきたサンドイッチを食べ始めた。
だがラウラは、そのサンドイッチの小ささに驚いた。
明らかに、小さい。
幸太郎「どうしたの?早く食べないと、冷めちゃうよ?」
ラウラ「フン、せっかくだから頂こう。」
グラタンを一口食べたラウラは、そのグラタンの味に驚いた。
今まで食べた事が無いほど、美味しかったのだ。
ラウラ「うまい…、さすがはIS学園の食堂だな。」
幸太郎「フフッ、喜んでくれて嬉しいよ。このグラタン、実は俺が作ったんだ。」
ラウラ「本当か!こんな美味しい料理を作るなんて、お前は凄いな。」
この後、他愛もない会話をちらほら交わしながら、二人は食事をしていた。
最初は敵意むき出しだったが、美味しい料理と幸太郎の不思議な雰囲気に、既に敵意は無かった。
幸太郎「そっか、君は千冬が大好きなんだね。」
ラウラ「あぁ、教官は私の恩人であり目標なんだ。いつか、教官の様な強い女性になりたいんだ。」
ラウラ「まぁ…その…、あの時はすまなかった。一夏相手に怒っていた時だったから、お前にもあたってしまった。
お前は凄い男だ。それに教官が言っていた以上に、何かしら雰囲気な魅力がある。あの時は手を取れなかったが、よろしくな。」
そう言ってラウラは、幸太郎に握手を求めた。
幸太郎「ラウラちゃん…、ありがとう。俺からもよろ…ゴホッ!ゴホッゴホッ!」
突然咳をし、幸太郎は苦しみだした。
そして吐血をしてしまった。
ラウラ「おい!大丈夫なのか!おい!」
そのまま、幸太郎は気を失ってしまった。
吐血だけじゃなく、気を失うなんて幸太郎の体調が心配ですね。
このままだと、本当にヤバいですね。